ECサイトの意味とは-それをさらに加速させる運営とブランディング
2020.05.15
ECサイトとは「e-commerce」のためのウェブサイトのことを意味します。「e-commerce」はEコマースと発音します。この言葉は日本語でいうと電子商取引のことです。要するにインターネット上で買い物ができるオンラインショップやネットショップと同一の意味を持っています。
今や数多くのECサイトが乱立し、インターネットでの買い物はとても身近な存在になりました。ネットの利用環境もデータの転送速度の向上などにより快適さが促進されたことで、インターネットそのもののユーザー数も増え、個人でネットショップをはじめる人もでてきました。
そういった状況はECサイトに対し「買い物ができる」という基本的な機能だけでなく、実際に買い物をするユーザーが商品や企業に対して抱くイメージをどう持たせるかについても考慮しなければならなくなってきました。単なる取引の場というだけでなくECの利用が企業とユーザーを繋ぐポイントにもなっているからです。
その結果、ECサイトを利用した印象からユーザーが得られる情報による影響は商品や企業にとって限りなく大きくなっています。
このページでは、ECサイトを単純なインターネットでアクセスできる買い物の場としてだけでなく、より「意味のある場」にしていくことについての重要性と、それを実現させるために必要な運営の基本、そして、そこで実施し実現できるブランディングについて解説していきます。
CONTENS
自社のECサイトを持つ意味はどこにあるのか
インターネット上で置かれている雑学などの説明や写真は、今や多くの人が新たな情報と接する場所になっています。もし、わからないことや詳しく知りたいことがあれば、多くの人はスマートフォンやPCでそのワードについてササッと検索し、短い時間でその検索した結果の中から概要を掴むという行動をとるようになりました。
そのため、何かの初心者であってもインターネットでさまざまな情報を引き出し、自分で調査を進め何かの実践に取り組むことが可能です。
ウェブ上の情報は、ビジネスにおいてはその企業や商品の印象を強く印象づける存在になりました。ネットに置かれたショップは企業とユーザーとの重要かつ数少ない接点の一つということが言えます。
つまり、ECサイトは売上げをあげる販売経路や通販の場というだけの仕組みではなくなってきているということになります。経済活動の中でECの市場規模が拡大していく中で、商品や企業の印象を高める機能も期待されているという結果になっているのです。
こうした情報が溢れる状況の中で、逆に公式な場がインターネットになかったり、オフィシャルサイトがあっても、そのサイトが何もメンテナンスがされていなければ、良いイメージを作り出すことは困難です。逆に自社のECサイトがあれば商品を直で消費者が必要と思う時にいつでも供給できます。ユーザーと直接、積極的に繫がれる環境を持つことになります。
そのためECサイトはBtoCであるかBtoBであるかにかかわらず、顧客と繋がる大きな役割を担う存在である必要があるのです。ビジネスの総合的なプラットフォームとしての意味を意識して構築し、運営できるかがより重要になってきているといえます。
商品や企業の認知はウエブがメインの場になった現代
商品や企業がユーザーと出会う場面はさまざまです。もちろん最初のきっかけは、インターネットからということに限りません。また、インターネット内でも入り口が増えています。この数年では「SNSなどで知った」ということも増えてきています。
それだけでなく、認知して購入から商品を手にするまでの全てのプロセスがインターネット上で完結していくことも増えました。路面店やテレビ、新聞、雑誌などのメディアを通して認知するだけでなく、こうしたインターネット上での認知が急増し続けています。
実際にインターネットでの買い物需要は現在でも増加傾向にあります。2019年の統計では日本の全世帯の約4割がインターネットで買い物を行なっています。
また、取り扱われている商品も幅広くなりました。ECサイトの種類は多岐にわたり、あつかわれる商品も豊富になってきました。出遅れ気味だった食品などのECも伸び始めています。こうした流れは2020年代に入っても変化がなく、むしろより強化されてきています。
消費者も多くの分野の商品についてのアンケートでは「インターネットで購入した経験がある」と回答している割合が、時間経過とともに回数だけでなく、商品の品目の面でも増加傾向にあります。
また「あまりインターネットと接触がない」と思われてきた高齢の世帯でも同じようにインターネットでの消費行動が増加傾向にあることもわかっています。例えば旅行の予約などではインターネットは幅広く活躍しています。
それだけではありません。60代より上の世代は世帯ごとでの利用の経験があるかどうかの割合は低くなります。しかし、利用金額だけで比較すれば30代〜50代と拮抗する結果になっているのです。
インターネットへの親和性が高い年齢層が高齢化していくことで、今後、こうした傾向は更に強くなっていくことが予想されます。そのためインターネット上での買い物は多くの消費行動のメインになっていくと考えられています。
