ECサイトはコンテンツマーケティングが集客力アップのカギ
2020.06.22
ECサイトは実際の店舗と比較した場合、マーケティング的な手法に基づいたプロモーションが実践しやすい環境といえます。
また、その後のユーザーの行動分析も実施しやすく、行ったマーケティング施策の効果も確認しやすいといったことも特徴です。マーケティング理論と相性のいいビジネスの仕組みともいえます。こうした背景からWEBマーケティングでは様々な手法が確率されてきました。
ここではその中の一つであるコンテンツマーケティングを中心にECのマーケティングについて解説します。
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ECと実店舗でのマーケティングの違いを押さえよう
ECサイトと実店舗でのマーケティングの基本として「販売する」という最終的な目的はもちろん変わりません。そのため、実際のところ基本的なことには大きな差はありません。
しかし、そのプロセスには大きな違いがあります。そのため、ECは今までの商取引と確実に違う側面もあります。
一つ目は「対面での接客がない、あるいはできない」という点です。商品をお客さんに提示するということについてECサイトにおいては、サイト内に置いてある情報と操作感が全てです。そのため、しっかりと情報を整理しわかり安く提示しておくことが求められます。サイトに訪問したそれぞれのユーザーが欲しい情報に的確に、かつ快適にたどり着けるかが重要になってきます。
二つ目は「商圏はインターネットの接続が可能なエリアであれば世界中にある」ということです。実店舗であれば、出店する立地に売上が左右されることになります。しかし、インターネットであればそうした地理的なこととは関係がありません。
理論的にはインターネットさえ繋がる環境があるのであれば、世界中どこに住んでいる人に対しても販売機会があるということになります。Googleは検索の中でローカライズした情報をユーザーごとに表示させる機能を加えています。しかし、販売ということに関してはあまり影響を受けません。
三つ目は、訪問者や購入者の分析がしやすいという点です。具体的に購入するのはどういった層なのか、エリアなどから、サイト内の行動を分析することができます。顧客の情報を分析して、サイトの構造をカスタマイズしていくための情報を簡単に採集できます。
マーケティングの発達という点ではこの3つ目の項目が大きく影響しています。こうしたデータを簡単に取得し活用できる環境があることでマーケティングのテクニック的な面が発達しやすい環境の素地が生まれました。その結果、WEBマーケティングの戦略やテクニックが導入され、発展していくことになります。
こうした特徴を意識して活用しながら運営を進めることで、ECマーケティングはマーケティング全体の中でも、実践しやすく効果的な方法として、考え方や手法が洗練されてきています。
WEBマーケティングについてはセミナーなども頻繁に行われており、いろいろな事例が紹介されています。インターネット上で情報共有の進んでいるジャンルともいえるでしょう。
「集客」「コンバージョン」をあげて「再来訪」を促すのが基本戦略
ユーザーの5つの行動パターン
そのうえで、ECサイトのマーケティングでは、ユーザーの基本的な流れは5つの行動パターンがあるといわれています。
その5つは
- サイトの存在をユーザーが知る「集客」
- 実際にサイトの閲覧をするためにクリックする「流入」
- サイト内を見て回る「回遊」
- 商品を購入に至る「成約」
- 再び商品購入などを目的にアクセスする「再訪」
です。
集客と流入については同義的に考えられることも多くあります。まずサイトを認知してそのECサイトに集まるユーザーについては多くいたほうがよいと考えられます。これは、人通りの多い場所に出店するとよいという意味で、実店舗と同じ考え方です。
サイトを訪れたユーザーは、そのオンラインショップ内に自分の求める商品があるか、あるいはもっと良い商品、面白そうな商品はないかとサイト内を見て回ります。これが回遊です。導線が悪かったり、内容がつまらない、期待に添わない、あるいはページの遷移に時間がかかるなどマイナスな要因を感じれば、すぐにサイトを離脱します。
実際に欲しいと思えば購入しサイト内で商取引を成立させる「成約」となります。この状態はネットでのマーケティング用語として頻繁につかわれるコンバージョンです。アルファベットでCVと表記されていることも多くあります。
一度購入に至ったユーザーは、ネットショップの利用に対する閾値が下がっています。そのため、再購入してくれる可能性の高いユーザーです。再来訪を促すことは闇雲に広告を打つよりも効果的です。ここを狙うのが「再訪」です。最近ではリテンションマーケティングという言葉も普及してきました。顧客管理の中で、ただ繋ぎ止めるだけでなく、ここでの売上のボリュームアップも重要な要素です。
