ECサイトの運営を成功に導く重要なスキルはコミュニケーション力
2020.10.27
ECサイトの運営がうまく行かず行き詰まると「自分の能力が不足しているせい」と考えてしまうかもしれません。しかし、その能力をテーマにした時、具体的にどんなスキルがあれば売上が伸びるでしょうか。
ECサイト運営にあたってあるとプラスになるスキルはありますが、必須のスキルは特にはありません。もし、あえてあるとするならそれは「コミュニケーション能力」につきるといえます。
ECサイトではチーム内で、あるいは社内で、そしてもちろんユーザーとのコミュニケーションを取る必要があります。あらゆる面でコミュニケーションに対して意識を払うことが重要です。
ここではスキルという視点から、ECサイト運営におけるコミュニケーションの重要性を解説します。
あって困る能力はないのがEC運営
ECサイトの運営に向いている人物のタイプをあえてあげるとするならば、万能なユーティリティプレイヤーです。サッカーでいえば中盤でゲームメイクをして、得点にも絡み、守備の場面ではしっかり下がって、ボールを受けるチャンスをうかがえるタイプの選手ということになります。
野球のピッチャーであれば、コントロールがよく、あらゆる球種を使いこなし、先発から救援まで場面を選ばず相手に合わせて柔軟に投球を変えることができる万能型の投手です。
実際に、WEBサイトのHTMLやCSS、Java Scriptなどの技術的な事柄から、サーバー、データベースに関わることまでITに関するテクニカルな知識を持っていれば作業はスムーズです。顧客やユーザーの分析や検索に強くするSEO、広告運用なども含めたマーケティング的な知識もあれば必ず役に立ちます。WEBマーケティングの出番は大いにあります。
しかし、ネットショップにはそうしたウェブ上のこと以外にも、商品管理に関する総合的なものが必要です。在庫管理や商品知識など、直接ECに限らず求められるような、扱う商品に対しての管理能力も問われることになるでしょう。
サイトの技術的なことや機能などを導入するだけではなく、ユーザーの何かに触れるような企画などが必要な場面もあります。トラブルが発生した場合は、それに対して臨機応変に対応する必要もあります。
どれもそれなりにノウハウが蓄積されてきていることも少なくありません。
スキルについて考える場合、どんな業務が行われているのかを考える必要があります。
ECの仕組みについて、以下の参考サイトにも目を通してください。これを読むと一人で全てを完璧にこなすことは難しいと思えるはずです。
【参考】ECサイト初心者向けに仕組みの基本を解説!構造を理解して構築や運営に生かす
そうして考えると、ウエブ、マーケティング、工程管理、デザイン、文章力、どういったスキルであれ、ECサイトの運営にとっては歓迎されます。ただ、それを一人の人間が極めることは困難です。そのため、あくまで最初に述べたようなことは理想にすぎません。
レオナルド・ダ・ヴィンチのような何事にも才能溢れ万能な人材がいたとして、確保することは難しいことです。なぜなら、そのような人物はどういった業界であっても渇望されるからです。
現実的な話をすれば得意なスキルを持ち寄って複数の人が協力しながら進めることが運営していく体制としては理想的ということになります。
必須で必要な専門スキルもない
一方で、ECサイトには必ず持っていなければいけない公的に認可されるようなスキルや資格もありません。
例えば資格についてはこちらの参考記事でも解説しています。
そしてもちろん「これがなければECサイトを初めてはいけない」というものもありません。専門的なスキルについては、あれば便利という程度のことが運営担当者にとっては少なくありません。
もちろん資格取得にはメリットはあります。ただ、ECサイトはIT系だからといっても、例えばWEBコーディングの知識をしっかり身に付けたとして、サイトの構築方法によってはその後の運営時にはほぼ出番はない可能性があります。そのため、最初の段階でそうしたWEBへの専門的な知識がゼロの状態でもなんとかなるケースもあります。
ECサイトに関わる業務はむしろ建築などに近いと考えた方が良いでしょう。例えば現代の家屋は一人の職人さんによって建てられるものではありません。木造の家屋であれば、大工さんが柱、屋根、梁などの家の骨子を作っていきます。壁は左官職人が請負います。そこに電気設備や水道などの工事業者がインフラの設備をひくなど、多くの専門家が携わって、連携しながら完成へと向かいます。
