EC-CUBEでECサイトを構築するメリットとリスクの判断軸
2020.08.13 2026.09.02 更新
ECサイトを作り直すとき、EC-CUBEという名前は必ず候補に挙がります。オープンソースで、ライセンス料がかからず、好きなように作れると聞いている方も多いのではないでしょうか。
ところが見積もりを取ると想定していた額に収まらず、運用の話になると「更新は誰がやるのか」で止まる。数年前に構築したまま、バージョンを上げられずにいる会社もあります。
一般には「オープンソースだから無料で自由度が高い」と説明されます。かいなはそこを判断の入口にしていません。
EC-CUBEを選ぶかどうかは、費用でも自由度でもなく、5年後もこのサイトを直せる人を確保し続けられるかという意思決定です。ここを外すと、公開した直後だけ満足度の高いサイトができあがります。
CONTENS
「無料で自由」という前提が、いまの実情と合わなくなっている
EC-CUBEの説明の仕方は、長いあいだほとんど変わっていません。変わったのは周辺の環境のほうです。
ライセンス料が無料でも、動かし続ける費用は消えない
EC-CUBEはライセンス使用料が発生しないプログラムです。ここは事実で、初期見積もりからソフトウェアの費用が消えます。
ただし動かすにはサーバーが必要で、SSLや決済代行の契約も別に発生します。プラグインにも有料のものがあります。
結果として、月々の支払いは安価なカートASPと同程度のところから始まります。無料という言葉が指しているのはライセンスだけで、運用の費用ではありません。
どの系列を前提に話しているかを、契約前に自分で確かめる
EC-CUBEは系列によって中身が大きく違います。旧系列と現行系列では拡張の作り方も、必要な技術者のスキルも別物です。
旧系列を前提に書かれた解説記事や、旧系列向けのプラグイン紹介が、検索結果にはまだ残っています。これを読んで判断すると、見積もりと実装の話がずれます。
どの系列が現行で、どこまでサポートされるのかは公式の情報で確かめてください。(参照: EC-CUBE 公式サイト)
カートASPが伸びて、比較の土俵が変わった
以前は「テンプレートの外に出たいならオープンソースかフルスクラッチ」という分かれ方でした。いまはカートASPでも外部連携やデザインの自由が広がっています。
そのため、自由度が欲しいという理由だけでEC-CUBEに行き着く場面は減りました。かいなに届く相談でも、EC-CUBEからカートASPへ移したいという方向のほうが多くなっています。
いまEC-CUBEを選ぶ理由は、標準機能では絶対に足りない要件がはっきりしているときに絞られてきました。
自社でECを運営して分かった、システム選びの見え方
かいなは支援会社であると同時に、自社ECを4サイト運営しています。作る側と売る側の両方に立つと、条件を見る順番が変わります。
止まらないことが、自由度より先に来る
注文が入る時間帯に管理画面が開かない。この一度で、その日の出荷計画が崩れます。
かいなはカニと北海道海鮮のギフトEC「かにと。」を運営していて、年末に注文が集中します。この時期に更新作業でつまずく余裕はありません。
自分の金と在庫で売り場を持つと、機能の豊富さより「手をかけなくても回る状態」を先に考えるようになります。EC-CUBEは、常に誰かが面倒を見る前提の仕組みです。
標準から外れる要件が出るかは、商材で決まる
一方で、標準機能に収まらない売り方もあります。かいなは壁面収納のセミオーダーECも運営しています。
天井高や幅の組み合わせで価格が変わり、賃貸で使えるかどうかも条件になります。既製品を並べて売る前提の仕組みでは表現しきれません。
こうした商材では、受注のロジックを自分たちで持てることに価値が出ます。自由度が効くのは、お客様の迷いが仕様の組み合わせにある商材です。
更新を誰がやるかで、選ぶものが変わる
かいなは名古屋と東京に撮影の拠点を持っていて、新商品や季節ごとに撮り続けています。撮った写真は、その週のうちに売り場へ反映させたくなります。
