WordPressの集客力をECサイトに活かすなら先に決めること
2020.06.26 2026.09.02 更新
会社のサイトやブログはWordPressで動いていて、更新にも慣れている。同じ場所で商品も売れないか、と考えたことはありませんか。
調べるとWelcartやWooCommerceの名前が出てきます。一方で「セキュリティが不安」という話も必ず出てきて、決めきれないまま数年が過ぎている。よくある止まり方です。
一般には「WordPressはSEOに強いからECにも有利」と語られます。かいなはそう考えていません。
WordPressの集客力の正体は、CMSの性能ではありません。商品ページには書けないことを、書ける場所を安く持てることです。
だから決めるべきは、カートを何にするかではありません。書く場所と買う場所を、どこでつなぐかです。
CONTENS
「WordPressはSEOに強い」で片付けると、判断を間違える
検討はたいていSEOの話から始まります。ただ、比べる対象を取り違えると、公開してから効かない構成になります。
集客力の正体は、商品ページに書けないことを書ける場所
カートの商品ページは、買う直前の人のための場所です。価格、仕様、在庫、送料。ここに長い読みものを差し込むと、買いたい人の邪魔になります。
一方、検索から来る人の多くは商品名をまだ知りません。素材の違いや、使い始めてからの手入れの不安を、商品名以外の言葉で調べています。
WordPressが集客に効くのは、この「商品名以外の言葉」で書ける場所を、テーマもURL設計も自由にして持てるからです。プラグインの数の話ではありません。
WelcartとWooCommerceで作れるものと、作った後に残る仕事
日本語環境ではWelcart、世界的にはWooCommerceが定番です。カート、決済、受注管理まで、EC機能はプラグインで足せます。導入自体は難しくありません。
ただしどちらもECのための基盤ではなく、CMSに販売機能を足す構造です。新しい決済手段や制度変更への対応は、プラグイン側の更新を待つことになります。
作れるかと聞かれれば作れます。判断すべきは、作った後に誰が更新と動作確認を続けるかのほうです。
セキュリティの不安は、技術ではなく更新を止めない体制の話
WordPressでのEC化で最初に挙がる不安はセキュリティです。利用者が多い分、攻撃の対象として狙われやすいのは事実です。
ただ、実際に起きる事故の多くは、本体やテーマ、プラグインの更新が止まっていたことに端を発します。技術力の問題というより、運用が続くかどうかの問題です。
カード情報を自社のサーバーに残さない構成にすれば、事故が起きたときの影響範囲は変わります。守り方を足すより、守るべきものを減らす設計から考えます。
集客と販売を別々に持ったとき、実際に切れるのはどこか
WordPressで集め、ASPカートで売る。この分業は今も現実的な選択です。問題は、切れ目をどこに置くかを決めないまま分けてしまうことです。
読みものから商品へ移る一歩で、熱は下がる
記事を読んで納得した人が、買うために別のサイトへ移動する。この一歩で人は確実に減ります。
ドメインが変わり、デザインの空気が変わり、カートの中身やログイン状態も引き継がれません。読んでいた文脈がそこで途切れます。
アクセス数だけを見ていると、この損失は見えません。記事から商品ページへ進んだ人が、そのまま購入まで届いているかを分けて見ると、切れ目の位置が分かります。
書く側と売る側が離れると、記事のネタから痩せていく
かいなは支援会社であると同時に、自社ECを4サイト運営しています。企画から撮影、受注処理、お問い合わせの返信まで自分たちで回しています。
日用品のEC「SOREDAKE」では、「めんどくさいを否定しない」というコンセプトで品を束ねています。書く内容は、出荷とお問い合わせで拾った言葉からしか出てきません。
送料の条件を見直したときも、その説明をどのページのどこに置くかで反応が変わりました。書く担当と売る担当が組織的に離れていると、この材料が書き手まで届きません。
サブドメイン、ディレクトリ、リバースプロキシで変わること
併用するときの置き場所は大きく3通りです。別ドメイン、サブドメイン、同一ドメイン配下のディレクトリです。
