企業のブランディングを加速する戦略的な基礎づくり
2021.09.17
ランディングにはコンセプトがまず必要です。その上でマーケットを調査し、ロゴやコピーなどクリエイティブなパッケージングを行っていくことでブランディングの土台が出来上がっていきます。
ここでは戦略的なブランディングを行うための基礎について解説します。
CONTENS
ブランディングは戦略の前に「目的」がある
ビジネスのために「ブランディングをしていこう!」というマーケティング的発想でブランディングに取り組む企業が最近では増えてきました。
企業自体が利益を追求することは当然のことといえます。そして、利益は「目的の一つ」となることが少なくありません。しかし、利益を目指すのはブランディングでは正解ではありません。あくまで利益はブランディングの「結果」であって目的ではないからです。
ブランディング的発想で考えた場合、「利益を上げる!」というブランドコンセプトでは動きようがないのも事実です。
実際のところ、そうした「利益重視」が顧客に対してブランドのイメージから漏れて伝わるようなこともあります。こうなると失敗といえます。もっといえば全ての企業はなんらかの利益を求めているので、それでは独自性も出しようがありません。こうなると他社との差別化とは遠いところにあります。
もう少しこの件についていえば、自社のブランディングを加速させる存在でもある社員といった内部のスタッフからも共感を得ることはむずかしくなることでしょう。
ブランディングにはそのブランドの拡張を口コミなどでサポートしてくれるアンバサダーの存在が欠かせませんが、こうした自社の経営や製品から得られる利益ばかりを望むだけではブランディングは成功しません。広告やメディアなどを活用すれば認知をあげることは可能です。しかし、ファンを作るという部分からは離れてしまうことになります。
こうしたことはブランディング以外のことも言えますが、とくにブランディングでは重要です。目的をしっかり考えることこそブラディングであるということも場合によってはいえるからです。
手法頼みの前に基礎づくり
ブランディングを行なっていく上でそれを達成させるためにテクニカルな部分はもちろんあります。しかし、それ以上に、「何を伝えていくのか」の「何を」という部分が必要です。
ブランディングは世の中に対してどういったものを提供して影響を与えていくのかを宣言することでもあります。そのため、ただ商品を知って欲しいというだけではストーリーがありません。その商品を手にすることでユーザーはどうなっていくのかがとても重要なのです。これがブランディングの基礎部分といえます。
この基礎部分がなければ、ただ手法を展開するのみとなり、砂に水を巻いているだけのような状態になります。伝えたいものがあるからこそのさまざまな方法であり、明確であればあるほど伝える力も強くなっていくのです。
つまり、最初にして最大の重要な部分がこうしたブランドコンセプトを作っていくことになります。
こうした部分を明確にしていないという場合はもっとも最初の課題としてしっかりと意識していかなければいけません。
そのビジネスで社会にどういった影響を与えたいのかを考える
ブランディングの場面での「目的」とは「利益」のようなビジネスでの結果を示すものでは前述したとおり、まったく別のものといえます。例えばある特定の商品について、「その商品を手にすることで余暇さらに楽しくする」などといったものです。
これはマーケティング用語的には「ベネフィット」という言い方でその意味を知られていることも多くあります。どういったベネフィットを世の中に与えていくのかがここでいう「目的」です。
ブランディングのスタートとして今一度、そのブランドは何をしたいブランドなのか、どういった影響を世の中に与えることが目的なのかを考えてみてください。
今、この目的についてはいろいろな転換期にあるとされています。たとえば今までは単純に「ユーザー」にとって良いものであればよかったのですが、もっと大きな視点で地球環境や継続性なども重要視されるようになってきました。
こうした目的への共感の変化は当然ブランディングにも影響を与えています。そのため、ビジネスの目的の建て方自体が、利益最優先では、利益を生まないという不思議な構造になりつつあります。
テーマの次は分析
目的はいうなればそれぞれのビジネスが持つ哲学であり、テーマです。その目的が決まったのであれば、マーケットについてますは考えてみることです。
- どういった層に受け入れられるのか
- どういった人が必要としているのか
- その商品はそうしたマーケットにフィットしているのか
