頭打ちになったECサイトの売上アップは施策見直しと心構えから

ECサイト担当者であれば常に頭にある売上アップ。その方法についてはいろんな方法論や意見がありますが、一朝一夕ではいかないというのが本当の答えです。

それでも、今まで伸びていた売上が頭打ちになってくると悩みは大きくなり、良い方法を求めて、なんとか解決の糸口を探します。しかし、そういう時ほど、問題に嵌りやすい状態なので要注意です。そうした泥沼にはまらないためにも、ここでは問題究明を中心にECでの売上アップを解説します。

ECではまずはなんでもやる姿勢を持つ

自社EC担当者がもっとも頭を抱えるタイミングは「売上が頭打ちになる」状態ではないかと思います。

ネットショプのローンチ直後の集客が難しい状態は確かに厳しいです。検索での流入も少ないため厳しく、認知されていないのでこうした状況を覆すのはなかなか困難です。しかし、そうした状況に対してのアイディア自体に困ることはなく、逆に手が足りないというような状況になることのほうが少なくありません。まだまだ右肩上がりの予感を感じての業務の中で深刻さや悲壮感は少ないといえます。

しかし、順調に伸びていた売上の伸びが少なくなると、限界なのかそれとも何か問題があるのかがよくわからなくなります。そこに売上自体が落ち込まないことも判断を難しくします。今までの積み重ねを否定することも、施策やサイトの構造自体の問題と判断することも簡単ではありません。そうなるとなかなか出口が見えない気持ちになります。

まずは、こうした状況はECサイトにとっての変化のタイミングとしてポジティブに捉えるべきです。判断としては今までの体制による運営の限界値にきたということになります。これはその次のステップに進むべきタイミングといえます。

「外」は変えられないが「内」は変えられる

まず、「売上の限界」と考えるのは現状のEC市場が伸びている中では考えにくいことです。もちろん、何事も可能性はゼロではありません。しかし、原因追及の選択肢として、外の環境に目を向けるのは一番最後にしたたほうがよいでしょう。何より、外の環境を変化させることはできません。そのため、外部環境の問題にしてしまうと、頭打ちの状況を打破できなくなります。

「ピンチはチャンス」という言葉がありますが、オンラインショップの運営では多いにこの言葉が当てはまります。誰もが順調に売上が伸びているタイミングで、見直しや改善策を実施したり、考えたりはしないものです。しかし、ECサイトの運営はトライ&エラーを繰り返しながら、状況を見て進めていくことが重要です。そうしたことは理解していても、伸びているうちは何か特別なことをやってみようとは思わないのが人間の心理です。

また、ECの状況はどんどん変化していきます。そうした状況のなかで、変化を求めない姿勢自体が売上アップの可能性を阻害しているといえます。売上アップの施策を示すサイトも多くあります。しかし、実際にはそのようなサイトで示している通りにやっても結果が出るかはそれぞれのECサイトの状況次第ともいえます。一定の方程式はありません。基本的なセオリーとして踏襲する必要はありますが、何よりも「何でもポジティヴに考えてみること」こそが重要です。

強引な営業はトラブルの素

「なんでもやる姿勢」は重要ですが、一つだけ注意しておく必要があるのは「強引な営業」です。ECサイトの指南サイトはたくさんありますが、それを書いている人の多くはインターネットについての知識者たちです。参考になることはたくさんありますが、問題は「客商売のプロではない」ということです。

そのため、中には売上アップだけが目的になっているような記述もあります。大量のメールやSNSのDMはスパムとなります。ポップアップ広告をいろんなところに出稿すれば、ノイズになります。

中には購入単価アップのための定期購入への電話勧誘などを進めるものもあります。そうした手法を導入した場合、確かに達成すれば一時的には売上があがります。

しかし、こうした強引な橋の渡り方はトラブルの原因になります。インターネット上のトラブルは炎上して大きな負債を負う原因になることを忘れないようにしましょう。

また、そうした一時的な売上アップは栄養ドリンクを飲んで無理矢理働いている状態と同じです。結局負担が大きくなりどこかでマイナスが大きくなる可能性が高いのです。

積極的な営業施策は必要ですが、慎重に行うことが大前提にあります。強引な巻き網漁が漁場を枯渇させるようなことも起こりえるということを考慮しておくべきです。

売上アップの3要素を攻める戦略的視点

まずは基本に立ち返ってみるのが定石です。売上を決定するのは以下の要素です。

  • 訪問数
  • 購入率
  • 単価

それぞれをあげていくことで売上も上がっていきます。まず最初に必要なのは、現状ではどこがボトルネックにあるのかという点を分析することです。その上で個別にどのように対処していくかを考えることです。

ここでまず前提にしておく必要があるのは、減点を少なくするよりも、多くの場合、加点することのほうが難しいということです。そのため、売上アップを考える場合に最初にやることは減点されているポイントを探していくことです。

