ECサイトとオンラインショップ〜違いはなくても場面に合わせ呼び名は使い分けよう
2020.05.12
ECサイト、オンラインショップ、ネット通販、ネットショップ…これはどれも同じものを指しています。それぞれ、微妙に違うニュアンスを含んでいますが、このように呼び方が複数あるのは、それぞれ違った視点で捉えている人がいるからです。
ここでは、それぞれの言葉の意味を改めて考えながら、その語を選んで使用する人の視点の違いを理解することで、ECサイトの運営と言葉の関わりを解説します。ECにとって言葉は重要な要素です。ちょっとしたことと感じますが、そこからECサイトを構築したり運営したりする上での最適解を考えてみましょう。
CONTENS
いろんな名前で呼ばれる理由
「EC」とは「E-コマース(e-commerce)の略です。日本語にすると「電子商取引」になります。つまり「ECのサイト」は「電子商取引をする場所」ということです。
ECサイトはWEBサイトの一種です。WEBサイトはインターネットで閲覧できるようになっているいわゆるホームページのことで、その中でもECを行うためのシステムを持っているサイトがECサイトということになります。
では「オンラインショップ」はどうでしょうか。これは「オンライン上にあるお店」のことですのです。実際のところECサイトと意味や機能に違いはありません。デザインとしても同じことです。
こうした複数の呼び名がある理由は、そのもの自体にパワーがあり、より一般に普及しているためです。いろいろな地域、職業、年齢の人が使うことで言葉は一般化していきますが、それぞれの集団で違う呼び方が生まれることがあります。こうした例は「子供」「太陽」など力のある言葉にはつきものです。
つまり、逆に言えば「ECサイト」の存在は今、とても注目されていて影響力があるということの証しでもあります。
そもそもECサイトやオンラインショップとは何なのか
この言葉の違いを掘り下げる前に、その元となる「ECサイト」やオンラインショプ」とはどう定義されるものなのかおさらいしておくことにします。言葉を選択する時、その本来の意味を知ることはとても重要です。
そうした意味から派生して出てくる言葉やアイディアは少なくありません。しっかりと言葉の感覚を捉えることは実はWEBマーケティングでは意外に重要です。
ECサイト、あるいはオンラインショップはWEB上に展開される店舗であり、ビジネスのプラットフォームです。構築方法にはカートASPを利用したり、オープンソースを使ったりといくつか種類がありますが、目的と基本の機能は同じです。また、一般的にはモールと呼ばれる楽天やAmazonなどに商品を出品するということでECとしての体を成す場合もあります。
ビジネスには取引の相手が必要ですが、その相手は個人でも企業でも構いません。最近ではBtoBのオンラインショップも増えています。市場調査をすると2021年現在もECでは実はBtoBの取引金額はBtoCよりもかなり多いのが現状です。
電話を使わずにユーザーからの注文を受け、決済をすることが可能です。また、配送の支援をしたり、在庫を管理する機能を備えています。
メリットとしては販売する場所という概念をユーザーも事業者も意識しなくても良いということです。デメリットとしては実物を確認することが難しいといったことがあります。そのため、信頼性と消費者が欲しいと思う情報の提示が必要です。
サポートについては電話やメールなどで行うことになりますが、もしここに工数が裂かれると実際の店舗と変わらなくなるため、いかに自動化できるかがポイントになってくるといわれています。そのため、戦略的に考えたサイト構築が重要です。
「ECサイト」の注目度が上昇しているが「オンラインショップ」が多数派
そのうえで、「ECサイト」と「オンラインショップ」という語が、それぞれどの程度注目されているのかを実際に調べてみました。実際に2020年の4月〜5月では、この二つの言葉の注目度は飛躍的に上昇しています。こうなった背景には新型コロナウイルスの影響があります。実店舗での営業が厳しくなり、ビジネスの新たな戦場として、よりインターネットが注目を集めているからということもあるでしょう。
さらに「ECサイト」と「オンラインショップ」で比較すると、オンラインショップのほうが、注目度は高く、実際に検索されている数値的な差としても2〜3倍あります。つまり、「ECサイト」より「オンラインショップ」のほうが言葉としては市民権を得ており、よりより広く使用されており、検索されているといえます。
見え方の違いを考えよう
まず、なぜこうした検索数の差が出てくるのかについて考えてみたいと思います。こうした違いはその言葉を使う人のポジションの違いから来るといわれています。
