ECサイトの作り方~初心者でも開設後の運営は意識して作る
2020.05.11
ECサイトの構築は最初が肝心です。初心者にありがちなのが、見栄えの立派なだけのサイトを意識して、その後の運営について考慮されていないサイトを作ることです。
集客は立ち上げのタイミングではあまり意識しにくいかもしれません。しかし、管理も難しく、集客も弱いサイトでは、なかなか継続するのに骨が折れますし負荷が高くなります。ここではECサイトを開設する際にそういった苦労を減らし、成功に導くためにはどういったことが重要なのか解説します。
CONTENS
ECサイトは「作る」だけで終わりじゃない
これから自分でECサイトを始めようという時、簡単にできて見栄えのいいデザインの事例や、作り方などの形式的な部分を調べたりすると思います。また、そうした見栄えという点にばかり目が行きがちです。もちろん、かっこいいデザインのオンラインショップを作ることは来訪者のインパクトもありとても重要なことです。
初めてECサイトを構築しようとなると、それはデザインすることとイコールになりやすいことは否めません。しかも見た目という点でいえば、最近はPCのブラウザからだけでなく、スマホのブラウザにしっかり対応しなければいけません。どうしても構築手段の選択や、デザインの方向性に関わる部分に割くリソースは大きくなります。
しかし、実際には作り終えても公開した後の運営がしやすい状態でなければ労力は大きくなります。より売れるECサイト作りを目指すのなら、最初から運営・運用を意識して構築することこそ売上をあげていくための大きな布石になります。
どんな規模でネットショップを始めるかをまずは決定しよう
一言でECサイトといっても、開設を決意する状況は様々です。実際のところ、始めるだけなら費用の負担も少なく、知識もそれほど必要なく始める方法もあります。
業界的なことでいえば無料で利用できるASPの種類が増えているというのがこの2021年の流れといえます。そのため、最近では普及も著しく一般に浸透しています。BASEやStore.jpなどはネット上の広告だけでなく、テレビでもCMをしているので知っている人も多いでしょう。こうした構築方法を選択すれば、誰でも簡単にオンラインショップを始められます。なかにはこうしたASPに対して「インスタントASP」と呼ぶ人もいます。
他にも、単純に商品をインターネットで販売し事業をしたいということが目的であれば、モール型ECへ出店するという方法もあります。Amazonや楽天市場などへ出品する方法です。
これなら開発予算はほぼ必要ありません。手数料などの問題はありますが、モールだけをやるのであれば運営の苦労も少ないでしょう。その選び方は考え方次第です。しかし、ここでの問題は企業の存在感や商品の独自の魅力を届けることがこの方法では難しいということです。
さて、こうした細かい話を始める前に、主な構築方法をおさらいしておきましょう。ECサイトの構築方法は主に4、あるいは5つに分類されています。分類はざっくりと以下のような感じです。どの方法を選定するかによって打ち出しやすい施策やデメリット、課題になることなども変わってきます。
- ASP
- オープンソース
- パッケージ
- フルスクラッチ
- クラウドEC
それではそれぞれのプラットフォームによってどんな違いがあるのか下記にそれぞれの概要を説明していきます。
初心者にはASPがまずは無難
「ASP」はアプリケーション・サービス・プロバイダ(Aplication Service Provider)の頭文字を取った略称です。「ASPカート」などと呼ばれることもあります。ECサイトの場合、決済カートにかかわるアプリケーションを提供しているという意味になります。数々のASPを提供するベンダーがあり、少ない費用で始めることができます。ASPはそれぞれに特徴がありますが、多くは特別な知識は必要なく、項目を埋めたり、選択したりすることで、比較的簡単に構築が完了し、ECサイトでの販売を始めることが可能です。
導入時の初期予算も少なく、手間もかけられないという場合はこのASPから選択するという流れが自然です。提供されているサービス内から選ぶことになるため、構造も含めたデザインは選択肢が限られており、カスタマイズも難しいところがデメリットになります。そのため、導入する前にしっかりとそれぞれのベンダーが掲示している資料を見て、どこが最適なのかを選択することがポイントになります。
ASPの選択ポイントはいくつかあり、優先順位はそれぞれの事情によって異なってくるため、必ずここが大事だということは言えません。
例えば、その中でも意外に注目しておいたほうがよい点としては他システムとの連携に強いAPIの提供があるかどうかといったことです。こうした仕組みがあるだけで格段に運営時の効率がよくなることがあるからです。
運営時の効率アップは継続的なコストダウンにつながります。
初期構築の費用を圧縮出来るオープンソース
