ECサイトに必ず必要な資格や認定はないからこそブランディングをしっかりとしよう
2020.10.23
ECサイトを始めるに当たって、ECサイトならではで必要になるような資格はありません。けれども、販売する商品によって資格や認可がいるのはECショップと実際のお店には違いがありません。ここでは資格ということにフォーカスしてECサイトに役立ちそうな資格も合わせて紹介します。
ECサイトを運営するのに特別な資格はいらない
世の中にはたくさんの資格にあふれています。中には特定の資格がなければその業務に従事できない職業もあります。
しかし、ECサイトの構築から運営まで、ECに関連することにのみついていうのであればそうした資格は必要のない職業です。
そのため、行政や特定の団体から認定を受けるための試験を受けたり、そのためだけにわざわざ勉強したりする必要はありません。やる気さえあれば誰でもECサイトの事業に取り組むことができます。
ECサイト運営を加速できるようWEB技術やSEOなどを総括して体系化した資格なども存在はしますが、そういった資格自体を持たなくても特に問題はありません。もちろん、そうしたことやマーケティング、ブランディングなどの知識があればECの運営に役に立ちます。
IT系の資格は全般的に言えることではありますが、「その資格を持っていること=業務に役立つ」というタイプの資格はあまりありません。ただし、そうした資格を取得するために取り組んで知識を持つことはマイナスではありませんし、スキルを磨くことで効率良く業務をこなせるようになります。
実際に例えばIT全般の知識を問う「ITパスポート」や「基礎情報」などの資格試験自体が直接業務に役立つことはありません。しかし、第三者との会話ではそうした基礎的なIT知識があることでスムーズに話がすすむ、といったことで役立つこともあります。
ECに関連しそうな資格ですと「WEB解析士」などもあります。また、民間でそうした資格を認定しているケースもあります。
そうしたものが全て無駄というわけではありません。しかし、ECサイトの実践に直接関わるわけではなく、高額なテキスト代金や講座の受講料、検定料を取るようなものも少なくありません。
そのため、基本的な前提として「資格はなくてもできる」ということは覚えておいてください。ただし、扱う商材によっては話が違います。しかし、これは例えば、法律事務所であれば、弁護士資格が必要になるという範囲のことです。
また、個人でECサイトを始める場合は、管轄の税務署へ開業届を提出しておくと良いでしょう。税務上のメリットなどが出てきます。
扱う商品によっては必要な許可はあるので注意
資格については前述の通りです。しかし、扱う商品の内容によっては販売の許可が必要なケースがあります。実はこの許可はECだからというわけではありません。ビジネスとして販売する場合は必要になるものばかりです。
しかし、念のためその一部を記載します。
まず代表的なものはずばり「食品」です。
食品を販売する場合は保健所での営業許可が必要です。また、通常のイートインでの設備ではなく、「物販に向けた設備」として許可を受ける必要があります。飲食店でのテイクアウト営業でも物販の認可が必要ということで話題になったこともあります。
また、これは食品に関わる営業であれば当然の話ですが、事業所内に「食品衛生責任者」の資格保持者が必要です。食品衛生責任者の資格自体は1日の講習で発給されます。調理師免許を持っていると食品衛生責任者の講習が免除されます。
口に入れるものはこうした認可や届出が厳しく管理されています。また、販売自体に規制のあるお酒はECでは通販用の認可を得なければいけません。これは「通信販売酒類小売業免許」というものがあり、普通の酒屋さんで持っている一般酒類販売の免許では足りません。
医薬品は最近、一部で通販が可能になってきています。医薬品自体の販売もどんな業態であっても資格が必要なジャンルです。
また他にもペットの販売など、扱う商品に伴って付随してくる許認可や資格は、ECでの販売以前に事前に調べて取り組んでください。
このようにECだから必要ということではなく、「こういった商品を扱うから認可が必要」というものは意外に少なくありません。
また、とりあえず身の回りのものを売ろうという場合は古物商の登録が必要になることもあります。また資格ではありませんが、リメイクなどをして販売する場合は、特許や商標には注意する必要があります。
自らがメーカーとしてECを行っているのではない場合は他の人が所有している権利を侵害しないように十分配慮してください。
法的な権利侵害で訴えられると社会的、経済的な損害は大きくなります。
それでも取ってみたら役立つかもしれない資格
ECに必要不可欠な資格がない以上、資格を持つということに対し、あまり実務nの面での緊急性や必要性はありません。
それでも資格を持つという場合のメリットは個人的なキャリアに関わる部分が少なくありません。もし企業としてそうした資格の取得を獲得する行為を生かすのであれば、知識レベルの底上げと、個人レベルでのキャリア形成を考えた福利厚生的な側面にあるといえます。
そうした前提に立って考えると、マネジメントまで踏み込む「ネットショップ実務士」はそれほど無駄ではないかもしれません。
この資格はECサイトのマネージャーに向けた資格です。レベルが6段階まで分かれており、サイトの構築から実務的なマネイジメントについてまでを題材にしているネットショップに特化した認定試験です。
レベル1〜2まではどんな人でも受けられますが、レベル3以上は実際に業務経験のある人を対象にしています。
2010年から行われていますが、受験に関わる検定料は7000円、公式のテキストも4000円程度に納められているため、料金もそれほどかからず比較的経済的に勉強する題材として良いかもしれません。
運営はネットショップ能力認定機構という一般財団法人です。基本的には業界内に優秀な人材を集め、転職などの労働市場でもそうした人材が活躍しやすようにといった意図を持って行われています。
他にもさまざまな団体や協会、企業がECにかかわりそうな資格を提供しています。
個別でより専門的なものも多くありますが、Googleで提供している無料で学習できるプログラムがあります。すべてオンラインで完結でき、Googleアカウントを持っていれば誰でも受けられます。Adsenseなどの広告運用やGoogle Analyticsなどの分析の基礎などが学べます。これは実際にコストは発生せず無料でありながら、教育のプログラムとしてはしっかりしています。基本的に短い時間でしっかり理解できるように洗練されているのも特徴です。
一つのコマ自体は短いですが、動画での授業の後にはテストもセットになっており、成果を手軽に確認できます。
Googleではこうしたプログラムを通して、より自社のサービスの有効性を示しています。これにはGoogleのブランディングとしての側面も強くあります。実際に、広告などのプログラムを学べばEC担当者であれば利用してみようと考えるはずです。
また、ビジネスの仕組みとしてもよく考えられておりその結果Googleの収益に繋がるという仕組みです。こうした戦略的な部分は見習いたい部分でもあります。
【参考】Google Skillshop
資格というと大袈裟ですが、何事も興味の持っているジャンルについて研究をすることはプラスになります。
たとえばデザインや英語などはECサイトの運営でも使えると便利な場面は少なくありません。資格の取得にこだわる必要はありませんが、幅広くいろんな領域に興味を持っておくと良いでしょう。
逆にいえば、誰でもはじめられることだからこそ、差別化をはかる必要があります。そうした点でブランディングの重要性が高いのです。