これからのECサイトは企業の価値を高める存在になっていく
2020.08.25
ECでの取引は増加傾向にありますが、ECサイトの意味は単純にインターネット内での経済的な競争に参入することに留まりません。今や企業価値の向上やブランディングにも影響してきています。積極的に企業が自社ECサイトを運営していくことについて解説します。
CONTENS
企業はECサイトを自社で持つ時代へ
日本企業のEC化率は全体でみると2019年の段階でBtoCでは6%ほど、BtoBでは31%ほどです。この日本での数値は世界的に見ると、まだまだ低い水準の数字と言われています。
海外と比較すると高い水準ではないと言われている一方で、取引金額の総額は常に右肩上がりで伸び続けています。新規でネットショップを始める事業者はあきらかに増えています。大手の企業だけでなく個人のECサイトもあり、実際にかなりの数のECサイトが存在しています。2020年は新型コロナウイルスの影響で消費者の動向が大きく変化したため、この数字はさらに高くなることが予測されています。
通販の中でも、ECサイトを通した取引が今後主流になっていく傾向に、それぞれの企業はいかに順応していくかが課題になってきます。伝統と称して古く効率のあまり良いとは言えないビジネスマナーに縛られている業界では、変革が求められています。こうした流れにいかに順応するかは、2020年代にそれぞれの企業の課題となっていくことが予測されます。
もちろん業態によっては、鮮度を保ちにくい食品など、そもそも通販というスタイルで受注から商品を受け取るまでの導入が難しいといったこともあるかもしれません。しかし、現在の消費の流れのなかでは、なんとか工夫してECが活発化しているこうした状況にくらいついていく戦略を探すことが求められています。
一方、WEBという点では、ある程度の規模の企業ではすでにコーポレートサイトが整備されてきました。現在では、もう一歩踏み込んで、ビジネスの場としてインターネットの利用を考慮できるかが試されています。コーポレートサイトは、企業としてのプレゼンテーションを切り取って、世の中にアピールする広告塔としての役割があります。ECサイトは実際にビジネスの現場です。
コーポレートサイトと違ってECサイトは実際に事業者とユーザー相互にアクションのあるWEBサイトです。企業とユーザーの関係構築の場としてのECサイト運営がブランドの確立につながっていると注目している企業も少なくありません。この場合、ユーザーとはBやCの区別はありません。
また、インターネットにユーザー全体が馴れて来た部分もあり、単純に企業の業務内容や情報だけが置いてあるコーポレートサイトには魅力を感じなくなっています。
2000年代のインターネット草創期には多くの企業が顧客と直接結びつく手段としてWEBサイトは期待されました。その当時、まだECサイトの持つカート機能や決済を独自に組み込むためにはそれなりに大きな予算を組みこまなければ実現できないなどの事情もありました。そうした状況はこの20年で大きく変化しています。更新されないコーポレートサイトでメールを受け付けるだけではなかなか対応しきれないだけでなく、時代に取り残されつつあります。
コーポレートサイトと同じURL内でなくとも、ECサイトについて多くの企業は考えなければいけない状況になってきています。
モール型ECも万全ではない
売上ランキングを見ると圧倒的なのがAmazonです。取引額が小国の国家予算レベルに匹敵しています。こうなるとモールに出品しておけばいいと考えるかもしれません。
しかし、実際にはAmazonや楽天がオールOKというわけではありません。当然、リスクヘッジをしながら運営されていますが、このコロナ禍で取引量が爆発的に増えた結果、モールに参加している事業者の質を問う声が大きくなっています。こうなると、Amazonや楽天の評判が下がると、出店している企業や商品の評判も一緒に低下していくことになります。
このように自社ECサイトを運営していくことのメリットはもちろんインターネット上で集客して売上を上げるチャネルを持つことにありますが、それ以外にも企業としてのあり方をユーザーに示す場としても注目されています。
ECの運営はユーザーとのつながりを持つ重要なチャネル
ECサイトをすでに運営している企業の中には、単純な店舗としての機能だけを求めているわけではありません。その企業がユーザーとの関係性を深め、より満足度の高いサービスを提供する一環として捉えています。
