ECサイトのコンバージョン率(CVR)を上げる対策〜チェックポイントと6つの改善のための施策

2020.10.02

コンバージョン率(CVR)はウェブサイトにとって重要な資料になります。その中でもECサイトにとっては売上げに直結する重要な指数です。また、コンバージョン率が下がっていくことはECサイトに問題があることを知らせるサインでもあります。

ここではコンバージョン率に注目して解説し、コンバージョン率を下げないためのチェックポイントと、コンバージョン率を上げるための施策を紹介します。

ECはコンバージョン率を上げていくことで売上も上がる

先にも述べたとおり、ウェブの世界、とくにECでは「コンバージョン」が重要視されます。コンバージョンは「サイト制作者側が設定した指標をサイトに訪れたユーザーが達成したこと」を指します。

コンバージョンはCVと略されることも少なくありません。その達成数を「コンバージョン数」、そして訪問客の全体数に対しコンバージョンしたユーザーの割合を計算した数値がコンバージョン率です。 Rateという英語の頭文字を加えてCVR(シーブイアール)と呼ばれることも少なくありません。

(コンバージョン数(CV)÷訪問者数(PV))×100=コンバージョン率(CVR)

という式で算出され、表されます。

コンバージョンとは英語で”conversion”という綴りになります。実際のニュアンスは変換、転換、兌換といった意味を持つ語です。ECであればネットユーザーが顧客へと転換された瞬間やポイントとイメージするとわかりやすいかもしれません。

実際のところ、コンバージョンに設定するものは、ダウンロード数や、1ユーザーのページの閲覧数など、サイトの運営者がそのサイトの目的に合わせて自由に設定します。

ECサイトの場合は基本的に「販売する」という目標があります。ですのでBtoC向けのECサイトであれば「購入」に至った場合をコンバージョンとして設定します。

もちろん広義の意味では、例えばBtoB向けのECサイトでは決済機能を持たず、「メールをする」「問合せ」などをコンバージョンに設定する場合ももちろんあります。特定の場所をクリックした場合をコンバージョンと見なすこともできます。

しかし、この解説では、わかりやすく理解できるように「購入にまで至ったもの」をコンバージョンとして取り扱っていきます。コンバージョンをデータとして活用することで、いろんなことが把握でき、また対策についても考えられるようになってきます。

集客したユーザーをいかに顧客にできたかを見るための数値

もう少しコンバージョンについて説明します。売上をあげるためにはまずお客さんを集めなければいけません。そのため集客は重要です。Googleを中心とするサーチエンジンでの検索結果を向上させるためのSEOと呼ばれる施策は検索結果として表示される順位をあげることで集客力を高めるために行われます。ウエブマーケティングはそうした集客を主に扱うものです。

実際、インターネット広告やSNS、コンテンツマーケティングなどの手法は集客するための手法です。その上で、集客したユーザーの中で商品を実際に購入してくれるユーザーの割合が高くなれば、それは効率の良い集客方法ということになっていきます。

実際のところ、なぜそのユーザーが購入に至ったのかということは、直接話を聞かない限りはわかりません。ですが、どこからサイトに入ってきたかは確認することができます。コンバージョン率を見ていくことは集客施策の質や傾向などの比較にも役に立ちます。

また、集客以外の要素についてもコンバージョンに影響します。商品自体の魅力はもちろん必要です。その上で、サイトの信頼性や使いやすさ、情報量、ブランドイメージ、決済方法、送料、配送時間などの要素がCVRに影響してきます。

つまりCVRを見ていくとユーザーの行動の理由が見えることもあり、流入が増えるほどしっかりと調査して、見ていかなければいけない情報ということができます。

ECの平均的なコンバージョン率は2~3%

そうなるとECサイトでは実際にどれくらいのコンバージョン率があればいいのか多くの人が気になるところです。一般的にはECサイトでの平均的なコンバージョン率は2~3%と言われています。

この数字はつまり100人のユーザーのうち2〜3人が実際に購入するという計算です。通常のお店と違ってECサイトは好きな時に見て好きな時に出て行けますので、これぐらいの数値は適性です。それでも集客が少なかったり、ブランド力が高いなどでこのレートが高くなることはあります。

集客の少ないサイトではCVRは上下にブレやすくなりますが、ブランディングに成功しているECサイトではコンバージョン率が高い状態が維持されていることもあります。

一方で低い場合は何か問題があります。Twitterやはてなブログなどでバスったり、炎上して野次馬が殺到したりして、一気に流入数が増えることで一時的に低下している場合は、その原因が深刻でなければ問題ありません。しかし、平均的に低いというのであれば、原因究明が必要です。

