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ブランド力の向上を知名度アップと切り離して考えるための判断軸

2022.02.22 2026.09.02 更新

広告を出し、SNSを更新し、メディア掲載も少しずつ増えてきた。それなのに、出稿を止めた月には売上がすとんと落ちる。そんな状態になっていないでしょうか。

知られてはいるのに、選ばれ続けない。ブランド力を上げたいというご相談の多くは、この違和感から始まります。

一般には、露出を増やせばブランド力は上がると語られます。かいなはそう考えていません。ブランド力とは、お客様が次に買うときに比べる手間を省いてくれる状態のことで、露出の量ではなく約束を守った回数で積み上がります。ここを取り違えると、投資した分だけ期待値が先に上がります。

「ブランド力は知名度のこと」という誤解が社内で消えない理由

この誤解は、担当者の理解不足から生まれているわけではありません。社内で議題になりやすい数字の性質が、そうさせています。

翌日に出る数字だけが会議に残る

表示回数、クリック数、フォロワー数は、翌日には手元に出ます。動かした施策と数字が近い場所にあるので、話が進めやすい指標です。

一方で、指名検索の増減や再購入は、数か月遅れて動きます。会議の周期に合わないため、感想として扱われて流れていきます。

ブランドの議論を残したいなら、遅れて出る指標を先に決めておきます。何をいつ見るかを決めていない限り、議題は露出の数字に戻ります。

プロモーションが効いたときほど、弱いところが表に出る

広告が当たって人が来ると、それまで見えていなかった箇所が一斉に露出します。商品ページの情報不足、読めない納期、返信の遅い問い合わせ。

期待して来た人が、その水準に届かない体験をすると、二度目はありません。認知が広がるほど、その体験をした人の数も増えます。

認知の拡大は、実力より少し先に期待値を運んでくる仕組みだと考えたほうが、判断を誤りません。

ブランド資産という言葉が、社内で数字に翻訳されないまま止まる

ブランド資産、ロイヤリティ、想起。言葉としては通じますが、自社では何を見れば増減が分かるのかまで決めている会社は多くありません。

決まっていないと、翌期の予算配分では測れる露出のほうが勝ちます。ブランドの取り組みが続かないのは、意思が弱いからではなく、勝負の土俵が違うからです。

指名検索数、リピート率、レビューの内容。粗くてもいいので、自社で追う3つを先に決めてしまう方法をおすすめしています。

自社ECを運営して分かった、認知が増える動きと関係が育つ動き

かいなは支援会社であると同時に、自社ECを4サイト、撮影スタジオとレンタルスペースを2拠点運営しています。同じ「知られる」でも動き方が違うことを、自分たちの売り場で見ています。

