ECサイトのためのスクール、外部に依頼で解決できるかも
2020.10.26
ITに関わるスクールをビジネスにしている事業者は少なくありません。中にはECサイトについての講座を開講しているスクールもあります。しかし、ECサイトには資格も必要ありませんし、必ずしもスクールで学ぶメリットは高くありません。ここではECのスクールについてその必要性などを解説します。
ECサイトの基礎の多くは書籍やネットから学べる
少し専門性のあるような業務や実態の掴みにくいものは、その業務についてのノウハウなどを教えるスクールや講座などがよく登場します。ECサイトは21世紀に入って活発になってきたインターネットによる商取引の場ですが、「ECサイトとは一体何なのか?」を理解していない人が多いのも事実です。世間ではECサイトの必要性を訴える流れも多く、事実、必要性は高い状況ですが、こうした状況を背景に「ECサイトスクール」は登場してきます。
そこでまず考えなければいけないのはECサイトの構築や運営、運用などといっても非常に幅広いということです。ECサイトについて全体的に学んだとして、少し方向性が変われば、役に立たない、あるいは出番のなくなる知識が多すぎます。プログラミングやデザイン、特定のシステムなどの一つのイシューに深く関わることではなく「ECサイト」とあると枠が広すぎるのです。
また、WEBに関わることだけでなく、実際のサービスも含むECについてをコースとしてプログラムを提供していくことがセミナーの内容として必要になってくるはずです。しかし、それぞれの企業が扱う商品やサービスによって、状況は一つではありません。そうした題材に対して、教材化して、体系的に学ぶということは非常に困難です。
一方で、インターネットについてのことの多くは、実はインターネットから学ぶことができます。htmlやCSS、Wordpressのインストール、SSLなどに関わる多くの情報について、インターネットを使ってアクセスできます。また、書籍も活用することもできます。
どうしても実務経験、というよりは実際に実施してみることで得られることは少なくありません。ですが、学校で学べるような知識的なことの多くは特定の決められた時間を割き、高額の受講料を払わなくとも得ることができる時代がこの2020年代です。
そうした中で、学校的な組織で学ぶメリットは多くはありません。もちろん、誰かに教えを乞う中で、その対価を払い得られるものも多くあります。そのためECサイトの学校についてその全てを否定するものではありません。しかし、それが決められたカリキュラムである必要性は低く、また、やる気次第では経済的な負荷は小さく学べる環境がある中で、わざわざスクールの講座を受講する必要性は高くないと言わざるを得ないでしょう。
もう一つ考えなければいけないのは、学びのゴールはスクールの受講とイコールではないということです。学ぶ主体はいつでも自分自身にあります。主体的に学ぶ姿勢がなければ何事も身につきません。その上で、学ぶ材料が安価で転がっているECサイトについてわざわざスクールで学ぶということの意味は、考えざるを得ません。スクールが知識の獲得を保証するわけではないのです。
もちろん、すべて、そうした学びの場を否定するわけではありません。世の中には人に教えるのがうまいというスキルが確かに存在します。テキストで読んでもピンと来なくても、教えてもらうことで急激に理解が進むということもあります。
また、これはカリキュラムにもよりますが、途中で通過ポイントを設けられることで継続性が出るという、逆に学校で習うのに向いているタイプの人もいます。ですから、スクール自体を全否定するものではありません。
またしっかりとトピックを設定した専門的で特別な講座などでは一般んに流布している以上の知識が共有されることもあります。しかし、いずれにしても、その学習にかける費用について、本当に必要なのかは今一度考えた方がいいかもしれません。
その受講料で外注できるかも~冷静な判断を
なぜ、このようなECサイトのスクールの必要性という方向に話が進むのかというと、「もしかしたら受講料で外注できるのでは?」という可能性が出てくるからです。
もちろん講座を受ける金額は様々ですので一概に高額とも限りません。しかし、スクールに通い、その後に構築をして~~という手間を考えるとコストがかかりすぎています。この場合のコストは受講料だけでなく、その学びに費やす時間も含めてです。
もし、そういったコストを計算すると、例えばサイト制作会社にコンサルタントを依頼することでアドバイスを具体的に受けながらECサイトを作り始めることができるかもしれません。場合によっては、サイトの制作自体を依頼できる可能性もあります。
学ぶ姿勢を持つことは素晴らしいことです。しかし、先に述べている通り、構築方法が変われば役に立たなくなる知識がECサイトには多くあります。また、サイトの技術以外の作業もECサイトにはあります。そうした中で、HTMLを一から学ぶような講座では遠回りしすぎています。
確かにカスタマイズなどでHTMLなどの知識は活用できるでしょうし、無駄なこととは思いませんが、実際の中で必要なことを押さえていった方が遥かに効率的です。いずれにせよ、資金は効率よく使うことをお勧めします。
また、専門家に業務を頼むことは学びにも繋がるはずです。ECサイトについてもし自社のサイトを独自で作るのであれば、その商品や状況に合わせてしっかりとカスタマイズしていくことが重要です。優秀な専門家は、そうしたニーズをしっかりと汲み取り、意向を引き出して成果につなげます。そうした中で、どういった選択をしていくのかを、見ているだけでも勉強になることは少なくありません。
「門前の小僧、習わぬ経を読む」ということわざがあります。必要なのは学ぶ場への出費ではなく学ぶ姿勢です。また、その上で、ECという広い業務範囲に関わることではなく、どういった知識があるとプラスアルファになるのかは的確に見出して、そうした部分へ自己投資として学習することが良いでしょう。