低下させず上昇させることが求められている

ECサイト運営者のCVRに対する基本的な姿勢はまず低下させないことです。そして少しづつであっても「どうやっていくと上昇するか」を考えることが重要です。

扱う商品によってもCVRは変化してきます。2〜3%というのはあくまで平均ということは押さえておく必要があります。そのため、あまり横並びになっている状況から数値に対して安心したり不安になることは意味のないケースもあります。

ですので、2〜3%を目指す、あるいはその数値ならOKというわけではなく、あくまで「下げない」ということと「上昇を目指す」ということが大事です。

また、数値を1日〜3日の短期的に見て、指標として判断し理由づけとして利用するのは早計と言えます。実際に短期的な数値も何かの事象を提示していることもあるため、分析には必要な情報になります。

しかし数値として追うのであれば1ヶ月程度は判断材料として確認すべきです。ネガティブなこともポジティブなこともあまり近視眼的になりすぎないようにしましょう。

また、仕組み上、コンバージョン率が100%にならないことももちろん基本的なこととして念のため理解しておきましょう。社内のリテラシーがあまり高くない場合や、デジタル知識に疎い方が社内の経営層にいるなどの場合には特に十分理解してもらってください。評価の基準にすることはあったとしても、コンバージョン率30%などという目標は現実的ではなく、かえって問題があっても原因究明に乗り出せなくなります。

それでは次の項目で具体的なコンバージョン率に対する方法を確認していきましょう。

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コンバージョン率を維持するためのチェックポイントはこれ

コンバージョン率を低下させる要因をまずは考えてみましょう。基本的にはCVRに限らず、いずれのこととも共通しますが、「内的要因」「手段」「外的要因」の3点です。

ユーザビリティに関わるサイト構築

内的要因としてコンバージョン率の上昇を妨げる要因の一つはユーザビリティの悪さです。ユーザビリティと一口にいってもいろいろありますが、要するに「使いにくい」「居心地が悪い」サイトになっている可能性があります。

ユーザビリティは実際の店舗であればサービスと置き換えてもいいでしょう。サービスの悪いお店では購入意欲が低下することと同じです。

サイトを使うのはあくまでユーザーです。その視点がかけていては、お互いに相手の見えないECサイトでは実際に商品を購入することを躊躇します。

こうした場合のユーザビリティは非常にシビアです。例えば私の実体験では、アートディレクターの「ファッショナブルに商品を見せたい!」という強い意向で、商品の写真をトリミングし、少し凝ったフォントと共に商品ページの商品写真として掲載しました。そうしたところ、ジワジワと、しかし確実にコンバージョン率が低下しました。

これはより具体的なユーザーの情報ニーズに応えず、一方的に事業者側がイメージ戦略を行った結果と言えます。そこにユーザーがどういった情報が欲しいのかという思いはなかったため、結果的に厳しい状況になりました。

一方でしっかりとユーザビリティを考えることは加点する要因にもなりえます。つまり、逆にCVRを上昇させることもあるのです。ECのユーザビリティについての解説もぜひ参考にしてください。

【参考】ECサイトのデザインは何を参考にするか~「ユーザビリティ」を意識しよう

集客施策のミスマッチ

インターネットはその特性上、あえてサイトの閲覧を制限して隠すといったことをしなければどんな人でも閲覧可能なメディアです。そのため集客施策によっていろんな人を集めることができます。

しかし、販売している商品にあまり興味のない、あるいは購入意思のない層にリーチできたとして、コンバージョンに至るでしょうか。

もし釣具を販売するECサイトが、熱帯魚のPRをしたとして、集まるのはあくまで熱帯魚ファンです。それは釣りファンではないわけで、お客さんにはなりません。芯を食ったユーザーにアプローチしなければ、広告であれ、コンテンツマーケティングであれ、もちろんSNSであれ効果はありません。

例えばネコは最も成功しているウェブコンテンツと言われています。実際にそのファン層は圧倒的な数を誇っています。日本でもいまだにトップページに設定しているユーザーが多いといわれる大手ポータルサイトでも、ネコをトップページに入れるだけでセッションが上がると言われています。

こうした話を聞いて、最初の集客としてネコの可愛い画像を使ったとして、商品がしっかりアピールできなければセッション数だけが増えてコンバージョンには至らないといった現象が起きるというわけです。

つまり集客としての即効性ばかりに囚われるとコンバージョン率を低下させることになります。速度だけでなく、ブランディングを考えながら、しっかり集客について考えることが重要です。

外部環境の影響

ECサイトはインターネット上のビジネススペースですが、外的な要因にもコンバージョンは影響されます。例えば給料日やクレジットカードの引き落とし日などでユーザーの行動は変わってきますので当然と言えば当然です。

こうした変動は主に1ヶ月の周期内に多少は現れます。もちろん時間帯などにも出てきます。ただし、低下したままの状況であれば、周りをしっかりと見渡してみる必要があります。

