ECサイトの構築の基本とは〜売れるサイト作りの方法を解説
2020.05.26
ECサイトの構築についてノウハウなどを解説しているサイトは多数あります。もはや乱立している状態といっていいでしょう。これは「ECサイトを作ろう!」という需要がそれだけあるということでもあります。
その中でECサイトは構築した先に何を目指すのかが重要といえます。そうした視点が抜け落ちると、一生懸命手間を掛け、予算をつぎ込んでも、不要なものができあがっているかもしれませんし、発展の可能性を潰して仕上げてしまっているかもしれません。
ここでは、いわゆるハウツー的なECサイトの構築の方法に拘らず、売上をあげるということを見失わないようにサイトを作る基本について解説していきます。
CONTENS
ECサイトをつくる方法は主に4つ
企業がオフィシャルのウェブサイトを持つことはいまや一般的なことです。ただ、それぞれの事情があり、直接的にビジネスに利用しているかとなると「そうでもない」という企業もあるでしょう。これはBtoCでもBtoBでも同様なことがいえます。
しかし、ECサイトの構築方法はどんどん増え、その敷居は下がっています。今やインターネット黎明期の90年代末に持っていたECへのイメージはこうした場面では全く役に立ちません。さらには個人もECサイトを運営して市場に参入していく時代になりました。
そこで、まずはこの2020年に一般的な手法として、すでにあるECサイトの構築方法について見ていきましょう。先に断っておきますが、手法については新たな選択肢が出てくるかもしれません。また、場合によってはいくら予算をかけてもそっくり入れ替えることが必要になることも忘れずにおきましょう。
一般的にはECサイトの構築に関わる減価償却は5年です。しかし、それより短い耐用年数ということも考えられます。構築方法を選定する時には、最初の費用や状況などばかりを考えず、そうした先のことも少し頭の片隅に入れておくのがよいでしょう。
ECサイトの入り口になるASP
今、もっともポピュラーかつ幅の広い選択肢を持つ構築方法がASPを使ったECサイトの構築です。
ASPは「アプリケーション・サービス・プロバイダー」の略称です。つまり、アプリを提供する事業者のことです。ASPという言い方は他のサービスやツールでも使われます。ECサイトでいうASPの場合は「カートASP」や「ASPカート」、単純にASPとも呼ばれます。ここではASPで統一しますが、これらは同じことを指しています。
ASPはECサイトのなかでは「家具付き賃貸」といったところでしょうか。ネットショップを始めるのに必要な費用は一通り揃っており、サーバーを借りる必要もありません。
「家具付き住宅」は短い準備期間でいきなり生活することができます。その変わり家賃は月々発生します。ASPも同じように初心者でも簡単に始められるものも多くあり、選択肢は豊富です。
多くの場合、プログラミングに関わる知識がなくても始めることが可能です。アップデートなどの作業はASP側で実施するため必保守に関わる業務もほぼ発生せず、そういった管理の面では他の構築方法よりも担当者への負担は軽くなるでしょう。
ASPはECサイトへの需要が高まった結果、幅が広く、さまざまなニーズを満たすようになってきました。後段で説明する自由度の高い「クラウドEC」との境目はどんどん無くなってきており、混ざり合っているような状況がある一方、無料で簡単にすぐ作れる非常にカジュアルなものまで幅広く存在しています。
ASPとしてはメジャーなところですと、入門から中規模程度までは対応可能で守備範囲の広いカラーミーショップや、デフォルトであれば無料で、このところ露出の多いBASEがあります。
似たようなものでSaaSというものがあります。こちらはクラウド上にソフトウエアを置いてユーザーが利用するサービスのことを指しますが、「クラウドEC」も含め、ASPとの境目もかなり曖昧になってきました。
ASPは初期登録料や月額利用料が発生します。それぞれのASPによって個性があり、どういったASPを選択するかによってできることとできないことの差が出てきます。
ASPを最初に選択する上で費用以外に見ておくべき点は以下のような点です。
- 決済方法
- デザインのテンプレート
決済方法については多くの場合カスタマイズは難しい項目です。また、デザインのテンプレートは豊富にあるに越したことはないでしょう。
その他の要素、例えば機能や拡張性などは、それぞれの事情に合わせて選択する必要があり、ケースごとに考える必要があります。そのため「これが絶対にオススメだ!」と明示することは難しいです。
また、構築に関しての自由度が高いほど、構築にかかる時間は大きくなる傾向があります。
ASPについては以下の記事で特徴なども含めてより詳しく解説しています。企業向けに検討している場合はぜひお読み下さい。
【参考】 ECサイトのASP〜いろいろあるけど、企業向けならどう選ぶ?