この二つの言葉の場合、開発や運営に携わる人、つまり送り手側は「ECサイト」という呼び方を使います。一方、受け手である利用者の間では「オンラインショップ」が広く普及しています。つまり利用者は「あそこのECサイトで買おう」という言い方はあまり使わないということです。実際にこうした会話は通常ではあまり聴きません。オンラインショップやネットショップという語の方が市民権を得ています。
これに対し制作側にはまた違う背景があります。制作会社がウエブサイトを作る目的は、必ずしも商用だけではありません。また企業のサイトや宣伝広告のためのサイトであっても、ECを指す電子商取引としての仕様を満たしていないものも数多くあります。彼らが何気なくECサイトと呼んでいる場合、そのサイトはどういった目的で存在しているのかを定義している場面も少なくありません。
逆にオンラインショップは、“オンライン上にあるお店”という意味が強く現れている語です。そのサイトの目的が言葉としてわかりやすく、キャッチーでもあります。この場合、比較対象には他の種別のサイトよりも、むしろ実店舗の存在が浮かびます。
ちなみに実際のお店と比較してみるのも面白い結果が出ています。これをgoogleトレンドで確認するとわかりやすく、「オンラインショップ」と「お店」は拮抗した結果が表示されるようになってきました。つまり、インターネット検索が普及している状況を背景に考えると、実店舗と同じ程度に企業活動にとってWEB上での販売経路は、ユーザーから注目されているということになります。
自社でのECサイトを持つという意味は販路確保だけでなく、その企業のネット上の露出にも関わってきています。
ウエブマーケティング的視点で言葉を選ぼう
実は、同じ意味でも違う語を使用する時、どちらを選択するかがマーケティング的に重要です。そして、そういった言葉の選択はすでにかなりのケースで実際に実施されています。
例えば、実際に商品を購入出来るウエブサイトを探すとき、「ECサイト」と大きく掲示しているページにはほぼ出会いません。逆に「ECサイト」と検索してみた場合であれば、このページも含めて、その多くはECサイトについてのなんらかのハウツーなどが解説されているサイトばかりです。つまり制作側を標準にしています。
もちろん例外はありますが、商品を購入する一般ユーザーはそもそも「ECサイト」と検索しないため、こうした結果が生まれます。
例外はECサイトの構築やサービスを展開する企業のECサイトです。この場合、「ECサイト」という言葉に網を貼って、ECサイトを作ろうと考えている人にキャッチしてもらおうとするわけです。逆に商品を小売の顧客へとアプローチしたいのであれば「オンラインショップ」をメインに使うことになります。
そのため、マーケティングを考えると、何かの商品を売りたいというのであれば「〜〜のECサイト」ではなくて「〜〜のオンラインショップ」と掲示する必要があります。何かの目的をもって探す人に、もっともわかりやすく伝わる言葉を選択することが重要です。
実は、こうしたことは身近に隠されています。社内で頻繁に使われている言葉が一般的に通じる言葉ではなかったり、方言である可能性もあります。横行するカタカナ英語も注意が必要です。
馴れてしまって当たり前に利用している言葉こそ実は要注意です。そうしたことを避けるには客観的な視点がとても重要です。
こうしたことはどういったユーザーがターゲットになっているのかということを考えることも重要です。世代や職能などによってマーケティングしているという場合は、それに合わせた言葉を選んでいく必要があるということが一つのポイントになってきます。
そのため、一般のユーザーをビジネスのターゲットにしているBtoCと、企業を相手にしようと考えているBtoBでは適している言葉が変わってくる可能性があります。
例えばこの株式会社かいなであれば、もし自ら集客するなら、ECサイトに関わる業務の獲得を目指します。つまり、ビジネスターゲットは企業であり、BtoBを目的にしています。そのため「オンラインショップ」ではなく「ECサイトを使う」という語をメインにするのが正解になるというわけです。
この言葉の使い分けについては「越境EC」を考えてみるとさらにわかりやすいかもしれません。越境ECは海外のユーザーをターゲットにしたECサイトやECそのものを指します。実際に越境ECという言葉は業界用語で、インターネットのユーザーを見渡すと一部のユーザーしか使わない言葉です。
そしてこの言葉のターゲットは越境ECをやってみたい人や企業、あるいはやっているけれどあまり成果が出ず売上に伸び悩んでいるECサイト運営の担当者などということになってきます。これとは逆に海外向けオンラインショップという言葉も使われますが、より専門的なユーザーを狙うという点では越境ECの方が好まれています。
このようにインターネット上では言葉はマーケティングに大きな作用を持っていることがわかります。
ユーザーに伝わるのか考える
こうしたことを考えると、言葉の使い方の重要性が見えてきます。オンラインショップとECサイトのような同義語は身近にあってわかり易い一つの例です。
