「共感マーケティング」への取り組みはブランディングをする上で大切な視点

もし、ユーザーから商品や企業に対しての共感を得ることができればビジネス的には大きな追い風になります。ブランディングはある意味では共感を広げる行為でもあります。ですので、いわゆる「共感マーケティング」はブランディングと共通点も多くあります。

一方で表層を撫でた共感マーケティングを狙って行うと、消費者に見透かされ反感を買うこともあります。そうならないためにも共感マーケティングではブランディングを意識した取り組みをしていく必要があります。その必要性や状況なども含めて解説します。

ビジネスには共感がより求められている

今、ビジネスを成功させる上で重要なこととしてマーケティング的視点でよく言われるのが「共感」というキーワードです。

共感マーケティング」などという言葉を知り、実際に取り組もうとする企業も増えてきています。この共感マーケティングについてビジネスベースで「これをすれば儲かるから」といった考え方で取り組みを検討する企業も多くあります。決してそれを否定するわけではありません。しかし、実際にはそうした企業はどこかで整合性が破綻することも多くなります。

その結果、先ほども述べたように「共感」ではなく「反感」を買うということも少なくありません。

うまくいかない理由はブランディングが確立されていないことにあり

たとえば「サスティナビリティ」という言葉がこの15年くらい普及してきました。サスティナビリティとは継続可能という意味の英語です。世の中のサイクルとして無理のない仕組みとしてビジネスをしていこうというのが「サスティナビリティ」の意味するところです。

サスティナビリティ については最近では日本でも急激にSDGsについて叫ばれるようになりました。実際のところ、こうした取り組みについて、日本は大きく遅れをとっています。SDGsは「持続可能な開発目標」と訳されており、人、環境や資源に負荷をかけすぎないことを目指して取り組んでいくことを掲げるものです。

レジ袋の廃止などもこうした視点に立って行われていることですが、どうやらうまく啓蒙されていません。結局、官からの無理な旗振りによりその意図が理解されておらず、多くの人は「レジ袋が有料になった」という認識しかないのが実情です。現時点では非常に残念な傾向と言わざるを得ません。

海外ではこうした取り組みに対する評価によってファンを獲得し、利益の安定につなげている企業も少なくありません。文化的な取り組みとして、無形な形で評価され、ビジネスが根付くきっかけになることも少なくありません。

日本ではサスティナビリティ やSDGsは少し言葉が一人歩きする傾向にあります。なかなか取り組みが進んでおらず、表面的なものになることが少なくありません。結果としてレジ袋のようなケースを招くわけです。

他にもたとえば「環境開発アセスメント」などという言葉がありましたが、用語だけで一人歩きし、本来の意味では捉えられずに廃れつつあります。こうしたことが少なくありません。

実際、日本でも世界的な課題へ向けて取り組む流れは80年代から存在しています。しかし、表面的な取り繕いとして認識されてしまうことも多く、結果的に薄ぺらさが消費者に見透かされてしまうことになるパターンが大半です。その結果、うまくブランディングに結びつかないことも少なくありません。

実際のところ、サスティナブルな取り組みとして評価され、ファン化が起きている例はまだまだ少ないのが日本企業では現状です。例えば少し前にコーヒーブームがおこりました。「サードウェーブ」という言葉を聞いたことがある人も多くいるでしょう。この言葉は本来はコーヒーの新たな取り組みとしてサスティナブルな経済活動としてコーヒービジネスに取り組んでいこうという意図を持った言葉でした。これは結局、「おしゃれな若者向け喫茶店」というビジネス形態を指す言葉にすり替わってしまいました。

こうなると継続的なものにならず、一過性のブームとして消費されてしまいます。結局、理念的な部分は忘れ去られてしまいビジネスを強固なものにはしてくれません。

このような状況では共感マーケティングとしては弱い結果となります。

課題は「社会状況への考察」と「企業理念の実施」

こうした過去の事例を踏まえた上でまず、共感マーケティングの手法を語る前に基本的に考えなければならないことは「目指したものが社会的に受け入れられる土壌があるのか」という点です。これは社会のニーズと捉えてもいいかもしれません。

