ECサイト作成の手順はどうすすめるか〜初心者向け解説
2020.06.12
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ECサイトを作成するには、まずどういった方法で制作するかを考える必要があります。個人でECに取り組んでみようという人から、会社で実際に業務をまかされたがECはよくわからないという人など、初心者へ向けてその基本とノウハウの一部をここでは解説します。
構築方法の選択から実際に制作にあたる手順までをここでは解説していきます。おおまかな流れを掴んだら、実際に開始にむけて検討してみましょう。
CONTENS
ECサイトの構築方法を選択しよう
ECサイトを構築する方法はいくつかありますが、ここでは基本的にECサイトの作成はまだ未体験の初心者という方を想定しています。そのため、作業的にも費用的にも比較的大掛かりにはならない方法を中心に話題を進めていきます。
まず、作成に取組む前に頭の片隅に入れておきたいのは、「どういった方法を選定した場合であれ、その後に運営し集客することが重要になってくる」ということです。これについては他のトピックでも解説しています。要するに作ったらそれで自動的に受注がどんどん来て利益が上がるというものではないということを認識しておく必要があります。
この十年でECサイトを開設すること自体はとても簡単にできるようになってきました。その中でどういったECサイトを思い描いても自由です。しかし、参考記事でも説明しているように、その後の運営についての重要性は変わりません。運営について、あわせて以下の記事も参考にしてください。
まずはサイトの規模を想定する
ECサイトの規模や予算感はだいたい以下のようになります。
- 無料ASP
初期費用も発生せず月額利用料は販売手数料として売上に応じて発生。作成自体も簡単で数時間で開設が可能。売上に対する手数料は3〜5%ほどで、ASPのベンダーはこれを収入源にしている。
【参考】どこがオススメ?!ECサイトを無料で開設できるASPを比較
- 有料ASP
初期費用は数千円〜数万円、月額は1000円台から数万円まで幅がある。消極的な選択理由としては無料ASPで開設するには商品数が多く、そのASPのスペックに対応しない場合などに選択される。
一方でカスタムの自由度が非常に高いASPも存在する。そのため実際に売上実績を作っている企業のECサイトでも有料ASPを選択しているケースが現在では多い。そのため、個人ユーザーで利用出来る範囲のものから、ビジネス向けにまで対応する。ある程度の事業規模でも対応できる。年商1億程度がこの構築方法による規模の閾値といわれている。
- クラウドEC
初期費用、月額利用料は数万〜数十万円ほど。プログラムがインターネット上にあり、それをカスタムしていく方法。「自由度が少ない」というASPの問題をクリアしつつ、サーバーのメンテナンスやセキュリティのアップデートなどは事業者側が対応するため、続いて説明するパッケージによる構築でECサイトを持っている場合に発生する問題もクリアする。実際のところASPとの境目は非常に曖昧になってきており、ASPとしても考えることもできる。しかし、作成に関わる要件としては専門知識が必要になってくるため、むしろECパッケージに近いものが求められる。
【参考】注目のECサイト構築方法、クラウドECはASPとパッケージのいいとこ取り?!
Saas型のECサイトとは?~クラウドECを初心者向けに解説
- ECパッケージ
初期費用は無料〜数十万、月額利用料は発生しないがメンテナンスが必要。ECサイトに必要なシステムをダウンロードし、その後、サーバに格納して利用する。サーバーを自前で用意し、ECサイト向けのプログラムをカスタマイズしながら利用する方法。オープンソースとよばれる無料で利用可能なプログラムも存在する。全体的にサイト構築にはある程度の専門知識が求められる。
【参考】ECサイトをEC-CUBEで構築するメリットとリスク
- フルスクラッチ
すべて自前で構築する方法。そのためコストがもっともかかる。数百万〜億単位の構築費用が発生する。大規模なサイトを構想している場合の選択肢。また、既存のWEBでのサービスにはないような独自の機能などを実装したいとなると選択肢として考慮することになる。技術力と開発期間ももっとも必要になる。
と大きく5つの方法を紹介しました。最後の「フルスクラッチ」は規模的にも初心者があまりこの方法を選択することはないかと思います。既存のプラットフォームの中から選んだほうが現実的です。運営も含めて考えると専門のエンジニアリングチームが必要になるなど、予算だけでなく、技術や知識的な要件も高い方法です。そのため外部の専門家の支援は必須です。今回はあくまで初心者向けの解説ですので、このフルスクラッチについては以下の記事を読んで参考にしてください。
