ECサイトの決済手数料は決済代行会社の重要な選択基準

2020.09.11

決済代行会社はECサイトの運営を進めるうえで重要な役割を果たしています。WEbでの販売の場合、決済手数料はなんらかの形で必ず発生してきます。

そのため手数料がどのように徴収されるかは決済代行会社を選択する重要な基準といってもいいでしょう。

ここでは決済手数料とその他の要素について解説します。

手数料が利益に与える影響は少なくない

どういった構築方法でECサイトを作ったとしても、なんらかの決済サービスを利用する以上は決済手数料を支払わずに運営していくことは困難です。

その発生を避けて例えば銀行振込のみに対応し手数料を顧客に負担してもらうなどすれば、実質的な決済手数料は発生しませんが、振込確認などの手間をコストに換算すると少なくありませんし、ユーザーにとっても不便です。ですので、すべてのECサイトで利用できる手段とはいえません。

つまり、ECサイトを運営していく以上、どのようにしても決済手数料とつき合っていくしかありません。ですのでネットショップの売上にともなって発生する必要な費用と考えておく必要があります。

そこで問題になってくるのは決済手数料がどれくらい発生するのかということです。そして、まずは最初の構築時に決済代行会社を選んで、決済手数料のシステムを決めておくという作業もかならz必要になります。

決められた決済方法の範囲で行うことがカートASPでは何かと多くなります。そのため無料のASPなどでは決済手数料の選択権がほぼありません。

実際のところ、最初期から決済代行会社を自由に選んで構築できるようなシステムを選んだとしても、それぞれの代行会社が持つ機能や状況を詳しく確認してから代行会社を選ぶことは、初めてのECへの取り組みで単独で構築していたり、決済にあまり詳しくない制作会社に依頼したようなケースでは難しいかもしれません。

なかには決済方法を柔軟に選べる構築の方法もあります。たとえばECパッケージを利用して構築した場合は、各種の決済サービスを一つの契約で利用出来る決済代行会社と契約し、その決済システムを組み込むという流れになります。

決済は今や多様

決済代行会社で提供している決済サービス全体を見渡すと、決済手数料は複雑です。それは複数の決済手段が用意されてるからです。何かの項目で手数料の料率が低くなっていても、他の項目では高めになっているなど、絶妙にバランスを取っていることが少なくありません。

しかし、だからといって決済方法ごとに個別に契約を進めようとは考えないほうが得策です。そのようにした場合、以下のような問題に突き当たります。

  • 締め日や支払日などの支払いパターンが各社でバラバラ
  • 個別契約だからといって料率が安いとは限らない(むしろ高いこともある)
  • 契約の作業は時間がかかり手間が多い

特に、直接だから安くなるということはあまりありません。もちろん莫大な取引量があるとなれば別ですが、ローンチ直後のサイトでそれを考慮してもらうことはどういった背景があったとしても非現実的です。決済ごとに利用のための審査を受けるだけで大変な労力と時間です。

また、初期に決済方法の導入に時間をかけすぎることはただ販売機会を失う期間が長くなるという場面も多くなります。

入金日や請求の締め日のタイミングが決済手段ごとにバラバラになると、とても作業は煩雑になります。管理に手間がかかってくるということはその分の工数が増えることによるコストやリソースを考える必要もあります。

ですのでやはり決済代行会社と契約する方法がもっとも現実的ですし、合理的です。

そして、その利便性が確実にあるといえるだけ決済方法の多様化は著しいものです。

クレジットカード、キャリア、ID、電子マネー、代引き、コンビニ決済などのBtoC向けだけでなくBtoBに特化した完全にビジネス向けの決済もあります。クレジットカードにも複数のブランドがありますし、電子マネーやIDによる決済もいろんなサービスが連携できるなど複雑さを増しているのが現状といえます。

決済代行会社はECサイト運営にはよくも悪くも欠かせないシステムのようなものです。こちらの記事でも解説しているので、あわせてお読みください。

【参考】ECサイトは決済代行会社を利用して決済方法を増やす

料率は安く、長くつき合えることが重要

決済代行会社は世の中に数多くあります。そのため、比較する基準を決めるのは簡単ではありません。

決済代行会社のなかにはインターネット上では、それぞれの事業者によって対応可能な決済手段は公開していても料率は非公開にしているケースもあります。これは大手の資本が入っている場合であっても同様です。こうした背景には取引金額なども利用料率に関係しているためです。

そのため、しっかりと問合せをして見積もりの上で契約を進めることが重要です。

ひとつの基準となるのはクレジットカードの料率です。もっとも利用頻度の多い決済方法ですのでBtoCをメインにして行うスタンダードなオンラインショップであれば、目安にするのはこのクレジットカードの料率となるでしょう。

料率は0.01%でも安いほうが良いです。たかが0.01%といっても売上が100万で支払う金額は100円、1000万で1000円と金額にともなって上昇していくことを忘れないでください。ただし、概ね相場があるので、交渉の機会がある場合に無茶な数字を要求しても受け入れてはもらえません。現在は3.25%あたりが相場です。

また、さまざまなカード会社があり、それぞれで料率が変わってくるケースもあります。VisaやMasterでの支払いが多いのでそこをメインに考慮しますが、他のカード利用が極端に高い手数料設定では少し問題があります。

もう一つ、重要なのは金額以外のことです。しっかりと継続した関係を維持出来るサービス体系を持っているかは、料率と同じくらい重要です。現在は新規でインターネット関連事業が始まることも多いのでこの点は、継続性をもってECサイト運営を考えている場合はとても重要です。