「オープンソース」は、使用に対して費用の発生しないECシステムを使用して開発する方法です。オープンソースのシステムは誰でもダウンロードして無料でかなり自由度高くカスタマイズしながら利用できます。しかし、それなりにWEBに関する知識がカスタマイズして利用するには必要です。
この構築手段を選択するには条件があり、それがそろっている必要があります。
- WEB技術をもっているスタッフがいる
- アップデートやサーバートラブルなどのメンテナンスも永続的に対応可能
この条件をクリアしていない場合、リスクの高い、かつ目的も果たせないサイトになる可能性があります。具体的にはCSSなどを理解していないと思う通りのサイトにならず、情報が置いてあるサーバーになんらかの障害が発生した場合も対処できるといった技術力は常に要求されます。
そうした導入に対してハードルになる部分はあっても自由度は非常に高く、構築について制限されることも少なくなるのはメリットです。開発やメンテナンスに対し、技術力でカバー出来るのであれば、費用は格段に抑えることができます。
オープンソースでサイトの制作について外注するという例もあると思います。しかし、その場合はサイトの構築だけでなく、維持についても経済面で考慮しなければいけません。WEB技術についての専門性が常に求められるということを考えておかなければいけません。
実際のところ、オープンソースでひとつの分類になっていますが、無料で利用できる「パッケージ」をサーバに格納して使用するシステムをさしています。ですのでパッケージと同一の項目として解説されることもあります。ECサイトのオープンソースでは「EC-CUBE」が代表的ですが、この後説明するパッケージの中にはEC-CUBEをベースにカスタマイズして有料で販売しているものも少なくありません。
【参考】ECサイトをEC-CUBEで構築するメリットとリスク
ECに特化したシステムをカスタムして使うパッケージ
これ以降に説明する方法は費用が格段に高くなります。
「パッケージ」はECのシステムがある程度組み上がったプログラムとしてパッケージになっていて、それを利用しながらサイトを構築する方法です。そのため、パッケージという名で呼ばれています。
利用する費用はASPより高額になりますが、他のシステムとの連携などにはメリットがあります。予算もあり、ある程度の規模のサイトを作ろうと考えている場合は、検討の余地があります。
パッケージはオープンソースも含めてセキュリティのアップデートなどを自身で行う必要があります。サーバも含めて最新の状態を維持することで安全性を確保しなければいけません。それなりのスキルが要求される構築方法です。
大規模なサイトを作るならフルスクラッチ
「フルスクラッチ」は、最初から自由に作るやり方です。メリットはなによりも自由度です。この方法で作られたショップに制限はありません。
その分、当然、開発には費用と時間がかかり、メンテナンスも大変です。一般的には開発予算は数千万〜億、開発期間も1年程度は必要です。しかし、オーダーメイドなのでフレキシブルさは群を抜きます。サイトの運用も、実際の企業活動のワークフローに合わせて行うこともできます。
とはいえ個人で導入するのは非現実的です。収益規模が大きくなることによってフルスクラッチ型へ移行しようということはあるかもしれません。
また、最近では、パッケージで提供されるシステムが豊富になってきているため、フルスクラッチの導入について、あまり積極的ではなくなってきています。いずれにしても最初から大規模なものを作ろうと考える必要はあまりありません。
最初期であれば、この方式での構築を採用するという選択肢は外してよいでしょう。ECだけでも年商の規模が大きくなればその時に考えるということで十分です。おそらく、この方法を個人レベルで開発していこうという場合は、自身がその領域に長けている専門家というケース以外では少し考えにくいことです。おそらくいつまでもサイトがオープンできず、失敗する以前にそのまま終わってしまう可能性のほうが高くなります。
【参考】ECサイトをフルスクラッチで構築すべき理由は多くない
クラウドECはパッケージとASPのいいとこ取り
「クラウドEC」は、パッケージの自由度を持ったASPと捉えるとわかりやすいかもしれません。クラウド上、つまりインターネット上にあるパッケージを使うサービスです。バージョンアップなどについてもあまり気を使う必要がなく注目されています。
このように、社内の状況や予算やランニングコストも考えていろいろと比較しながら導入を検討する必要があります。実際には多くの人がスタートアップではASPを選択することになると思いますが、まずは選択肢について知っておきましょう。
またJAVAやPHPなどのプログラミングに関する知識についてはASPを利用する場合には必要になる場面は少ないです。セキュリティアップデートなどの更新にかかわる作業も必要ありません。
簡単にできる分、構築に関わる期間も短く、専門家に依頼しても費用も安くなります。逆にフルスクラッチなどカスタマイズしやすいものほど、手順も多く、かつ複雑で、一人でできるレベルのものではありません。
【参考】SaaS型のECサイトとは〜クラウドECはASPとパッケージのいいとこ取り?
