ECサイトの求人〜人材確保の問題と向き合う

ECサイトが好転し始めると、初期の人材だけでは運営が回らなくなります。求人を検討しなければいけないタイミングです。

しかし、実際にどういった人材を求めるべきなのかは難しい問題です。また、ニーズが高く、専門性の高いスタッフは正社員や契約社員など、どういった雇用形態であってもなかなか雇用するハードルも上がります。

今回はECサイトの求人や運営の人材確保について解説します。

ECサイトのすべてを自動化はできない

インターネットの普及はめざましく、2020年代もインターネットを利用した新たなサービスが生まれることが予想されています。その結果、人間の手間を利用していた多くのことが簡略化され、多くの働き方に影響を与えています。

「今までのスキルが必要なくなって仕事が減ってしまった」という職種もあれば、そうした社会システムの変化によって生まれる新たな業務もあります。それぞれの企業も扱う商品が少しづつ変わり、変化しています。また、そうした変化し続ける企業が生き残ります。これは人材も同様です。

そうした中で職業としては「ECサイトの運営・運用」は比較的新しい存在です。インターネットが普及するまではECサイトは存在しなかったわけですし、そこまで歴史が深いものではないのは事実です。

そのため、雇用環境もわりと柔軟で服装なども自由なことが少なくありません。学歴はあまり問わず、性別に関しても女性も多く働いており、あまり関係ない傾向にあります。

こうした、人材それぞれの勤務状況は終的には各企業によります。もちろんECサイト内でどういったポジションにあるかも関係してきます。ECサイトの業務と言ってもWebデザイナーから商品管理、お客様対応など業務は幅広くあります。

ECは「電子化した商取引の場」ということで定義されます。つまりインターネット上にあるお店といえます。特定の世代や環境にあった人は「インターネット=コンピューター」と考えるかもしれません。そこでECサイトはコンピューターが人間の替わりにやってくれると思うかもしれません。

これは全てにおいて誤りともいえませんが、インターネット自体は道路や電話線のようなものでインフラといえます。ですから、ECサイトがすべて自動でオンライン上で何かをしてくれて自己完結するものではありません。

必ず、その企業の商品と繋がる通常の業務と関係した場面が出てきて、そこで人の力が加わります。構築も実は人の手が必要ですし、扱う商品や形態によっては結構手間のかかるものとももいえます。

あくまで、「インターネット上にあるお店」と考えておいた方がよいでしょう。

【参考】ECサイトとオンラインショップ~違いはなくても場面に合わせ呼び名は使い分けよう

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人材は必ず必要になる

ECサイトは初期であれば、セッション数もないかもしれません。その段階では、運営に関わる業務はそれほど多くはありません。それでも受注後のルーティンを組んだり、ユーザーからの問合せに対応するなどの業務が発生します。

仕組みによって働く人への負荷を減らすことは可能ですが、ゼロにすることは難しいといえます。また、サイトの認知が広がることで、業務は増えていくことになります。担当者を初期の状態のままの人員配置にしておくと残業しながら、幅広い業務をこなさなければなりません。

ECサイトの業務としては、

  • サイトそのものの管理
  • 商品の管理
  • 受注から発送までの管理
  • 顧客対応
  • サイトのプロモーション
  • サイト来訪者の分析

などです。

つまり、責任者はウェブサイトについての専門的な知識をもちながら、商品ページの作成などから、顧客対応や商品の陳列から販売、受け渡しまでを行うことになります。こうしたことに加えてマーケティングを考えて、行動分析やプロモーションを行います。

もし、これを一人で残業もなく完璧にこなしている人がいれば、かなりのスーパー人材です。実際にはこうした人材を求めて求人を行うのはあまり現実的ではないかもしれません。

やはり、求人募集をどこかに出して、ECサイト内の役割を分担し経験のある人材を募る、あるいは未経験者を育成していく必要があります。

ECサイト自体は歴史もそれほどないので、サイトの運営で成功した実績のある経験者を確保するのは簡単ではありません。

とはいっても人材確保の問題はシビアです。会社にとっての人材は、もし適性がある人を採用できれば、事業にとってプラスになりますし、そうでなければ人件費としてコストになります。応募する人にとってもそれは同様で、合わなければ業務は苦痛でストレスフルなものになる可能性があります。

また、経験者採用も簡単ではありません。単純に成功要因がどこにあるのかはリクルート環境では見えにくいので実績の内容はあまり参考にならない可能性があります。それでも、システムなどに触れた経験は得難いものです。どちらにしても単純には判断できません。