こういったことを考える必要があります。そのためには環境の分析とともに商品そのものやブランドについて、何がフィットしていくのかを分析していく必要があります。
例えばブランドコンセプトやロゴなどはそのブランドのシンボリックな存在です。当然、そのブランドが持つベネフィットだけではなく、目的も盛り込まれたものにするべきです。
しかし、マーケットに合わない響かないものであればなかなか難しいということが言えます。その層が使う言葉、ピンとくるデザインをしっかりとプレゼンテーションしていく必要があります。
「市場を作り出す」「価格に左右されない」といった部分は確かにブランディングにはあります。しっかりとブランディングできれば価格競争に巻き込まれないのは確かです。
しかし「目的」がしっかりしている、ブランドコンセプトもわかりやすくシンプルとなっていても、狙った層にアプローチできないのであれば広がる以前に届きません。
どんなものも万民に受け入れられるものはほぼありません。空気や水などでなければほぼ無理といってよいでしょう。そのため、必要な人に届けるということが重要です。だからこそ、市場や消費者について知っていなければいけないということが言えます。
ブランディングはユーザーに「より好きになってもらう」「共感してもらう」という必要があります、しかし、そうした相手をよく知るという部分がなければその前段階で止まってしまうことになるでしょう。その上でそうした対象となる層に対してしっかりと価値を感じてもらうことがポイントです。
そのため、ブランドはそのものの自己分析と環境の分析はブランドを構築していく段階で必須の作業ということがいえます。
目的とマーケットはクリエイティブでつなぐ
マーケットの設定は分析結果の賜物です。しかし、それだけでは効果でないのがブランディングの難しさです。また、もちろん、分析などの場面では専門家の力を借りなければならない場面も少なくないでしょう。
目的と分析が揃うといよいよブランディングの始まりとなります。
訴求力のある文章とデザインが必要になります。
この言葉を聞いたら、このロゴをみたらそのブランドを思い出すというものを作っていかなければなりません。ブランディングにはその後の魅力的なストーリーも重要ではありますが、それ以前にその魅力を想起させる、いわば旗印が必要です。
そのためにはこうしたクリエイティヴワークが欠かすことはできません。面白いデザインや素晴らしいコピーはたくさんありますが、それだけではブランディングでは足りません。しっかりとコンセプト(目的)とターゲット(分析結果)を反映させたものである必要があります。その上で独自のものであると認識してもらう必要があります。
こうしたクリエイティヴな作業は目的と分析に創造性を加えたものである必要があります。それぞれが橋渡しされてブランディングの下地ができあがっていきます。
基礎以降のことも同じように重要
ここまでの話はあくまで基礎です。こうした部分はブランディングとしてはあくまで入れ物を作る作業です。もちろん初期作業はとても重要です。一度、広まるとあとで変更するのは大変な作業になります。
その後はブランドをどう広げていくのかということも考えなければいけません。こうした作業は「ブランド戦略」などと言われ、ブランディングとはわけて考えるという専門家もいます。
確かにかなりマーケティング志向の知識のため、そうした意見もわかります。しかし、ブランディングありきで戦略を立てることになるので、そこをあえて分けて考えるかは学術的なことでしかありません。
全体的なことをいえばロゴやブランドコンセプトのコピーなどはある意味でコミュニケーションです。こうしたデザインワークや言葉を見てユーザーはブランドからメッセージを受け取ります。それと同様にどういったコミュニケーションをユーザーと作っていくのかがブランディングでは問われていきます。
こうしたコミュニケーションに戦略的にテクノロジーを導入することでブランディングを加速させることも可能です。
たとえばCRMやMAなどはそうした側面でこそ、その機能をいかすことができます。システムは何事も完璧ではありませんが、同じように完璧な人もいません。今は人力の持ち味と同じようにシステムの合理性も用いることでよりよいブランドのアプローチがより実現しやすくなる環境が出来上がってきました。
例えばSNSを活用してコミュニケーションを図ることで成功している事例も増えてきています。
そのため、ブランディングと一言でいっても、様々な知識と技術が必要になってきています。
クリエイティヴ、マーケティング、テクノロジーそれぞれについて理解していることがその後のブランドの命運を左右します。