デジタルトランスフォーメーション(DX)は積極策で取り入れてこそ意味がある
2020.12.22
デジタルトランスフォーメーション(DX)を導入する論調としては今のところ義務的な側面で語られることが少なくありません。実際に国内ではこれを導入しないことによるマイナス面が強調される場面の方が多く見られます。
しかし、導入する意味としては、デジタライゼーションによって現状よりももっと積極的にビジネスを活性化させることにこそDXの真髄があります。ここではDX導入のポジティヴな側面にクローズアップし、その意味を解説します。
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経済産業省の提言はマイナスからの発信
デジタルトランスフォーメーション(DX)は2000年代から提唱されている概念です。この言葉はスウェーデンの大学教授が2004年にレポートの中で定義したのが最初です。そこではデジタルによるテクノロジーが企業活動や人々の生活、組織の仕組を変革していくとしています。
DXはこのように本来はポジティヴな意味合いが強いメディアデザインの概念ですが、日本では少々意味合いが違います。多くの経営者層にとっては「取り組まなければいけない課題」という認識で広がっています。
そうした理由の一因は日本でこの言葉が広がるきっかけになった経済産業省の発表した「デジタルトランスフォーメーションを推進するガイドライン」にも少なからず原因があります。これにより「義務感」としての側面が強調されています。
そこでは企業が変革の中で生き残ることを前提にしています
- ゲームチェンジに対応していく必要性
- ビジネスでの新たな価値の創造という課題
- 労働力不足による効率化の必要性
など時代に取り残されないための課題として、経済産業省は推進を呼びかけている側面が見受けられます。確かに「2025年の崖」と呼ばれる今まで先送りにしていた課題が噴出するタイミングが近づいており、行政としての焦りは理解できます。
しかし、実際に導入する側に立った場合はあまりリアリティがないケースも少なくありません。「将来的な社会への取り組むべき課題」として取り組むにはパンチが弱いのです。
多くの企業では、そこまで先を見ながらの取り組みに対し、現場に近くなるほどタスクとしての順位が下がるということがおこります。経営側と現場での解離があり、表面的なデジタル化になってしまうこともあります。もちろん、人的にも時間的にも余裕があれば別です。しかし、多くの企業はもっと直接的にプラスになることを探しています。
その上で資金力のある大企業での失敗例を提示されていたり、「難しい」ということが提示されていれば取組みにたいして二の足を踏むのは当然です。結果的に国内のDX推進は進んでいかない、あるいは補助金目当ての「形式だけDX」になってしまう可能性さえあります。
DXの概要は参考リンク内の記事にもまとめていますが、義務としてではなく、本来はもっと積極的な意味合いをもって取り組めるはずです。
【参考】デジタルトランスフォーメーションはなぜDXなのか~取り組み前に知っておくことを解説
「2025年の崖」とは?
