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ECサイトの滞在時間は、伸ばす目標ではなく判断の材料にする

2020.11.24 2026.09.02 更新

アクセス解析を開いて、まず滞在時間を見る。長ければ少し安心して、短ければ何か直さなければと考える。ECを運営していると、この習慣がついてきます。

ただ、滞在時間が伸びた月に売上も伸びたかというと、そうとは限りません。逆に、短くなったのに注文が増えている月もあります。数字は動いているのに、次に何をすればいいのかは分からないままです。

一般には「滞在時間を伸ばせばコンバージョンに近づく」と語られます。かいなはそう考えていません。滞在時間は伸ばす対象ではなく、お客様の迷いの量を映す信号です。長い滞在が理解の深まりなのか、行き止まりでの足踏みなのかを見分けられないうちは、指標として使わないほうが安全です。

いまの解析ツールで、滞在時間が何を測っているのか

数年前の解説をそのまま前提にすると、実態とずれます。計測の仕組み自体が入れ替わっているからです。

平均セッション時間から、エンゲージメント時間へ

かつての標準は、ページを移った時刻の差を足し上げる「平均セッション時間」でした。最後に見たページの時間が測れず、0秒として扱われるという弱点があります。

現在のGoogleアナリティクス4では、画面が前面で開かれていた時間を測る「平均エンゲージメント時間」が中心です。(出典: Google アナリティクス ヘルプ「[GA4] 平均エンゲージメント時間」)