こうしたことを起こしていないかECサイトを構築していく中で商品名やその説明文について、それで伝わるのか、今一度客観的に考えてみてください。
また、言葉は正確であることはとても重要ですが、こと『販売する』ということを目的にしている場合はそこに捕われすぎてもよくない場合があります。その商品を指す言葉として、どの語が一般的に使われているかしっかりと考慮する必要があります。
もし、その言葉が“どうしても正確ではない”と思うのであれば、説明をしっかり入れて併記するのがとてもよい解決方法です。サーチエンジンのアルゴリズムは独自性のある情報を好む傾向があります。また、コピーコンテンツは積極的に排除しています。こうした行動はユーザーに正確な語を届けることにも繋がるので、ウエブマーケティング的にもプラスです。
一方で独自性を追求しすぎて突飛な名前や詩的な表現をする場合は伝わらない可能性もあるということを意識しましょう。
ただし、時間をかけてその言葉を普及させ、市場の中で存在感を示したいというのであればその限りではありません。その場合は、その商品名自体をブランドとして持ち上げるマーケティングをして広げていくという視点が必要になります。つまりブランディングしていくためのワードとして育てていくことが必要になってきます。
商標の使用には注意しましょう
言葉を利用するとき、もう一つ注意しなければいけないのは商標登録済の名称を使用している可能性です。中には一般化して何気なく使っている名称が商標登録されていることがあるからです。
例えば「シーチキン」は、はごろもフーズ株式会社が商標登録している商品名です。シーチキン自体は企業の努力があって一般的に使われる言葉になりましたが、その名前をその商品に対してビジネスで利用できるのははごろもフーズだけなのです。そのため同様の商品を販売する時には「マグロの缶詰」などの一般的な言葉に置き換えて販売するか、あるいはその言葉を使用する許可をはごろもフーズから得なければ使用することはできません。
もし誰かが持っている商標を商用に無断で掲示していた場合、気がつかないこともあります。そうした場合には注意喚起を受けて、修正しなければ裁判という流れになることもあります。直ちに取り下げれば大抵の場合は大きなトラブルになることは多くはありません。しかし、商品のパッケージなどに印字している場合には変更のための費用が必要になってきます。事前に注意しておくに越したことはありません。
逆に商品名を思いついた時、ユニークでインパクトがあると思えば商標登録を検討しましょう。ライバル企業や新規参入と差をつけることもできるかもしれません。
言葉選び一つにもノウハウが隠れている
普段何気なく使っている言葉ですが、そうした中にも専門的な視点や、どういったら響きやすいかといったノウハウが隠されています。ちょっとした疑問を持つことが、そうしたノウハウに触れるきっかけになるかもしれません。
こうした言葉の選択は実はECサイトの運営と大きく関わってきます。よりアプローチの強い語を用いて情報発信していくことで集客に繋がるからです。こうした言葉の選択に関する方法は、今やマーケティング的には重要な項目になっています。
どういった言葉で対応するかで、集客にも関わりますし、サイトの傾向にも影響してきます。こうした手法を導入することで、どういった語が効果的なのかを選択して集客力を高めてく知識もECに限らず、あらゆるWEBサイトの運営には必要なものです。
こうしたことを自然検索でのサイト流入に生かすのがSEOです。SEOはSearch Engin Optimazationの略です。検索エンジンに最適化したサイトやコンテンツを制作していく、またはそれに合わせて改変していく作業を指しています。SEOはECサイトの運営では重要な集客に関わる作業といえます。
【無料ダウンロード】 ECサイトで「より売れる」ためのブランディング思考のワードチョイス
この記事で解説した通りECサイトに人を集めるためには適切な言葉を選択しなければいけません。
基本には「人が集まる=人が求めるコンテンツ」という公式があります。集客に使えるコンテンツには「文章」「画像」「音声」「動画」がありますがそのどれにも強い影響力があるのが「言葉」です。画像検索や動画配信サービスも言葉と結びついて検索されるからです。
この「言葉」を理解し、検索エンジン上で握ることがEC集客のカギです。これはサイト構築の初期の段階はもちろん、運営・運用でも影響は大きく、売上を左右するものです。
では実際にどんな言葉を使うのかという疑問があると思います。そこで言葉選び(キーワード選び)のノウハウや実際に実践する具体的なやり方を48ページの資料にしました。初歩的な内容ですが、ここからスタートすることでコンテンツを充実させるほど成果につながりやすくなります。
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