ECサイトを無料で開設してステップアップを目指す方法
2020.05.19
実はECサイトを始めることに対する敷居はとても低いです。
どんなに良い商品やサービスを扱っていたとしても隠していては広まりません。もし資金がないのであれば、無料のサービスを活用し、販売したいと思っている商品を世の中に流通させることが重要です。そうした願いを叶えるのが無料ASPなどを利用して構築したECサイトです。
ここでは無料でECサイトを作ってオンラインでの販売をスタートする方法やその後のことなどを解説します。
CONTENS
無料の意味は考えておこう
改めていうまでもないとは思いますが、無料といっても全てが無料ではありません。ECでも「無料で始める」というのはあくまで初期費用がかからないという場合が多いです。こまごまとした作業に関わる労力だったり、販売に関わる手数料など、純粋な意味で完全無料で継続して運営できるものではありません。
まず最初に、あくまで「無料は最初だけ」と割り切っておきましょう。また、「無料」にばかり囚われていると、ランニングコストがかさんだり、売上げは伸びても収益が伸びないなんてことになる可能性もあります。そのため、最終的にはあまり入り口にこだわらないことも大切です。また時には有料のサービスも活用することで、作業性を高めるという視点は持っておきたいところです。
費用がいらないのはこの4つの方法
さて、実際にECサイトの構築に対し費用がかからない方法はどんな方法でしょうか。
主に考えられるのは以下の4つと言われています。
- 無料ASPの利用
- 無料で出品可能なモールを利用する
- EC Cubeなどのオープンソースによるパッケージを利用して作成する
- WordPressのプラグインを利用してECを連携させて作成する
実際には後半の2点は条件がつきます。オープンソースやWordPressでのサイト構築には初心者が行うにはハードルがあります。そのため、構築に関しての作業的な費用がかかることは認識をしておいたほうが良い方法です。
オープンソースはそこまで「無料」ではないかもしれない
また、それに加えてそれぞれ作成したサイトのデータを置くためのサーバーをレンタルしたりする費用が必要になります。そこへ独自ドメインの取得なども考えているのであれば、ドメイン取得の料金も必要です。
サーバーのレンタルについては、初期登録料が¥3000ほどです。月額はプランにもよりますが¥1000程度からあります。もっと安価な月額で使用出来るサーバーもありますが、機能やセキュリティ面を考えると、最低限でも月額でこの程度の出費は考慮すべきです。他者の侵入を許し、書き換えなどがおこるとその修復に関わるコストは軽くはないので、そういった費用をあまり削ろうとは思わないほうがいいでしょう。ドメインの取得は年間で¥1000ほどです。この金額は.jpや.comなど選択するドメインで変わります。
EC-CubeなどのオープンソースによるECプラットフォームよりはWordPressのほうが、比較的導入の手間は少ないといえます。それでも、無料ASPやモールでの利用とは比較にならないほど工数が必要です。
その分、オープンソースやWordPressを利用したECの導入は他の2つと比較すると拡張性には優れています。そのため、費用という面ではなく、構築の柔軟さにフォーカスして導入されることもある構築方法です。構造的な面も含めてデザインでの自由度は高くあります。自社でのECサイトで込み入ったことを行いたいという場合には、費用を度外視して、EC-Cubeがもっとも現実的な選択肢となることもあります。
もう一つ考慮しなければいけないのはオープンソースはアップデートに対しての工数が多くなることを考える必要があります。つまり構築後のメンテナンスにそれなりの労力が必要になるということです。
ECサイトに限らずウェブではセキュリティ対策が常に課題になります。
中でもオープンソースで構築した場合はすべて自社で、あるいは個人で始めたことであれば自分で行なうため、その辺りのコストも考える必要があります。そうしたことから、自身で構築して管理も行なうオープンソースでのECサイト構築は無料で始めるECサイトのトレンドではなくなりつつあります。結果的に圧倒的に専門性が必要になってくるからです。
結局のところ、「無料」にこだわって始める場合は無料ASPを利用するか、モールへ出店することの2つに絞られるといえるかもしれません。
無料でのモール出品ならYahooショッピング
モールとは、インターネット上にあるショッピングモールのことです。具体的にはAmazonや楽天、Yahooショッピング、Lohacoなどがあります。
モールのメリットは出品の手軽さと、そのサイト自体の高い集客力を利用できる点です。
その代わり、販売する度に手数料が発生し、売上からサイトを運営する事業者に徴収されます。また、事業者側が設定したサイト自体の運用ルールにも利用する企業は強く影響を受けることになります。
どのモールに出品するかとなると、いろんな選択肢があります。例えば集客力で考えればAmazonや楽天の名が挙がるでしょう。しかし、無料ということにフォーカスするとYahooショッピングという選択肢が有力になります。
Yahooショッピングも十分に高い集客力をもっています。それに加えて初期費用や月額の固定費が発生しないことで、多くのスタートアップに注目されています。
そのかわり、決済手数料が3%以上発生します。手数料率は購入時の決済方法により変わってきます。また、その他にTポイントの原資として2.5%が発生します。その他、アフィリエイトでの広告手数料や、そこからの流入になると報酬が発生します。そのため、ランニングコスト的には販売が広がるとそれなりに発生してきます。
ただし、初期に無料で展開できるということは魅力です。自前のECサイトとあわせて多角的に展開したいと考えているのであれば、利用してみたい選択肢といえます。YahooやYahooショッピング自体に集客力があるので、あまりSEO対策などを考えなくてもそれなりに成果をあげることが期待できます。
