ECサイト初心者におすすめ運営法〜集客を意識してみよう
2020.06.05
ECサイトを持つことは多くの企業にとって当たり前になってきました。ライバル企業と差を付けるには構築やデザインだけでは足りません。しっかりと運用し集客できるサイト、ブランディングできるサイトが評価されていきます。ここでは集客に集中し、ブランディングを実現していくオススメの運営・運用についてその初歩的な取組について解説します。
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ECサイトを持つのは当たり前の時代になった
ECサイトを持つことは今や多くの企業にとって一般的になってきました。その数は国内でも200万近いともいわれています。
そして、その制作規模も個人から法人まで様々です。そんなECサイトやEC事業の位置づけは企業によって千差万別です。実際に、商品の受注から販売までを可能にしているサイトもあれば、名刺や看板程度にただ掲示しているだけのようなサイトもあります。
想定している顧客も、一般の消費者から、対企業に向けたBtoB、行政などのBtoGとよばれるものに向けたサイトまで幅広く存在するようになりました。
今や構築方法も洗練されつつある
「どんな構築方法がオススメなのか?」と、これからEC事業を始めようと思っている企業や、本格的にECに取組もうと思う人はいろいろと調べているところかと思います。
構築方法はどんどん洗練され充実してきています。以前よりも手軽で、かつ自由度もある程度確保できる方法が、以前よりも比較的経済的に構築できるようになってきました。
今までの流れとして、自由度を高くすると費用があがるというものがあります。この傾向は現状でも同様のことがいえます。例えば、全てをオーダーメイドで構築するフルスクラッチはどうしても費用がかかります。ECサイト用にある程度組み上がっているプログラムをカスタムして利用するパッケージは、フルスクラッチほどではありませんが、ライセンス版であっても、誰でも無料で自由に利用できるオープンソースであっても、構築に関わる手間はやはり必要です。
ショッピングカートを始めとしたECサイトに関わる機能とデザインのテンプレートを用意して、そこから選んでサイトを構築していくASPを利用することでそうした費用は格段に下がります。もちろん手間もかからなくなっていきます。
これらはカートASPとも呼ばれ、基本的には月額を支払って利用するサービスですが、中には無料で利用できるプランも用意されているStoresやBASEなどのASPも登場しました。
こうした無料ASPは趣味で販売したいという人にもネットショップの門扉をひらきました。また、有料のサービスでも料金にはバラエティがあり、手軽に始められるものから、それなりに月額が発生するものまでその価格は様々です。
企業向けASPについては特徴などをまとめて解説している参考リンク内の記事も読んでみてください。
【参考】 ECサイトのASP〜いろいろあるけど、企業向けならどう選ぶ?
こうした流れの一方で、以前より比較にならないほど自由度の高い構築を可能にしているASPも出てきています。パッケージがクラウド上におかれているようなイメージのクラウドECとよばれるASPの進化したサービスともいえます。
このクラウドECは新たな構築方法として主流になっていく可能性もあり、注目されています。今や一概に「ASPだから自由度がない」とはいえないようなサービスを展開するASPも出てくるようになりました。
そういった意味では、「とにかく自由度!フルスクラッチが絶対だ!」などともいえなくなってきています。実際のところ、どちらかというと構築方法にどういった手段を用いるかはサイトの規模感による部分が選択する時の材料としては大きいといえます。
またWEB技術も常に変化しています。初期の構築にたくさんの予算をつぎ込んだとしても数年後には改修が必要になるということも避けられません。
作り方だけで価値は計れなくなってきた
結局のところ、構築方法だけでオススメを考えるということはナンセンスということになってきます。ランキングを決めたとして、こうしたことはケースバイケースなので、何が正解かはないといえます。また、初期のサイトのデザインや機能だけでは、そのECサイトの価値は計れない状況になっています。
こうなってくると構築方法以上に重要になってくるのは、そのECサイトで「何をするのか、何を生み出すのか」ということです。つまり、運営のプロセスと結果こそが重要なのです。そうしたことを考えると導入の手法はもちろん重要な要素ではありますが、企業におけるECサイトの価値はそれだけでは決めることができず、いかに運営に手腕を発揮しているかが現状のECを評価するための材料といえます。
多機能よりも必要な機能を取入れよう
機能が豊富ということは素晴らしいことです。それだけ、いろんな方向性のヴィジョンを描けることにつながります。
ECサイトであれば最低限として
- ショッピングカート
- 決済機能
の機能が必要です。この機能を基本にして、商品ページやセキュリティ、顧客情報のデータベースなどいろいろと必要な機能が膨らんでいきます。