また無料のASPを利用して構築したいと考えている場合についても記事を書いています。こちらの記事は「まずはとりあえず初めてみたい」と興味がある人向けです。
【参考】 無料でECサイトを開設してステップアップを目指そう
自由度と拡張性を求めるならパッケージ
パッケージは、ECサイトに必要なシステムとして組まれたプログラムをサーバーに置いて運用する方法です。
ECに特化してphpという言語をベースに作られた『EC-Cube』やRubyを使ってつくられた『Solidus』などは無料で利用出来るオープンソースのECパッケージです。有料のものとしては国内ではecBeingや、シェアも多く、より大規模な企業サイト向けのSI Web Shopingなどがあります。
先ほどはASPを家具付き賃貸に例えましたが、パッケージは土地にツーバイフォーやプレハブなどの規格の決まった建築資材を使って組上げる方法といえます。
パッケージは拡張性に優れています。そのため、物品を単純に小売りして物流に乗せる以外のECサイトを考えているのであれば選択肢に挙がってきます。もちろん一般的な物品を売るようなサイトにも対応し、柔軟性を求めある程度規模の拡張を考えた場合には検討したい方法といえるでしょう。追加でカスタマイズもしやすく、大抵のプランは実現可能といえます。
ec-cubeなどのオープンソースのものは無料で利用可能です。知識さえあれば、拡張性は高くなりますが、そういったスキルのある人材に縁がなければ、導入は難しいともいえます。
有料のものはサポートがあるため支援を受けることも可能です。パッケージはある程度の部品としてプログラムも用意されているものを組み合わせるという感覚ですが細かい内容については状況に応じて編集していく必要も出てきます。
また、ASPと比較すると構築に関しては初期費用もかなり発生することを覚えておきましょう。保守の作業も必要になってきます。
拡張性に優れているという点は大きなメリットです。有料のパッケージを導入する場合は数百万〜の初期費用がかかる場合もあります。そのため、ある程度予算が必要になります。
もちろん、金額は選択する提供会社によります。導入前に必ず、見積もりを取ることが重要です。また、そうした意味でも気軽に構築方法として導入しようと考えられる方法ではないということはいえます。ただし、WEBでは重要な独自性は出しやすくなります。
進化中のクラウドEC
前段でも名前が登場しているクラウドECは、いうなればASPとパッケージの良いところを取り込もうとしたサービス形態です。ASPの小回りとパッケージの拡張性や自由度を受け継いでいます。クラウドECを提供する企業はアップデートを繰り返し、さまざまなオプションをパーツとして提供することで拡張性を担保します。パッケージのように自らサーバー内のデータを現状のWEB技術に合わせてアップデートする必要もありません。
感覚としてはオーダーメイドのマンションが近いかもしれません。オーダーメイドでかなりの自由度はありますが、できないオーダーも出てくるといった感じです。しかし、そういった場合もアップデートによって新たに対応が可能になるということも考えられます。
費用はそうなると自然とASPより高くなります。しかし、デザインの自由度は高く、ある程度の規模を見込んで作ろうと考えているのであれば、ランニングコストを含む費用については結果的に抑えることができるかもしれません。また、パッケージのようにアップデートやバージョンアップに関わる作業も不要です。
ただし、どうしてもクラウドという、インターネット上の共有空間を利用することに安心できないという場合は選択肢から外れることになります。
フルオーダーのフルスクラッチ
これは何か既存のシステムに根ざすことなく、自由に建てるやり方です。建て売りの物件ではなく、土地を買って、好きなように建築物を建てる方法です。この方法では実際には小さな物置レベルのものから、巨大なビルまでいろいろなことが可能です。
そうなると建築と一緒で、そのECサイトは開発にそれなりのコストが発生してきます。日々のメンテナンスは自らで行わなければいけません。あらゆる面での自由度に対して、こうした、開発の費用や時間などのコストがデメリットになります。またもちろん構築にはスキルも必要です。
その替わりに拡張性の自由度は他の方法の追随を許しません。オリジナルなウェブサービスを提供しようなどと考えている企業はこの方法を選択することになるでしょう。
費用はタイムラインも意識して
ECサイトを構築する際に悩ましいのはその費用についてです。とくに初めてのECという場合は特にそれが高いのか安いのかもわからず、金額だけを突きつけられている感覚があり不安になります。
極端に金額が発生しているような構築方法の場合、その背景には、それだけ技術者が動いているということが考えられます。