減点ポイントは購入率に現れやすい

その中でも失点していることで売上を足止めする原因になりやすいのが購入率です。

インターネットの性質上、興味があるユーザーがページに訪れます。購入したいと思い、商品ページを見ていても購入に至らない理由はいろんなことが考えられます。

  • 情報の決め手にかける
  • サイトの信頼性などに不安がある
  • 購入手続きが面倒

などです。

こうしたことは、ページの作り方などで改善のできることです。ユーザーの思いに対して予想を立てて作業を加えることで、多くの部分を改善することができます。

逆に訪問数をあげていくことには時間か予算が必要です。集客をあげるのに即効性の効果がある方法は広告への出稿です。

これは実際に新規のお客さんを増やすのに対し、即効性は高いですがそれなりに予算を用意していく必要がある手法です。コンテンツマーケティングという手法で、関連キーワードに関する情報を蓄積し、そのサイトの検索結果をあげていく、SEO的に有利な状況にしていく方法は時間がかかります。すぐに記事をたくさん用意できるわけではないので、効果が出てくるまで時間がどうしても必要です。

単価をあげる施策は、方向性としては加点していく方法です。これは購入客に対して少しランク上の商品を紹介したり、周辺の関連商品を推奨するという方法です。中には一定金額まで買い物をすれば送料無料にするといったキャンペーンもあります。

しかし、施策をする場合、実際のところ、購入率が低い状態であれば、改善するポイントとしては購入率のほうが単価をあげる作業よりも優先順位は高くなります。

問題点や施策の効果についての分析が十分に終わっているのであれば、何をどのような順番で行っていくかを戦略的に考えていきましょう。売上をアップさせたいとあまり焦ってはいけません。どのような順番で施策していくと効果的かを考える必要があります。

特に広告などは経費が発生します。そうした投資分を無駄にしないためにも、まずは問題点の修正から手をつけるのが基本です。いくら高単価で、集客は十分にできていたとしても、網が壊れたままではうまく行きません。結局、購入率をあげないことには集客の効果も単価上昇の効果も薄くなります。

さてそれでは次からは具体的な施策を見ていきましょう。

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UIに対しての意識を常に持とう

購入率の改善について考えることがまずは重要というお話を先の項目でしましたが、購入率とはなんでしょうか。

購入率は「(訪問者数÷購入した人数)×100」でパーセンテージが求められます。つまり、100人来て、3人買えば3%ということになります。ECサイト運営者であればわかりますが、実際に購入率3%はなかなか強烈な数字です。だいたいはコンマ以下の数字をいかにして向上させるかを考える必要があります。

ECの場合は目標達成をコンバージョンとして、コンバージョン率(CVR)という言い方をするケースも少なくありません。

訪問した人数のうち、実際に購入する数が増えれば売上はあがります。逆に集客は変わらないのにこの割合が下がって来ている場合にはしっかりと分析する必要があります。

しっかりと購入希望客を集客しているのに低下させてしまう原因になるのは、どこか使い勝手がよくないからです。いわゆるユーザーインターフェース(UI)が充実していないという状況です。UIはサイトのインフラの一部といえますが、ユーザーを顧客に変えるための重要な部分です。どこで離脱しているのかをしっかりと確認してください。

UIについては以下の記事でも詳しく触れているので合わせて参考にしてください

【参考】ECサイトをよくしたいならUIについて考えよう

離脱しているポイントによって見直すべきポイントや具体的な施策が変わってきます。

またコンバージョン率についての記事は以下の記事も参考にしてください。この記事とは別のノウハウも掲載しています。

【参考】ECサイトのコンバージョン率(CVR)アップ対策〜チェックポイントと6つの施策

離脱は商品ページでおきているのか、決済時なのか

もし頻繁に商品ページで離脱しているという場合は、商品ページでの説明が十分ではないということになります。対象のページをよく見てユーザーの知りたい情報はどういったことなのか考えてみる必要があります。

例えば写真です。もし立体物に対して写真が1枚であれば、全く足りていません。今は少なくとも4点以上は写真が必要と言われています。また説明も客観性は必要ですが、具体的に利用イメージがわかるようになっていないと購入に対してためらいが生まれるのは当然のことです。

  • 大きさ:5センチ
  • 大きさ:5センチ。手のひらに入るサイズで小さめの鞄にも収まります。

この1と2を比較したらどちらが利用するイメージが湧くでしょうか。

やはり2のほうがイメージが沸きやすくなります。1も確かに5センチという数字を具体的に示していますが、実は数字だけでは人間はイメージしにくいのです。具体的に「イメージ出来る」という部分が重要です。

写真については以下の記事でも説明しています。こちらも合わせてお読み下さい。

【参考】ECサイトの商品写真、画像加工のポイントはわかりやすさ

写真は今では購入率に直結するといわれ、商品ページの大事な要素です。また、発送時はどのように送られてくるかといったことがわかるようにするのもよい方法です。

決済時に離脱している、またはカゴに入れたまま購入しない、いわゆるカゴ落ちが多い場合は決済方法に関係している可能性を疑います。まず一つ目に考えられるのは、購入層と決済手段のミスマッチです。