ECによるマーケティングで重視されるのはこの5つの中では、「集客」「成約」「再来訪」についてです。この3つのポイントをフォーカスすることで売上を伸ばしやすいとされており、基本的な取組みもこの点にその多くが集約されています。
集客アップは販売機会の拡大に直結
ECサイトで集客に対して何もしない場合は、なかなか厳しい未来が待っています。Amazonや楽天市場などのモールであればまだしも、自社サイトは、開設当初に訪れるユーザーは多くありません。所謂セッションが少ない状態です。少ないというよりはほぼゼロに近いと考えた方が良いかもしれません。
競合の多い業態や商材であれば、余計に後発は不利です。また、何もケアしない状態では最初は良くても少しずつ削られていくこともあるかもしれません。
ECで集客アップのために積極的に用いられる戦略は主に2つです。一つはウエブ上での広告、もう一つはSEOです。
ウェブ広告は検索エンジンの運営会社に対して広告出稿します。もっともポピュラーなのは検索結果の上部にある広告枠に掲載するリスティング広告です。広告は入札制になっており、人気のあるキーワードほど単価があがります。検索結果だけでなく、広告枠を提供するウエブページ内に広告を表示する追跡型のアドセンス広告などもあります。
また、SNSのフィードに広告を掲載するSNS広告もシェアをあげています。SNS広告は、SNSユーザーの興味関心などにも合わせて広告を表示でき、マーケットを絞って効率よく広告を打つ手段になっています。
SEOは検索結果の上位に表示させる施策、いわゆる検索エンジンに対する対策です。SEOはこの数年で状況がガラリと変わってきています。以前は検索エンジンのシステム的な部分をついた対策で検索結果をあげることが可能でした。
例えば、関連するキーワードを埋め込んだり、似たようなサイトを作って外部リンクを増やしたりするWEBの知識とテクニック的な方法で攻略することができました。しかし、この数年は、そういったテクニック的な事柄をどんどん排除しています。むしろ、こうした手法は減点の対象になっています。コピーサイトはシビアにAIによって判定され、医療や金融など業種によっては、娯楽性よりも内容の信頼性を問われるようになってきています。
検索の最大手であるGoogleは検索エンジンのアルゴリズムを明かしていません。しかし、検索結果に対する方針は明かしています。当初より「検索ユーザーにとって有用性が高い、あるいは利便性のあるサイトを優先する」という状況は年々強化されています。そこでSEO対策としては、結局もっとも正攻法であるコンテンツを充実させることがより最大の解決策になってきました。これが「コンテンツマーケティング」です。
コンテンツマーケティングは、ECサイト内で展開したり、SNSと連動させて入り口にしたり、フラットな立ち位置でウェブメディアを取り上げるなどいくつかの手法があります。何れにしてもコンテンツの価値を高め検索結果の上位にすることで集客力をサイト自体につけるという方法です。コンテンツとしては、動画なども含む幅広いものを指しています。多くは記事を投稿するブログ形式で展開されます。メディアとして展開するパターンも少なくありません。
集客の重要性については以下の記事でも説明しています。ぜひお読み下さい。
「成約」時の手数を減らすことがCVアップに直結する
購入の場面で、ECサイトの運営側を悩ませるのが「カゴ落ち」という減少です。カゴ落ちは簡単にいえばカートまで商品を入れても決済までいかず、そのまま離脱してしまうことをいいます。人間の行動なので、最終的に注文しない理由は様々です。そのためゼロにすることは不可能ですが、限りなく少なくすることは可能と考えられています。
一つの解決策としては、如何にクリック数を少なく出来るかというものです。手数が減るほど購入しやすくなるといわれています。ASPなどではカスタマイズができないこともありますが、もしパッケージやクラウドECなどで構築されたECサイトなのであれば、どういった形式が効率的なのかユーザーの気持ちになって実際に操作し、わかりやすく手数の少ない導線を研究してみる余地は多いにあります。
これはいうなれば、サイトとしてサービスを如何に向上させるかということと考えても良いかもしれません。
また、関連して他の信頼性の高いサイトの決済方法を借りてくるという方法も普及しています。よく知られているのはAmazon Payや楽天Payなどです。この方法は、モールとよばれる大型ショッピングサイトのアカウント情報を決済に利用する方法です。初めて利用するオンラインショップでの購入には障壁がありますが、その障壁を下げ、新たなアカウント登録をしなくてもよく、手間を省くこともできるのもユーザーにとってはメリットです。
