ブランディングとパッケージ〜視覚的な情報が認知と記憶を作る
2021.10.29
商品が届いた瞬間はどんな場合もワクワクします。その時、その商品がどういった状態になっているのかで感動を加速させるとそのブランドに対する好印象はさらに高くなります。
今はデータなども商品になる時代です。その場合のパッケージの概念は拡大しています。ここではブランディングとパッケージについて改めて考えてみたいと思います。
ブランディングでのパッケージの今までの役割
パッケージは商品を包むものです。それは決して商品そのものではないというところをまずは押さえておく必要があります。ユーザーは「なんらかの事情」があって特定の商品を手に入れようとします。ブランディング的な表現をするとこの「なんらかの事情」が「ベネフィット」ということになります。
そのため、パッケージはベネフィットを直接的にユーザーに与えるものではないということがいえます。しかし、そのブランドから受ける印象という点ではパッケージのあらゆる要素を無視することはできません。
包装としてのパッケージであれば、中身の保護の状況、手に入れた時の満足感、安心感など、またブランドのアティチュードを感じることも少なくありません。パッケージは顧客が求めているベネフィット以上にブランドのインパクトに影響します。
実は物体という括りに限定しなくてもパッケージという考え方は可能です。たとえば飲食店について考えてみてください。飲食店のベネフィットは食事を提供することです。そこでのパッケージは例えばお店の清潔感や店員さんの接客などがパッケージといえます。メニューやおいしさをベネフィットかパッケージか分けて考えるのは難しいところがあり、ベネフィットにもなり得ますが、こうして考えてみるとパッケージの重要性をよく理解できると思います。
単純に箱や容器のデザインだけでなく、どのような材質のもんを使っているか、開けやすいかというようなことや、合理的であったり環境配慮されているかといったことも影響するようになってきました。
単純にユーザビリティをあげる、つあり使い心地を改善することにも影響しています。また、合理的な梱包は新たなユーザーエクスペリエンスに繋がる場合もあります。逆に現在では過剰な包装をやめることで環境配慮に対するその企業の態度を明確にしているケースもあります。そしてこれもまたブランディングといっていいでしょう。
【参考】SDGsとは企業にとってどんなものなのか〜ブランディングと社会的意義を考える
パッケージの要素としてユーザーに与えるインパクトはまず視覚的な部分があります。
どういったパッケージはどういった形状なのか、材質を使われているのか、形はどんなものか。また、そこにどんなアートワークが施されているのか。まずそうした外観による印象は人の記憶に大きく残ります。そこであまりどこにでもあるようにしてしまうと、記憶を作るチャンスを逃してしまう可能性があります。
またものとしての商品を考える場合、手に取ることも考える必要があります。手tで触った時の感触も実は記憶によく残ります。もちろん、これは悪い印象も残るので、こうした部分をブランディングに理解のある企業は拘ります。たとえばパッケージに力を入れているブランドとしてよく名前の上がるAppleでは、パッケージの箱の手触りや塗装の仕上がりについてチェックをしっかり進めることが知られています。
五感に関わる部分は、その時感じた感覚を得ると思い出します。たとえば同じ色をみたり、同じ匂いをかぐと、その記憶が鮮明に蘇ってくるものです。こうした感覚は誰もが味わったことがあると思います。ブランディングではいわゆるこうしたもっとフィジカル的なことも重要な要素として考えなければいけません。
ブランディングについて優秀なマーケッターが語るとよく出てくる「お客様のことを一生懸命考えること」と口を揃えていうのはこうしたことも大きく関係します。そしてパッケージはその入り口としてユーザーと接触することになります。
パッケージの概念を「包装」から拡大してみよう
先ほどは飲食店の例にも触れていますが、ブランディングを「ユーザーに気に入ってもらい、様々な恩恵を得ること」と考えるとこのパッケージということをしっかりと考えることはブランディングを行なっていく上での肝となってきます。
パッケージの役割としては以下のようなものがあります。
- 商品の機能を保護し情緒的な面を促進させて価値を保護し向上させる
- ブランドのもつコンセプトを資格的に伝える
- 視覚や触覚などの五感によるユーザーとのコミュニケーション
- 購入のプロセスの演出
- ブランドのストーリーの演出
こうした要素についてパッケージは重要な役割を担っています。
しかし、ここ数年では必ずしも商品に形があるというわけではないものが多くなってきました。そのため、ブランディングにおけるパッケージの概念が当てはまる部分もそれに合わせて変わってきています。
そうなるとパッケージとは有形か無形かに関わらず商品をユーザーへと受渡していくためのインフラや手段などの仕組みも含めて考えていくことが重要になってきます。
例えばECサイト自体は商品をお客様へと届けるための手段であり、陳列店であり、仕組みを包括するものです。そこではサイトのトップページから支払いを完了し商品をユーザーが取得するまでがパッケージということが言えます。そしてそのすべてのプロセスにブランディングは関係してくるということになります。
ECサイトにおいてブランディングが重要ということはこの記事のECにかかわる別カテゴリーの記事でもお伝えしています。そしてかいなのようなブランディング会社がECサイトを手掛けるというところには、ただサイトを構築するだけではなく、ブランディング要素がECサイトにおいて必要なことが多いということも関係しています。
いかにユーザーに商品を演出し、ブランドを印象付けることができるか、それは単純な容器ということだけでなく、様々な面から考えてみてください。ブランディングの面白さはこうした部分でユーザーの喜びを演出できるクリエイティブな部分ににもあるのです。