お問い合わせ

D2Cブランドが失速するのは古びたからではなく軸が薄まるから

自然光の差し込む木の作業机に、いくつかの商品サンプルと書き込みのあるノートが置かれ、その脇に手を添えている様子

立ち上げから数年は順調に伸びていたのに、ある時期から数字が鈍る。広告を足しても以前ほど戻らず、新規獲得の効率だけが少しずつ悪くなっていく。D2Cブランドを運営していて、そんな感覚を持ったことはありませんか。

この状態はよく「ブランドが古くなった」「市場が変わった」と説明されます。だからリニューアルしましょう、リブランディングしましょう、という話につながっていきます。

かいなは少し違う見方をしています。ブランドは古びるのではなく、軸が薄まるのだと考えています。見た目が時代遅れになったのではなく、何のためのブランドだったかが社内で言えなくなっている。失速の多くはそこから始まります。

失速の正体は、古びることではなく軸が薄まること

年数が経つとブランドは劣化する、という前提で語られがちです。ただ、実際に鈍っているブランドを見ていくと、変質しているのは見た目ではなく判断のほうです。

立ち上げ期に効いていたのは、ブランドではなく尖りです

立ち上がったばかりのブランドは、扱う商品も語る言葉も少ないままです。だから「この会社はこういうものを出す会社だ」と一言で伝わります。

初期の伸びは、ブランドが育っていたからというより、尖りが残っていたからです。選択肢が少ないことが、そのまま分かりやすさになっていました。

ところが事業が続くと、商品も販路も顧客層も増えていきます。増えること自体は健全ですが、そのたびに初期の尖りは少しずつ削られます。

薄まりは、商品を足すときと広告を増やすときに進みます

軸が薄まる瞬間は、だいたい前向きな場面で訪れます。売上を伸ばしたいから商品を足す。届く相手を広げたいから広告のクリエイティブを増やす。

そのとき「これは自分たちが出すものか」を問い直せていれば、ブランドは太くなります。問わずに足すと、品数は増えたのに印象は弱くなります。

薄まりは失敗した施策からは生まれません。うまくいった施策の横展開から生まれます。だから気づきにくく、止める理由も見つかりにくいのです。

5年という年数そのものには意味がありません

3年で薄まるブランドもあれば、10年経っても言葉が揺れないブランドもあります。分かれ目は年数ではなく、判断の回数です。

商品を増やし、キャンペーンを打ち、人が入れ替わる。その回数が多いブランドほど早く薄まります。年数は、薄まりが数字に出るまでの時間差でしかありません。

ブランディングと短期のマーケティング施策は、どこで混ざるのか

「ブランディングをやらないといけない」という言葉は、多くの場合、短期の施策が効かなくなったときに出てきます。その時点で、すでに両者が混ざり始めています。

ブランディングの会議で、広告の話をしていないか

ブランドを立て直す会議を開いたはずが、議題が新しいバナーの訴求と、インフルエンサーの人選になっている。よくある光景です。

広告クリエイティブは、決まった約束をどう届けるかの話です。ブランディングは、その約束そのものを決める話です。層が違うので、同じ会議で扱うと決まりません。

見分け方はひとつです。その議論の結論が、来月の数字を動かすためのものなら施策です。来年も再来年も使える判断基準になるならブランディングです。

判断の基準がないと、施策ごとに違う顔が出ます

約束が言葉になっていないと、担当者はその都度うまくいきそうな方向を選びます。それぞれは正しい判断でも、並べると別々のブランドに見えます。

かいながブランド戦略を「読む資料」ではなく日々の判断に使う言葉だと考えているのは、この崩れ方を何度も見ているからです。

バラバラになった発信は、広告費では埋まりません。むしろ露出が増えるほど、ちぐはぐさが広く伝わります。

品揃えを増やすとき、薄まりは棚に最初に出ます

かいなは支援だけでなく、自社でECを4サイト運営しています。そのひとつのSOREDAKEは「めんどくさいを否定しない」という考えで日用品を選ぶ店です。

商品を足そうとするたびに、この言葉に引っかかります。品質もいいし売れそうなのに、その考えに合わない商品が必ず出てくるからです。

