ECサイトのアプリ開発から考えるスマホ特化の重要性

2020.06.29

スマートフォンユーザーがインターネット利用の大半を占めている状況です。“ECサイトのスマホ専用アプリがあれば、ユーザーの囲い込みもできて売上も伸びるはず”と考える方もいるかもしれません。

しかし、アプリ導入は必ずしもバラ色の未来を約束してくれるものではありません。ここではECとアプリについて、またECサイトがスマホ対応することの重要性を解説します。

スマホといえばアプリ、しかし使われるかは別問題

日本のスマートフォン普及率は2019年末に発表されたデロイトトーマツ社による「世界モバイル動向調査2019」では、74%でした。多くの国で90%を超える普及率が報告される中で、この数字は若干低い数字です。しかし、PCの普及率よりははるかに高く、スマホを通してインターネットにアクセスしている割合が高い状況です。スマホ優勢の状況がはっきりと現れている調査結果といえるでしょう。

スマホといえば、その利便性を高めているのはアプリです。アプリはアプリケーションの略称です。この場合のアプリとはiOSやAndroid、WindowsモバイルなどのOS上で目的のサービスに特化して動作するプログラムのことで、画面をタップするだけで簡単に起動できます。そのため、スマホユーザーの多くはウェブでのサービスにアプリを通して親しんでいます。

そこで、ECの運営担当をしているなら、「スマホアプリを作れば、ユーザーももっと利用しやすくなるのでは?」とその効果に期待するかもしれません。確かに、ユーザーがスマホで買い物する場合に、アプリになっていて商品のチェックもしやすく、購入も簡単になっていれば、ユーザーはとても便利です。

ECのアプリを阻む2つの壁

しかし、よく考えてみてください。自分自身のスマホでも利用しないアプリは淘汰され削除していないでしょうか。また、「アプリをインストール!」と誘導されて軒並みインストールしたりもしていないでしょう。

このようにECサイトのアプリを活用してもらう前には2つの壁があります。一つ目はそもそも「インストールしてもらえないかもしれない」というリスク。そしてもう一つはインストールはされても「利用されない」というリスクです。

スマホの利用に対してよく使われるアプリの上位は天気やニュースなどの情報取得系アプリ、LineやTwitter、InstagramなどのSNS、そしてゲームです。ショッピングという回答も実際には1割ぐらいありますが、それが専用のアプリということには限りません。そのため、ECサイトのショッピング専用アプリの登場頻度が日常的にあるかというと、かなり商材を選びます。

また、買い物の予定もなくアプリを開く理由がなければ、アプリ化しても利用される可能性は低くなっていきます。ツールとして弱い可能性があるからです。せっかくアプリ化するのであれば、日常的に開くきっかけが必要です。関連する読み物やゲーム、ポイント付与など、楽しめる、あるいは利用してメリットのあるコンテンツをユーザーに提供する必要があります。

実際に、インストールしてもらうという壁も低くありません。ユーザーはアイコンが増えていくと画面がゴチャゴチャしてきてスマホの利便性が下がることを無意識に理解しています。そのため、ブラウザでも買い物ができるのにわざわざアプリをインストールして利用しようと思わせるなにかが必要です。

EC向けスマホアプリの開発とメリット

いろいろと難しさもありそうなECのアプリですが、アプリの要不要はとりあえず置いておいて、メリットや開発コストなども確認してみましょう。

プッシュ通知やSNS連動は強力

アプリをもし利用してもらえるのであれば、リアルタイムにお知らせをスマホ画面に表示する「プッシュ通知」が利用できます。

従来であればキャンペーンやセールの情報をネットショップ側からユーザーへ何かを積極的に知らせたいという場合の手段はメールマガジンでした。メールマガジンは開封率が問題になることもあり、何も読まずにゴミ箱へ入れられてしまうことも少なくありません。メールマガジンの開封率は概ね10%ともいわれています。

これがプッシュ通知であれば、開封率は70%ほどとされています。この数字はメルマガ担当者が聞けば必ず驚愕します。ただし、あまりユーザーにお得感のないセールス情報ばかりだとノイズになってきて、通知を解除されたり、最悪の場合、アプリを削除する原因になることもあるので要注意です。

もう一つはSNSとの連携の手軽さです。アプリ内にSNSの連携ボタンを設置するだけで、カメラを起動させて簡単に投稿できるなどの機能をつけてSNS上で拡散されやすくなります。