これがビルなどになれば関わる人の数はもっと増えるでしょう。ECサイトも同じことです。それは運営だけでなく構築にも当てはまります。フルスクラッチで構築した大規模なものであれば、そこに関わるスタッフの数はその大きさに比例して増えていきます。分業でなければ成立しません。
そのため、もしECサイトの運営担当になったら何が必要になってくるかといえば、「総合的に概念を把握する能力」と、「人材を管理する能力」の方が、何か資格試験を必要とする特別なスキルよりも重要になってきます。
むしろ、どちらかというとマネージメントに近い能力です。「ここにはこういったスキルが必要」といったことを認識し、問題のある箇所や伸ばすべき場所が把握でき、どういった対処をすべきかといった臨機応変さなどが求められます。スキルというよりはパーソナリティに近い側面があるかもしれません。もちろん経験などから得られる部分もあるので簡単には割り切れません。
こうしたことはまだまだ未知の領域も多いECサイト運営の特徴です。基本的なセオリーはありますが、扱う商材やシチュエーションにより、実施できる施策や可能性は変わってきます。
そうした場面でトライする気持ちを持てる「ポジティヴさ」も重要でしょう。
もしECに必要なスキルということではなく、向いているキャラクターを挙げろということになれば以下のような人物像が上げられるかもしれません。
- コミュニケーションをとるのが好き
- 市場や周辺の情報収集をして分析するのが好き
- WEBの知識が一般レベル程度以上にあり、苦じゃない
- 新しい施策への積極性と行動力がある
この4つです。特にコミュニケーションについては、チーム内からユーザーまで幅広くコミュニケーションを取る必要が出てきます。これらはどれも性格というよりは心構えに近いものです。キャラクターというと生まれ持ったものと考えるかもしれませんが、挙げられた4点は気持ち次第といえます。
これは適性についての話をしていますが、これがそのままスキルに移行しているということが言えるかもしれません。
- コミュニケーション力
- 分析力
- WEBの基礎的な知識
- 企画力と実行力
これが必要になる基本的なスキルということになります。
もっとも、インターネット自体がコミュニケーションを活発化するためのツールですから当然かもしれません。
PCやWEBについては、やはり一般以上の知識は必要です。少なくとも拒否反応のあるようなタイプの人は向いていません。もし、運営を快適にするというのであれば、WEBコーディングよりも、もしかしたらEXCELなどの表計算ソフトを使いこなせると作業が楽になる場面が増えるかもしれません。
ECサイトのデータの多くはCSVなどで引き出せます。そのデータを手早く有効活用するにはEXCELは使えた方がプラスな場面は多いでしょう。
ECの施策は取り組み始めるまでのスピード感も重要です。販売プランは季節などに対応してプロジェクトを用意していくといった場面も多くあります。そう考えると取組み始めるまでの初速は非常に重要です。
しかし、結局のところ、コミュニケーション能力がもっとも必要なスキルです。自社内、他社に関わらず、自身の足りない能力をコミュニケーション能力で補えるからです。
コミュニケーション能力自体は一朝一夕で身に付けることができるものでもありません。ある程度、経験を重ねることからスキルとして身に付けることができます。
経験という話になると今すぐに解決できません。そういう場面で積極的なコミュニケーションに対する姿勢がなければ乗り切れなくなってきます。相手の状況を汲み取ってコミュニケーションを計ることで状況を打開できる可能性は高くなっていきます。
EC運営を回す適材適所
ECの運営については受注や配送に関わる部分をいかに効率の良いシステムを構築できるかという点と、受注を伸ばし売上を上げていくための集客とコンバージョン率の向上に関わる業務が柱になってきます。
ある程度の規模が大きな企業のECサイトであれば、担当が何人か配置され、それぞれが補いあいながら業務を進めていくことになるかもしれません。中小企業レベルではひとりが担当者として立つことになるかもしれません。そんな場面では自らでASPを選び、工夫しながら運営していくことになるでしょう。
おそらく、プロジェクトの規模もサイトの構築方法に関わってきます。人数が少なくなればそれだけ手が足りなくなります。また、ある程度のことを考えるのであれば、サイトの構築は外注に出すという場面も少なくないでしょう。
もし外部へ依頼する場合は、サイトの制作会社と一言でいっても、実は結構、幅があります。どういったタイプのサイト構築が得意なのかを考えて発注する必要があります。こうした場面で、コミュニケーション能力が高い人物であれば、相手の得意不得意を効率よく引き出すことができます。もし、その時は発注しなかったとしても、ストックとしておくことでいざという時に依頼することもできるかもしれません。
