ECサイトをEC-Cubeで構築するメリットとリスク

2020.08.13

オープンソースでのECサイトといえば、国内ではEC-CUBEが最右翼です。

あらゆるECサイトに応用出来る豊富なプラグインの存在もあり、コストをかけずに自由度の高いサイト構築を目指すのであれば、あらゆる選択肢のなかで候補にあげられる方法です。ここではEC-CUBEを利用するメリット、そして利用に関連するリスクについて解説します。

日本でのオープンソースパッケージ代表格

ECサイトの構築方法は主に4種類あり、EC Cubeを使った構築方法はパッケージと呼ばれる方法の中でもさらにオープンソースという方法に分類されます。

その他の構築については以下の記事を参照してください。

【参考】ECサイトの構築の基本とは〜売れるサイト作りの方法を解説

EC-CUBEは日本でナンバーワンの利用者数を誇るECパッケージです。オープンソースというだけでなくパッケージという部分でも代表格といっていい存在です。

公称ではEC-CUBEを導入して構築されているECサイトは35,000店舗あるとしています。パッケージはECサイトに必要な機能をもったプログラムをダウンロードして構築作業を行います。それをサーバにインストールして使用します。

決済サービスに関わることやさまざまなタイプの商品を販売するための機能が一通り揃っており、カスタマイズしたり、機能を追加することもできます。

またEC-CUBEはパッケージの中でも先述のとおり「オープンソース」に分類されます。オープンソースとはライセンスの使用料が不要なプログラムのことです。そのため、その利用に際しては料金が発生しません。

またオープンソースのプログラムはこれに加えて自由にカスタマイズできるのも特徴です。なかにはEC-CUBEをカスタマイズして、有料のパッケージの製品として販売している企業も少なくありません。

オープンソースについてはこちらの記事で詳しく説明しているので合わせて参考にしてください。

【参考】ECサイトをオープンソースで作るメリットと注意点

現在ではインストールして利用するタイプのものだけでなく、クラウド上にパッケージが収納されていて、更新作業が不要なクラウドタイプのものも提供されています。

クラウド版のEC Cubeは有料ですが、今までEC Cubeにとっての大きな弱点とされていたセキュリティーの脆弱性などに対するコストや技術的なハードルの高さを解消するものになっています。このクラウド版の場合はパッケージではなく「クラウドEC」ということになります。

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特徴とメリットは自由度と初期費用の圧縮

EC-CUBEでサイトを作るメリットはなんといっても自由度の高さです。その柔軟性は機能やデザインがテンプレートによって定型化されている多くのカートASPでは実現できないものが多くあります。

特徴の一つに機能の追加が容易な点があります。基本的なECの機能についてはベーシックなパッケージの中に揃っています。これに加えて機能を追加するためのプラグインも豊富に存在します。

プラグインの利用についてはすべて無料というわけではありません。しかし、必要な機能を開発するコストをかけることなく、欲しい機能を追加できる可能性があります。

こうしたフレキシブルさによっていろんなシステムを組むことが可能です。例えば決済などの方法を増やすことについても柔軟に状況に合わせて変更していくことができます。もちろん普通は決済代行会社を利用することになると思います。

しかし、こうしたことはASPであれば、決められた範囲内でしか行えないので、もはや比較対象にはなりません。対応可能な範囲で比較するならばEC Cubeの優位性については圧倒的な差があります。

フォーラムの充実はパフォーマンスにも影響する

また、利用者が多いことも一つのメリットになっています。EC Cubeのフォーラムでは情報交換が盛んに行われており、そうしたスペースが用意されているからです。「フォーラム」とは、ユーザー同士が質問を投げ合いながら情報交換する場のことで、このフォーラムの大きさはソフトウェアの利用環境に大きく関わってきます。

日本では、このようなフォーラムでの活発な意見交換は一般レベルでは重視されていません。しかし、専門家や海外ではこうしたフォーラムなどのコミュニティの盛況ぶりは、パフォーマンスの最大化やトラブルシュートの面では大変重要視されています。オープンソースのものはどこからもオフィシャルなサポートは受けることができません。そのため、こうした活発なフォーラムの場を持つことで、その情報を積極的に活用することが可能になります。

そして、実際にEC-CUBEでは開発者同士が意見交換するフォーラムでの交流が盛んです。オープンソースではこうした環境があることそのものも重要であり、また利用者が多く、その後も廃れずに勢いを保っている背景にはこうしたコミュニティが維持されていることも関係していると言えます。

