従業員が会社のブランドをつくる!「インナーブランディング」について

「インナーブランディング」についてブランディングに興味がある方ならもうご存知かもしれません。

インナーブランディングはそのブランドの提供する側にいる人たち、つまり社員やスタッフへ向けたブランディングのことです。ブランディングにとっても重要な要素を握ることなので、ブランディングしたいという場合は必ず抑えるべき項目です。今回はこの「インナーブランディング」を解説します。

インナーブランディングとは、従業員にブランドイメージを伝えること

インナーブランディングについては

「聞いたことはあるけれど・・・」
「具体的にはなにをするの?」

という方も多いのではないでしょうか。聞き慣れない言葉ですが理解してしまえば会社にとっても、そこで働く人にとってもいいことづくしなのがインナーブランディングです。

まずは「インナーブランディングとはなにか」について説明していきます。

インナーブランディングとは、従業員が会社や商品、サービスなどのブランドに対して、理解を深め意識を高めるために会社が行う活動のことです。

以前、かいなのコラム『一から理解する「ブランディング」と「マーケティング」の違い』で「ブランディング」という言葉について説明しています。

そこでは「ブランディングとはお客様に会社や商品・サービスの「ブランドイメージ」を持ってもらうこと」と説明しました。

こうした企業活動は「アウターブランディング」と呼ばれています。これに対して「インナーブランディング」があります。

アウターブランディングは会社の外側=お客様にブランドイメージを持ってもらうことです。

これに対しインナーブランディングは「会社の内側=従業員にブランドイメージを持ってもらうこと」ということになります。

とはいっても、具体的にどのようにして従業員に働きかければいいのでしょうか。

アウターブランディングでは、マーケティングによって商品やサービスのブランドイメージをお客様に伝えることができました。従業員にブランドイメージを伝えていくには、いったい何から始めればよいのでしょうか。

従業員に伝えたいこと・共有したいことをはっきりさせよう

一見難しそうに感じますが、インナーブランディングの基本的な考え方は、顧客に対して行うアウターブランディングと同じです。

まずは、従業員全体に会社が打ち出しているブランドイメージをより知ってもらう必要があります。

この時、お客様に提供している商品やサービスだけでなく、会社が目指している社会的なあり方や考え方などのヴィジョンも、従業員にとってわかりやすい形にして伝えていきます。

例えば

「うちの会社はいいものを作っていますよ」
「みんなにとっていい会社ですよ」

といった一言ではその会社や商品の何がよいのかわかりません。もちろんこだわりもそこから感じることができません。

こうした漠然とした言葉からは当然、社会において会社が何を目指しているのかも伝わりません。これでは働く環境のイメージもしにくいです。それに曖昧な表現では、従業員がそれぞれ別々のイメージを持ってしまう可能性も出てきてしまいます。

会社内で従業員が同じイメージを共有するためには、商品へのこだわりや会社の目標など伝えたいことをはっきりさせて置かなければなりません。

ブランドイメージを構成する3つの要素

会社のブランドイメージを持ってもらうために大切な要素となるものが3つあります。

それは

  • 企業理念
  • ブランドコンセプト
  • 経営方針

この3つは、会社の経営者の考えに基づいて作成されたものです。

企業理念は「社会においてどうありたいか」を指します。ブランドコンセプトは、「どんな商品・サービスを提供したいと思っているのか」、経営方針は、「どのような経営をめざしているのか」というものです。

どれも会社経営には欠かせないものですが、この中でもとりわけ大きな柱となるのが企業理念です。企業理念は

経営者の基本的な考え方を簡潔にまとめたものです。箇条書きでまとめている会社もあれば、たった一文に思いを凝縮している会社もあり、表現するスタイルは様々です。

共通していることは、わかりやすい言葉で表記されており、会社の基本的な考え方を従業員に伝えていることです。

企業理念を従業員に浸透させた企業の例

ここでは世界的なホテルチェーンのリッツ・カールトンの例を具体例としてあげて解説してみます。

リッツ・カールトンはインナーブランディングの成功例として頻繁にとりあげられます。たくさんのメディアで取り上げられる顧客満足度の高いサービスは日本でもとても有名です。

ホテルのスタッフが常に携帯しているものに「クレドカード」というものがあります。

クレドとは、リッツ・カールトンの企業理念を構成する項目のひとつと言われています。このクレドについてはホームページ上でも公開されているため誰でも見ることができます。