予算をかけても後でこんなトラブルがあるかもしれない
一度、ECサイトを作り上げて、サービスの提供を開始すると想像もしていない部分で後々困ることがあります。実際に動かしてみるまで、経験のない人はどんなトラブルがおこるかはイメージしにくいのでやむを得ない部分もあります。
よく指摘される例としては、例えば、サーチエンジンなどを利用した検索での流入を上げていく対策ができない、いわゆるSEOへの対応の悪い状態に対して対策できない状態です。折角ユニークでニーズの高い商品があっても、こうなるとインターネットの利点である情報の広がりを作ることが難しく、変なところでコストが発生してしまったりします。
自然に流入してくるユーザーがいない限り、売上をあげていくことは困難です。
また、実際に商品を発送する物販型のサイトであれば、自社の配送システムとの連携が悪いと、そこに関わる業務に工数を取られて、受注が増えても収益性が低くなってしまうといったことが起こります。
こうした状況はASPでの構築時にはシステムの与えられた範囲内で収めるしかありません。パッケージなどでは、状況に合わせて機能を追加するなどで対応できる可能性もあります。もし対応できなくてもリニューアル時に考慮すべき案件として記録しておくとよいでしょう。
最初の段階では、全体的な相場をつかんだら、構築する際に最低限の要件を把握し、選択するという方法がよいでしょう。あまり選択肢が多い方法では、なんらかのサポートがないと自力での構築は困難になります。
運営していくうえで関わってくるポイントを考慮する
実際の業務も必ず考えて
現在はASPがたくさんありますが、扱う商品に合わせてそれぞれのケースに合わせたサービスを選ぶ必要があります。導入費用やランニングコストだけが重要なのではありません。実際にどんなことが可能なのか、基本的な受注からのフローと、社内の体制をしっかりと照らし合わせることが大事です。
こうしたことは、もしASP以外の方法を選択した場合であっても同じです。
- 実際の業務がどうやってECサイトに置き換わっているのか
- どういった機能がないと困るのか、それが満たされているか
この2点は必ず考えてみる必要があります。もちろん可能であれば少しずつサイトを改善しながらということもあります。個人レベルで行う場合はノウハウがまだありませんのでそういった部分は仕方がありません。
ただし、無料ASPなどではシステムそのものをカスタマイズするのは難しいかもしれません。
サービスとの折り合いをつけよう
構築の手法の部分で解説したように、自由度が最初から高すぎるものは、逆に初期の導入に向けた難しさがあります。そのため、もし、ぴったりとハマるのなら用意されたものを使ったほうが当然楽ですし、それに対するコストもかかりません。
そういった意味では、ある程度枠組みのあるほうが初期導入はしやすいです。しかし、そうしたサービスの多くは、それ以外の用途に変更しにくく改善しにくいことも多くあります。
最初に「どんなことが必要なのか」ということだけでなく、トラブルのおこりそうな状況を想定して、そのサービスで十分に対応できるのかは事前に考えておきましょう。
ただし、ある程度のパッケージされたものを利用する以上、すべてを完全に自社の都合に合わせることは現実的に不可能です。どこかで折り合いがつけられるであれば、つまり自社の行程で改編の余地があるかなども合わせて考えることも重要です。WEB以外の部分も含めて全体的なことを考えてください。
その場合、運営していく上で、その対応へのコストがふくらみそうなフローになっていて、ASPの都合上、変えようがないような構造になっているのであれば、そうしたASPは最初から選択しないほうが懸命です。利用月額などが多少高くても、トータルで見ると最終的には経済的なメリットがあるというケースもあります。
ASP選びのポイントはどんなところ?