また、特化性の高いサービスでは金額が高くなる傾向があります。そうした場合に、もし自社内でそれを実現させるために関わる人員をイメージすると、どういった場面でも財布が堅くて開けないということは無くなるかもしれません。
とはいえ、何でもかんでも必要のないものに対して出費を重ねる必要もありませんので、どちらにしても難しさのあることです。そうした場合には、積算の根拠を確認してみるとよいかもしれません。
また、初期費用がかかったとしても、それによってランニングコストが抑えられる場合もあります。状況をシミュレーションし、どのタイミングで、初期コスト分をランニングコストが上回るかは必ず考えましょう。
イニシャルコストに目が向きやすい傾向にありますが、ランニングコストも重要です。単純に、初期にコストをかけることで工数を減らせたり、集客などで拡張性を期待できるのであれば、しっかりと考慮すべきです。
ランニングコストをイメージしておこう
そのため、構築の初期の段階で運営・運用のコストもある程度イメージしておくことは重要です。また、EC事業に初めて手をつけるという場合は、サイトの構築から、受注し、商品がユーザーの手に届くまでの行程をイメージしてください。似たようなケースでの具体的な事例その中でインターネット上で行える作業から、手を動かし、資材を使う作業について考え、人件費や作業時間をイメージしておきます。そのうえで、損益について考慮することです。
また、「できない」「難しい」ばかりでは積算になりません。現在のキャパシティをどう拡張すると、どの程度生産性があげられるのかも予測しておくとよいでしょう。
ECはあくまで事業を伸ばすために行うものです。そのため、ある程度のプラス思考になると思いますが、それに対してコスト計算もしておくと、拡張やリニューアル、あるいは予算削減もしやすくなります。
開発には期間が必要
何かを作るということには必ず時間が必要です。だからこそ「簡単にできる」ということに価値があるといえます。簡単にできるということは、時間がそれだけかからないからです。
一方で簡単にできるということは、やり方が画一化されていたりと、作業がスリム化した結果です。これはECサイトの構築にそのまま当てはまるといえるでしょう。何事も、構築には期間が必要です。特に、必要な機能を見たし、企業の看板にもなるように独自性のあるデザインを見込めばある程度は時間がかかるのは当然です。ましてや自分たちだけで始めようとなった場合はなかなか苦労することは覚悟しておいたほうがよいでしょう。
ある程度の要件が固まっているのであれば、専門家に相談することも重要です。表現したいことの実現度を高めるだけではなく、工数的にもメリットがあり、無用に開発期間が長くなることを防ぐことができます。
また、そういった場合も考えておかなければいけないのは、外部への発注時にいたずらに工期を短く設定することです。その結果、テスト不足で問題だらけのサイトができてしまっては意味がありません。見積もりがしっかりした企業に依頼できれば、そのあたりの問題も含めてすっきりするかもしれません。
「簡単≒自由度は低い」が悪ではない
簡単に始めるということは自由度を犠牲にしています。ただし、すべてに置いて自由である必要はない場合もあります。もし決められたフォーマットがそのまま活かせるのであれば、積極的に用いるべきです。
シンプルさや、簡単さは決して悪ではありません。あくまで総合的に判断しましょう。その上で、必要条件をみたすのかを考慮します。いろいろな情報が出てきますが、「必ずこれでなければいけない」というものはありません。最初の目的は忘れないようにしておきましょう。
大切な機能は特に「決済」に注目
まずECサイトの要件を満たす機能について考えてみましょう。ECサイトには少なくとも以下の機能がないと成り立ちません。
- ショッピングカート
- 決済サービス
- 受注管理システム
この3つは必須です。これに加えて、「メール配信機能」や「セキュリティ」、「集客にかかわる機能」が必要になってきます。
また、スマートフォンへの対応はいまや必須です。もしパッケージなどで構築した場合はそこへのケアも必ず行う必要があります。今やネットの閲覧につかわれるデバイスの多数を占めるのはスマートフォンです。構築するときはPCですが、必ずスマートフォンでの使用感を確認する必要があります。
決済方法は広がっている
導入する機能として決済サービスは、購入を最終的に後押しするためにとても重要です。カートに商品を入れたままサイトから離脱する「カート落ち」の大きな原因といえます。つまり何がいいたいかというと、直接的に売上げに関わることになるということです。
決済方法は今、広がりを見せています。ざっとあげるだけでも以下の通りです。
- 銀行振込
- 代金引換
- 郵便為替
- クレジットカード
- コンビニ決済
- Paypal
- 電子マネー(suicaなどの交通系、ID,Edy、、他)
- 携帯電話による支払い(au Pay、d払い)
- ネットアカウントによる決済(Amazon、楽天、Google)
