ECサイトの集客からユーザーの顧客化を加速する販促施策
2020.11.27
ECサイトでは、来訪者数を伸ばすことが売り上げアップにつながります。そのため集客は運営担当者が常に気を使う項目の一つです。とはいえ、闇雲にセッション数の増大を求めても、それが実際に販売に繋がるユーザーでなければ売上への影響は多くはありません。ここでは、集客という視点も含めて販売を促進する企画の立案や実施について解説します。
集客だけではECサイトの売上にはつながらない
ECサイトにとって集客が重要であるということは他の記事でも何度か説明しています。インターネットの仕組みとして、実際に商店街や商業施設内を歩いてするような買い物と違い、偶然そのECサイトを見かけるということは起こりません。検索して流入してくるユーザーなり、facebookやTwitter、InstagramなどのSNSから流入してくるなり、どこかで引っかからなければその存在は知らないのです。
いくらサイトのサービスを充実させ、デザインを斬新にしても、目的をもって見にくるユーザーを集めない限り、無人島に出店したお店のようになってしまいます。
そのため、存在をアピールしてサイトにユーザーを集める集客は、ECサイトでの販売のもっとも基本的な販売戦略です。この作業はお店を人通りのある場所と繋ぐ作業といえます。
参考に過去の記事もお読みください。その重要性は運営担当者としては体に染み込ませておく必要があります。
また、イベントやキャンペーンで集客を狙う視点での記事もこちらにあります。
【参考】ECサイトでイベントを実施して集客・売上アップを成功させよう
一方で闇雲にセッション数だけを狙うよりも、見込み客を集めることがインターネットでのマーケティングは重要です。いわゆる悪目立ちをしてもあまり意味がありません。そのためにもこうしたイベントやキャンペーンなどの販促施策を、しっかりとターゲットを絞って行っていくことが重要になってきます。
マスメディアでの広告などによる販売促進はアウトバウンド式とも呼ばれます。ターゲットを絞らず、広い範囲に情報を拡散させます。メーカーや商品の認知度を上げていくことには役立ちます。しかし、効率はよくない手法と言われています。
逆にECサイトによるインターネットでの販売促進をテーマにしたイベントは、ターゲットがまず一つ自動的に絞られます。それは「商品を購入したい人」です。実際にはもっとターゲットを絞っていくことで、より深いインパクトを残す必要があります。しかし、それでも、単純な人寄せではなく、販促施策には文字通り「販売を促進する」というテーマがあります。
実際のところ、集客という言葉も今一度、振り返っておく必要があります。多くのWEBマーケッターがこの集客という言葉を単純に「セッション数を稼ぐ」という風潮があります。しかし、実際には「客を集める」という意味で使われるべきです。
そういう意味においては、多くのマーケティング手法は一度その意味を考えるべきです。例えば、「炎上マーケティング」という言葉がありますが、この方法は単純にインターネット上で目立つための行為でしかありません。そのまま再生回数が利益に繋がるYoutuberのようなものでなければ意味のないものです。顧客の獲得にはつながらないケースも少なくないでしょう。また、最終的には評価を下げ、売上を継続的にとることのできない原因になることさえあります。
しっかりと、お客さんになる、あるいは今後なりうるユーザーへアプローチしなければいけません。また、そうしたユーザーを購入に向かわせるのが販促施策ということになります。
販売促進への視点を持つべし
販促施策のスタートは「どうすれば、どういったユーザーが実際に購入してくれるのか」ということを考えることから始まります。
それを考えると販促を企画する上でのポイントは2点です。
- どういったユーザーを狙うのか
- どういった内容にするか
よくどちらを先にすべきかというネタで解説しているサイトなどもありますが、基本的にはどちらが先でも良いでしょう。ターゲットが決まれば、自ずと内容は限定されていきますし、逆に「こういったキャンペーンをやりたい」という場合には、その内容で訴求できるユーザーに限定されていくからです。
ただし、この2つの整合性が取れないような販促はうまくいきません。「こうしたユーザーを狙うのでこの内容」、あるいは「こういった内容なのでこんなユーザーを狙う」となっている必要があります。しっかりと実施までにデティールを詰めていくことも重要なので、この整合性が狂ったままでは、企画として成立しないことが考えられます。
いずれにしても集客を考える時には、販売促進に少しでも繋がるかどうかといった視点を持つことが重要です。
また、販促のキャンペーン自体の最大の目的が集客でもあるといった場合は、さらにしっかりとデティールを詰めておくことが重要です。当然、想定したターゲット以外にもアプローチが広がることはありますが、的を絞ってこそ効果はより出やすくなります。