もちろん企業によってさまざまなスタンスがあり、何事も同じようなものではありません。そこにはそれぞれの経営戦略に多様性があるのは当然ですが、もし「商品を販売する」あるいは「時代的に対応しなければいけない」という視点しかなかったのであれば、こうした考え方に少し注目してもいいかもしれません。
WEBは検索での移動という性質や、SNSでの口コミでの広がりというシステムによって、ユーザーが移動していきます。そのため、アクションを起すユーザーはそのトピックに興味のある人たちです。つまり、サイトに集まる人というのは企業なり商品に関心を持って閲覧しにやってきます。そうした人との連携の場を持つということは企業にとって様々な力になります。
ECに期待されるコミュニケーションの役割
ECサイトではそれぞれのページを介して顧客として取り込んでいくように工夫していくことで売上に繋がるわけですが、インターネットでのコミュニケーションは普通の店舗と違ってつながりを継続させやすい部分があります。対人での友人関係のような濃い関係の確立や維持は難しいですが、ビジネスでの距離感としては必要として十分なツールがそろっています。
メールやSNS、時にはブログなどのコンテンツを通してユーザーをゆるく、しかししっかりと繋ぎ止めることでユーザーを優良顧客とし、ブランドのイメージを確かなものにしていくことができます。
また、今すぐに利用しなくても未来の顧客としてお客様を迎える場として、戦略的にECサイトを位置づけている企業も今や少なくありません。他にもマーケティング手法もECを飛び出して、複数の手法で顧客をサポートしていくオムニチャネルなどが注目されています。
コロナの影響は今後、どのように変わっていくかはわかりませんが、インターネットの依存度自体はスマートフォンの普及率も考えると留まるところを知りません。その結果、多くの人の行動はインターネット内に収まっていくことになります。そうした状況の中では、ユーザーとの繋がりの場としてもECサイトの重要度はますます高くなっていくことは明白といえます。
そうした中で、WEBマーケティングを考えてECサイト運営を事業としてしっかり展開していく気概のある企業と、それなりに考えている企業を比較すれば、差は当然つくことになります。
そこまで考えるのであれば、企業としてしっかりと展開したいと考えていると、EC事業をモールや無料のASPで済ますことにはデメリットも少なくありません。企業のイメージを高めるためには自社でのECサイト運営がより求められています。また、うまくブランディングできればインターネット内での評判も高くなり、企業としての価値も上昇する要素としてECサイトの存在は見逃せないものになってきています。
企業は構築や運営のパートナー選びがますます重要になる
問題はそれなりのECサイトの構築や運営には工数が必要なことです。インターネットといえばデジタル、効率的、自動化などのイメージがありますが、結局のところ、電子情報に置き換わっているだけで、ある程度は人間の力がまだまだ必要な状況です。
また構築に関わるWEB技術だけでなく、マーケティングやSEOについても同じようなことが言えます。受注に関わる発送作業なども商品によってかかる工数は違います。結局のところ、コミュニケーションの場がデジタルな世界というだけであって、人間同士のつながりの場です。もちろん、技術の進歩によって効率的に進めることができるようになってきましたが、いろんな専門知識や技術を借りてくる必要があります。
そこで登場するのがWEB制作会社や運営代行会社の存在です。こうした企業は実際のところ、高いニーズがありどんどん増えているのが現状です。そのため技術はあっても経験が少ない、または逆のパターンもあり慢性的に人材不足の業界と言われています。そのため、自社にあった、良い制作会社・運営会社を選択することが運営を潤滑に進めて、企業のECサイトを成功に導くためのカギになっていると言われています。
また、技術のトレンドも変わりやすい業界でもあります。そうした企業もまた変化の多いECの世界に対応しながら、成長していく必要があります。常にプロとしての知識と技術を取入れ対応していく姿勢をもった企業とコンビを組み、運営を並走できることが重要です。そのため、ECサイトに関わる事業は発注者と受注者とがひとつのプロジェクトの一因として連携し継続した関係を構築していくことで信頼関係を持つことが成功にはますます欠かせなくなってきています。
こうしたプロの支援を受けながら、さまざまな企画をインターネット上で実現していくプラットフォームとしてもECサイトの需要は小さくありません。