求人とはECサイトにとってもシビアな問題といえるでしょう。

どういった人材が必要になるか

ではまず具体的にECサイトの運営のなかではどういった業務が発生するのかを考えてみましょう。ポジションを考える上で業務内容を把握することがまずは重要です。

サイトの管理はプログラムがわかるとベター

サイト全体に関わる業務は、たとえばサーバーの仕様がアップデートされるときなどに発生します。またフォームが崩れてしまったり、フォントが表示されないといった場合もそのままにはできないので修正しなければいけません。また、機能を付け加えたい、表示を切り替えたい、顧客情報を管理したいなど、以外にサイトのシステムに触れる機会があります。

こうした業務の頻度はどういった方法でそのECサイトが構築されているかにもよります。ASPを利用している場合はこうしたアップデートに関わる業務からはほぼ解放されます。

それ以外の方法であれば、プログラムについての理解があると、もし外注しているという場合でも話はスムーズです。どのプログラムかについては開発されている環境にもよります。phpやrubyといったプログラム言語が一般的ですが、ざっとみるというだけであればhtmlタグがわかれば問題ないという場合もあります。

ASPでのECサイト運営でもhtmlについては理解していることは重要です。この場合、バリバリに記述を書いていけるというレベルである必要は必ずしもありません。

商品や販売、発送の管理は、その企業内でのコミュニケーションが必要

商品の在庫状況や、発送などは、ECサイトを運営する企業の実状をよく把握している必要があります。とくに実店舗も運営している場合は連携が必要なことも少なくありません。

具体的には店舗では在庫が余り、オンラインショップでは品切れをおこす、あるいは逆のパターンもあります。こうしたことが頻繁に起こるのであれば、場合によっては店舗在庫も含めたシステムを構築して対応することも検討しなければけません。

しかし、初期には、システムを改変する能力よりも密なコミュニケーションを取れる能力のほうが求められます。こうしたポジションでは社内でコミュニケーションを取ることができ、他部署の実状もある程度把握している人材が適格です。

発送については、商品のピックアップ、梱包を行う作業です。扱う商品によっては力作業です。

こうした業務では、インターネットの知識よりも「店舗管理」と「ロジスティック」に関わる業務経験が全体的には活かされるといえます。

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顧客対応はBtoBではとくに必要な業務

ECサイトが自動的に収益を出してくれればよいですが、残念ながらそういうわけでもありません。

また、ユーザーはそれぞれいろんな意図を持って、購入に至ります。扱う商材によっては、ECサイトのコンバージョン(成果)として、顧客対応まで結びつける役割を持たせる場合もあります。

方法が電話であれ、メールであれ、あるいはチャットであれ、顧客対応は多くの場面で重要です。また顧客対応中は必ず業務時間を消費していきます。エネルギーと時間を使う業務です。トラブルであれば、システム的なもので回避出来る可能性もありますが、営業的な視点で考えると重要な局面ともいえます。

BtoBであれば、売上を決定づける重要な要素です。

WEBマーケティングは専門性も必要

サイトにどういった人がどういった時間帯にどれだけいるのか、購入に至った人はどれだけいるのか、といったサイト内での行動分析や、どうやったら認知があがるのかといった施策は、業務として一つの分野になっています。時には他のツールを利用したり、足りないコンテンツを加えて、サイトの集客アップに努める業務です。サイトが大きくなると、そうした分析への時間がどんどん必要になってきます。

このジャンルは今は専門性の高い業務になっています。また、SEO対策を行うこととWEB広告運用やSNS運用は、目指すゴールに近いものがありますが、全く別のノウハウです。

新しい商品ページを作る業務は商材により頻度は違う

ECサイトというと「新しい商品ページをつくる業務」のイメージが未経験の人にはあるかも知れません。商材の入れ替わりが激しい業務では、確かに写真撮影や、商品の紹介文の作成などが多くなります。しかし、そういったECサイトは全体的には多くないかもしれません。

こうしたページが多いのは、中古商品や一点ものの商材が多いECサイトです。楽器やセレクトショップなどでは更新業務が多いため、そうした商品ページを登録していくためのスタッフが必要になります。こうしたことは、実際に扱う商材によります。

毎日必要というわけでもないので、働き方のニーズがあう専門スタッフとしてしカメラマンやライターとして業務委託で対応するという方法もあります。

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ECの専門的ポジションはパートナーシップという選択肢

実際にECサイトを運営している担当者レベルでは、運営がうまく循環し始めるとだんだんと手が足りないことを実感してきます。それは次第に大きくなり、最後は何か手を付けられない業務が出てくるかもしれません。

どんな業務が新しいスタッフで対応できるのか考えよう

そうした場合は、もちろん人材を募集しようということになりますが、先ほども話に出たスーパー人材がいれば、即戦力としてすべてをフォローできますが、そうもいかないことはご承知のとおりです。存在した場合は、それなりの年収や労働環境などの待遇を考えなければいけません。