ASPはたくさんあるので、選択するのも一苦労です。選択する上で、考える基準は複数あります。
例えば、初期の登録料や月額の利用料などの費用は、真っ先に誰でも浮かぶわかりやすい選択項目です。しかしそれ以上に提供している機能などは重要です。こうした仕組みによって、ASPなどの固定費以外の費用に違いがでてきますし、売上を伸ばすための作業にえいきゅがあるからです。
扱う商品や、どういった客層にアプローチしたいかによって、自然と選択肢が絞られていくでしょう。
そうした部分の事前の読み込みは慎重に行いましょう。
忘れがちなのは、そのASPの持っているインフラです。セキュリティやアップデートについてどういったポリシーでおこなっているかしっかり確認してください。
ASPを利用してECサイトの運営していくと、ASPのサーバー内に顧客情報を溜め込むことになります。また、アップデートなどのメンテナンスもASPがおこないます。費用がかからなくても、こうした部分への意識が低いASPは問題です。また、自社で構築した場合は、こうした点に対する意識と費用は最大限考える必要があります。
ここで思い出さなければいけないのは、ASPの利用はある程度、他社のサービス範疇にあるということです。情報が消えてしまえば、今までの積み重ねは無駄になります。サーバーのメンテナンスもなく、まったくセキュリティアップデートがないようなサービスは無料で経済的であっても当然さけるべきでしょう。
サービスの継続性に不安があるようなものもオススメしません。サービス自体が終了してしまえば、いままで積み重ねていたものが消えてしまうだけでなく、ユーザーへの影響も大きくなります。
逆にサポートのしっかりしていることで助けられることもあります。そうしたポイントもASPを選択するときには必ず考慮しましょう。
また参考に企業向けASPを紹介しているページがありますので、合わせてお読みください
【参考】ECサイトのASP〜いろいろあるけど、企業向けならどう選ぶ?
決済について考えよう
豊富な決済パターンは売上アップを助ける
オンラインショップで購入するとき、どんな決済が選べるかはユーザーにとってとても重要な要素です。現在ではたくさんの決済方法が登場しています。ただし、いろんな決済方法でいろんな買い物をするという人は多くありません。それぞれの決済方法は世代や行動様式ごとに使う人たちの傾向が分かれます。決済方法は商品に興味を持ッ多人が、実際に購入するという行動を起すことに大きく関わっています。
決済システムは代行会社との契約が必要
あくまで“銀行振込だけでのみ対応する”というのであれば銀行口座があれば大丈夫です。購入が確定したユーザーへ振込口座の番号と金額を知らせるだけで済みます。しかし、それでは幅広く売上をあげるECサイトを作るのには向いていません。
現在ではネットでの支払い方法の主流になっているクレジットカード、運送会社による代金引換、コンビニ決済、電子マネーなど様々な支払い方法が登場しています。
それぞれ、ユーザー側にとってはポイントを貯めるなどそれぞれのサービスを使用するメリットもあります。もし“利用可能なら使いたい”という場合もあれば“自分の使っている決済が使えるところで買う”という人も少なくありません。こうしたことがECサイト側でもいろんな決済方法を導入する大きな理由になっています。
こうした決済については、それぞれ決済の代行会社との契約が必要です。最近ではこうした決済代行会社の一社と契約することで、一括でさまざまな決済を利用出来るようにしてくれるようになりました。
また、ASPで斡旋している場合もあります。例えば、ASPの代表的な存在であるカラーミーショップは、運営企業がGMOという企業で、電子決済の企業も運営しています。ASPでは多くの場合、決済方法を増やせるかはASP次第です。
代行会社との契約には、実際にサイトがあるか確認されることが多くあります。そのため、サイトが出来上がってから契約を進めることになることがほとんどです。
中にはBASEやShopifyのようにASPが決済代行を行う事業者もあります。そうしたASPでは審査が驚くほど短時間で完了します。
支払いのペースや手数料
決済サービスの導入について、安易に決めないほうがよい部分もあります。こうしたサービスは利用について、一件ごとに手数料のパーセンテージが決められています。この手数料の分率は多くはクレジットカードであれば4%前後に設定されています。