広告が効かなかった朝と、レビューが1件ついた日

出稿を強めたのに、翌朝の受注が動いていない。アクセスだけが増えて、カートに入らない。あの焦りは自分たちの金と在庫で何度も経験しています。

逆に、レビューが1件ついた日は、その商品の動きが静かに変わることがあります。派手ではないのに、翌週まで効きます。

前者は認知の話、後者は信頼の話です。この2つを同じ「反響」として並べて評価すると、次の打ち手を間違えます。

ギフトECで指名が起きるのは、商品名ではなく贈る場面

かいなはカニと北海道海鮮のギフトEC「かにと。」を自分たちで運営しています。年末に注文が集中する商材です。

ここで戻ってきてくださるお客様は、商品名を覚えていません。覚えているのは「去年、両親にここから送った」という場面と、その後に届いた反応です。

ブランドとして記憶に残っているのは名前ではなく、場面と結果でした。認知施策で名前を連呼しても、この記憶は作れません。

トーンを揃えて撮り続けられることが、後から効いてくる

かいなには自社スタジオがあるので、新商品や季節ごとに同じ光と背景で撮り続けられます。1枚ずつは地味な写真です。

ただ、2年分がサイトに並んだときの揃い方は、単発のキービジュアル1枚では作れません。ブランドらしさは、この蓄積の側に出ます。

撮影を都度外注していてトーンが毎回変わるなら、コンセプトを言語化する前に撮り方の基準を決めるほうが早く効きます。

ブランド力の強化を、かいながすすめない場合

やらないほうがいい、と申し上げることもあります。判断の材料として3つ挙げます。

商品と出荷に、未解決の不満が残っているとき

梱包が雑になっている、納期が読めない、問い合わせの返信が滞っている。この状態で認知を広げると、不満の総量が増えるだけです。

出荷は作業ではなく、箱が開けられる瞬間がお客様との最初の接点になります。ここが崩れているなら、先に直したほうが投資は返ってきます。

受注処理や在庫のズレが原因なら、ブランディングではなく出荷まわりの仕組みから手を付ける提案をします。

LP主体・広告主体で回っている事業

広告からLPに着地して、その1商品を買い切ってもらう。この形で成立している事業に世界観の表現を足すと、購入までの導線が長くなります。

かいながこの形のご相談を受けにくいと申し上げているのは、遠慮ではなく構造として噛み合わないからです。強みを出しづらい領域があります。

それでも取り組むなら、入口を変えるのではなく、2回目以降の関係づくりから設計を組み替える話になります。

ロゴとタグラインだけ整えたいというご依頼

見た目の刷新は、社内の合意が取りやすく、成果も目に見えます。ただし誰の迷いを解くブランドなのかが決まっていないと、次の判断には使えません。

判断に使えないデザインは、担当者が代わった半年後にまた作り直されます。かいながこれをおすすめしないのは、その繰り返しを何度も見ているからです。

先に決めるのは、色でも書体でもなく、どの場面で思い出してほしいかのほうです。

認知に投資するか、関係に投資するかの分かれ目

どちらが正しいかという話ではありません。いまの数字がどちらの不足を示しているかで、答えは入れ替わります。

初回が足りないのか、2回目が起きていないのか

新規の流入は増えているのに、再購入も指名検索も動かない。この状態で露出をさらに増やしても、同じ場所から漏れ続けます。

逆に、買った人はよく戻ってくるのに母数が小さいなら、認知への投資が正解です。関係の作り方はすでに機能しています。

見る順番を、流入からではなくリピートと指名検索から始める。それだけで、予算の置き場所の議論が変わります。

値引きを止めたときに、何が残るか

ブランド力は数値化しづらいものですが、粗く測る方法はあります。セールを止めた期間に何が残るかを見る方法です。

止めた途端に注文がほぼ消えるなら、選ばれていたのは価格でした。落ちても一定が残るなら、その範囲がブランドとして働いています。

全商品でやる必要はありません。1カテゴリだけ、1か月だけ止めてみれば、社内の議論はかなり具体的になります。

コンテンツは検索数ではなく、迷いに答えているかで選ぶ

検索ボリュームの大きい語だけを狙って記事を積んでも、読んだ人の中にブランドは残りません。セッションは増えても、次に思い出してもらえない状態になります。

問い合わせで実際に聞かれた質問を、そのまま見出しにする。地味ですが、指名で戻ってくる人はこちらから生まれます。

読みもので共感してもらえているのに購入まで距離があるなら、ブランドサイトとECの統合という構造側の選択肢も同時に検討します。

ブランド力の向上について、お気軽にご相談ください

ブランド力を上げたいというご相談は、掘っていくと「お客様の顔が見えていない」という話に行き着くことがよくあります。データはあるのに、誰がどんな場面で選んでくれたのかが読めていない状態です。

かいなは大きなエージェンシーのように決まった型に当てはめず、毎回の対話からその会社だけの課題を見つけて、伴走しながら提案し続けます。ブランディングの取り組みも、認知を増やす話から始めるとは限りません。

自分たちでもECを運営している立場として、売る側の実感を持ったままお話しします。30分の無料相談から、お気軽にご相談ください。