インターネットで検索すればクレドについてたくさんの解説を読むことができるので、インナーブランディングに興味のある方なら、ご存知の方もいらっしゃるかもしれません。

このクレドは、『リッツ・カールトンはお客様への心のこもったおもてなしと快適さを提供することをもっとも大切な使命とこころえています。』という文章で始まります。

これはたった一文ですが、リッツ・カールトンが何を大切にしているかがすぐにわかります。この文章から、リッツ・カールトンがホテルの設備だけでなくお客様をもてなすスタッフのホスピタリティを重要視していることが明らかに理解できます。

リッツ・カールトンの提供するサービスが一流と言われるのは、シンプルでわかりやすい企業理念が自社内のスタッフ全員にしっかりと伝わり浸透していることによって、対応にも統一感が生まれているからではないでしょうか。

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ブランド力をアップさせるインナーブランディング

そもそも、なぜインナーブランディングが必要とされているのかを考えてみましょう。

従業員の対応=会社の対応

顧客にとって従業員の対応はつまり会社の対応です。特に接客シーンでは、従業員の対応は会社の代表としてその対応をお客様は受け止めて評価することが多いようです。

例えば、従業員がお店で嫌々働いていたら、表情や態度に出てしまうでしょう。取り扱っている商品について知識がなければ、自信をもって商品説明ができないかもしれません。

こうした状況ではお客様はプラスの印象どころか「せっかく買いに来たのに、いやな気分・・・」「この商品はあんまり良くないのかな」とマイナスの印象を抱いてしまう可能性もあります。

こうした状況では会社がどんなによい商品やサービスを提供していても、お客様には伝わりにくくなります。

こうした点を考慮するだけでも最前線でお客様と触れ合う従業員が企業理念や商品やサービスを正しく理解し、愛着を持ってもらうことはブランド全体にとっても重要なのです。

相乗効果をもたらす従業員の対応

お客様が持つ会社のイメージは従業員の対応によって強固になることも多くあります。

例えば、私のお気に入りのカフェのブランドイメージは、「ハンドメイドのお菓子屋さん」です。

看板商品のケーキやクッキーは、すべてオーナーの手作りです。子供と一緒に行くことが多いのですが、店内は広くはなく子供用の椅子もありません。

それでもオーナーやスタッフが子供にも笑顔で話しかけてくれ、ドリンクは子供の手が届かない場所に置いてくれます。ハンドメイドのお菓子をいただくのにぴったりなアットホームな対応です。

お菓子がおいしいのはもちろんですが、とても居心地が良いので、ついつい足を運んでしまいます。「ハンドメイド」「お菓子屋さん」のイメージを裏切らない家庭的な対応が相乗効果を生んでいるようで、小さな店内はいつもご近所の方で賑わっています。

従業員の働く意欲をアップする

会社のブランドイメージが明確になっていれば「この会社で働きたい!」と思う人が自然に集まるようになります。
また、社員としてふさわしい行動や対応の判断基準がはっきりしてくるので、従業員も自ら目標ややりがいを見つけるようになります。

リッツ・カールトンの例では、クレドという形で会社とスタッフが企業理念を共有していました。常に企業理念に意識を向けることで、従業員は「ブランドをつくるのは自分たちである」と思うようになります。

従業員が会社を守る

インナーブランディングは、お客様からの信頼や期待に応えられるよう会社が長い時間と労力をかけて作り上げたブランドイメージを守る役割も果たします。

インターネットやSNSなどの普及で会社の口コミはあっという間に広がるようになりました。従業員の対応ひとつが会社のイメージを良くも悪くもするということが簡単に起こります。

従業員が会社のブランドイメージを持つということは、お客様が期待していることをきちんと理解しているということです。

みなさんも「さすが、あの会社の対応だな」とうれしく思ったことはありませんか。従業員がふさわしい対応をとることができると会社にとってもプラスになります。

従業員の力こそブランド力!

インナーブランディングを取り入れている会社の多くは、アウターブランディングの一環として、社内のブランドイメージや意識の統一に取り組んでいます。

その理由は、ブランド力を育てていくには、よい商品やサービスはもちろん、関わる人たち=従業員の協力が不可欠という考えが浸透してきたからです。

また、商品やサービスだけを他の会社と差別化すること、ふさわしい人材を採用することが難しくなってきたことも背景にあるでしょう。
コンプライアンスやCSR(Corporate Social Responsibilityの略称です。適切な利益追及や法令遵守だけでなく、環境への配慮や地域社会への貢献など企業の社会的責任を意味します)の強化が求められるようになったことも影響しているでしょう。

ブランドイメージを従業員に持ってもらうための「インナーブランディング」についての重要性は理解していただけたでしょうか。

従業員が商品やサービスに対して経営者と同じイメージを抱くことで商品やサービスの提供方法を意識し、お客様への対応にも、さらにその会社らしさがが表現されてくるのではないでしょうか。

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