人間はネガティヴな要素ほど詳しく知りたくなるものです。目下の国内の社会や産業全体のターニングポイントと言われている「2025年の崖」についても説明しておきます。
この問題は主に2つの事柄を含んでいます。その一つは「2025年問題」と呼ばれる社会課題が背景にあります。その中で大きなインパクトのある事柄は人口問題です。
厚生労働省の試算では、2025年には人口帯がもっとも多く800万人いるという団塊の世代が75歳以上となる後期高齢者になります。その結果、国民の四人に1人が後期高齢者となるという問題です。
産業の担い手が圧倒的に足りなくなるばかりではなく、医療や介護の現場は圧倒的な人不足になることが予測されています。また、それに伴う国庫の医療費負担額も膨大な金額になるなど、医療崩壊や財政、労働人口などの問題が噴出すると言われています。
もう一つは「昭和100年問題」とも呼ばれるコンピューターシステムの問題です。2025年は昭和に換算すると昭和100年にあたります。いまだに基幹システムでは昭和に作られたものが稼働しています。そうしたシステムはプログラム上は令和になった今も昭和で稼働しており、昭和100年を昭和00年として認識することで大量のバグが発生する可能性があるというものです。
その結果、多くのシステムに連鎖的に影響を与えて大混乱が発生するのではないかということが警戒されています。
「2025年の崖」はこうした事象を背景にシステムの老朽化による経済損失を指摘しています。2025年には多くの企業で利用されているシステムが導入から20年を経過すると試算されています。
そうしたシステムについて、導入時のエンジニアは現役を去り、ブラックボックス化していきます。正常に稼働していればその時は問題ありません。しかし、そのシステムを解析したりカスタマイズしていくことには新たな時間を割かなければいけなくなります。
こうした状況により、企業活動の推進を妨げるといわれています。試算では最大12兆円の経済損失が発生するとしています。
また、Slerなどにシステム開発を丸投げし、内製化がほとんどされていない大きな企業ほど、そのシステムの解析や入れ替えのコストは大きくなると考えられています。
この2025年の崖という状況を作った背景には日本の産業構造も関係があるとされています。滝のように上から要件と資金だけが降りてきて、利益を抜き、さらに下請けへ回すような業務の進め方が問題になっています。実際に手を動かすのが孫請け、ひ孫請けという状況が問題を複雑にしています。
今後は下請けではなく複数の協力企業と横並びでプロジェクトを遂行し、一定量の内製化をしていくなど、業務のあり方や進め方の変化も求められています。
DXは積極策で取り入れる用件が揃っている
実際のところ、システムの老朽化に不安を抱えるような大企業でなければ、DXはもっと積極的な意義をもって事業の中に取り組んでもいいような案件といえます。
システム的な面でのDXの軸となるデジタルプラットフォームの導入は、今まで繋がりがないように見えるバラバラだったデータを一元管理することであらたなビジネスチャンスを生み出していくものです。
こうしたデジタル技術を用いた効率化で、それぞれのスタッフごとに俗人化していたり、業務形態の違いによって隠れ、影になって見えなくなっていたものが見えたり、サービスのレベルを向上させたりするなどが可能になってきます。デジタルプラットフォームを活用することで総合的な戦略を立てることに役立つ可能性が多いにあります。
効率面での恩恵がもっとも大きく、圧倒的によくなります。こうしたことはあらゆるビジネスモデルにおいてその活動の生産性を向上させます。
また、DX的なマーケティング概念として注目されるデジタルマーケティングは、スマートフォンでの情報取得が多くの行動を決める起点になっている現代の消費者動向にフィットしたWEBマーケティングを統合したマーケティング手法です。
現代の消費の鍵はユーザーエクスペリエンス(UX)にあると言われています。DXの導入によって、顧客に適したアプローチ手法を分析し、それを活用していくことで新たなUXを提供できるようになる可能性があります。
AIやビッグデータの活用も、課題とされていますが、その課題は開発することよりも、あくまで活用です。これを積極的に開発する人材の不足が指摘されています。しかしゼロベースの開発は多くの企業にとって手を余します。また、ビッグデータを集めると言ったことに関しては完全に遅れをとっており、学習が必要なAIにしてもその開発を今から行うということについても同様のことがいえます。
取り入れることで業務や環境はプッシュされる
DX化について、少なくとも取組として以下のようなことは必要です。
- 適切なデジタルプラットフォームの選択・利用とその活用
- デジタルトランスフォーメーションを活用できる社内体制
- これらを活用できるデジタル人材の育成