- 後払い系サービス(Paidyなど)
などです。なかにはPaypayのように携帯電話会社とネットのサービス企業が連携して幅広い決済に対応したり、他の決済方法と連動していたりするものもあります。
こうした支払い方法は、ユーザーが使用した場合に受けるポイントなどと結びつき、囲い込みを計ろうと各企業は躍起になっています。またユーザーも特定のポイントがたまった方が利便性があるため、ECサイト側でもさまざまな利用パターンを想定しておかなければいけない状況になってきました。
こうした決済をECサイトに向けてまとめて一つの契約に収めているのが決済サービス会社、あるいは決済代行会社です。また、この決済サービス会社はASPやクラウドECなど、ある程度制限のある方法で構築した場合は選択肢が少なくなります。クラウドECは拡張性が期待できますが、ASPではなかなか難しい側面のある項目です。
また、選択する上で考慮が必要なのは、それぞれの手数料です。もちろんこれは安いに越したことはありません。こうした手数料はECにおいては、売上げに比例して大きくなります。利益に直結してくるので、始めから必ずよく確認しておく必要があります。
決済代行会社についての記事を以下のコラムで解説していますので、そのあたりに興味があるかたはぜひお読み下さい。
【参考】 ECサイトは決済代行会社を利用して決済方法を増やす
長期の安定した運営・運用が成功の秘訣
構築して見栄えの良いサイトができたとしても、なにもせずに最初から閲覧者数がたくさん、、、、なんてことは絶対にありません。ネットユーザーは存在の知らないものを見つけることはできず、検索エンジンも始めから評価して関連項目について表示の順位をあげてはくれないのです。
そのために必要なのは日々継続して運営していくことです。そのためには、関連した情報を正確にわかりやすく提示しなければいけません。時にはSNSなどで告知をし、オンライン広告へ出稿するなどの作業を重ねる必要があります。
また、使い勝手のいいように時には変更を加えることもあります。そしてECサイトの閲覧、購入だけで完結しません。窓口として開いている以上は、ユーザーがアプローチしてくることもあります。
こうした運営を長期的に継続していくことでECサイトは評価され、収益につながっていきます。
構築した時に実務は考えられているかチェック
構築する際に「費用」についての欄でも言及しましたが、運営・運用に関わる視点を持ってサイトを構築しようとしているかはとても重要です。ネットでの評判を取り繕おうとしても、実際の評判には勝てません。実際の評判が悪いと必ずネット上に情報が拡散され、評価は下がります。
よくヴァーチャルといいますが、ECサイトはある意味でリアルです。
運営・運用を考えた構築については以下の記事でも解説しています。ぜひこちらも参考にしてみてください。
【参考】 ECサイトの作り方は運営も意識しよう
集客できるサイトでなければ売上は伸びない
どういった構築方法を取るのか、どういった形態がよいかということはそれぞれ企業の目指すイメージによって変わってきます。
しかし、それでは結局、どういったサイト構築を目指せばいいかわからないかもしれません。そこでECサイト本来の目的に立ち返る必要があります。目指すのは「集客できるサイト構築を目指す」ということです。
マーケットのニーズだけに応えていく作りであればECサイトを自ら作る必要はないかもしれません。Amazonや楽天、Yahooショッピングなどのモールに出品して販売すれば事足ります。実際に市場の成熟した商品の場合はそうした事例も少なくありません。
ECサイトを費用をかけて構築する理由は、そうしたマーケティング的な視点だけでなく、ブランディングにあるはずです。自社の商品の魅力をアピールしファンを作ることこそがテーマといえます。そのブランディングを行うためには集客を行って認知が広がらなければ実現は難しいといえます。
また、実際に、セッション数が伸び悩めば、売上げも伸び悩んでいきます。そもそも人が集まらなければ、存在していることすら気づかれず、何が売られているかもわかりません。
そうした状態を打破し好循環を作るためにはしっかりと集客できる仕組みをECサイト自身が持っていることが重要になってきます。
弊社での構築については、こうした点を考慮したサイト制作を推奨しています。的確にカテゴリを設定して明示し、それに関わるワードに対する流入を増やす「集客カテゴリ量産型」サイトを構築することです。
運営・運用として、コンテンツを増やし、回遊率を高め、SEO対策をおこなってサイト自体の評価をあげていくには、初期の構築が商品の情報も含めたコンテンツをいれる器としてしっかりとしていることが重要です。
この「集客カテゴリ量産型ECサイト構築」はブランディング企業である弊社の持つコンセプトのひとつでもあります。これについて詳しい内容については以下のページもぜひ参照してみてください。
【参考】 集客カテゴリ量産型ECサイト