こうした状況は2000年代初頭とは一変しています。今までEC向きではないと思われていた商品によるECサイトの開業は後を経ちません。
商品の印象は入手経路や形態も影響する
このように商品や企業のイメージを作る要素として、今後ECサイトの存在がさらに大きなものになっていくことは間違いありません。インターネット上で今まで以上に商品だけでなくブランドそのものをアピールする必要性は高まっていくことになるでしょう。
商品のイメージとは、なにもその造形の特徴やパッケージの美しさだけではありません。使い勝手はもちろんどのように入手したのかといったことまで人間は印象に留めます。また、販売される商品は物品とは限りません。サービスや技術そのものかもしれません。
たとえば飲食店などには顕著ですが、そのお店の評価は味だけで評価されているものではありません。消費者はその店で受けたサービスや雰囲気も含めて総合的にそのお店を評価します。その結果、満足すれば「また行こう、誰かに紹介しよう」といった気持ちになり、再び足を運び誰かを一緒に連れてきたりします。
こうした行動への考察はインターネット上でも重要です。集客から購入までのウェブ上でのスムーズなやり取りが、さらにオンラインショップでの売上げを底上げしていきます。実際に、ある程度はこうした行動についてサーチエンジンを提供するGoogleは独自のアルゴリズムを用いて観察し、快適さを指標にして検索結果に反映しようと試みています。
こうしたイメージを作る基礎は、自社でのECサイトをしっかり構築し、管理しながら運営を継続することにも深く関連してきます。また、そうしたことへ意識を向け、トータルでの意味やイメージを持たせることが結果的に売上の上昇へと繋がります。
実際に店舗を運営している企業の中には、まだまだECサイトからの購入の割合は低いと思うこともあるかもしれません。スタートさせて半年程度であればどうしてもこうした傾向は強くなります。このような状況の中で実店舗と比較してしまうと、なかなかECサイトへ力を入れ難いと考えている企業も少なくないでしょう。
しかし、今後の傾向は今までと同じというわけには行かないことが予測されます。コロナの影響で大きな行動変容が起きている今、ウエブの整備状態や運営の差はそのままライバル企業との差になる可能性があると考える必要があります。
しっかりと現状のECサイトの状況を考えて、ユーザーが喜ぶ仕掛けを用意する必要があります。状況によってはサイト自体をカスタマイズをしていかなければいけないタイミングでもあります。
売るだけならモールでもいいはず?
インターネット上での販売を考えた場合、モール型のECを利用するという方法もあります。モールとはAmazonや楽天市場、Yahoo!ショッピングなどの大規模なECサイトのことです。
これらはいうなれば、インターネット上にある巨大なショッピングモールです。どんな商品でも扱い、また、いろんな出品者が軒を連ねています。その結果、扱うアイテム数も多く、同じ商品を複数の出品者が販売していることも珍しくありません。利用者も圧倒的に多く、気軽に多くの人が利用しています。
こうしたモールへ出店し、商品を出品して販売するメリットは少なくありません。特に新規でECに参入しようという場合はすでにモール自体への集客があるからです。
しかし、それらと並行して自社ECサイトの導入も検討すべきです。モール型ECにもデメリットもあるからです。モール内だけで商品の魅力や企業の売りを伝えることには限界がありますし、トータルしたイメージ造りはできません。良い商品であったとしても「○○で買った▲▲」というイメージだけで完了します。
結果的にはそのモールのイメージアップに貢献しているだけになっているかもしれません。
例えば実際にある商品を「どこで買ったのか?」と聞かれた場合、そのブランド名を答える人は少ないものです。例えばモールで買った場合はそのモールの印象として、多くのケースでは記憶されています。
また、最初のうちはインターネットに販路ができたのでよいと考えるかもしれません。しかし、継続していくと手数料も重く伸しかかってくるようになる可能性があります。他にもモール内での運用ルールが負担になることもあります。
企業それぞれが抱える個別の事情や案件に対し、モールを提供する側がそれぞれの出品者に対し、きめ細かく配慮するのは難しいことです。また、こうしたことは無料で活用できるASPでもおこるかもしれません。
やはりECを検討するのであれば、どういった種類の商品を扱うにせよ、自社のECサイトも構築すべき、あるいは積極的に導入については検討すべきです。もちろん自社サイトとモールの業務をうまく連携させながら、両方やることでもかまいません。いうなれば、これらの併用は直営店とフランチャイズのようなものとも言えます。
そうした方法でネット上での露出を高め知名度を上げる戦略を取るケースもあります。その場合はもちろん手数料と販売価格の関係についてしっかりと考えて取り組んでください。
ECサイトの評価を高める運営
ユーザーからのECサイトへの評価を作るという点では最終的に運営がその鍵を握っています。SEO対策や広告の運用などのテクニカルなことも含めて、日々ECサイトを実働させることがなければ、いろんなことが活きてきません。