「再訪」を促すメールマガジンやポイント付与
一度購入した履歴のあるユーザーに常連になってもらうことで売上は安定していきます。会員登録などを行って囲い込むことができれば、メールマガジンで情報も伝達しやすくなります。ただし、あまり会員登録にこだわるとユーザーの手間を増やし警戒されます。
また、一度来訪したユーザーの情報をCookieなどを利用して読み出し、過去に購入した商品やオススメを下部に表示するなどのウェブ接客ツールなど、再訪したユーザーをもてなすお客様対応ツールも再購入しやすくなる効果があるとされています。こうした再購入を増やすことを目指したマーケティング手法がリテンションマーケティングです。
リテンションマーケティングでもう一つ強力なのがサイト内でのポイント付与です。購入額などにあわせてポイントを付与することで次回の買い物をしやすくします。またキャンペーンなどで特別に付与するなどの施策も可能です。
ただし、確実に売上内の利益を圧迫するので、冷静にどの程度までが問題のないラインなのかは事前に把握しておくことが重要です。ポイント還元率をあげるということは未来の安売りでもあります。
即効性のある「広告」と時間の必要な「コンテンツマーケティング」を使い分ける
問題点があったとしても、集客以外の部分はある程度、システムを工夫していくことでその多くは改善していくことができます。しかし、集客は時間との相関関係があり、一朝一夕では解決できず、日々の運営業務の中に組み込まれていきます。
ウエブでの広告運用は集客に対して即効性のある手段です。もし資金が潤沢にあるのであれば、分厚く広告を展開することで集客は確実にあがります。インターネット広告はもちろんCVにつながりやすいキーワードを狙って行い、効率的と言われていますが、それでも予算は必要ですし、クリック率が上がればそれに応じて支出も増えていきます。一方で、広告を取りやめてしまうと、次第に何もない状態に近づいて行きます。
一方でコンテンツマーケティングには結果が出るまで時間がかかります。コンテンツの制作そのものにも時間が必要ですが、検索エンジンへ評価されるまでも時間がかかります。ただし、広告と違い、一度機能し始めると安定して集客できるようになってきます。手間のかかる集客方法ですが、効果の持続時間は長く、費用対効果は次第に高くなっていきます。
初期には広告運用で短期的に集客していき、その間に長期的に集客できるコンテンツマーケティングを行うのが、ECサイト運営の横綱相撲です。コンテンツマーケティングを継続していくことで、関連したキーワードの上位を独占すると、CVに結びつきやすい集客が簡単にできるようになっていきます。
ただし、広告運用には継続的に出費が必要です。そうした面でのコストを抑えるためにSNSマーケティングを併用することも選択肢としては有効です。むしろ、ブランドの強化については広告よりも強く、また拡散力も高いため、バズを埋めれば大きな広告効果を得る可能性もあります。
ECサイトの成功に近道はないが積み重ねれば結果は出せる
ECでのマーケティングといっても、それを実行したからといって、楽して稼げる方法はありません。むしろコンテンツマーケティングなどは決して売上への近道ではなく、手間がかかる上にそれなりにSEO的な知識や経験も要求されます。
ただし、集客に限らず、情報を的確に分析しながら手を加えていくことで、確実に結果を出せるのもECの特徴といえます。実店舗よりも格段に不特定要素に影響されにくく、積み重ねていく努力ができれば、少しずつでも結果が出てくるのもECサイトのマーケティングです。
継続してコンテンツを生み出すことで、少しずつブランディングも進んでいきます。その結果、サイトの集客力を高めるだけでなく、商品や企業のイメージを高め、ファンを作ることで、新たな市場の開拓にもつながります。
そうして考えるとコンテンツマーケティングでSEO対策をしながらサイトを構築していくことはもはやECサイトの成功にとっては必須ともいえます。
サイトの構築はこうした運営や運用を絡めながら行うことがより重要になってきました。こうした作業が人手不足や知識などが足りないことで行えないのは非常にもったいない状況といえます。
ブランディングも意識しながら展開できる制作会社とチームアップして、運営を進めていけると効果も出しやすくなります。そう考えると一緒にブランドの方向性を考えながらプロジェクトを進めることのできるパートナー企業を選べることがECマーケティングを成功させるカギになってくるでしょう。