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ECサイトの運営・運用

化粧品から分析するECサイトの課題〜商品ごとにことなる事情を考察

ECサイトと一言でいっても、商品によって事情はことなります。メリットがメリットにならないといったこともあり、それぞれの商品ごとにサイトのデザインから運営のスタイルまでそれぞれに適した方法を模索する必要があります。ここではその例として化粧品とECをテーマに、ECの商品への最適化について解説します。

EC化率の低いコスメ業界

ECでは商品ごとに様々な課題やメリット、デメリットを抱えており、一律に世の中の状況に合わせてEC化が進んでいるわけではありません。どういった業界でも、それぞれの状況にうまく適応してECサイトの構築や運営・運用をしていくことが、結果的に業界内でECでの存在感に繋がることにつながります。

その中でも化粧品は広告費などに予算を割く割合の多い業態です。また、市場規模に対してEC化が進んでいないのが化粧品です。2020年7月に経済産業省が発表したデータでは化粧品と医薬品を足した市場のBtoCでのEC化率は6%と発表しています。ビジネス全体のEC化率よりも低く、40%を超える文房具などと比較すると大きく出遅れているのが現状です。それでもECによる取引は1800億円ほどはあると考えられます。

コスメ業界自体はライバル企業がしのぎを削り合うレッドオーシャンです。国内だけでなく、海外からの参入もあり非常に厳しい企業間の争いが続いている市場といってもいいでしょう。

ドラッグストアが各地にあって送料を加えると割高になる、実物を確認しながら購入したいなどの需要の問題もECでの利用にブレーキをかけています。それでも新型コロナウイルスの影響で外出を控えるため、ECでの購入は増加傾向にありました。一方で、外出しないことが、化粧品全体の需要を低下させており、中国や東南アジアからの海外旅行客が無くなったことによって、大きく売上を下げる要素も少なくないのが現状です。しかし、ECでのコスメの利用を経験した消費者の存在は可能性でもあります。

ECでの化粧品の持つ課題についてまずは見ていきましょう。

化粧品という商材が抱えるECへの3つの課題

化粧品自体は保存も効き、パッケージも柔軟に作成できるため、在庫もしやすくECと表面上は相性が悪くは見えません。また、マーケティングもしやすい商品のはずです。例えば多くは女性であり、年齢層ごとに商品の嗜好に方向性があります。

しかし、そうしたことは表面的なことに過ぎません。これはあくまで、ビジネス視点でのことでしかなく、ユーザーの実態に則していないのです。化粧品業界はECでの販売に関して、実際には3つの課題を抱えています。

直接購入出来る場所での高い利便性

化粧品を扱うドラッグストアの店舗はいろんなところに存在しています。例えば、消費の動向やトレンドを左右する学生層ですが、この層は日常的に市街地を利用します。その結果、家に届くということに利便性がありません。ましてや化粧品は小さいため、鞄に入れてもじゃまになることもありません。また金額も小額のものが多く、送料を考えると割高になります。つまり、ECのメリットはまったく活かせません。

もう少し、上の世代層も含んで考えてみましょう。人間の肌や髪の毛などはそれぞれに違います。そのため化粧品自体は如何にあったものを選ぶかということに需要があります。そうなると実際に現地でコンサルタントを受けながら購入出来る百貨店などでの販売は利にかなっています。

そこに安全性が加わると、文章と写真では太刀打ちできません。動画も結局同じです。実際に触れてみることはできないわけですから、そうした需要では勝負にならないわけです。実際に使ってみるということに重要性があります。

販売チャネルの多様化

化粧品の購入出来る箇所は様々です。その結果、ECでの購入はその一部でしかなく、売上が分散しています。実際の店舗だけでなく、雑誌やテレビ、カタログでの通販など、以前から様々な販売のチャネルが存在していました。そのため、各社はEC化が必須の命題ではなく、数字としても現れにくくなっているわけです。その結果、さらに企業はECへの注力をしなくなるという循環がおこります。

このこと自体は化粧品におけるECの課題というよりも構造的な問題です。それよりも、セクションごとに売上を考える部門主義的なものがさらなるECの発展を阻んでいる可能性があります。また、通販で詐欺まがいのことを行った美容系のメーカーも少なくありません。そうしたことでECに限らず、通販に対して不信感を持っているユーザーも少なからず存在しており、そうしたこともブレーキをかけている可能性があります。

難易度の高いWEBマーケティング

ECでの売上を伸ばすためにはなんらかのWEBマーケティングで集客を行います。その中で、化粧品に関わるジャンルは異業種参入も多く、常にレッドオーシャンの状態が続いています。

老舗企業に加えて、化学工業や食品メーカーなどが参入してくるため、常に売り手は飽和している状態です。その結果、入札式のWEB広告は費用がかさみ、コンテンツマーケティングでも情報が乱立します。

その結果、WELQ問題でコンプライアンスや常識が問われるようになりました。これは主に医療に関わるジャンルの話でしたが、その地続きにいる化粧品メーカーも少なからず影響を受けました。その結果、ビジネスベースの記事などは軒並みGoogleにより順位を下げられるという結果になりました。

また、InstagramやTwitterで多数のフォロワーを持ち、影響力のあるインフルエンサーの存在が業界の動向を握っている部分もあり、各企業は資本力をこうしたインフルエンサーの巻き込みに使うようになりました。結局ここでも商品力より資本力がものをいう結果になるため、足下の企業からのEC需要は化粧品に関しては起こりにくい状況になっているのです。

各社が取組むECでの工夫とビジョン

実際にこうした状況に対して各社はそれぞれの戦略を描いてアプローチしています。その中で考えられている戦略の方向性は大きく分けると2つです。

  • ECを含め部門主義の廃止と販売チャネルの統合
  • ブランディングやリブランディングの場としてのECサイト

「ECを含めた販売チャネルの統合」はつまり考え方的にはオムニチャネルに近い考え方です。それぞれの販売チャネルのメリットを活かし、デメリットを補います。部門主義を廃し、切れ目のない宣伝戦略と総合的な顧客の囲い込みをねらっていくというものです。実店舗で販売に結びつかなくても、ECへ誘導し、そちらで決済してもらったり、ECで商品の背景を知ってもらうことで実店舗での購買力を向上させるといったやり方です。こうした戦略は資生堂やファンケルなどが取っています。

【参考】ECサイト売上ランキングから見るオムニチャネルの可能性

ブランディングに積極的に使おうとしているのは花王です。ECサイトは必ずしも販売の場ではなく、改めて企業や商品を知ってもらうためのサイト作りに注力しています。花王はECでの売上アップを目指していますが、直接的に上げていくのではなく、地固めをウェブで行いながら最終的に売上に結びつけるという戦略です。王道ともいえ、大手としての冷静な状況分析は見習う点も少なくありません。

ECサイトを意味あるものにする運営とブランディング

ECへのシフトは命題

まだ過渡期の入り口といえる化粧品業界ですが、インバウンドの需要が見込めないなか、海外へもリーチできるECへの取組みはまったなしともいえます。アジアでは日本の化粧品が高く評価されており、需要自体が衰えたわけではありません。

しかし、コロナウイルスの影響は、国内需要は回復したとしてもインバウンドでの消費はまだまだ戻ってきそうにありません。そうしたことを考えると、日本への旅行数がゼロに近い今、その分を取り戻すにはECしかありません。

今回は化粧品をとおして、商品について掘り下げて解説しました。それぞれ扱う商品によって背景や事情はことなります。実体験と、ECで利用できる選択肢の適切な提示を的確に行えるかがどういった業界でも求められているのではないでしょうか。

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