集客やコンバージョンアップに向けて戦略を立てて日々、回し続けることが重要です。その上でECサイトの価値をより高く意味のあるものにしていくために、ブラッシュアップをしていくことが重要なのです。
またそうした意味を持たせ、価値をあげていくことが、結果的に売上につながってきます。多くの部分ではリピート客の部分で差が出てくるはずです。
3つの要素が重要
ECサイトが売上げをあげていく要素として重要なのは「構築」「運営」「ブランディング」です。
そしてこの3つはそれぞれがお互いの要素を作っていきます。構築ができていなければ、運営やブランディングに支障をきたします。ブランディングや運営の方針がなければ、構築はどこへ向かっていけばいいのでしょうか。サイトの構築があまく、ブランディングもできていなければ、運営を継続することは非常に辛く、それぞれの分野での成長を阻害する可能性があります。結果も出にくくなることでしょう。
ECサイトは運営をしっかりと継続してブラッシュアップしながら進めることで結果がでることについては先ほども述べました。ブランディングはその運営に付随して継続している中で醸成されていく部分も多くあります。むしろ計画的な運営の結果として広がっていくと言えます。
運営はエンジンのようなものです。日々、ユーザーつまりお客様と企業側のつながりを作り続け、継続していくために必須です。そのため、最初に概ね出来上がる二つの要素と違い、積み重ねて行かねばならず苦労の大半はここにあるといってもいいでしょう。
逆に運営をしっかりと行ない、都度のフィードバックを構築に反映させることができれば、ブランディングは強化されます。ブランディングの強さは柱の強固さにつながります。
1ユーザーに過ぎなかった顧客が、ファンとなり、口コミを広げ、ECサイトをさらなる飛躍へと持ち上げる大きな原動力になります。そうしたファンが増えていくことで、ECサイトは「成功した」という状態を達成するでしょう。そのためには、ブランディングを意識した運営を行なうことが重要です。
運営上のルールを考え、実際に実行する時に市場の動向だけを意識していてはブランディングはできません。ECサイトの売上げを高め、その意味を高めていくためにもブランディングがあります。ブランディングを実現するために、それぞれの運営方法を見直し、時には修正していくことで進めていくことが大事です。
もちろんそもそもの構築時にブランディングへ向けた施策ができない構造になっていてはなかなか難しい状況です。構築時からノウハウのある事業者に支援を受けたほうが結果的に近道の場合もあります。
ブランディングは必須の時代
今、世の中のビジネスは「ブランディング」という視点の重要性が高くなってきました。ところで今一度、ブランディングとはどういう意味か考えてみましょう。
多くのマーケティング的な手法は市場を研究して、その市場へ合わせて行くことで売上をあげていくというやり方です。かたや、ブランディングもマーケティングの考え方の一つですが、こちらは企業や商品のイメージを打ち出して意識してもらい、価値を感じてもらう手法です。つまり、市場を作る方法といえます。漁に出かけていくのがいわゆるマーケティングなら、ブランディングは漁場を作るやり方といえます。
どちらも売上げを向上させるための手段ですが、マーケティングのように限られたエリアに縛られていては売上げは頭打ちです。特定の市場は有限だからです。
その点、ブランディングに成功すれば、囲い込まれた枠を打破することができ、新たな市場に飛び出せるかもしれません。またレッドオーシャンの中で厳しい競争をする必要もありません。このようにブランディングは可能性に満ちています。
ブランディングをする上で、ECサイトは重要な役割を果たします。商品の打ち出すイメージは、写真、文章、動画などで伝わり、利用者はその商品を手にした時のイメージが喚起されます。サイト内で販売を決定し、購入して手に届くまでの体験を感じます。
そして、実際に商品の魅力に触れて体験することで、イメージは確実になり、「これはこういうものだ!」と感じてイメージを固めます。こうしてブランディングされてその商品とともに企業のイメージはユーザーの中で確かなものになります。
この中で、なにかうまく届かない要素があれば、ブランディングは失敗していきます。思いもかけない評判さえつくかもしれません。逆にブランディングに成功すれば、どんどんふくらみ、新たなユーザーを作ってくれるでしょう。こうした点もブランディングすることが有利な理由があります。こうした手法は以前ではある程度の規模の企業でなければ簡単には達成できないことでした。
インターネットはブランディングを身近にした
しかし、現在ではインターネット上でいろんなことを展開することができます。規模のあまり大きくない企業の商品でも、強烈な印象をつけてファンを獲得することができる例が増えてきました。逆に企業活動をおこなううえでブランディングへの意識がなければ、今後は停滞し、長期的には大きな損失を被ることにも繋がりかねません。
