ECサイトの商品写真、画像加工のポイントはリアリティとわかりやすさを意識して
2020.06.16
ECサイトに使う商品の写真があまりピンとこない…そうなると画像加工の出番です。最近では、画像編集のソフトが普及しスマホでも加工ができるほど身近になってきました。
しかし、実際に加工をはじめると、どの辺で終わりにすればいいのかキリがありません。そうならないよう、どこに加工のポイントがあるのか解説します。また、解説の最後には撮影のテクニックを解説した資料もご用意しております。
CONTENS
購入を検討するユーザーにとって写真は大切な情報
ECサイトでは、ユーザーが実際に手に取って商品を見ることができません。こうした状況の中で販売されている商品がどういったものなのか具体的にイメージをユーザーが持つためには写真はとても重要な存在です。
また、商品画像はECサイトの運営側が提供する情報の中では影響力も大きく、写真次第で実際に売上にも影響します。
商品ページに掲載する写真によって、質感やサイズ感がわかれば具体的に商品のイメージもしやすくなり、購買につながりやすくなります。
実際に多くのモール型サイトやオークションサイトで、写真は購入を決定する要素として最上位に来る項目であるということがわかっています。つまりECサイトの売上をあげたいのであれば、どういった内容の商品を扱うにしても写真には必ず気を使う必要があるということです。
画像加工はリアリティを意識して、被写体を全面に
現在は写真がほぼデジタルデータになりました。その結果、画像の加工もしやすくなりました。無料のソフトやデフォルトでパソコンに付属している機能でもトリミングなどのある程度の加工なら可能です。Photoshopなどの専用ソフトを使えばさらに様々な加工ができます。
もっと言えば、多くの画像加工用のツールが乱立しています。こうした画像を加工する作業は今や商業用の写真では当たり前のように行われるようになりました。
ECサイトに掲載する写真も、実際にいくらでも加工が可能です。赤い商品を青くすることもできます。しかし、基本的には手の込んだ加工はほどほどにするよう心がけましょう。商品そのものをリアルに伝えることが信用につながるからです。
どういったツールや方法で加工するとしても、トリミングや背景の変更、影や明るさの補正、写真撮影時のイメージと実際の画面で確認した際の色調を合わせるといった感じで使うのが基本です。
逆に極端な誇張を行うと、実物との違いに購入者は愕然とするかもしれません。いくら売れるためだからといって、あまりにイメージと違えばクレームの原因にもなります。
画像加工に対する心がけとしては料理の塩胡椒程度の感覚がちょうどいいところです。あまり処理しすぎると素材がわからなくなってしまいます。
また、画像加工を前提にするのではなく、そもそもの写真をしっかりと撮影することも重要です。最初に撮影された写真の状態で商品が魅力的に撮影出来ているのであれば、画像加工の手間は少なくすみます。そのため、画像加工の技術もさることながら写真撮影の技術も重要といえるでしょう。
またECページに芸術的な写真は求められていません。そうした中でもコラージュのような写真は絶対に避けるべきです。トップページのサインだったりオマケ的に話題づくりで利用するのであれば問題ありませんが、商品ページでのメインのヴィジュアルとして使用すると悪い意味で売上に確実に影響するので要注意です。
狙いはシンプルに魅力を伝えること
商品として掲載する写真のポイントはしっかりとわかりやすく商品を捉えることです。
例えば背景にいろんなものが写っている写真と、白い背景に商品だけが置かれている商品では、どちらがその商品を認識しやすいでしょうか。
もちろん後者の白背景に軍配が上がるでしょう。また、被写体のレイアウトも適度な余白を残しつつ全面に商品が配置されているほうが見やすいです。こうした基本をまずはしっかりと守ることが重要です。
守るべき基本事項として
- 被写体を中心におく
- 商品に汚れがついていない状態で撮影する
- 適度な明るさがあり、商品の状態がはっきりとわかる
といったことを心がけます。
また、アングルはできる限りどの商品も同じになるようにしましょう。構図が統一されることで、サイト内での商品の違いを捉えやすくなる効果があります。また、ECサイトの統一感にも関わり、サイトのイメージにも影響します。
背景を白にしているサイトも多くあります。理由にはいくつかありますが、白バックにすることで商品の色がよくわかると言われています。実際には扱う商品が白い商品を主体にしているのであれば、少し工夫は必要ですが、大抵の商品は白が背景のほうが見やすいでしょう。また、カラーバリエーションを持つ商品であれば、商品ごとの色の比較もしやすくなります。
他にも白バックは、「好む人が多い」「単純に売上が上がりやすい」といったことが言われています。商品のイメージによってはブランドの高級感を出そうと薄い紫などでグラデーションをつけたりすることもありますが、どちらにしても、「背景はシンプルなほうがいい」ということは原則的に間違いありません。
ECサイトの商品写真の場合、狙いはあくまで商品がしっかりとクローズアップされることです。そのため、人物の映り込みなども避けるのが基本です。
複数掲載する場合は利用のイメージを演出
商品ページのトップの写真はあくまでシンプルに形や色、質感がわかりやすく伝わるものを選びます。
「では2枚目は?」というと同じようにする必要はありません。実際に使っている様子などを撮影してみてもいいでしょう。全体ではなく、そのパーツの一部にフィーチャーして詳細を伝えることも時には必要です。
ただし、その場合も商品以外の情報は極力少ないほうがよいです。たとえば誰かが操作している様子などの場合はなるべく人物の顔は入れず、商品を大きく写すことが重要です。顔が入るとどうしても人間の心理として顔に目が行ってしまうからです。