むしろ、このような状況の中で必要なのは、どういった業務であれば、新しいスタッフで対応出来るのかを考えることことです。

社内の事情も配慮する必要のある実務に関わる業務は、未経験の新人では難しいこともあり、育成には時間がかかるかもしれません。

既存の担当者がフォローしつつ育成して業務を行うことが第一選択肢です。もしかしたら一時的には既存のスタッフの負荷が増えるかもしれませんが、業務のたこつぼ化を避けるためには、新たに人材を確保しておくことが、安定運用にはよいでしょう。

社内の部署間でのやり取りも発生するため、社員であるほうが、情報の共有や漏出のリスクも避けることができます。また、製造に関わること等、商品に対する知識を深めることは、その人材が他部門にいっても活躍できるかもしれません。

顧客対応も同様のことがいえます。実際には電話対応についてはマニュアル化して、外部のコールセンターを使う企業も多くありますが、マニュアル化できなければその方法は取ることができません。また顧客対応の基本方針は、ECに関わらず、社内で作っておく必要があります。

専門性の高い人材は求人も難しい

また、人材募集にはもう一つハードルがあります。専門分野を持つスペシャリストに給与分の場を与えられるのか、活躍を評価できるのかといった問題です。また、運良くそうした人材が確保できるかもわかりません。いろいろと悩ましい問題を抱えるのが専門性の高い人材の確保といえます。

専門性が高くニーズのある職業は、支払う給与もも高く、コストの問題も出てきます。ECサイトに関わる業務として、この問題に当てはまるのは「構築」「アップデート」「SEO対策」「広告運用」など少なくありません。頻度も多く、連動している部分もあるため、もし人材登用するのであればいきなり全てを満たす人材を確保することは難しいかもしれません。

潤沢な予算があればいいですが、経験=結果でもないことは、採用後に現場で一緒に働く人はよく知っています。それであればやる気のある意欲の高い人材を確保して、知識をつけてもらうという方法もありますが、どれも“帯に短し、たすきに流し”といった感じといえます。

専門の企業をパートナーにする現実性

そうした杞憂や苦労を飛ばして問題解決する方法として、運営・運用の得意なウエブ制作会社などとのパートナーシップを持つことです。中には運営に特化した企業もあります。

この方法であれば、人材をどう集めるかという課題の半分程度は解消出来ます。また、専門の人材を雇用するよりも経済的な恩恵もあると考えられます。

これは求人を探す人材の立場から見ても同様のことがいえます。ECサイトの直接の運営を行う企業に応募するよりも、業務経験も専門性を持って取組むことができて現実的です。

これは自社ビルを建てようとしている企業があっても、そこに設計士が就職しにいかないのと同じことです。システムとしては分業がなりたっています。企業側も働く側もそうしたイメージを持てれば、外注や下請けなどとカテゴリーを気にしなくなります。すべて「自社でやろう!」とすることはECサイトに関連する業務には、すでに限界があります。

もちろんどんなことも規模によりますが、ある程度進行してくると専門家の必要な領域になることを、覚えておきましょう。「インターネット=安価で、または無料でDIY」というのは残念ながら最初のうちだけです。

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連携のしっかりとれるパートナーを探しましょう

どこかで専門家の力が必要になるということはわかっても、どういう風にパートナー企業と業務を進行するかによって結果は違ってきます。

理想はもちろん、専門の知識と経験をしっかりと反映させてサイト運営ができることです。これは多くの人が理解できることです。そのために何が必要かというと、忌憚なく意見交換のできる関係づくりにつきます。

そのうえで、

  • しっかりと納得のいくまで説明してくれる
  • それぞれの企業がもつ独自性や魅力をしっかりと汲み取って落とし込める
  • 積算がしっかりしている
  • ゴールが共有できる

といったことです。

つまりは、一方的ではなく、コミュニケーションをしっかりととれて、信頼関係を築ける相手と一緒に仕事を進めることが、大きな力を生みます。私たちはインターネットの専門性はもちろんありますが、それぞれの企業が持つ製品についての専門性は、その企業のスタッフには勝てません。そうしたお互いのスペシャリティを融合させてこそ、ユニークで効果的なコンテンツが作られるわけです。

それを生むのは一方的なものではなく、お互いの信頼関係と理解、忌憚のないコミュニケーションが必要です。

もし、人材に関して悩ましい状況にあるという場合は、状況によってはこうしたパートナーシップで解決につながるかもしれません。

また、専門家として、その他の課題についても有効な提案ができる可能性も十分にあります。実は課題は求人ではなく、他の問題で、それは別の方法で解決できるといったケースもあります。

もし、工数などの問題を抱えている段階にあるのであれば、我々の出番なのかもしれません。

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