そのうえで、例えば商品やビジネスする相手によってはリピートの多いものであれば、定期購入の機能が必要になったり、カスタマイズして顧客に合わせて販売するような商品であればチャットの機能が必要になったりします。また実際の店舗と在庫管理などで連動する必要があるといた事情も個々にあるでしょう。どういったスタイルで販売すると効果的な商品なのかユーザーの要求度によって必要な機能が決まることもありますし、社内の体制なども考慮することで自然とそうした部分は決まって行きます。
構築方法は、こうした要件によって無駄に大掛かりに考え過ぎず、また足りないこともないように過不足なく選択することです。つまり状況により、おすすめは変わるということです。
そのうえでその機能が、ECサイトの運営・運用の継続に対して効果的で役に立つかということも考えておきましょう。
自社ECサイトとモール出品の二本柱はもちろんあり
EC事業にこれから参入しようという場合に、モールを利用するのであれば「並行する」という選択肢を取ることも考えてもいい方法です。
モールはAmazonや楽天、Yahooショッピング、アスクルが運営するロハコなどの大型の通販サイトのことです。こうしたサイトで商品を販売することができます。フォーマットが決まっており、販売に関わる手数料も発生するので、粗利の悪い商品や在庫のコントロールが難しい、BtoB向け、情報商材など、あまり向かない商材もあります。
メリットとしては、最初からそのモールのユーザーがいるので独自にECサイトを立ち上げた場合の初期の集客ができない時期などがあまり関係ないことです。
○○.comなど独自のドメインを取得して自社ECサイトを展開しつつ、こうしたモール型ECを併用することで販売のチャンネルを広げることが可能です。モールでの出品にのみ留めることもできますが、ブランディングは難しく、販売のチャンネルがインターネット上にあるという程度で発展性はあまり期待できない可能性があります。
長期運用でサイトの評価を高めよう
自社でのECサイトは晩成型
ECサイトの立ち上げはなかなか大変な作業です。決めなければ行けないことも多く、たくさんのリソースを費やします。一方で決定したことを反映させていくので、業務の結果はよく見えます。そうして公開されたECサイトではありますが、最初のうちは全くセッションもなく、簡単には売上も伸びていきません。
最初からセッションを伸ばすには告知して知ってもらう作業が必要ですが、そうした予算もないという状況であれば、なかなか厳しい戦いを強いられます。また、広告などで展開しても、最初だけで終えてしまえば、その効果が切れてやはり厳しい状況になる可能性があります。その結果、半年〜1年は期待を持って見守られていても最終的には「ECはコストだけかかって効果は薄い」という評価を下しかねません。
また、「ネットショップさえあれば勝手にお客さんが購入してくれる。それに対して発送したり納品だけしていればいい」と漁師の定置網のような期待をえがいている場合もあるかもしれません。しかし、残念ながらそれではなかなかお客さんは来ないでしょう。定置網はそもそも魚の多い場所に網を張りますが、できたてのECサイトはユーザーに認識されていないので漁場にはないのです。
「オススメの運営方法」を考える前に、「運営を続けていくこと」が大前提です。ECサイトを看板や名刺のように捉えていても、直接あったことのある人にしかアピールできません。インターネットは一件動きのない世界に感じますが、日々流れがあり、動いています。ECサイトは置いておくのではなく、動かしてこそ効果があります。運営していく中で、より良い位置に持って行くことで効果が現れてきます。
ブランディングは運営の中にこそある。
その上でまずオススメしておきたいのは、「ブランディングしていく運営」です。ブランディングは、誤解を恐れず、ものすごく簡単な言い方をすると「よいイメージを持ってもらうこと」といえます。ブランディングは、打ち出した価値をユーザーに感じ取ってもらい、企業とユーザーのつながりを強くします。ブランディングこそECサイト運営が果たすべき役割といってもいいでしょう。
もちろん、買い物の機能だけでは、商品に付加価値をつけていくことはできません。記事コンテンツや動画などを利用して多角的に魅力を伝える場にしていくことがECサイトであれば可能です。こうしたことは、以前であれば、ある程度の規模をもった企業が広告に大きな予算を投じて、TVや新聞などで展開してきたことです。こうしたことはECであれば、かなり敷居を下げて展開できるのです。また、他にもオウンドメディアとよばれる自社のサイトで情報展開して集客するといった方法さえ取ることができます。
もしブランディングがうまくいけば、その効果は絶大です。マーケット内のシェア争いでは見込めない新たな顧客層を開拓することにも繋がります。ライバル企業との市場内での争いでは主導権を握ることもできるかもしれません。対面での営業活動が格段に楽になることも考えられます。結果的にはEC事業以外にも効果があがる可能性もあります。
ブランディングとシェアについての記事について解説している記事もあります。ぜひ参考にお読み下さい
日々の業務に加えて集客に取り組もう
ECサイトの業務は日常のルーティン的な作業とサイトの管理業務が発生します。受注や発想、顧客対応などの毎日の作業があってこそ、売上はあがります。またアップデートなどの対応やセキュリティに関わるケアはユーザーの安心感と社会的責任を追っている部分ですので欠かせません。
もう一つ、ここに加えて、集客に関わる業務を遂行できるかがECサイトを成功させる運営にはかかせないオススメポイントといえます。どうやって来訪者を増やすかを早い段階から考慮し、段階的に取り組んでいくことはECサイトの運営初心者こそ意識的に取り組む必要がある項目です。