ECの場合の周辺とはライバルサイトなどの同業他社の動向です。似たような商品を販売しているサイトの動向には多少気にかけておく必要があります。特に趣味性の高い商品を扱うようなECサイトで、もし他社が価格帯を変更させたり、ポイント還元率などを変えた場合は要注意です。

ECサイトは価格の比較が容易ですし、サイト間の移動も非常に簡単であるということを意識しておきましょう。

外的要因という場合は、インターネット外のこと、つまり景気動向などの社会情勢も影響してくることがあります。そうしたことが要因であった場合は、改めて現状の体制で問題ないのかといったことを考える必要もあります。「景気が悪い」「消費意欲が落ちているから」とCVRが低下していくのを眺めているのがサイト運営者の業務ではありません。状況に合わせた施策を行うことが常に求められます。

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6つのコンバージョン率アップ施策

マイナス要因はプラス要因とも大きく関係がありますが、ここに一般的なコンバージョン率アップのための施策を挙げていきたいと思います。どういった施策も向き不向きがあること、そして、デメリットやリスクもあるため、自社で実施する場合は商品や会社の状況なども鑑みてトライすることが重要です。

決済の充実と快適さの改善

決済方法はユーザーによってそれぞれ好みがあります。その上で、現在はたくさんの決済方法が乱立しています。その中でも決済方法が普段利用しているものと一致すれば、購入しやすくなるのは間違いありません。また、一部では決済方法によって購入場所を変更するユーザーもいます。

また、決済のしやすさもコンバージョンに影響します。入力の手間を省いたり、ページ遷移を減らすといった工夫をすることで実際にコンバージョン率はアップします。ただし、分かりやすさは十分に意識しなければいけません。信頼できるサイトであることをアピールすることはリピーター施策にも関わります。

【参考】ECサイトの決済を分類ごとに解説〜それぞれにあった決済方法はどれかを探ろう

サイトの導線をわかりやすく

これもユーザビリティに関わることです。まず、見やすいサイトであることに加えて、どういった動きをするのか理解でき、かつ自然な作りであることが重要です。サイト内でのページの移動も理解しやすく、行きたい場所に行けるようにリンクが付けられているか、検索エンジンはついているかといったことは、非常に重要です。

また関連する商品の紐付けなども重要です。探しているものの中で比較したりする可能性もありますし、追加で購入することで客単価をあげることにもつながります。ただし、あまりやりすぎないことも重要です。

最近ではスマホで閲覧するユーザーがほとんどです。可能な限り、縦スクロールで完結できるようにしましょう。

商品の画像を豊富に

画像は文字よりも多くの情報をユーザーに伝えます。これは行動学などでも証明されており確かなことです。ECサイトでも商品の全アングルを網羅し、必要な部分ではクローズアップした拡大の写真をしっかりと提示することが重要です。

決して文字が不要なわけではありません。写真と合わせてしっかりと提示しましょう。

【参考】ECサイトの画像はポイントを押さえて売上アップ

レヴューなどの口コミ掲載

口コミを掲載することは、時には商品説明よりコンバージョンに対して効果を発揮します。ユーザーの実体験を通した意見は、フラットな視点で見た情報として、信頼できる情報としてそのレヴューを読んだユーザーに認識されます。また、他に購入者がいるという事実が購入を考えているユーザーを安心させます。

ただし、悪意のあるユーザーなどがいると場が荒れ、マイナスの結果になるということも少なくありません。

送料無料の設定

送料はECであれば避けては通れない経費です。場所によって料金が変わることもあるため、安易に無料にすることには注意が必要です。そこである一定の金額に達すると送料を無料にするといった施策をとることで、カートに商品を入れても決済せずに離脱してしまうカゴ落ちをさけ、客単価の上昇を狙います。

どの金額から送料無料に設定するかは慎重に考えてください。確実に売上げを圧迫する対策でもあります。

リーチするキーワードを吟味する

これは集客に対する対策です。また、関連するキーワードをしっかりと吟味することで、購入への確度の高いユーザーへしっかりリーチすることが重要です。

広告などではノウハウが必要な部分もありますが、しっかりとABテストなどを行ったり、Googleキーワードプランナーなどを使って設定するようにしてください。あくまで検索ボリュームが高いことばかりが重要ではありません。コンバージョンしやすいユーザーはどのキーワードに潜んでいるのかを探ることが重要です。

また、コンテンツマーケティングで時間をかけてしっかりとキーワードをフォローしていくことも効果的です。コンテンツマーケティングは直接コンバージョンをあげるための施策ではありません。長い目で見て、しっかりと商品の魅力やそうした商品を中心にしたコミュニティの醸成などでマーケットを作り出すという意味での効果に期待したい施策です。

具体的な対策などについてはそれぞれのECサイトや企業の状況によっても変化します。ブランディングを考慮したコンテンツ制作に悩んでいたり、コンバージョンを意識した運営の継続に疲れたといった場合は弊社にご相談ください。

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