またこれによって導入事例が増えるという環境が生まれており、うまくビジネスとして循環する要素となっています。

ライセンス利用料は無料

自由度が高く、機能も豊富にカスタマイズ出来るEC-CUBEですが、もう一つすごいところはライセンス利用料が発生しないところです。これがオープンソースでのECサイト構築の大きなメリットでもあります。

その結果、初期構築の費用を大きく圧縮できます。例えば自由にショップを構築できるという点でフルスクラッチを検討しているのであれば、その前に十分にEC-CUBEでの構築を検討してみたほうがよいでしょう。かならずしもすべてのプログラムがオリジナルである必要性は全くありません。

ランニングコストに関してはまた別の話になりますが、既存のASPの枠にはまらず、自由にECサイトを構築したいということであれば有力な方法といえるでしょう。

【参考】ECサイトをフルスクラッチで構築すべき理由は多くない

EC-Cubeは意外と費用はかかる

構築方法を紹介するページでは、どういったサイトでも判を押したように「オープンソースは無料で利用できるから、他の構築方法と比較して費用がかからない」と書いています。そのため、オープンソースならお金をかけずにECサイトが作れるという誤解があります。

しかし、実際にはそれなりに初期費用は必要です。わかりやすいところではサーバの費用です。結果的には安価のカートASPくらいは最低限でも必要です。

また、構築や更新に感してはそれなりの専門知識が必要です。ASPであれば、ブログを開設するような感覚でできるものもありますが、ここはそうではありません。EC-Cubeのバージョンが新しくなれば、それに対応するための作業が必要になってきます。

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常に技術力が必要になる

EC-CUBEでECサイトを構築したり、アップデートなどを行う場合には技術者の存在が不可欠です。基本的にベンダーからのサポートを受けることはできません。

まず、構築についてですが、EC-Cubeをまったく素のままでできる範囲のことしかしないというのであれば理論的には技術者なしでも可能です。しかし、それであればASPをどれか利用するべきです。見た目や使い勝手など、なかなか厳しいサイトが出来上がることになります。自由度を求めないのであれば、選択することのメリットが金銭的な点以外、ほぼ活きません。

カスタマイズしていくためにはWEBに関する知識は必須です。EC Cubeの構築をするのであれば、社内でやるのであれば、そもそもITに強い企業で人材が豊富にいるという条件がついてきます。そうした技術面でのリソースがなければ制作会社に依頼するということが現実的ということになるでしょう。

また、セキュリティ面でのメンテナンスを自社で行っていく必要もあります。PHPやデータベースのヴァージョンをしっかりと最新に保っていくなどは基本です。EC-CUBE自体を古いまま使っていて、そのことが原因となって情報漏洩や乗っ取りなどが起こってしまっては目も当てられません。

こうしたメンテナンスやアップデートの作業に関しても技術者の力が必要になります。つまり、常にWEBテクノロジーの専門家がサイトの管理に関わる必要があるのです。

気をつけなければいけないのは有料のECパッケージのなかにはEC-CUBEをベースにしているものも少なくないということです。このようなパッケージを利用して構築した場合もメンテナンスなど、管理については継続的に行っていく必要があります。

もし、なんらかの事故を起こした場合は、パッケージを利用してサイトを運営している事業者側の責任になります。こうした「サポートや補償がないこと」から、EC-CUBEでのサイト構築を躊躇する企業も少なくありません。

しっかり管理できるなら魅力的な構築方法

EC-CUBEに限らず、オープンソースでのECサイト構築は、今現在では頭打ち感があるのが実状です。管理のハードルがあるため、独自にECサイトを作ろうという企業や、WEB制作だけを行う制作会社からは推薦するのが難しい状況があります。

こうした状況はECのHow toを解説するまとめサイトやWEB制作会社のコンテンツマーケティング向け記事でもよく見られます。

しかし、しっかりと管理できる体制を持てるのであれば、自由度の高さと豊富な機能のオプションは非常に魅力的です。技術力もある運営代行会社とパートナーを組めるのであれば、リニューアル時などには選択肢として視野にいれることも考えられます。

最近はクラウドECなどの勢いも高くなっています。しかし、まだこちらも発展途上です。そう考えると国内のECサイトではまだまだEC-CUBEの存在感は決して小さくありません。

実際のところ、大きく伸びる可能性は高くありませんが、一定の需要は常に消えず、ECサイトの構築方法として残っていくことでしょう。

弊社でもEC-CUBEでのサイト構築に対応しています。自由度の高い構築方法として選択肢にいてている場合は、ぜひご相談ください。

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