ただし、「ここ一本でたくさん売りたい」というのであれば、手数料の問題は考慮すべきです。「ブランディングをして商品をもっと知らしめたい」と考えるのであれば、そのための拡張性はモールでは期待できません。そうした点では他の方法に遅れをとります。
それでもなお、自前のECサイトのオプション的に併用するという方法もあります。「こういう方法もある」と覚えておいて損の無い情報です。
無料ASPのメリットと課題
無料ASPは最近一段と普及してきました。BASEはテレビでのCMを盛んに展開しています。国内ではそれに対し、Storesも勢いがあります。またASPの大手であるカラーミーショップも無料プランを提供する予定で、この領域に参入してきます。
無料ASPとYahooショッピングを比較すると、無料ASPは月額手数料など、販売に関わるコストを抑えることができます。構築も簡単にできるものが多く手間もかかりません。
もう一点メリットを加えるとブランディングという点です。無料のASPを使った自社サイトとYahooショッピングを比較すると、この傾向はより強くなります。例えば、料金は発生しますが、独自ドメインを取得することも可能です。またBASEなどはCSSの編集がかなり踏み込んで行えるようになっており、一時期私的されたデザインの自由度も十分に確保できると言われています。
こうして聞くとメリットは多く、無料ASPで十分な気もしてきますが、デメリットも当然存在します。
多くの場合、無料ASPを利用する上での課題は集客力での拡張性のなさです。SEO対策として記事流入などを目的としたコンテンツの作成して紐づけるなどの作業も困難を極めます。そのため、そもそも「ある程度の範囲に顧客がいる」「商品が有名」など、ここだけで成功しようとするにはある程度の条件があります。
もし集客の課題をクリアできた場合は、販売の手数料もネックになります。売上が伸びてきた時はその割合に応じて手数料の額も多くなってくるため、その場合は他の構築手段よりもコストパフォーマンスが悪くなる可能性もあります。この点についてはモールへの出品も同様のことがいえます。
それでも、「ECサイトとはどういったものなのか」という興味があったり、ざっくりと仕組みを捉えて、実際の業務と結びつけてみたいというのであれば、やる価値は十分にあります。
初期の投資としては、テンプレートを選んで入力するちょっとした手間だけです。実際にやってみて、「こうしたい」「こういった機能が必要だ」ということを理解することが後々の財産になります。
簡単に始めることができるため、インスタントECなどと呼ばれる場合もあります。無料ASPを使ってとりあえずオンラインショップを開始して、ネットの中にビジネスの場を築くきっかけにするということでも悪くないでしょう。
無料であっても始めたらあきらめずステップアップを目指そう
先にも触れていますが無料ASPやYahooショッピングの圧倒的な弱点はブランディングに弱いという点です。そのままでは販売の成長力を伸ばすということがインターネット上では期待できません。
インターネットはコミュニケーションを滑らかにするための技術です。この点がECサイトを構築する醍醐味でもあります。メーカーなどではユーザーと直で繫がれるというコミュニケーションのフレキシブルさは魅力的です。それを活かしてブランディングを進めて、商品や企業そのものの価値を高めることがECサイトの目的ともいえます。
ブランディングをしていこうと考えても、この2つの方法では実施しにくいという問題があります。また、拡張性という点では致命的といえます。そのため、それぞれ、頭打ちになってしまい発展性がなくなる可能性があります。
もし、伸び悩んでしまった場合は思い切って次へステップアップしてもいいタイミングかもしれません。ECサイトは継続していくことが成功の秘訣ともいえます。無料で始めたままの状態で途中で限界を迎えてやめてしまっては、その成功への道のりをみすみす捨ててしまうことになりかねません。
無料ASPなどでの体験は無駄ではない
とりあえず試しにはじめてことでわかることは実はたくさんあります。たとえば実作業にかかわるリソースなどです。最初は多くの人が「開設すれば、あとは落とし穴にはまるようにユーザーが飛び込んできて、何もしなくても売上げが上がる」と思っていませんか。でも残念ながらそんなことは決してありません。
さらにECサイトを初めてみると意外なところにリソースが必要なことを多くの人が理解します。スタッフが対応できる工数を超えて受注が入ると、そこでパンクして目詰まりをおこします。ユーザーからメールで連絡が来れば、それに対応しなければいけません。
もし無料ASPやYahooショッピングで、少しでもECサイトの業務について体験していれば、こうしたことは必ず必要な作業として企業の体制に落とし込んだりすることを考慮できます。こうした内部的なことを考えることができることは、実は意外に大切です。どこに工数が必要でどういったスタッフが必要かといった体制作りにいかせます。
そのうえで何がこの先必要になるかということも、伸び悩んだポイントを振返ることで見えてきます。
無料の次はブランディングできるECサイト
この段階にきて必要なのは、ブランディングできるサイトの構築です。集客しやすいけれどブランディングの難しいモールと、ブランディングはある程度できても集客に課題のある無料ASPでできなかったことを実現するために、次のステップへ進みましょう。目指すのは集客もできてブランディングできるサイト構築です。
ASPも新たなものを選び、充実させていく必要があるでしょう。構築についても運営を考慮しながら作り方を考える必要があります。
企業向けのASPについては次の記事もぜひ参考にしてみてください。
【参考】ECサイトのASP〜いろいろあるけど、企業向けならどう選ぶ?
サイトのメンテナンスをしっかり行ない、コンテンツを増やして、サイト自体の認知が進んでいけば、収益化がどんどん進んでいきます。また、どんどん専門的な知識も必要になってくるでしょう。そういった段階にくれば、一緒に運営を並走してくれるサポート企業の力が必要になってきます。さらに深堀し、広げていくことでブランディングされ、ECサイトは強くなります。