ECサイトでブランディングを意識することは、ECサイトの運営だけでなく、企業や商品の将来を明るくします。また、ブランディングを考え、実現するためのツールとしてECサイトは大きな力を発揮します。そうした意味でもECサイトをしっかりと運営することは重要なのです。
構築は運営やブランディングを意識
ECサイトの構築を行なったり、日々運営を続けていく上で、ブランディングへの配慮は外せないことはご理解頂けたと思います。構築していく上でこの視点がかけてしまうと、見た目上はうまくできているように見えても芯を捉えていない状態のサイトができあがったり、うまくサイクルが回らないといったことへの原因になる可能性もあります。
サイトを構築していくことを考えた場合、手法やデザイン、構造などは無限にパターンがあります。テクノロジーを詰め込んで好き放題することもできるでしょう。
また、技術自体が急速に進歩が進んでいる分野ですから、その幅は一人では追いかけきれない状況になってきています。まずは何のために構築するのかを今一度心に留めておく必要があります。構築をする、あるいは発注をする立場にある人はブランディングを意識した構築をすることが重要です。また、その上で運営がよりスムーズにいくようにフォローしていく必要があります。
構築する上で、ブランディングが可能であることも重要なことです。もちろん、いろいろアピールしたとして何も残らなければ意味がありません。
また、ただポツンと置かれたページは多くの人に見向きもされません。しっかりと集客力を持たせる施策に対応できて、ユーザーの導線もわかりやすい構造になっていなければいけません。サイト内に入ったユーザーをその気にさせて先へ進みたいという感覚にする必要があります。
ブランディングできるサイトにすることこそが、意味のあるECサイトを構築することに繋がることを意識しておきましょう。
構築については以下の記事も参考にしてみてください。
集客力を高めるECサイトづくり
そのうえでECサイトでブランディングを実現するために大事なことは集客できるサイトにすることです。
なんらかの情報を得るための行動として、以前はサーチエンジンでの検索が圧倒的な主流でした。ここ最近ではSNS内での検索に加え、動画配信などによる影響力も大きくなってきました。
そうした状況のなかで、商品に関わる情報を探す人があれば、そうした人へキャッチされるようにサイトを作り込んでいく必要があります。これが実現できれば興味を持った人に必要な情報を届けたり、その周辺にある情報も伝えることでさりげなく存在感を示したり、さらなる魅力を伝えていくことができます。
SNSとの相性のよいものや、独自性が強く検索されやすいものなど、どのように広がるかはその商材により様々です。そのため、ブランディングを実現するために取る手法はそれぞれ異なってくるため一概にはいえません。
また、業界によってはいろいろな事情もあるため、取れる手法が制限されることもあります。
しかし、基本的にはまず、届けたい人に届く、欲しいと思っている人と繋がることは欠かせません。そのため、サーチエンジンへの対策は必須といってもいいでしょう。サーチエンジンで検索結果の上位に入れば、関連した情報を求める、つまり見込み客がサイトへ集まりやすくなり、訪れる可能性も格段に高くなっていきます。
このように実際にサーチエンジンの上位に表示されるように対策することをSEO対策といいます。どうやると検索順位が上がるのかを分析し、施策を行うことで関連するキーワードの検索順位を上位に持っていく作業です。SEOについてはさまざまなテクニック的なことがこの10年で研究されてきました。それに対し、サーチエンジンも表示するシステムに変更を加え、よりユーザーに的確な情報を提示するように改編を続けています。
そうした中で、集客は単純に特定のテクニックを使って閲覧数を稼ぐことが目的になってはいけません。またそうした手法を取ることは結局のところ、サーチエンジン側で弾かれて評価を下げてしまう可能性もあげます。その結果、最終的には閲覧数を下げることに繋がる恐れさえあります。
あくまで、届けたい人に的確な情報をしっかりと届けること、そしてブランディングへの意識を忘れないようにしましょう。
ECサイトの取組みではやらなければ行けないことも多くあります。そうした中ではインターネットの専門家の助けを借りるということも選択のひとつです。専門家の知識を活かして運営を加速させます。
そうした場合、ブランディングを意識した集客という視点を持って取組めるパートナーを選ぶことの重要性はいうまでもありません。決して「ネットで商品を売るだけの通販サイト」と考えず意味をしっかりと持たせてください。
【参考】ECサイトの運営代行で利益の最大化をめざせるネットショップを作ろう
ここからはじめるECサイトのブランディング
ここまでお読みいただき、ブランディングをしていく意味や効果について、ご理解いただき、やってみたいと思った方も、実際にどこから取り組むのか、どうすればいいのかわからないからできないと思っている方に向けて、基礎的なブランディングの取組について資料にまとめ、無料でお読みいただけるようにいたしました。
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