運営の業務は幅広くあります。そうした内容についてはこちらの記事にて詳しく説明しています。
集客手段にはそれぞれメリットとデメリットがある
集客にはいくつかの方法が考えられます。どれも恒常的に行うことで効果は高くなっていきます。逆にそのまま置きっぱなしにしていたり更新せずに放置していくとどんどん情報が古くなることで効果が薄れていくこともあります。
主には
- 広告
- SNSとの連動
- サイト内ブログなどでのコンテンツ強化
などがあげられます。
広告には広告の制作費と出稿に関わる費用が発生するため、ハードルは他の方法より高いかもしれません。純粋に広告費を出稿するというやり方だけでなく、話題を大きくして、露出していくという戦略もあるかもしれませんが、その場合は、他の方法で外部発信しておいた結果ともいえ、戦略としては他力本願です。
FacebookやTwitter、Line、InstagramなどのSNSはこの10年で、インターネット内の行動様式を大きく変容させたサービスです。ある特定のつながりのなかでユーザー同士が情報発信をして、共有される情報がヒット商品に繋がることはほぼ当たり前になったといえます。その影響力は非常に大きく、発信力のあるユーザーがビジネスとしてそのアカウントを利用することもあります。
企業アカウントの運用も積極的に行われています。それぞれのアカウントが直接繋がりを持てるのでBtoC向けの商材を扱う企業には強力なツールになっています。ただし、BtoBであれば、それほど有用ではなく、手間だけが増えるということになるかもしれません。
サイト内でのブログなどの記事ページの作成は、じっくりと情報発信できるのでECサイト向きのフォーマットといえます。しっかりとした情報発信をすることで、確実にそのECサイトの資産になっていきます。一方で、効果が出るのには時間がかかります。ECサイトの初期と同様、最初の頃は誰も読者のいない状態になる可能性もあります。瞬間風速を出したいという場合に向いている方法ではないといえます。
他にもYouTubeなどの動画共有サイトを利用するといった方法もあります。
ポイントは、これらを単独でやるのではなく、組み合わせ、連携させて利用することです。SNSで瞬間風速を出しながら、記事ページで根付かせるということを継続していきます。そうすることで、検索エンジンに対し強いページができていきます。
また、広告出稿からSNS投稿、記事ページ作成まで、連携してブランディングを意識して組上げていくことが重要です。ブランディングは、外部へのアピールを積み上げることで成立していきます。また、直接的な集客行為をブランディングという目線で統一することで、無駄で散発な拡散を防ぎ、コンテンツをECサイトの資産としていくことができるようになります。
キーワードを狙ってケアしていこう
漠然としたブランディングよりも、よりピントがあったブランディングのほうが効果があります。実現するために「何をつたえるか」を明確にしておくことです。そのためには的確な言葉を選び、明示していくことが重要です。
そこで、もう一つ抑えておくべきことは、サイトの流入に大きく関わる検索エンジンも、言葉と強く結びついたシステムであるということです。検索エンジンでの評価は、ある意味ではその言葉と社会的認知を検索エンジンに組み込まれたアルゴリズムが示しているともいえます。ある意味ではそのまま、ブランディングの進行度を示しています。
そこで、集客を考える時には必ず、キーワードを考慮してコンテンツを制作していくことが重要になってきます。また、メインのキーワードだけでなく、そこに関連する言葉を網羅していくことで、サイトと言葉の結びつきは評価されていくようになります。
言葉を分析してコンテンツを広げよう
そのためには、まずその語のカテゴリを分析し、それにつながる言葉を拾い上げていくことが重要です。
たとえば、「パスタ専門店」として評価されたいのであれば、それに属する「カルボナーラ」や「アラビアータ」などに対するコンテンツを制作して「パスタ専門店」としての結びつきを強固にしていく作業を日々行っていくことです。
言葉の分析をしっかりと行うことで、その周辺にあるキーワードとともに評価をあげていきましょう。こうしたサイトづくりは一朝一夕では終わらない作業ですが、日々の運営で続ける中で次第に結果がでてくる方法です。
SEOについては以下の記事にもくわしく解説しています。
【参考】ECサイトで初心者も行うべきSEOの対策方法〜基本とアドバンス
分析や制作にパートナーを持つ方法もある
とはいえ、分析やコンテンツづくりのノウハウがない、加えて作業時間の捻出が難しいといった場合も多くあります。こうした作業はどれも専門化してきており、片手間で継続することは難しい状況です。とはいえ、サイトの評価を確実にあげるためには、コピーではなく、オリジナルなコンテンツである必要があります。
そこで現実的な手段は、EC運営・運用会社と二人三脚で進めていく方法です。これはお互いにメリットがある方法ともいえます。発注企業側はECへの専門的な知識や技術的な部分で頼ることができ、受注側は独自のコンテンツに関わることで足場を広げることにつながっていきます。そうした際は、同じ目線と熱意でコンテンツづくりを奨められるパートナーを探すだし、手を結ぶことが重要です。