もう一つ、デティールを掘り下げていく理由は、その後の分析のためにもなるからです。ECサイトの運営自体は、一度の販促施策とともに完了するわけではありません。継続的な運営の中で、「どうったターゲットを狙った施策は、どういった効果があったのか」ということをしっかりとデータとして分析しておくことで今後にいかせます。
もちろん同じ施策を期間を開けて再び行っても構いません。もし変更していくのであれば、実際に実施した施策の効果測定の結果を元に次の戦略を立てていくことで、見えてくることは確実にあるはずです。
ECサイトでの購買行動というものは、最初の内はユーザーが目に見えず苦労しますが、自ら積極的に動いてその結果を見てみることで理解できるようになることも少なくありません。また、そうした動きに対する結果をしっかり分析することで初心者ではなくなり、一歩づつECサイトの運営は前に進んでいくはずです。
キャンペーンで認知向上だけでなくリピート顧客を狙い撃ち
集客という視点で考えると、販促の企画はどうしても新たな認知を狙うことばかり考えがちになります。もちろん、最初にも解説している通り、新たな認知をえることはECサイトにとっての生命線です。ですのでそれでも問題はありません。
その一方で、販促という視点であれば、既存ユーザーを再度、取り込むことも非常に重要です。また、単純に集客するよりも購入の可能性が高いことを考えると、どうやってリピートしてもらうかということを考えることは、販促としては効率の良い方法ともいえます。
そもそも、自社ECサイトでの購入自体に高いハードルがあることがわかっています。多くのユーザーが自身の情報をECサイト側に送ることを初めはためらいます。新規の顧客を作ることは難しいということに着目してみると、一度購入履歴のあるユーザーの貴重性がよく理解できるはずです。
こうしたユーザーをしっかりとつなぎとめて、さらにヘビーユーザー、つまり優良顧客化していくことで得られるものは少なくありません。人間は良いものを他の人に伝えたいという性質があります。こうした優良顧客は、自然とECサイトの宣伝を手伝ってくれる存在になってくれるかもしれません。
例えばこんな販売促進企画
販促企画として、もっとも一般的なものとしては以下のようなものがあります。
- 送料無料
- ポイント還元率アップ
- 割引クーポン
こうした内容を軸に何らかのワンアクションをユーザーに求めるといったものです。リピート施策であれば、単純に、期間内の購入でこうしたアドバンテージを受けることができるようにするといったものでも十分に販促になります。
中には、特別会員限定の特設サイトを設けてスペシャル感を演出するという方法もあります。しかし、ページの構築などにはコストがかかるので、計画的に実施する必要のある施策と言えるでしょう。
最近、よくあるのは口コミの拡散と絡めたキャンペーンです。これもリピート施策として利用できます。購入者に口コミ書き込みをしてもらい、それに対してクーポンやポイント付与をおこなうといったパターンはよく見かけます。
またSNSと連動したパターンでは、よりアクションを求める例も少なくありません。オフィシャルアカウントのフォローと、投稿への「良いね」、さらに自らもハッシュタグをつけて、アカウントへのリンクを入れての投稿など、数アクション求めているものは少なくありません。
対価としてユーザーが得られるアドバンテージによって参加者数は絞られてきますが、ヘビーなユーザーほど、関係性を求めている側面もあります。アクションが多いほど積極的なユーザーを生みやすい部分もあります。
また、人間の心理として、一度要求したものが通ると、2つ、3つと依頼を受け入れやすくなる側面もあります。ユーザーにいかにガードを下げてもらうかということがECサイトの運営では課題の一つになってきますが、そうした部分にしっかりとアプローチするには、単純に利便性を追求してアクションを少なくするだけではいけません。
こうした販促施策ではいかにアクションを多く引き出すかということも重要です。ゲーム性といったことも、こうした場面では重要になることがあるということを覚えておきましょう。
最終的なゴールは販売を促進することですが、ECサイトでは通常の情報を閲覧するだけのサイトとは異なり、購入というアクションを引き出さなければいけません。そのため、こうしたアクションを求めるキャンペーン自体も、販促の効果として一定の需要が見込めます。
単純に期間を切っての送料無料キャンペーンやポイントアップキャンペーンももちろん販売を促進させる効果は少なくありません。しかし、多くの場合、その時だけ売上が伸び、その後は通常運行になるだけです。その上、利益も圧迫する施策ですので、しっかりと工夫して、オンラインショップの印象をつけることができなければ意味がありません。
販促自体は、その場限りの売り上げを伸ばすという視点ではなく、しっかりとその後に繋がるようなものを施策として打ち出していけることが理想です。その施策自体の効果が最初は小さかったとしても、先々にそのキャンペーンなどがつながれば、その企画は成功したといって良いでしょう。