多くのDXを推進する情報を発信しているサイトでは、社内プロジェクトや莫大な予算の話に言及しています。また、人材確保の難しさなど、その実現に向けた壁の高さたるや想像を絶するものがあります。
しかし、実際には取り入れることで業務が推進される側面も少なくありません。また、営業もマーケティングも効率がよくなることを考えると、利益を伸ばすための積極的な施策として取り入れるという判断ができるようになります。
全てのシステムをいきなり全部置き換えていくというのはとても骨の折れる作業です。しかし、プラスアルファとして、少しずつ置き換えやすい部分に対して実行していくのであれば実施の可能性は格段に上がるのではないでしょうか。
現状で行われているデジタル化された業務をさらに置き換え、また時には活用していく必要性は少なからずあります。その中でもデジタルマーケティングなどは積極的に取り入れて試みてみてもいい戦略です。
またデジタル人材についても、必要な業務を通して既存のスタッフをデジタル人材化していくことの方が、新たに雇用していくことよりも効率的です。
マルチなチャネルを持つこととそれらを統合すること
DXを推進していくのであれば、アプローチの幅があった方がもちろん効果がでやすくなります。
例えばECサイトは未開設という場合はECサイトを持っていた方が、これからはビジネスの入り口として活用の幅がどんどん広がります。つまり当然、あった方がプラスです。
BtoCを行う場合はそれなりに設備投資も必要になってきます。そのため、BtoBメインで卸売しかやっていないようなメーカー企業や問屋などでは二の足を踏んでいる場合もあるでしょう。そうした場合でも、少なくとも企業サイトを持ち、商品とユーザーが接触できる導線は示しておくことが重要になってきます。
今後の消費傾向はユーザーエクスペリエンスにかかっているという話はしましたが、トレーサビリティ(追跡性)やサスティナビリティ(継続性)も消費行動をプッシュする鍵を握っています。大量生産大量消費から、「どこの誰が作った〜」といった記名性、唯一性や安全性、社会継続性などが消費者の行動を決定する要因になるようになってきました。
こうした流れの中でECサイトで情報発信をしないということはただビジネスチャンスを逃している状況といえます。また逆に大量生産型のビジネスでは資金力のある大企業が圧倒的に優位にいます。そのため、その市場内での競争には、同じ土俵では勝てません。しかし現状はこのスタイルが変化してきており、インディペンデントの企業にジャンル問わずチャンスが出てきました。
また、ECサイトだけでなくSNSアカウントや動画などで情報を発信していくコンテンツマーケティングも多角的に運営し、ユーザーに発見してもらう必要性があります。スマートフォンでの消費行動のポイントは、ある程度ユーザー側が積極性を持って行動しているという点にあります。
その結果、今までの大量広告型のメディア展開の効果が薄くなっているのはこうした点にあります。
こうした複数のチャネルによるアプローチをデジタルプラットフォームの導入で実現し、管理していくことで集中して効率的なデジタルマーケティングの環境を実現することができます。
失敗事例の多くは環境変化に対する受容の失敗
デジタルトランスフォーメーションに限らず、企業が変革的なプロジェクトを実施してうまく行かない要因の多くは、保守的な姿勢で「変わることを良しとしないメンタリティ」です。また、経営層だけは旧態然としており、そうした経営陣から発信されるメッセージが変化していないことで、導入したシステムの活用が進まないということにあります。
デジタルプラットフォームはCRMやSFA、コンテンツマーケティングなどの管理ができるようになっているものが少なくありません。こうした機能の上でMAが動くことで効果を発揮します。このシステムは基本的に情報を集積するほど、力を発揮できます。そのため、日々の活用を積み重ねること、つまり業務の日常に組み込んでいくこともその活用にとっては非常に重要になってきます。
企業風土的にこうした取組やプラットフォームへの理解が少ないことでプロジェクト自体に大ブレーキをかけてしまうことは少なくありません。そのため、企業文化の中にデジタルトランスフォーメーションへの理解が浸透していく必要があります。そうした精神的な部分がもっとも大きな改革の作業となることもあります。
また、実際には若い世代はIT化が進んでいるという誤解にも注意が必要です。50~80年代生まれよりも拒否反応がないのは事実ですが、PCには触れていないという人も少なくありません。
そのため、デジタル人材教育自体は幅広く進めることが求められます。
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「しなければいけない」というネガティブな理由ではなく「ビジネスを活性させる」ポジティブな理由でDXの一歩に取り組んで見ることをオススメします。
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