レジ袋の話はニーズ自体はあることです。しかし、実施の全体的なデザインがされていない印象があります。その結果、意図が浸透していないということになります。

こうした精神的な部分でのニーズを、物理的なニーズが飛び越えることはもちろんあります。供給が少なく、需要の高い商品であれば市場に商品を投下するだけで自動的に売れていくような感覚さえ覚えることでしょう。

しかし、サービスを含めた商品が氾濫する今、そうした形でのヒットを狙うのは加速度的に難しくなっているのも事実です。そうした点を考えると少なからずSDGsへの取り組みなどで「共感マーケティング」に参加していかなければなりません。

しかし、いくら自分で「こうした目標を掲げるのがよい」「この商品がよい」と考えたとしても世の中的に望まれていないばかりか、敬遠されているようなことであったり、その方向にない場合は共感を生んでマーケティングに活かすなんてことはもちろんできません。このような目標の不一致が自身のブランドに起きていないかを考える必要があります。

一方で、当然、流行がどんなものにもつきものですから、社会状況とうまくリンクすると大きなマーケットの中でもより存在感を示すことができるようになることもあります。もちろん、そうしたことにリンクしていくことも重要です。しかし、根本的には「思いを伝える」ということがなければなりません。

企業理念と共感の整合性

破綻したり継続していかないことでブランディングの力にならない理由はもう一つあります。

それは企業理念とその行動への整合制です。ユーザーはこうした部分について非常にシビアにみている部分があります。企業の持つ行動からその社会性の高さを密かに、かつ冷ややかに分析されていることがあります。そのうえで掲げている企業理念とビジネス上での計画や行動が解離していると、批判の対象になることさえあります。

現在ではSNSで多くの人が気軽に発信します。そのため、ネガティヴな情報ほど加速度的に広まることもあります。「悪事、千里をかける」ということわざがありますが、それが実際にいろんなところで起きやすい状況にあるということを理解しておく必要があるでしょう。

もし、こうしたことにねじれが生じている場合、ブランディングにとっては悪影響であるということを事前に理解しておく必要があります。ブランディングの難しさは表面的な装いだけでは根付いていかないという点にあるからです。

共感マーケティングは分析からはじめよう

「共感を生みたい」というだけでなく「共感したい」ということも実は人間の根源的な欲求に含まれています。そのため、共感を生むということ自体はだれでも可能なことともいえます。

そうであったとしても「どうして他の人に響いていかないのか?」と悩む人も多いと思います。それは「自ら考えたものを自ら考えたやり方で理解されたい」と考えるからです。これこそが共感を得られない理由です。

こうしたやり方をすると他の人には響いて行きにくくなるものです。相手が共感できるポイントに接触しなければうまくいかないのです。つまり「共感を生み出すためにはまず他の人に共感しなければいけない」ということが言えます。

これは必ずしも精神的な同意の話ではありません。単純に「よく相手を知ること」と考えてください。

それともう一つ、自分自身のことをよく知ることも必要です。どうすれば共感を得られるのか、そのポイントがどこにあるのかをしっかりと捉える必要があるからです。

つまり、共感マーケティングをするためにはビジネスの相手となるマーケットの分析とともに、自社や商品のセールスポイントやそのピックアップの仕方についても分析をしっかりと綿密に行う必要があるということになります。情報の提供の仕方は非常に重要です。

分析の方法はいくつかあります。マーケットの中で自社の状況を見つめるものとしてSWOT分析などは基本的な方法としてよく実施されます。ただ、この方法はマーケットの中で自社に対してどういった課題があるのか、また敵対要素はどういったことかといったことを知るための手法で、あくまで相対的なものです。

そのため、共感を探るポイントとしては絶対的なものではありません。もちろん活用することは十分にできますし、有効な方法ですがこれだけでは足りないといえます。

市場調査なども活用することが考えられます。しかし、この方法は知りたいことによってはそれなりに資金が必要です。もちろん資金が十分にあるのであればしっかりとした情報が得られます。

自己分析にカスタマージャーニーマップを活用する

自己分析の方法としては、カスタマージャーニーマップの作成も役に立ちます。カスタマージャーニーにはリンクをつけた記事でも詳しく解説しています。

【参考】ECサイトでのカスタマージャーニーマップの役割と使い方

カスタマージャーニーマップの正体は「顧客目線での自己分析」ということが言えます。自社の商品やサービスについて、どういう点がセールスポイントになっているのか、また、その後の可能性を顧客心理に基づいて考えてみるというものです。

