ECサイトの運営は「年間スケジュール」を作成して計画的に販促して
2020.11.30
ECサイトの年間スケジュールはネットショップでのビジネスという航海における航路計画のようなものです。
航海図も予定もなく闇雲に船を漕いでもいく先がわからなくなるだけです。そこで航路計画を立てれば、その道筋を追っていくことで大きく迷うことはなくなるはずです。ここではキャンペーンなどの販促活動も含めた年間スケジュールの簡単な作成方法などについて解説します。
運営初心者こそ、年間スケジュールを作成し活用しよう
初めてECサイトの運営担当になり、忙しい日々の業務以外の部分で「何をすればいいのだろう」と手持ち無沙汰になってしまったら…そんな場合はまずは年間を通してのスケジュールを立ててみることから初めてみるといいでしょう。
主にECサイトの日々の業務を覗いて考えた場合、運営は以下の要素について検討していく必要があります。
- 集客
- コンバージョン率の上昇
- リピート施策
ECでは集客は常に求められます。しかし、コンバージョン率の上昇は初期では、なにがコンバージョンを妨げているかといった判断材料が少なく取組みにくい部分があります。サービスの向上などを考えていくなどの正攻法で実施していくしかないかもしれません。
また、一度購入してくれたユーザーを再びサイトに向かわせるための作業も、初期の段階では購入顧客が少ないため、ここに労力を裂くことは非効率です。
そのため、初期には集客に注力することになっていきます。集客の方法はSNS運用、広告運用、コンテンツマーケティングなど、様々な方法があります。もしゼロスタートで始めたECサイトの運営であった場合はどこに力を入れていくべきか戸惑いの方が大きい状況になってしまうことも少なくないでしょう。
いずれにしても、広告にしてもSNSにしてもなんらかの方向性は必要です。またユーザーへ提供する情報の種も必要です。そうした問題への対策としてまずは年間のスケジュールを立ててみることがその第一歩になります。
年間スケジュールの制作手順
手順は以下のように進めます。
大まかにどういった販促を行うかの日程を決める
↓
計画に必要な作業などを想定する
↓
計画の決定日やオフィシャルな情報展開、実施日を確定させる
最初のうちは作業の見積もりがうまくできず、余裕のないスケジュールになってしまったり、逆に予定がスカスカになってしまうかもしれません。しかし、こうしてスケジュールを考慮すると運営に動きが出てくるはずです。
また、掘り下げていくことで計画に足りないものを加えたり、販促で対策をするターゲットなどのデティールを詰めていくことでスケジュールはより具体的になっていきます。
しっかりと準備のための期間についてもスケジュールには盛り込んでください。場合によっては仕込みが半年必要な場合もあります。そして、それはそれで構いません。
何事も最初から細かいことは設定できません。まずは大きく捉えてみてください。
集客をするにしても、何かの流れがあるのと、何もないのとでは難易度が変わってきます。年間スケジュールで設計した販促イベントなどを軸にプロモーションを実施して、商品をPRしたり、販促を行っていくことで、販促やPRのネタをわざわざ捻出しなくてもよくなります。
多くの場合、販促などのプロモーションにどういった仕掛けをして売り出すかというところは宣伝マンやWEBマーケッターたちは頭を悩ませ、資金を投じているところです。しかし、新しいECサイトであれば、こうした年間スケジュール自体がそうした仕掛けの根源になるというわけです。
また、逆に行き当たりばったりの企画は多くの場合、うまくいきません。逆にしっかりと計画することで、変化していくことにも対応できます。
ビジネスと季節イベントをリンクさせる重要性
多くの人は常になんらかのものを欲している、、つまり何かに対して購入意欲をもっています。もちろん、それぞれの商品傾向に対する購入意欲には個人差とその強さの波があります。「毎日〜〜を食べる」「いつも〇〇を着る」とルーティンにしていたり、定期的なイベント化した生活を送っている人も中にはいますが、多くの人はそうではありません。