Google Anlyticsなどでしっかり分析することと合わせて、決済方法を充実させる必要があります。決済代行会社などでどういった対応が可能なのかを確認してください。ASPを利用しているのであれば、そのASPの対応できる決済範囲内でしか対応できません。その場合はリニューアル時の検討課題とします。

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集客には即効性を期待し過ぎない

購入率への改善ポイントへの対策が終われば集客に注目しなければいけません。集客を伸ばす手法には現在、主に3つの手法が一般的です。

  • 広告
  • コンテンツマーケティングによるSEO
  • SNSマーケティング

広告は即効性がありますが、費用が発生します。また、広告で掴んだ顧客をリピーターにする施策が十分でなければ、定着しないことで売上が安定しなかったり、出稿しつづける状態になることもあります。つまり、あまり頼りすぎるのは売上を圧迫する要因にもなるため、諸刃の剣のようなところがあります。

検索キーワードに対して出稿するリスティング広告や一度訪問したユーザーを追いかけて広告を表示させるリターゲティング広告、SNSでの投稿型広告などもあります。リスティング広告よりも今はリターゲティング広告のほうが効率がよい方法です。期間内での課金の上限を決めて運用することもできるので、もし利用したことがないのであれば、一度試してみることをオススメします。

SNS広告はユーザーの傾向をFacebookやTwitterなどのSNSの運営会社が分析し、その傾向に基づいて興味範囲や年齢、地域などを絞って出稿することができます。最近ではなかでもInstagramによる広告が注目されています。

コンテンツマーケティングやSNSは手間と時間がかかる

日々の運営としてサイトの価値を高めていくのが、有用な情報をサイトにあげてSEO対策を行うコンテンツマーケティングです。関連したキーワードについての情報を蓄積することで、効果は高くなっていきます。

しかし、最初のうちはなかなか効果がでません。記事を作成するのには時間がかかります。多くは1~3日で1~6記事程度しか作成できないため、集客への即効性は狙えません。しかし、後々資産として蓄積されていくので継続的な売上アップを目指すのであればやらない手はありません。

SNS運用も実は同様なことがいえます。フォロワーを十分に集めなければ集客可能なメディアとしての機能は弱く、バズを狙うというのも全くもって簡単ではありません。

現在ではSNSマーケティングではインフルエンサーの力を借りるという方法もあります。これはどちらかというと広告ですが、適切なインフルエンサーを選択しないと効果は一時的ですし、購買には繋がらない可能性が高くなります。

また、即効性も狙いつつ、SEO的な効果を高める方法としてはアファリエイトサイトへの出品という方法があります。商品に魅力があれば、アファリエイターが自身のサイトで紹介してくれます。ただし、そうしたサイトから流入するとインセンティヴが発生するのでそうした部分では売上を減らすので、そうした点については十分に検討しておきましょう。

売上の底上げを握るリピーターを掴め

売上をしっかりと右肩上がりにするためにもっとも重要なのは、一度購入にいたった顧客をリピーターとしてしっかりと掴むことです。こうした顧客は売上要素としてとても大きい存在です。もしリピート率が低いのであれば、そこに対する取組みを充実させてください。

購入履歴のあるユーザーは購入に対する障壁が下がっています。そのため、再度のサイトの来訪を促すことが重要です。

常套手段としてはメールマガジンによる繋ぎ止めですが、現在はメールが溢れているので開封せずにそのままデリートされてしまう可能性が高くなります。リターゲティング広告などは再来訪率を高めるので全期間の必要はありませんが定期的に利用すると有効です。

また、再利用クーポンなども効果的です。売上には影響しますが乱発しなければ、インセンティヴを付与して待遇することで、優良顧客化を狙うことができます。また、こうした顧客には単価を上昇させるレコメンド機能などを使ったお知らせなども効果的です。関連する商品や一緒に購入することで効果的な商品などをどんどん紹介して、ブランド全体をよりよく知ってもらう工夫をするとよいでしょう。

分析や施策にはプロの力を借りる

売上が頭打ちになる原因が分析しきれない、あるいはどのように施策をすすめるべきか判断に迷うといったことがあるでしょう。そうした場合にはプロの力を借りるという方法があります。SEOや運営代行、広告代理店などです。ただし、この業界はまだ成熟していません。コンサルタントは十分に経験を積んでいないことも少なくないため問題も多くあります。そのため、業者を選ぶ場合は十分に検討してください。

また、正解は一つではないため、しっかりと協調してプロジェクトを推進できるパートナー企業を選ぶことも重要です。扉を閉ざしていても出会いはないので、必要と思えばいろいろな企業に話を聞いてみてください。専門的な事柄の多いECサイトについて、信頼できる専門家の力を借りるということも売上アップに重要な要素といえるでしょう。

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