以前、Spikeというサービスが手数料を決済金額月額合計100万円までは0円を銘打って始められました。決済手数料が無料化されるという情報は大きなインパクトを生みましたが結局2018年にサービスを終了しています。このようなことになると他の決済代行会社への変更を余儀なくされます。今まで考慮していなかった経費を考えなければいけないので、決済の変更をすることに対しては影響も少なくありません。

継続する中で、売上の上昇にともなって料率の変更について相談することは可能なのかも決定前の候補企業にしっかり確認してみると良いでしょう。営業担当がついているような決済代行会社では、最初期の段階から各項目の料率について、見込みをつけて料率のパーセンテージを設定しているようなケース存在します。

ただし、かといって夢のように下がるわけではありません。過度な期待は禁物ですし、関係を悪くするだけです。基本的には双方にメリットのある落としどころを見込んで余地があるなら交渉する程度にしておくことが肝心です。

決済代行会社の決済項目は関係のある項目を重要

決済代行会社のそれぞれの決済に関わる料金の設定は絶妙です。項目によっては購入代金によって段階的に引き上げられるものや、1回の決済により金額が決まっているものもあります。

それぞれ相場があるというよりはコンビニ決済や代金引換えなどのように、最低限のシステム使用料が決まっている場合もあります。これはもともとの仕組みの問題でもありますので、決済手段によっては各社横並びで差がない場合もあります。

こうしたものはコンビニや運送会社が最初に設定しているので覆すことはできません。電子マネー等も同様のことがいえます。

全ての決済手数料を安くしたいというのは実際のところ難しいものがあります。そのため、まずは十分に関係のありそうな決済方法についてしっかり確認することが重要です。

実際に自社のサイトで利用されない決済方法、あるいは導入予定のない決済方法の手数料がいくら安価に設定されていたとしても旨味はまったくありません。

ですので、まずは関係のありそうな項目にマトを絞ってしっかり確認してください。

代行会社のサービストラブルは影響大

代行会社を選択する上で決済手数料だけで選択するのは良い手とはいえません。しっかりとセキュリティについて考慮されているかを確認してください。

「簡単な手続きで利用開始できる」といったうたい文句は状況によっては要注意です。それだけ本人確認などのがあまいのかもしれません。

この2020年代においては決済代行会社のセキュリティは非常に重要です。多くのユーザーがクレジットカードを使います。もし何かあった場合、購入者は保護されますが、販売している側は保護されません。また、トラブルがあればユーザーからの信頼を一気に失います。

最近ではクレジットカード情報についてのECサイト側での非保持などで、決済代行会社のECにおける役割は決済とセキュリティを握る傾向があります。もし決済代行会社が自社とは関係ないところで不祥事をおこした場合、火の粉がかかる可能性もあります。

もし決済代行会社がシステムに障害を起せば、決済に関わるシステムを利用出来なくなります。場合によっては連鎖的に販売ができなくなる可能性があるということになります。実店舗であれば現金ですぐにやり取りできますが、ECサイトではそうはいきません。

何かがおこる前に、妖しい体系、体制の企業との付き合いは慎重に避けるようにするのがよいでしょう。社会的な信用を守るためにも金額以外の要素を十分に考慮していくことはとても重要です。自身だけでなくユーザーの金銭に関わることでもありますし、こうした部分でのリスクへの対処も十分に考慮すべきです。

選択する時のポイントとしてはサポート体制がしっかりしている企業は安心して利用できるということがあります。金銭が関わることは緊急性の高い事象が発生することも少なくありません。安心してユーザーに利用してもらうためにもサポートのしっかりとした決済代行会社の中から選んで選択することが賢明です。

最近ではクレジットカード情報の非保持化が本格的にECサイトに求めらはじめています。そのため、決済代行会社は、リンクで決済代行会社のサイト内で決済をおこなったり、トークンとよばれる文字列にクレジットカード情報を変換して決済をおこなうなど、しっかりとしたセキュリティの技術を持って運営していることも選択の要因として重要です。

決済情報の非保持化については以下の記事でも説明していますが、犯罪に巻き込まれないためにも重要です。

【参考】ECサイトでのクレジットカード情報の非保持は情報漏洩対策の基本

表面的な手数料だけでなく幅広い視野で

トータルして考えると、手数料率は重要なことですが段階的に見直すことができれば、さほど問題ないともいえます。

また多くの決済代行会社ではたくさんの支払い方法を網羅しています。幅広いユーザーを取入れたいと考えている商品を販売するのであれば、決済の種類の多さは武器になりますが、商品の傾向によっては必要のない決済方法も出てきます。

そのため、決済方法の数だけでなく、基本的に質を問うことが大事です。

これは「関係のある項目をしっかり確認する」ということにも通じますが、まずは何が関係ありそうなのか、どういった決済方法があるのかも事前に把握しておくことがやはり重要といえます。

【参考】ECサイトの決済を分類ごとに解説〜それぞれにあった決済方法はどれかを探ろう

また、目的にそった決済代行会社を選択することは忘れないでください。「BtoBをメインにしよう」と考えているのに、電子マネーやID決済が充実していてもユーザーのニーズを満たせません。逆に小売をメインにしているのにBtoB向けの後払い決済を導入してもあまりユーザーのメリットにならないでしょう。

結局のところ決済手段はユーザーのニーズを満たすためにあるわけですから、それぞれの利用方法に合わせた決済方法に対応している企業を選んで、それぞれしっかりと交渉して導入を進めることが基本的な姿勢といえます。

安全に利用可能で、締め日や入金サイクルが短く、そしてもちろん、自社のユーザーニーズにあった決済方法を利用しやすい決済代行会社を利用することが重要です。

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