一度そこを緩めると、次からは基準がなくなります。店として何を選ぶ場所なのかが曖昧になり、お客様から見ても他の店と区別がつかなくなっていきます。

軸が薄まる感覚は、抽象的な話ではありません。自分たちの金で仕入れる一点を通すか外すか、その判断の連続として現れます。

広告依存から抜けるとき、かいながすすめない打ち手

広告の効率が落ちたときに取る手は複数あります。ただ、順番を間違えると時間もお金も戻ってきません。

選ばれる理由が言葉になっていない段階のリブランディングはすすめません

最初にお伝えしておきたいのが、この条件です。社内で「なぜうちが選ばれているか」を誰も言えない状態でロゴやサイトを作り替えると、ほぼ失敗します。

見た目は新しくなりますが、伝えるものが決まっていないので、半年後には元のバラバラな発信に戻ります。費用をかけた分だけ、社内に「やっても変わらない」という記憶が残ります。

この段階で必要なのは作り替えではなく、既存のお客様がなぜ買い続けているかを聞き直すことです。ブランド化の支援で、かいなが順番を先に確認するのはそのためです。

広告を止めること自体は、答えになりません

広告依存という言葉に引きずられて、出稿を一気に絞る判断もすすめません。指名検索やリピートが育っていない状態で止めれば、売上がそのまま消えます。

見るべきは出稿額ではなく、広告で来た人がその後どこへ向かうかです。買った後に読むものがなく、次に触れる接点もないなら、広告は使い捨てになります。

発信を丸ごと外に預けるときも、注意が必要です

SNSやコンテンツを外部に任せること自体は問題ありません。問題になるのは、何を言う会社かを決めないまま預けるときです。

基準がないので、運用側は反応の取れる話題を選びます。結果として、フォロワーは増えたのに自社の商品と関係のない発信が並ぶことになります。

自社ECのスケールには、相当な伴走とお互いのパワーが必要です。人任せにして成果につながった例を、かいなはあまり見ていません。

軸が薄まっているかを、自分で測るための分かれ目

外部に診断してもらう前に、社内でできる確認があります。どれも道具はいりません。

社内の立場が違う三者に、同じ質問をしてみる

経営者、商品を決めている人、お客様対応をしている人。この三者に「うちはなぜ選ばれていますか」と聞いてみてください。

返ってくる言葉が近ければ、軸は残っています。品質、価格、デザインのように抽象度が高い言葉ばかりで、しかも内容が食い違うなら薄まっています。

ここで答えが揃わない場合、必要なのは新しい施策ではなく、言葉を一度揃える作業です。逆に揃っているなら、課題は伝え方の側にあります。

直近で「やらない」と決めた施策があるか

軸があるブランドは、断った企画を思い出せます。売れそうだったけれど自分たちの約束に合わないので見送った、という判断です。

思い当たるものがひとつもないなら、基準が機能していません。来た話をすべて受けている状態は、外から見れば何でもやる会社です。

この確認は、デザインの判断にもそのまま効きます。約束が決まっていれば、色も書体も好みの議論から外れます。

鈍った理由を、外部要因だけで説明していないか

広告単価が上がった、競合が増えた、景気が悪い。どれも事実ですが、それだけで説明が終わっているなら、社内から見て打ち手がない状態です。

同じ環境で伸びているブランドが一社でもあるなら、環境以外の要因があります。そこを探す会話が社内で起きているかどうかが、立て直せるかの分かれ目になります。

ブランドの軸の立て直しは、お気軽にご相談ください

D2Cブランドの失速は、年数の問題ではありません。判断を重ねるうちに、選ばれる理由が社内から見えなくなっていく過程です。

かいなは大きなエージェンシーのように決まった型に当てはめず、毎回の対話からその会社だけの課題を見つけて伴走します。自分たちでもECと拠点を運営しているので、売る側の焦りを前提に話ができます。

まずは30分の無料相談で、いまブランドがどの段階にあるのかを一緒に整理しませんか。売り込みはしませんので、診断だけ持ち帰っていただいて構いません。