また、決済方法によってパーセンテージが変わったり、一件ごとの手数料が決められていたりと様々です。ここで考えなければ行けないのは、自社の商品はどの決済を利用して購入されることが多いかを予測することです。手数料は少しでも低いに越したことはありません。それぞれに得意なものと不得意なものがあるため、料率にはばらつきがあります。
また、もう一つ確認しておかなければいけないのは、料金だけでなく、支払いのペースです。締め日と、いつ支払われるのかは確認しましょう。締め日から、支払い日が遠い場合、ペースを掴むまで、その間のやりくりが大変になります。
理想は手数料は安く、支払日は締め日に近いものということですが、両方を満たすのは難しいです。状況に合わせて考慮しましょう。また、決済自体は、途中で代行会社を入れ替えることもできます。ただし、時間と手間はかかるので、契約前にじっくりと調べておきましょう。
特定商取引法に基づく表記はECサイトの必須項目
ECサイトをいろいろと眺めていると「特定商取引に基づく表記」というページがあります。これはECサイトでは必ず表示しなければいけない情報です。消費者をトラブルから守るために、行政からルールの表記が義務づけられており、これがその「特定商取引に基づく表記」です。
具体的には以下の内容を必ず掲載、あるいは遵守する必要があります。
- 広告の表示(事業者の氏名(名称)、住所、電話番号など)
- 誇大広告などの禁止
- 未承諾者に対する電子メール広告の提供の禁止
- 前払い式通信販売の承諾などの通知
- 契約解除に伴う債務不履行の禁止
- 顧客の意に反して申込みをさせようとする行為の禁止
その上で、事業者の氏名や名称、住所、電話番語の他に、以下のような情報を必ず掲載しましょう。
- 商品代金以外に必要な費用
- 申し込み有効期限、品切れ時の対応
- 不良品に対する対応
- 販売数量など特別な販売条件がある場合の提示
- 引き渡し時期、どういったルールで発送するか
- 支払い方法
- 後払いの場合の支払い期限
- 返品する際の送料の扱いについて
- 商品の販売や扱いに必要な資格や免許の掲示
- 屋号
- 問合せの電話番号とメールアドレス
商品写真の撮影や紹介文の作成も必須作業
どういった構築方法でも商品の画像や紹介文を作成する作業は必ず必要です。商品名だけで商品の購入に至るケースはないと考えてください。
撮影についてはそれなりのテクニックが必要です。ありものを使うという方法も商品によってはありますが、やはりオリジナルのものを使用した方が、その商品を扱っているという説得力があります。
文章についてはわかりやすい文章を目指すことが重要です。たくさんの文字数を必ずしも商品ページで入れ込む必要はありませんが、しっかりと伝わる内容を記載することが重要です。
画像に関しては最近では平均で3枚以上は一つの商品に対し掲載することが求められています。そのため、掲載枚数に制限のあるようなASPの利用は要注意です。
画像のポイントについては以下の記事にも掲載していますので参考にしてください。
【参考】ECサイトの商品写真、画像加工のポイントはわかりやすさを意識して
スマートフォンでの見え方も考えよう
最近のEC事情では、スマートフォンでの買い物が多くを占めています。そのため、スマートフォンの画面に合わせた開発はECサイトでは必須の条件といえます。
しかし、ECサイトを始める段階では、どうしてもPCベースで作業を進めてしまいます。一人で作業をしていると、その結果としてスマホでの使いやすさを置き去りにして構築を進めてしまい、スマホでの使い勝手を考慮されていないサイトが出来上がってしまうかもしれません。
初期の段階から、スマホでの見え方や使い勝手を意識して作業を進めることは忘れないようにしましょう。
マーケティングを意識した構築をしよう
ECサイトを運営していくのであれば、マーケティングについての知識を持っていた方が有利です。平面で魅力をアピールするECサイトでは「商品がどの層に響くのか」といったことで成功するか、失敗するかの分かれ道になることは少なくありません。成功事例の多くはそうしたターゲティングがうまくいっている例がそのほとんどを占めています。
またブランドのアピールをどうやって実施していくのかということもECサイトにとっては重要です。こうしたことも構築の段階で考慮しておいたほうがよりその後の運営にプラスに働くことになります。たとえば最近ではFacebookやInstagramなどのSNSを効率的に集客に生かすことが求められているからです。