単純に自己分析をするというのはやってみると意外に難しいものであるということがわかります。そこでカスタマージャーニーを考えることは考え方に方針を与えてくれることになります。

どういった層からまずは共感を得るのかを把握する

自社のブランドがどういった層(マーケット)に共感を得られやすいか、またどういった層から共感を得たいのかということを考えることはとても重要なことです。世の中には多くの人がそれぞれの価値観をもっているため、最初から全てを取り込むことは困難です。また、商品自体もそれぞれの用途があるのでそのニーズを持っている人についてしっかりと考え、さらにそのニーズに対して商品を考えていくというリレーが必要です。

なぜこの作業が必要なのかというと、狙いをつけたマーケットによって有効なアプローチが変わってくるからです。

例えば「丈夫で長持ち、使い方は難しくてもかまわない」という層がいたとします。そしてそこをメインマーケットにしようと考えた場合、要素として重要なのは耐久性です。それなのにそこで「使用法が簡単!」とアプローチしても響きません。

こうしたことが基本的な背景にあるということをまず把握しておく必要があります。

その上で共感マーケティングのことを考えなければいけません。

まずは付け焼き刃ではないブランディングを実施することが重要

前段までで述べてきたことをまとめると共感マーケティングについて見えてくるものがあります。

それは「信頼感とは何か?」ということです。まず、同じ発言を複数の人がした場合を考えてください。なぜか共感の度合いに差が生まれます。これは普段の行動や言動などから、総合的に信頼度を聞いた人がはかっているためです。

これはいうなればブランドコンセプトとその実施に解離がないかという点にかかっています。ブランドコンセプトの実施については企業体全体はもちろん関わるスタッフ全体で、掲げたブランドコンセプトを旗印にして実施していくものです。

目指す共感とこのブランドの目指すものとが解離している場合や行動がともなっていないとそれは絵空事になっていきます。企業であれば企業理念や行動指針がブランドコンセプトと合致しているのかをまずは考えないといけません。そのうえでターゲットとしているユーザーを理解しなければいけません。

大きな共感を得る「共感マーケティング」のためには

企業アセスメントのような行為で共感を得ていくためには、社会的な意義を企業全体で理解し実施していくことがマーケティングにつながっていくことになります。

SDGsへの取り組みや、地産地消への取り組みなどが最近では共感マーケティングとしても注目を集めています。こうした活動は企業の社会的な貢献という側面があるわけですが、これがブランディングの中に取り込まれているとブランドの信頼感や高感度は高くなっていきます。

こうしたことへの取り組みは、実はいまや「やらざるを得ない」状況ともいえます。それこそ、世の中のニーズがどんどんそちらに流れているからです。

ただ、そこまで難しく考えることもないといえます。自社での営業がどうなると社会的な貢献につながるのかということを考えてみるだけで、回答につながってくるはずです。それは単純に「便利な商品を市場に出して購入者の生活を豊かにしたい」ということでもいいのです。そこから何が広がるのかを考えて、共感のポイントを見つけてください。

共感をひろげるプラットフォームの選択もユーザーベースで考えて

共感を広げるためのツールも増えてきています。店頭や宣伝だけでなく、SNSなどのコミュニケーションの中でも共感する場面が増えてきました。実際、SNSはこうした共感マーケティングに適応するべくその機能を特化していきました。

ただ、どういったプラットフォームを選ぶか、またアプローチについてはしっかりとユーザーのことを考えて行ってください。

ここでも誰かを共感させるには、誰かに共感することからが始まりとなります。

ブランディング会社としての役割はこうした取り組みの中で消費者が御社のブランドに対してどういったところに共感するポイントがあるのかを見つけ、広げていくことも大きな役割です。

共感マーケティングや社会的意義とビジネスのすり合わせなどに悩むこともあるでしょう。そうした場面では弊社のような存在の出番です。また、かいなであれば、単純なコンサルタントではなく、アートワークやWEB戦略など、印象に大きく作用する部分も含めて、一緒に悩み、手を動かしながらトータルで対応しブランドを持ち上げるお手伝いをしていきます。

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