【参考】ECサイトをフルスクラッチで構築すべき理由は多くない
ECサイトをスクラッチで構築する理由が大規模ECサイトにはある
もし、単純にインターネット上で商品を販売したいということであれば、こうした独自にサイトを持つ方法以外に、モール型ECへの出店という方法もあります。この場合、「ECサイトの作成」というニュアンスとは少し離れていきます。露出していく苦労は少なくなるので、越境ECなどでは積極的に考慮すべき選択肢になってきます。
【参考】自社ECサイトはモールに出店していてもやるべき3つの理由
仕様を検討して予算を考えれば構築方法は決まってくる
個人での開設であれば、どんなものを売るのか、どれくらいの数量をどのくらいの期間で制作して販売できるのかといったことをまず考えてみてください。キャパシティ以上のものを作っても持て余すことになります。
企業であれば、そうした規模は当然、個人より大きくなってくることでしょう。その上で社内状況やすでに持っている顧客の傾向などを考えて、どういった機能が必要なのか、詳細に関わる部分を考えていきます。
ASPでの構築やその後の運営は、ASPの事業者が提供している仕様に合わせる必要があります。有料ASPであれば、需要が高ければ機能が追加されるケースもありますが、基本的には“ありものを使う”と考えておくほうがよいでしょう。
もちろんこうしたことはリニューアルのタイミングで制作会社に依頼しカスタマイズが可能になるケースもでてきます。
要件が決まってくれば、構築方法は絞られていきます。すでに活用をしている社内システムとの連携が必要な場合は、柔軟性の高い仕様を持ったASPや豊富なプラグインを利用できるECパッケージやクラウドECを選択するといった流れで構築方法が選ばれていきます。
それでは実際に作成の大まかな手順を解説していきます。その作成難易度は
無料ASP
↓
有料ASP
↓
ECパッケージ・クラウドEC
と捉えるとわかりやすいでしょう。
無料ASPは初心者でも簡単に作成できます。有料ASPは凝ったことをしようと考え始めるとだんだん専門的な知識が必要になってくるでしょう。また、どういったASPを選ぶかも慎重に行う必要があります。
そして、ECパッケージやクラウドECであれば構築に関しては外注を考慮するべき方法だという点も覚えておきましょう。HTMLやJava Script、phpなどを直接触る機会が格段に増えます。
どういった種類の構築方法を選択するかは状況によると思いますが、選び方の基本として押さえておきたいところです。
ASPのメリットは手軽に始められる
ASPは「カートASP」や「ASPカート」などといわれることもあります。手軽にECサイトをスタートすることができるため、「ECサイト=ASP」的に結びつきの強い存在です。ASP事業者が、ユーザーのためにECサイトのスペースを用意していて、その範囲内で作成することが求められます。一般的には機能が制限されているため、自由度がないことがネックといわれています。
しかし、逆にこの選択肢が限られていることで、サイトの作成自体が容易になっているという点はメリットにもなります。そのため気軽にネットショップを始めたいというのであれば有効な選択枝です。またECサイトのためのシステムですから、オンラインショップに必要なものは一通りすべて揃っているのも良い点です。
無料のASPはカスタマイズについて可能なことが少なく、有料のほうが選択肢が多いのが一般的です。ここでは無料と有料にわけて説明していきます。
無料ASPに専門知識は不要
無料ASPではBASEやSTORE.jpが代表格ですが、ASPの中でもさらに機能が制限されています。その結果、作成の作業は、むしろ登録作業といった感覚で行えます。
①登録
アカウントを作成します。必要な項目を指示に従って入力します。入力内容は配送に関わる情報やどういった決済に対応するのか、利用規約や特定商取引に関する掲示などの情報も入力します。
②デザインテンプレートの選択
サイトのレイアウトや背景、カラーなどをテンプレートから選びます。①の作業と並行してもかまいません。
③商品登録
販売する商品ごとに品名や価格、写真、説明文などを入力します。
④テスト発注
③までの作業が完了したら、問題がないかテストで注文してみましょう。画面遷移や不足している項目が無いか確認しましょう。
有料で追加オプションを選ぶことなども可能になっています。独自ドメインなどを選択出来るようにしていることもあります。継続的に運営してステップアップしていきたいと考えるのであれば独自のURLを持てる独自ドメインを取得するのもよいかもしれません。個人でできる範囲でやるということであれば、特に考えずそのASPのドメインが含まれる「サブドメイン式」で問題ありません。