食べるものにしても、例えば寒くなればおでんが食べたくなり、暑くなれば素麺が食べたくなります。日本は特に四季がありますので、本来はそうした時期ごとの消費傾向が出やすいのです。
例えば夏に冬物のセールをしたとします。とても安い値段で販売しても、いくらその年の後半には使うものであったとしても、買うのは不思議なことに特定のユーザーのみになります。夏に冬物を購入しようという発想にたどり着かないからです。「消費に関する行動は結構な部分でカレンダーに支配されている」という言い方もできるかもしれません。7月には7月の、12月には12月に適したセールがあるということです。
インターネットに季節や時間は関係ありませんが、ECサイトはインターネットを媒体にしているだけであり、人間が購入するということに関しては普通のお店と共通しています。つまり、その商品を求める背後には、それぞれの個人の生活があります。
つまり、消費の行動様式の基本はそれほど変化は大きくなく、情緒的なものが重要ということもいえます。それよりもむしろ、InstagramやTwitterの普及で、季節性の高いイベントによる訴求効果はより大きくなっているのではないかと感じる部分もあります。
また、例えばインターネット登場以降に日本で大きく普及したハロウィンは大きな経済効果を生んでおり、こうした季節ごとのイベントや行事のビジネスへの影響を考慮しないのはもったいないことです。
当然、扱う商品によって、それぞれの季節イベントに対して向き不向きがありますが、季節のものに加えて卒業や就職などのライフイベント、お中元やお歳暮、年始の挨拶などを加えて考えると常に何かどこかで開催されているイベントがあり、引っかかる要素は常にどこかにあることが少なくありません。
また、こうしたユーザーの傾向をつかめば、ギフトでの対応なども考えることができます。ラッピングをそのタイミングで変更して、さらに付加価値をつけることもできます。
こうしたものを探してビジネス戦略を考えるきっかけにするためにも年間スケジュールの策定は役立ちます。こうした行事ごとと絡めてサポートしながら販促をすることでサイトの情緒性などもアピールできます。
また、業界それぞれに繁忙期があると思います。そうした部分もしっかりと盛り込んでスケジュールを立ててください。繁忙期はつまりニーズが高まっているタイミングでもあります。もちろん季節やライフタイムイベントなどと重なっていることも少なくありませんが、そこは意識付けをしておきたいところです。忙しくはなりますが、そうしたタイミングでもどんどん前に出ていけるようであれば、売上アップも望めるはずです。
追われる前に作っておく販促スケジュール
販促やイベントを盛り込んだ年間スケジュールはもちろん毎年流用することもできます。また、随時事前に見直すこともできます。見直す場合は、少なくとも計画の実施内容を確定させる日の前には行ってください。
そして重要なのは、早い段階で作成しておくほど効果的ということです。
先に先にと考えて計画しておかないとどんどん置いていかれます。日々、時間は進行しており、止まってはくれません。また、こうしたスケジュールを作っていくと業務の波を予想することもできます。
また、先を見越して、プロモーションに一手間加えたい、あるいは改修をしていきたいといった場合には、外注を考える場面も少なからずあるかもしれません。
そうしたケースではこうしたスケジュールを協力企業と共有することで、状況を理解しやすくなります。察しの良いコンサルタントであれば、年間スケジュールをみることでどういった傾向のある商品なのかといった概要を掴むことに役立てるはずです。
基本的にECサイトの業務は加速度的に業務が増えていきます。そうした中で応援を求める時にもこうしたスケジュールを組んでおきましょう。関わる人数が増えるほど、そうした材料は用意しておいた方がスムースに物事は進んでいきますが、忙しくなると逆に大まかな計画も立てる、または状況を見据える時間が無くなっていくものです。
また、ECサイトの運営について捉え所がなく難しいなと思ってしまったら、まずは年間のスケジュールを考えてみることをお勧めします。行先がわかれば、それに向けて少しづつ戦略を立てることもできるでしょう。