共感マーケティングが反感に変わる前に、ブランディングで決めておくこと
2021.09.03 2026.09.02 更新
社会的な取り組みを発信してみたのに、反応が薄い。むしろ「きれいごとだ」と冷ややかに受け取られた気がする。そんな手応えのなさを感じたことはありませんか。
共感マーケティングという言葉が広まってから、共感される発信をどう設計するかというご相談は増えました。ただ、うまくいかない原因が発信の作り方にあることは、実はあまり多くありません。
一般には「共感は設計して作るもの」と語られます。かいなはそう考えていません。共感は掲げた言葉ではなく、日々の判断の積み重ねが外から見えたときに起きます。だから最初にやるのは発信の設計ではなく、自社がすでにやめられなくなっている判断を探す作業です。
CONTENS
共感を狙いに行くと、なぜ反感に変わってしまうのか
共感マーケティングが空回りするとき、外から見えているのは言葉そのものではありません。言葉と行動の距離のほうです。
掲げた言葉と、日々の判断のずれは隠せない
同じ内容を発信しても、会社によって受け取られ方が変わります。読み手は普段の振る舞いから、その会社の信頼度をすでに測っているからです。
値上げの告知文、欠品のお詫び、送料改定の伝え方。こうした地味な文章にこそ、その会社が誰を向いているかが出ます。
理念のページだけを整えても、こうした日常の文面が別人格だと、読み手はすぐに気づきます。
社会課題から逆算すると、事業との接点が細くなる
SDGsや環境配慮を先に置き、そこへ事業を寄せていく順序で考えると、言葉は必ず浮きます。自社の判断ではなく、外から借りた判断だからです。
レジ袋の有料化が「袋が有料になった」という記憶にしかならなかったのも、意図が生活のどこに接続するのか設計されていなかったためです。
順序は逆にします。すでにやっていることのうち、社会や生活に触れている面を後から言葉にする。この順序なら、行動が先にあるので崩れません。
整合していないことのほうが、速く伝わる
SNSでは、良い話より矛盾のほうが速く広がります。掲げた理念と実際の対応がずれた瞬間、その差分だけが切り取られて流通します。
発信量を増やすほど、ずれが露出する面積も増えていきます。発信頻度を上げる前に、言い切れることの棚卸しから始めたほうが安全です。
棚卸しの基準は単純です。社内の誰に聞いても同じ答えが返る事柄だけを、外に出す候補にします。
自社ECを運営して分かった、共感が実際に起きている場所
かいなは支援会社であると同時に、自社ECを4サイト運営しています。共感がどこで生まれ、どこで生まれないかは、自分たちの売り場で毎日見ています。
「めんどくさいを否定しない」と言い切ったときに起きたこと
かいなは厳選日用品のEC「SOREDAKE」を運営しています。拭くだけ、流すだけ、入れるだけ。手間を省くことを肯定するコンセプトです。
丁寧な暮らしという流れとは、正面から逆を向いています。当然、響かない人もいます。
それでも言い切ったのは、共感の設計が誰に嫌われるかを決める作業でもあるからです。全方位に配慮した言葉は、誰の生活にも刺さりません。
共感が確かめられるのは、発信の直後ではなく箱が開いたとき
出荷は作業ではありません。箱が届いて開けられる瞬間が、お客様との最初の接点になります。
レビューが1件つく日の嬉しさは、支援だけをしていた頃には分からないものでした。そこに書かれる言葉は、自分たちが発信していた言葉とは違います。
共感の言葉は、こちらが作るのではなくお客様の側にすでにあります。採取して言い換えるほうが、机上で考えた表現より強く働きます。
お客様の顔が見えないまま共感を語ると、相手が架空になる
ご相談を掘っていくと、多くが「データを活用しきれず、お客さんの顔が見えていない」という一点に行き着きます。
顔が見えないまま共感を語ると、想定する相手が架空の人物になります。架空の相手に向けた言葉は、実在する誰にも当たりません。