レイアウトは他のハウツーでもよく書かれていますが、シンプルなもののほうがよいでしょう。ただし、カラーは商品のイメージなどにも影響しますので、慎重に選んでください。
商品ページの写真や説明文は売上にも影響します。写真は枠にはみ出さない程度に被写体を大きく映し、背景も無背景が望ましいです。掲載出来る枚数を考えて、できる限り死角のないようにするとよいでしょう。
説明文は実際に商品を手に取れないインターネットユーザーにとって自分に必要なものなのか判断するための重要な情報源です。もし確定している寸法などがある場合は必ず記載し、具体的な情報と用途を、しっかりと誰にでもわかりやすく掲載しましょう。
まれにポエムのような紹介文を見ることがありますが、そうした文章はECサイトでは期待されていません。
また、④のテストは必ず行いましょう。クレジットカード決済も注文の取り消しを管理画面で行うことができます。また、受注をうけた際のメールの内容などもオープン前までに必ず確認してください。決済方法について、どういった手順を踏むのか不明ではサービスの提供にも差し支えます。必ず事前に確認しておいてください。
デザインについてはどういった仕様であっても基本的には共通しています。参考記事でECサイトのデザインについて説明しているのでこちらもあわせてお読み下さい。
企業の特性に合わせて有料ASPを選ぼう
企業でASPを選択して選ぶ場合は、商品の特徴などをしっかり考え、業務フローも考慮して選択することが重要です。細かい部分はASPでは調整ができない可能性もあるので、概ねの流れは、ASPの仕様に合わせる必要が出てきます。あまり無理のない範囲で利用可能なASPを選択することが重要です。
また、BtoBがメインであったり、レンタルなど、通常の販売業務ではない場合はそうしたことに特化したASPを探して選ぶ必要があります。
ですのでポイントは
- ASPが合わせるのではなく、企業側の体制を合わせる
- 業務内容にあったASPを選択する
この2つが非常に重要になってきます。
制作の手順としては無料ASPとほぼ変わりません。有料といっても無料ASPより幅は広くありますが基本的な構造は同じです。企業向けのASPはサポートも充実していますし、導入の段階から見積もりの対応をしてくれるASPも多くあります。事前に複数のASPと相談してみることをオススメします。
そのためには、まずECサイトの要件をはっきりと決めておきましょう。すべてを満たすことはできない可能性もあるので、達成したい要件の優先順位を決めておくことが重要です。
ASPは自由度が心配されます。しかし、選択する有料ASPによってはユーザーが直接触れ合うフロント機能においては十分なものがそろっていて、これ以上のものは必要ないというケースも増えてきました。そのため、デザインも自由に組めるようになっているものが多くなっています。
また、それぞれのASPのウェブサイトでは導入事例を紹介しています。どういったサイトに利用されているかを確認して、イメージに合うものを絞っておくことも重要です。
デザインという意味では有料ASPの多くはHTMLやCSSなどでの編集が可能です。もちろんデザインのテンプレートも用意されているのでその中から選ぶことでもかまいません。テンプレートの選択肢は無料ASPとは比較にならないほど多いので、その中からイメージに近いものを選択することでも、あまり不便はないかもしれません。
商品登録では手間を軽減するため、CSVによる一括取り込みなどが可能になっているASPがほとんどです。しかし、無料ASPのコーナーでも説明しましたが、商品登録ページの写真や説明文は非常に重要です。こうしたところで手を抜くと、売上に影響します。マーケットニーズなどを考慮して、社内のいろんなバックボーンのある人に確認作業に加わってもらうことも検討すると良いでしょう。状況によってはライターやフォトグラファーなどを起用することも検討してよい項目です。
テスト注文も必ず、確認しましょう。また、その際に送付されるメールの内容などもしっかりとチェックしてください。こうした文章は購入顧客の安心度や満足度にも影響します。ユーザーのリピートにも影響しますので注意深く確認してください。
また、決済方法は有料ASPでは格段に選択肢が増えてきます。それぞれ、どういった画面遷移になるのか、必ずすべての決済方法を確認してください。決済に関してはわかりづらかったり、異常があるとすぐにユーザーが問い合わせてくる項目でもあります。画面をスクリーンショットに抑えてチーム内に共有出来るよう資料をつくっておくと便利です。
企業向けに利用しやすいASPについての記事も参考にしてください。一部クラウドECについてもふれています。
【参考】ECサイトのASP〜いろいろあるけど、企業向けならどう選ぶ?