とにかく制作会社は基本的に人材が仕事の需要に対して不足しがちです。そのため、いろんな手を隠し持っておくことはいざという時のためにも必要です。
逆の話もあります。実際のところインスタントECと呼ばれるような無料で利用できるASPや、モール型ECでネット上のチャネルを持つことで完了している場合は、WEBの技術的なスキルはほぼ出番がありません。一人で多くの業務を賄うことができます。
それでも、商品画像を撮影するための手配は必要になるかもしれません。広告運用やモール内SEOなどでは、モールで用意している御用聞き的な営業担当者をうまく利用していくことも重要です。
他にも梱包や配送、在庫管理なども、やはり適材適所です。社内のロジスティクス担当に業務を依頼した方が明らかに効率がよくなります。
ECサイトの運営業務での適材適所を行っていくために一人、あるいはごく少人数でEC運営に当たるような担当者は、社内全体での業務内容も把握しておいた方が良いでしょう。効率よく、社内と社外の人材を使ってECサイトの能力を最大化してくことを考えてください。
オンラインでもリアルでもコミュニケーション力が必要な場面は多い
運営を円滑に進めていくためにもっとも必要なのはコミュニケーション能力ということは先に述べましたが、実際にコミュニケーション能力が必要な場面はとても多いです。
特に古く歴史のある企業とまでは言わないまでも、ある程度EC以外で業務を進めてきた企業の中で、新規事業としてECサイトを立ち上げてスタートアップさせるような場合は、コミュニケーションがWEB知識以上に実際に肝になってくる場面は少なくありません。
ある程度の業務が進行している場合、どうしても多くの人が自分の業務ルーティンの中で業務をこなしています。そうした中で、新規事業であるECサイトに協力を依頼すると、内心複雑な感情を持っているスタッフも実は少なくありません。また、実店舗が販売のチャネルとしてある場合は敵視されることさえあります。
実際に社内の業務は円滑であるべきですが、そうは行かないのが人情です。そしてそうした場面を突破するのがコミュニケーション能力です。
また、経営に携わる人物が複数ある場合も、人物間で温度差があることは少なくありません。こうした層には逆に業務を意図せずかき回して混乱させているケースもあります。そうなるとWEbマーケティングどころではなくなってきます。
そうした負担を回避していくためにもコミュニケーション能力は必要です。この場合のコミュニケーションとは、どちらかというと事前の根回しや計画遂行能力、調整力と言えるかもしれません。
念のためですが、ECにおけるコミュニケーション能力は人見知りをしないとか、話が上手ということを言いたいのではありません。その場面ごとに必要な業務を的確に把握し、そのスキルを持つ人物や実施可能な部署に協力を仰ぎ、実際にコンバートしていくことです。
施策においては自ら積極的に動くことも重要です。どういった形であれ、運営担当者はチーム作りを進めてECサイトのポテンシャルを発揮できる環境を作っていくことが求められます。またTwittarやfacebook、InstagramなどのSNSでのマーケティングや、そのほかのWEBマーケティングの手法、Google検索での評価を上げるSEO対策、リスティング広告などを中心としたWEBでのプロモーション、そしてサービスではお客様とのコミュニケーションを基礎において、その密度を高めるためのものが必要です。
もしコミュニケーションが現時点で円滑に行っているのであれば、あまり短期的に考えず数ヶ月単位で分析することも重要です。良い結果はすぐには見えてこないかもしれません。
現状後退では困りますが、施策を打った後に現状維持であれば、その施策については少し待って様子をみて、別の施策を検討し準備していくことも重要です。
技術的な部分では外部の専門家を活用するという方法ももちろん有効です。目的に対して適切な技術を見極め、戦略的に対策していくことが可能になれば、よい循環ができあがっていきます。
また、全体的に俯瞰した状況が見えないという場合も専門家に相談することで活路を見出せる可能性もあります。もし個人ではなく、企業内でECについての資格が突破口になるのかと考えるのであれば、そうしたことよりもコンサルティングを受けたほうが効率はよいはずです。
もしそうした状況で行き詰まっているというのであれば、ぜひご相談ください。詳細を伺い、より良いプランをご提案させていただきます。