購入履歴、問い合わせの文面、レビューの言い回し。手元にある一次情報を読むところからしか、共感の核は出てきません。
かいなが共感マーケティングをすすめないケース
やらないほうがいい、と申し上げることもあります。判断の材料として3つ挙げます。
事業と接点のない社会課題を、後から掲げようとするとき
「何かSDGsに絡めたい」というご相談は今も多くいただきます。ただ、事業の中に接点がない場合、かいなは別の方法をおすすめします。
接点のない取り組みは、担当者が異動した時点で止まります。止まった取り組みは、掲げていた分だけ不信に変わります。
探すべきは新しい活動ではなく、すでに続いている面倒な習慣のほうです。続いているのには理由があり、その理由が共感の材料になります。
LP主体・広告主体で、単品を買い切ってもらう運営のとき
広告から流入して1商品を買い、そのまま離れる。この形で回っている事業に共感の文脈を足すと、判断までの導線が長くなります。
かいながLP主体・広告主体の運営に対してブランディング施策を積極的に提案しないのは、構造として噛み合わないからです。
この場合に先に手を入れるのは、商品ページの情報量とオファーの納得感です。共感の話は、リピートを取りに行く段階から意味を持ちます。
社内で言葉がまだ一つに決まっていないとき
経営者と現場で、自社の強みの説明が食い違っている。この状態で発信量だけを増やすと、外から見た人物像がぶれます。
ぶれた発信は、量が増えるほど信頼を削ります。ここで必要なのは制作ではなく、社内で言葉を一つに寄せる時間です。
順序として、ブランドの方向づけを先に済ませてから発信に投資したほうが、結果的に費用は少なく済みます。
明日から自分で判断するための、共感の分かれ目
ここまでを、読者が自分で使える基準の形に置き換えます。
明日やめても困らない取り組みは、共感の核にならない
いま掲げている取り組みを、明日やめると宣言してみてください。社内の誰も困らないなら、それは共感の核ではありません。
逆に「それをやめるなら意味がない」と反論する人が社内にいるなら、そこには判断があります。判断があるところにだけ、外から見える一貫性が生まれます。
かいなが自社ECで無塗装の天然木にこだわるのも、猫が舐めることを前提にしているからです。理由が言えるから、やめられません。
社会性で語るか、生活の実感で語るかは、商材が決める
共感の入口を社会性に置くか、日々の使い勝手に置くか。ここは好みではなく、買う直前の迷いがどちらにあるかで決まります。
迷いが「これを買うことが世の中にどう作用するか」なら、社会性の文脈が効きます。原材料や生産背景を前に出す設計です。
迷いが「うちの生活で本当に使えるか」なら、社会性を語るほど遠回りになります。かいながギフトECで贈り先と予算から入るのは、そちらが実際の迷いだからです。
自己分析はSWOTで止めず、顧客目線に置き換える
SWOT分析は、市場の中での相対的な立ち位置を整理する手法です。有効ですが、共感の核までは出てきません。
そこで役に立つのがカスタマージャーニーの整理です。これは実質的に、顧客目線での自己分析にあたります。
どの段階で何に迷い、どの言葉で安心したか。ここを埋めていくと、自社が語るべき順番が見えてきます。埋まらない段階があれば、そこがデータの欠けている場所です。
共感マーケティングとブランディングについて、お気軽にご相談ください
共感される発信をどう作るかというご相談は、掘っていくと「お客様がどう選んでいるか見えていない」という話に行き着くことがよくあります。
その場合に必要なのは、発信のトーンを整えることではありません。手元のデータと現場の感覚から、自社がやめられない判断を言葉にし直す作業です。
共感してもらえたのに、読みものから購入までの間で離れてしまう構造なら、ブランドサイトとECの分断を疑ったほうが早いこともあります。その場合はHAKOBのような統合の設計も含めて一緒に考えます。
かいなは自分たちでもECを運営しています。売る側の実感を持った相手として、30分の無料相談からお気軽にご相談ください。