ディレクトリで揃えると、サイトの評価と回遊を一か所に集めやすくなります。サーバーが別でも、リバースプロキシ(訪問者と複数サーバーの間に立って振り分ける仕組み)を挟めば同一ドメインに見せられます。
ただし構成が複雑になるほど、障害が起きたときの切り分けは難しくなります。任せられる保守先があるかどうかで、選べる構成が変わります。
かいながWordPressでのEC構築をすすめない場合
やめておいたほうがいい、と申し上げることもあります。判断材料として3つ挙げます。
更新を止めない人が、社内にも社外にもいないとき
プラグインでECを作ると、更新のたびに決済とカートの動作確認が必要になります。これを誰も担当していない状態で公開するのは、時限式のリスクを抱えるのと同じです。
社内に見る人がいないなら、保守契約を前提に考えます。それも難しい規模であれば、ASPカートで売ってWordPressは読みものに徹する形をおすすめします。
広告とLPで単品を売っているとき
広告から流入して、そのまま1商品を買って離れる。定期購入の初回獲得もこの形です。ここではコンテンツが購買の手前に挟まりません。
かいながLP主体・広告主体の運営にWordPress統合を提案しないのは、構造として噛み合わないからです。この場合は、カート側の計測とフォームの設計に予算を回したほうが返ってきます。
商品情報の更新が多く、在庫が二重管理になるとき
WordPress側にも商品情報を持たせると、価格改定や在庫切れのたびに二か所を直すことになります。更新頻度が高い商材ほど、この負担は運用を壊します。
受注や在庫の手作業が増えている段階なら、集客の前に出荷と在庫の仕組みを整えるほうが先です。順番を逆にすると、集めた分だけ現場が詰まります。
判断の分かれ目は、コンテンツが購買の前にあるか後ろにあるか
WordPressをどう使うかは、商品点数でも予算でもなく、読みものが購入の前に読まれるか後に読まれるかで決まります。
読んでから選ぶ商材と、買ってから読む商材
素材や製法、設置条件を理解しないと選べない商材は、読みものが購入の条件になります。家具、食品、日用品の一部がここに入ります。
一方、買った後に使い方やレシピを読む商材もあります。この場合、読みものはリピートと解約防止に効く資産で、購入導線の途中に置く必要はありません。
前者なら、記事と商品を同じ場所で成立させる価値が大きくなります。後者なら、別ドメインのブログでも損は出ません。ここが最初の分かれ目です。
WordPressをカートにするか、表示だけを担わせるか
読みものが購入の条件になる商材では、選択肢がもう1つあります。WordPressに決済まで持たせるのではなく、表示だけを担わせる構成です。
記事や製法のページの中に、在庫と価格をリアルタイムで呼び出し、その場で購入まで進める。決済と在庫はShopifyなど実績のある基盤に任せます。かいなのHAKOBはこの形です。
この構成なら、更新の自由度は残したまま、カード情報を自社で抱えずに済みます。ブランドサイトとECが分かれている状態を、統合で解く考え方と同じです。
先に決めること、後から変えられること
後から変えられるのは、テーマのデザイン、記事の構成、絞り込みの軸です。ここは公開後に何度でも作り替えられます。
先に決めるべきは、ドメインの置き方と、商品データをどちらが正としてどう同期するかです。この2つは後から変えるとURLも運用もまとめて作り直しになります。
迷ったら、いま自社に更新を続けられる人がいるかから逆算します。人がいる前提で構成を決めると、公開直後から運用が止まります。
WordPressとECの組み合わせについて、お気軽にご相談ください
「WordPressでECは作れますか」というご相談は、掘っていくと「書いている内容が売上につながっていない」という話に行き着くことがよくあります。
その場合に必要なのはプラグインの選定ではなく、読みものと購入の間のどこが切れているかを見つける作業です。既存のカートを残したまま解ける場合もあります。
ブランドサイトとECを1つにまとめるHAKOBは、WordPressとShopify APIを組み合わせるBASICで初期120万円〜(税別)、保守50,000円〜/月(税別)、5〜8週間が目安です。要件を伺ってから正式にお見積もりします。
かいなは自分たちでもECを運営しています。売る側の実感を持った相手として、30分の無料相談からお気軽にご相談ください。