この動きが社内にあるなら、更新のたびに外部へ依頼が必要な構成は合いません。逆に更新頻度が低く、年に数回の入れ替えで足りるなら、専門的な仕組みでも回ります。
選択は担当者の一日の動きから逆算すると外れません。機能表を眺めても、この答えは出てきません。
かいながEC-CUBEをすすめない場合
ご相談の中で、やらないほうがいいと申し上げることもあります。判断の材料として3つ挙げます。
継続的な技術の担い手が、社内にも社外にもいないとき
EC-CUBEは、ベンダーの窓口が面倒を見てくれる仕組みではありません。PHPやデータベースのバージョン、セキュリティの更新は運営側の責任範囲に入ります。
構築だけを制作会社に頼み、公開後は連絡を取らない体制がいちばん危ないです。事故が起きたときの責任は、サイトを運営している側に残ります。
担い手が決まっていないなら、月々の支払いが増えてもサポート窓口のあるカートを選んだほうが、結局は安く収まります。
LP主体・広告主体で運営しているとき
広告からLPに流し、単品を買い切ってもらう形で売上が立っている場合、EC-CUBEの自由度はほとんど使われません。
必要なのはフォーム一体型の導線や、定期購入とCRMの連携です。この領域は、ecforceのように用途を絞ったカートのほうが素直に組めます。
かいながこの形の運営にオープンソースをすすめないのは、構造として噛み合わないからです。
「無料だから安いはず」が導入の理由になっているとき
予算が足りないからオープンソースで、という順番で話が始まったときは、いったん立ち止まります。
初期は圧縮できても、更新や改修のたびに外注費が発生します。数年単位で見ると、カートASPのほうが総額が下がることが多いです。
費用が心配なら、削るのはシステムの種類ではなく、最初に載せる機能の数です。
EC-CUBEを選ぶかどうかの分かれ目
では何を見て決めるか。条件を3つに分けると、答えの向きが変わります。
標準から外れる要件が、売上のどこに効いているか
独自の見積もりロジック、会員ごとの価格、基幹システムとの深い連携。こうした要件が売上の中心にあるなら、自由に作れる構成が合います。
反対に、外れる要件が管理側の手間の話にとどまるなら、お客様が見る画面を作り替える必要はありません。業務の側で解けることが多くあります。
その場合は、カートを替えるより受注や在庫を整えるほうが早いです。かいなのMUSUBのように、既存カートとAPIで連携して出荷側だけ変える方法もあります。
自由が欲しい理由が見た目なら、別の道がある
テンプレートでは世界観が出ない、産地や製法の読みものと売り場が分かれてしまう。この理由でオープンソースを検討している方が多くいます。
いまは表示側だけを自由に作り、決済と在庫は実績のある基盤に任せる構成が取れます。かいなのHAKOBはWordPressとShopifyを組み合わせるこの型で、BASICは120万円〜(税別)です。
見た目の自由と、システムを自前で抱える負担は、切り離して考えられます。
探しにくさが課題なら、作り替えずに足せる
商品点数が多く、目当ての商品にたどり着けないまま帰られている。この課題でリニューアルを検討するケースもよくあります。
絞り込みや比較の体験は、カート本体を改修しなくても外側に足せます。ERABは読み取り専用の連携で動くため、既存のECはそのまま残ります。
作り替える範囲を小さくできるなら、システムを乗り換える判断は後回しにできます。順番を間違えると、移行そのものが目的になってしまいます。
ECサイトの構築方法について、お気軽にご相談ください
EC-CUBEをどうするかというご相談は、掘っていくと「お客様がどう選んでいるかが見えていない」という話に行き着くことがよくあります。
そのとき決めるのはシステムの名前ではありません。どのデータを見て、誰が毎週手を動かすのかを決めると、残る選択肢は自然に絞られます。
かいなは自分たちでもECを運営しています。カート移行から、ブランドサイトとECの統合まで含めて、30分の無料相談からお気軽にご相談ください。