ECパッケージやクラウドECはチームで取組もう
ECパッケージやクラウドECでECサイトを作ろうという場合は、ちょっと何かを販売しようという個人や、プログラム初心者のEC担当者が自ら一人で取組もうという状況ではありません。
日本でのシェアが高いEC-CUBEなど、無料で利用できるオープンソースのパッケージも存在しているので、予算規模的には個人でも取り組むことが可能です。しかし、初心者が最初から1人でやるのは、オーバースペックでいろいろと持て余す可能性が高いです。
もし、これらの選択肢でECサイトを構築するという場合は、社内、あるいは社外のウェブ制作会社とチームを組んで取組むことになっているのではないでしょうか。
そのうえでまず、一番最初にやらなければいけないことは「要件定義」です。ECパッケージやクラウドECはプログラム開発の範疇に入ってきますので、制作に少なくとも半年ほどは時間を考慮する必要があります。そうした中で、プロジェクトがぶれないように進行していくためにはしっかりと要件定義をすることがまず必要になってきます。
- 要望の整理
- 課題
- 運用フローの作成
といったことを整理した上で「設計」に入ります。基本的な画面などの設計や機能も含めてどういった仕様にしていくかを決定していきます。設計がおわれば、実際に手を動かして作り上げていく「開発」という段階に移行します。
要件定義
↓
設計
↓
開発(実装)
↓↑
テスト
↓
完了
開発後にテストを繰り返し、問題があれば開発へまた戻します。最終的に連携が必要な外部のシステムとのテストをして問題がなければサイトの開発が完了します。
商品登録や決済などの動作の確認の要点はASPと同様です。パッケージなどで組んだから、そうしたことに気を使わなくても集客出来るなんてことはありません。
ECパッケージはアップデートの作業が必要
ECパッケージとクラウドECで差が出てくるのはアップデートなどのシステムのメンテナンスの要不要です。
クラウドECであれば、事業者側で利用しているパーツのアップデートに対応していきますが、パッケージではバージョンアップに関わる作業を自社内ですべて対応する必要があります。また、オープンソースではサポートが受けられないので、プログラム周りの知識が継続的に必要になってきます。
こうしたメリットやデメリットを考えるとECパッケージを販売する事業者でもクラウドECに力を入れる企業が多くなってきました。今後、クラウドECはある程度の規模を臨むECサイトの構築手段としては主流になっていく可能性が高いです。
ただし、情報の機密性を気にする企業では、クラウドという共有空間に情報をあげておくことに抵抗があるケースも少なくありません。そのため、それぞれの事情にあわせた選択肢として、消えずにいろいろな方法が残っていくことになりそうです。
作成よりも集客は難しい
ECサイトを公開したら、その後に集客を考えていく必要があります。最初はどういった構築方法であってもセッション数は多くは集まりません。
そのためユーザーの動向をしっかりと分析して対策するウェブマーケティングやSEO対策などが必要になってきます。
また、どこか問題点があれば改善を重ねてECサイト自体を常にブラッシュアップしていく必要があります。また目標を立てて計画的に運営していくことも重要です。どうやったら集客力をあげられるかを考えて、実行していく作業も必要になります。
通常の店舗とECサイトの運営は似ている部分も多くありますが、そうしたことは、サイトの機能などに落とし込んでいくことで、工数を減らしつつ、ウエブ上での集客戦略を実行していくことが重要です。それにはどういったことが必要なのか、サイトの問題点はどこにあるのかを考慮して対策することが求められます。
専門家とのチームアップで次のステップへ
時にはそうした場面でプロフェッショナルに頼ることも必要かもしれません。その場合も、課題や問題を粘り強く探り当てて解決策を設定し実行できるパートナーを探すことが成功へのカギとなるでしょう。
ECサイトの業務は幅広いものです。コンサルタントというだけでなく、実際に作業も代行できる実務経験のある専門企業と組むことで、ECサイトの持つポテンシャルを最大化していくことで利益を増大させること可能です。
【参考】ECサイトの運営代行で利益の最大化をめざせるネットショップを作ろう
初心者向けのASPを比較する資料をご用意しました
ECサイトの作成ということを考える場合、初期であればASPでも低価格帯で選べる事業者の中から選択したいと考えると思います。
そこでサイト制作の依頼を受ける立場として、安心して利用できるASPをピックアップし、比較した資料を無料で閲覧できるようにご用意いたしました。また、その中でも、今、海外から入ってきて活用しやすいASPとして人気のShopifyを掘り下げてご案内しています。まだまだ不明点の多いASPだからこそ、一読の価値ある資料となっています。この機会にご登録いただき、ぜひお読みください。