とにかく、なるべくシンプルにということは変わりません。また、写り込みによって著作権侵害になるという思いがけないケースもあります。利用環境の紹介をしようと撮影した場合にはキャラクター商品などが画角内に入っていないかについては要注意です。やはりこうした場合も、可能な限りシンプルにするということで回避できますし、方針には変化がありません。
加工には画像編集ソフトが便利
サイズの変更程度であれば、PCにデフォルトで入っているソフトで十分対応できます。しかし、やっぱりPhotoshopなどがあると非常に重宝します。
商品を背景から切り離したり、それを白い背景の中に入れるといった作業はこうした編集ソフトがあると非常に効率よく進みます。操作自体は数時間いじり倒してみると簡単な作業であればだいたいマスターできます。
先述した切り抜きや貼付けだけでなく、暗めの写真を明るく変えたり、ぼやけた色をはっきりとさせたりする程度の作業は一瞬で終わります。
また最近では、クラウドサービスの中にも画像編集の可能なものがあり、よく使われています。以前はPhotoshop一強という状況でしたが、「PIXER」や「Canva」など無料で使えて機能が十分なものも少なくない状況になってきました。
もう一つ画像加工の役割として大きなものがデータサイズです。大きなデータをそのままWEBに乗せるのは負荷が大きくなります。データをリサイズしましょう。よくWEBで利用されるファイル形式はPINGやJPEGですが、形式に問題がなくてもサイズはしっかりと確認して、画角に適切なサイズにし、極力ファイル容量も少なくしましょう。
ASPを利用したECサイトであればASP側で適切なサイズが指示されているはずです。また、他の構築手段で、外部に依頼した場合は、適切な画像サイズについて事前に確認してください。
ファイルサイズの変更には画像データ変換サイトが便利です。ただし、あまり信用性の低いサイトで実施するのはリスクを伴います。世界的大手ASPのShopifyでも画像変換ページを用意しています。目的のはっきりしたサービスを利用してください。
著作権には要注意
注意しなければいけないのは著作権などの法律に触れる可能性のあることがらです。そうした点を考慮するとどこかから拾ってきた写真は使うのを避けるべきです。
他のECサイトに掲載されていた写真をそのまま使っているケースを稀にみかけますが、トラブルの元です。また、写真を著作権フリーで提供しているサイトがありますが、こうしたサイトの素材も商品ページに利用するのはやめましょう。誰もが利用できるサービスである以上は誰かが他のサイトで利用する可能性があります。
メーカーではなく、卸で扱う商品をECサイトで扱う場合には、こうした写真の2次利用によるトラブルには注意してください。
【参考】Canava
モール用の写真は掲載ルールを厳守しよう
自社のECサイトに限らず、Amazonや楽天市場、Yahoo!ショッピングなどのいわゆるモールに出品している場合は、利用規約をしっかり読み、写真はかならず掲載ルールを守りましょう。
それぞれ、モールでは画像に対して禁止事項があります。それだけ、画像を重視しているということでもありますが、守らないと出品時に検索されなくなったりすることもあります。
例えば楽天であれば
- 画像に対し文字は21%以下にする
- 写真内に枠線を利用しない
- 幾何学模様やスクリーントーンの派手なパターン、奇抜な背景色の禁止
などです。
Amazonでの基準はさらに厳しく
- 不鮮明、画素が荒い、ギザギザに処理された画像の禁止
- 文字やロゴ、透かしなどが施された写真の禁止
- 複数のパターンがある商品を一つの写真に収めることの禁止
- 商品の画像がフレームの85%未満の写真の禁止
- 卑猥な画像の禁止
- マネキンを使用した画像の禁止
- モデルの画像は基本的に禁止。衣服やアクセサリを着用した写真は可。ただしその場合も、立っている状態のみ可
- 撮影されている商品は梱包がされていない画像。タグなどもついていないこと
といったことが求められています。こうしたルールは変更されることもあります。モールに出品している場合は定期的にルール変更がないかをチェックする必要があります。
モールでは写真が売上に影響する部分も大きくなりますが、やはり基本は同じです。画像加工に力を入れすぎても結果的にマイナスになっては意味がありません。
プロに依頼するという選択肢も忘れずに
写真は今は誰でも簡単に撮影できるようになりました。それほど高額ではないデジタル一眼レフも普及しており、誰でもクオリティの高い写真がとれるようになってきました。そこに加えて画像編集ソフトもあるのでなんでもできてしまうように思うかもしれません。
しかし、スクリーンやフォトブース、ライティングのある環境で、技術のあるカメラマンによって撮影された商品写真と自分で撮影した商品写真を見比べるときっと愕然とします。
経験があり、スキルの高いカメラマンによって撮影された写真はピントや明るさ、奥行きなどのポイントが押さえられています。また、プロの仕事は速く、加工の処理をしたとしても格段に短い時間で済むでしょう。
これからは静止画だけでなく、動画もECサイトには求められてきています。動画マーケティングは今後視覚的なマーケティング手法のメインとなっていく気配です。
そうした中で効率とクオリティを両立させるという点ではプロの力による効果も少なくありません。
また、こうしたことに限らずいろいろな作業を要求されるのがECサイトの運営です。そのため外注という選択枝は常に持っておきたいところです。これは効率ということだけでなく、クオリティという面でも大きな意味があります。
もちろん弊社でも画像などのコンテンツに関するアサインを承っております。お気軽にお問合せください。
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