こうした様々なマーケティング手法を知っていた方がよりプラスに展開することにつながります。
ある意味ではデザインをする段階でマーケティングを考えておくことも重要です。現代では商業デザインとマーケティングは切っても切れない関係にあります。
成長出来るECサイトを目指す
拡張性や汎用性という言葉をよく目にします。これは具体的にはどういったことを指しているのでしょうか。結局のところ、こうした指摘は、閲覧数や売上げなど、伸ばせるものを伸ばせることが将来的にできるかということに繋がります。こうしたサイトの来訪者の上昇は売上のアップにつながります。しかし、こうした集客にかかわることを、一人で最初から完璧に実施出来るでしょうか。
「ネットはコストがかからないから」という言葉をよく聞きます。そして、実際に一人でも簡単に始めることができます。そうして考えると、お店づくりという点では実店舗より安く始めることができます。しかし、ビジネスとして行うのであれば、長く使えるものにしていく必要がありますし、実際のところコストが安いというだけですべて無料ではありません。また、作っただけではお客さんは来てくれません。こうしたことはインターネットでも実際のお店でも同じことなのです。
実際の店舗よりECサイトは確かにお金はかかりません。水道光熱費なども不要ですが替わりになるような費用は発生します。また、そのサイトを目立つ位置に押し出して、購入したい見込み客のいる場所へと押し出していかなければいけません。そのためにはある程度の予算が必要になってきます。もし、初期にそうした予算を持てるのであれば、滑らかな滑り出しができるかもしれません。
インターネットは言葉、写真、そして最新のテクノロジーでは音声によって紐づけられ整理されています。いろんな人がその情報の中でぐるぐると回遊しています。そのため、関係のあるワードとどれだけ力強く紐づけられるかがECサイトづくりでは勝負です。サイトを構築する上で、そこを強く意識した作り方をしなければいけません。これはライバルが多ければ多いほど、重要になってきます。
専門家に頼るべき場面も多い
売れるECサイトの作り方を考えるうえでは、マーケティング的な視点を持つことが重要です。そのうえで、技術的なことも含めて助言者やパートナーからの支援があったほうが効率的です。
こうしたチームのメンバーは必ずしも、社内に求める必要はありません。もし、最初から、こうした仲間が得られれば、構築の時点で選択肢は格段に広がっていきます。また、ある程度規模が大きくなれば、社内のスタッフだけでは手に負えなくなってきます。なぜなら、運用しながら、コンテンツを作り続ける作業は大きな労力になるからです。
もし、社外の力を求める場合、重要なのはコミュニケーションがしっかりと取れる関係を作れるかどうかということです。ただ発注し、それをこなしてもらうという関係では、これだけ多様化している現在の状況に時代的についていけません。
制作会社や運営会社を選ぶ場合はマーケティング的な視点も持ち、自社の強みや、運用なども意識してECサイト構築に取組むことができるかがポイントになってきます。いくら高い技術があってもそれは使わなくてもよいとなれば必要はないかもしれません。そうしたこと以上に的確に問題に対処できることや足りないものを見つけて補うことが可能かどうかが求められます。
マーケティングへの意識がなければ、作ったサイトは効果的に作用しません。そして、そのうえでどこを強化する必要があるのか、対策のできるチーム作りをしていくことであなたのECサイトも強固になっていきます。ECサイト作りは最初の構築だけでは終わらず、サービスを開始してからも継続していくことになります。最初は小さな流れであっても、だんだん大きくしていくことを考えながら取組んでください。
手順などについては以下の記事で初心者向けの解説をしています。あわせてお読みください。
【参考】ECサイト作成の手順はどうすすめるか〜初心者向け解説
構築のあとには運営が待っている
ECサイトは作り終えたら終わりというわけにはいきません。その後のサイトの運営や運用も工夫しながら進めることで十分な成果を引き出せるようになります。
作り終えたら終わりではなく、そこからがスタートといえます。運営については以下の記事を中心にまとめていますので、ぜひお読みください。セッションを増やし、顧客へ転換していく作業が作り終えてからのミッションになります。