裏でタブを開いたままにしていた時間は含まれません。以前の指標より、運営者の実感に近い数字になっています。

それでも計測は完全ではないという前提を持つ

とはいえ、画面を開いたまま席を離れた時間まで見分けられるわけではありません。カートASPの管理画面に付いている解析も、算出方法はツールごとに違います。

ですから、他社の数字や業界平均に近づけようとする使い方には向きません。同じサイトを、同じ計測方法で、前の期間と比べる。

滞在時間は、この範囲でだけ意味を持つ数字です。外と比べ始めた時点で、判断の精度は落ちていきます。

SEOに効くかどうかは、判断材料から外す

滞在時間が検索順位に直接影響するのかという議論は、長いあいだ続いています。ただ、これを気にしても運営の手は動きません。

順位が上がるかどうかではなく、自分の売り場で何が起きているかを読むために見る。そう割り切ったほうが、指標として使いやすくなります。

すべての施策を「SEOに有効か」で判断し始めると、商品が売れるかどうかの話が後ろに追いやられます。ECは、注文が入って初めて完結します。

滞在時間が長いのに売れない売り場を、自分たちで持って分かったこと

かいなは支援会社であると同時に、自社ECを4サイト運営しています。同じ「滞在が長い」でも意味が正反対になることを、自分たちの売り場で何度も見てきました。

セミオーダー家具では、長い滞在が不安の裏返しになる

壁面収納のセミオーダーECを自分たちで運営しています。仕様の組み合わせが多く、お客様は商品ページを行ったり来たりします。

滞在時間は当然長く出ます。ところが、そこで止まっている人の頭にあるのは「どれが好みか」ではありません。「うちの天井高で入るのか」「賃貸で使えるのか」です。

この滞在は理解ではなく、確認できないことによる足踏みでした。伸ばすべき時間ではなく、短くすべき時間だったわけです。

ギフトECでは、季節によって滞在の意味が入れ替わる

カニと北海道海鮮のギフトEC「かにと。」も自分たちで回しています。年末に注文が集中する商材です。

繁忙期に入ると、贈り先と予算が決まっている人が短時間で決めていきます。平均の滞在時間は下がりますが、注文は増えます。

閑散期はその逆で、下調べの人がゆっくり見ていきます。同じ数字を同じ意味で読むと、季節そのものを施策の成果だと勘違いします。

撮影も原稿も自前で持つと、滞在の変化を原因まで追える

かいなには自然光の入る自社スタジオがあり、商品写真も説明文も自分たちで作り直せます。新商品や季節ごとに撮り続けられる体制です。

写真を差し替えた週、説明の順番を入れ替えた週。変更と数字の動きを並べられるので、滞在時間の増減に原因を当てられます。

逆に言えば、いつ何を変えたかの記録がない売り場では、滞在時間は解釈できません。数字を見る前に、変更履歴を残す側から着手したほうが早いことがあります。

かいなが、滞在時間を追わないほうがいいと言うケース

見なくてよい、と申し上げることもあります。判断の材料として3つ挙げます。

広告とLPが主体で、1ページで完結する売り場

広告から流入し、そのページで買うか離れるかが決まる構造では、滞在時間は「読み切ったかどうか」しか表しません。

ここで見るべきは、スクロールがどこで止まったかと、フォームのどの項目で手が離れたかです。粒度がまったく違います。

滞在時間を目標に置くと、文章を長くする方向に手が動いてしまいます。かいながLP主体の運営に滞在時間の改善を提案しないのは、構造として噛み合わないからです。

セッション数が少なく、平均が数人で動いてしまう売り場

立ち上げ初期や、流入の少ないカテゴリでは、平均滞在時間はごく少数の行動で大きく振れます。先月との差に意味を読み取るのは無理があります。

この段階なら、実際に注文してくれた方の行動を1件ずつ追ったほうが早く分かります。平均を見るのは、母数が安定してからで構いません。

滞在時間そのものを目標値にしている運営

「平均5分を目指す」といった目標を立てた瞬間、この指標は判断の道具ではなくなります。滞在を伸ばすだけなら、読みにくい長文と意味のない画像で達成できてしまうからです。

かいなが目標に置くのは、滞在時間ではありません。そのページを見た人が、次のページや購入にどれだけ進んだかのほうです。

滞在時間は目標ではなく、進まなかった理由を探すときの入口として使います。

滞在時間から次の一手を決めるときの、分かれ目

数字を見たあとに何をするか。答えを分けるのは、長い滞在の理由が「選べていない」のか「決めきれない」のかです。

遷移が横に広がるか、1点に留まるかで見分ける

同じカテゴリの中を何度も行き来しているなら、選択肢を並べて比べられていない状態です。「選べていない」側にあたります。

一方、1つの商品ページに長くとどまって、そこから動かないなら、情報が足りずに判断を保留している状態です。

行き来が多いか、1点で止まるか。この形の違いだけで、打つべき手はきれいに分かれます。

決めきれない側なら、書いていない条件を足す

サイズ、設置条件、納期、返品の扱い。決めきれない滞在の原因は、たいてい書かれていない条件にあります。

問い合わせで繰り返し聞かれることを、そのまま商品ページに書き足す。地味ですが、広告費を積むより先に効くことが多い作業です。

効いたかどうかは、そのページの滞在時間が短くなり、かつ次に進む人が増えたかで確かめられます。

選べていない側なら、探し方と比べ方を足す

行き来が多い場合、商品ページを厚くしても解決しません。必要なのは、横に並べて比べられる場所です。

ただ、そのためにカート本体の商品データや一覧テンプレートに手を入れるのは、影響範囲が大きすぎます。決済と在庫を抱えた売り場を止めるリスクと釣り合いません。

かいなのERABは、読み取り専用の連携だけで比較や多軸の絞り込みを足す設計にしています。既存ECを改修せずに試せることを優先しました。

読みものとECが別サイトなら、数字そのものが分断されている

ブランドサイトで産地や製法をじっくり読まれていても、ECに移った時点で別の計測に切り替わっていることがあります。

この状態では、滞在時間を足しても実態を表しません。読んで納得した人がどこで消えたのかも追えないままです。

読みものから購買までを1つの流れで見られるようにするHAKOBのような統合を検討するのは、この分断が見えたときです。

ECサイトの滞在時間の読み方について、お気軽にご相談ください

滞在時間が気になるというご相談は、掘っていくと「お客様がどこで迷っているのか見えていない」という話に行き着くことがよくあります。

かいなに来る相談で最も多いのはカート移行です。ただ、話を進めるうちに原因がサイトの構造にあると分かり、ブランドサイトとECの統合に発展することも珍しくありません。

かいなは自分たちでもECを運営しています。広告が思ったほど効かなかった朝の焦りも、レビューが1件ついた日の嬉しさも、自分の金と在庫で経験してきました。

売る側の実感を持った相手として、まずは現状を伺うところからお付き合いします。30分の無料相談から、お気軽にご相談ください。