インターネットの普及以降、口コミをいかに広げるかがビジネスを成功させる重要なカギになっています。その上でスマホユーザーの多くは何らかのSNSを利用しているので、誰かに商品を教えたり、SNSで拡散しやすくするということはとても重要です。そうした面ではスマホのアプリにして簡単に投稿できるようにすることは利にかなっています。

また、スマホのアプリになっているということは手軽さという点ではリピート施策にもなります。一度購入したユーザーは、購入への障壁が低くリピーターになりやすいことがわかっています。

開発コストの他にメンテナンスも負担になる

スマホの開発コストはもちろんどんな仕様にするかにもよるので一概には言えませんが、一般的には初期費用で100万~300万円ほどと言われています。またよく使われるスマホのOSはiOSとAndroidの2種類あり、両方に対応するなら、その分もコストが発生します。

開発方法は大きくわけて3種類あり、「Webアプリ」「ネイティブアプリ」そしてこの2つの要素を合わせた「ハイブリッドアプリ」です。

Webアプリはダウンロードの必要がなく、感覚としてはブラウザからECサイトが切り出されているような感覚です。ブックマークがアイコンになってスマホ画面上にある感じと考えてください。手軽な分、プッシュ通知などの特有の機能を持たせることはできなかった反面、手軽なことで開発コストも安く済みます。

このWEBアプリは本来、プッシュ通知や他のアプリとの連携はできませんでした。最近、プログレッシブWEBアプリ(PWA)という概念のアプリが開発されています。PWAはプッシュ通知も可能で、他のアプリ連携もできます。また、基本はブラウザベースで起動するため、複数のOSに対して開発する費用も必要はありません。

ネイティブアプリは、アプリとして独立して開発するタイプのアプリです。動作が軽く、スマホでのメリットを最大限活かすことができます。当然開発コストは、仕様が複雑になるほど高くなっていきます。WEBアプリは回線がなければ動きませんが、ネイティヴアプリはオフラインでも動作できる点もメリットです。

アプリは開発後もOSのアップデートに合わせてアップデートしていく必要があります。そのため、開発後もそうしたメンテナンスに関わる費用が発生していきます。

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アプリまではいかずとも、スマホ視点は必須

アプリの導入には向き不向きや状況も

アプリの導入については商材などによって向き不向きの差が大きくあります。例えば年に何度も購入する必要のない商品しか取り扱っていないのであれば、そこまで導入するメリットは高くありません。

逆に定期的に利用され、リピーターがほとんどという商材であれば、事業者側とそのユーザー双方にメリットが出てきます。利用する側は簡単に操作でき、事業者側はがっちりとリピーターを捉えることができるようになります。

具体的にいえば、たとえば、施設利用に関わる企業のECはアプリ化による囲い込みはメリットが少なくありません。消費される日用品などもメリットがあります。逆に一点ものの置物を専門に扱うような企業ではあまりメリットは多くありません。

また、商品の認知が進み、ファンの多い企業、つまりブランディングできている企業はアプリでさらに囲い込んでユーザーとの結びつきを強めることもできます。こうした企業は最初に説明したダウンロードへの壁も低く、さらなる事業強化にアプリを有効活用できます。

結局のところ、スマホアプリは扱う商材によるところも大きく、多くの企業にとって「早急に導入するメリットは少ない」といえます。開発コストやメンテナンスへの費用を考えるとなおさらです。決して、成功への切符ではないということがわかります。

スマホ視点は重要

とはいえ、「アプリを導入すれば!」と考えた視点については大切にする必要があります。なぜアプリがあればと考えたのでしょうか。おそらくスマホユーザーの多さを考慮したのではないでしょうか。アプリのメリットとはスマホとの親和性に他なりません。

結局のところ、多くのECサイト担当者にとってやらなければいけないのはまずはスマホのブラウザで利用するユーザーがより快適に利用出来るサイトが構築されているか、運営されているかを考えるという部分です。

アプリ自体はもしかしたら、今後もっと安価で開発できるようになる可能性もありますが、その前にある視点はとても重要です。最近では、サイトの開発時にスマホ特化を依頼して成果を出している企業も出て来ています。

アプリ開発を考える前にまずはスマホでの購入までの導線、画像の見やすさ、画面配置のわかりやすさを十分に確認してみましょう。

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