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デジタルマーケティングでできることを自社EC運営の実感から整理する

2023.01.27 2026.09.02 更新

デジタルマーケティングという言葉は聞くけれど、結局うちは何ができるのか。そう思って検索したまま、手法の名前だけが増えていく。そんな状態になっていないでしょうか。

SNS、動画、MA、SEO、リターゲティング。どれも間違いではありません。ただ、一覧を眺めても自社が明日何から手を付けるかは決まりません。

一般には「初期費用が安く、誰でも始めやすいのがデジタルの利点」と語られます。かいなはそう考えていません。デジタルマーケティングでできることの中心は、安く始めることではなく、一度接点を持った人ともう一度会える状態をつくることです。ここを外すと、施策の数だけ増えて手応えが残りません。

いま「デジタルマーケティングでできること」と言われているものの中身

まず言葉の整理から始めます。ただし定義そのものより、自社の判断にどう効くかを軸に見ていきます。

手法の一覧を眺めても、できることは見えてこない

デジタルマーケティングに含まれる手段は、おおむね次のように並びます。

  • Webサイト(ECサイト、コーポレートサイト、ブランドサイト)
  • デジタル広告(検索連動型、リターゲティング、SNS広告)
  • SNSと動画
  • メール、LINE、アプリ
  • オウンドメディアとSEO、コンテンツ制作
  • MA(見込み客への配信を自動化する仕組み)やCRM

この一覧が役に立つのは、抜けを確認するときだけです。上から順に検討すると、たいてい着手しやすいものから手を出して終わります。

大事なのは、それぞれが「新しく人に会う手段」なのか「会った人にもう一度会う手段」なのかで分かれている点です。この分け方で見ると、自社に足りない側が見えてきます。

Webマーケティングとの違いを、現場でどう使い分けるか

Webマーケティングは、デジタルマーケティングの内側にあります。Webサイトを起点に集客と接客を組み立てる考え方です。

一方でデジタルマーケティングは、Webの外側も含みます。展示会で受け取った名刺、電話での問い合わせ、同梱物のQRコードもデータとして扱えば射程に入ります。

実務では、この違いを議論する意味はほとんどありません。使い分けるとしたら、接点がWebに閉じているかどうかを確認するときです。閉じていないなら、Web解析だけを見ていても打ち手を誤ります。

「安く始められる」がもう通用しなくなったところ

数年前まで、デジタルの利点は初期投資の低さで語られていました。ECならASPの月額数万円、広告なら数万円から。実店舗と比べれば桁が違う、という説明です。

いまは前提が変わりました。広告の獲得単価は上がり、SNSは投稿しただけでは届きません。無料で始められる手段ほど、続けるための人手がかかります。

かかる費用は現金から時間に移っただけで、消えてはいません。始めやすさを理由に手法を選ぶと、運用の途中で止まります。

一度きりの接点で終わらせないために、デジタルで何ができるか

かいなは支援会社であると同時に、自社ECを4サイト運営しています。ここから見えている実務の話をします。

年に一度しか買わないお客様と、どうつながり続けるか

かいなはカニと北海道海鮮のギフトEC「かにと。」を自分たちで運営しています。年末に注文が集中する商材です。

この売り場で痛感するのは、購入から次の購入までの十一か月をどう過ごすかで結果が変わることです。年末だけ広告を厚くしても、費用は上がる一方でした。

広告費が想定より効かなかった朝の焦りは、いまも覚えています。そこから配信の中身を組み替え、去年贈った相手と今年の候補を思い出してもらう内容に変えました。

デジタルでできることの本質は、この「思い出してもらう回数」を設計できる点にあります。

メールとLINEは、開封率ではなく接触の回数で見る

メールマガジンは開封されないもの、という前提から始めたほうが判断を誤りません。受信箱で流されることを織り込んで設計します。

それでも件名は視界に入ります。中身を開かれなくても何の店から来たか分かる件名にしておくと、名前を覚えてもらう機会になります。

LINEはメールより届きますが、そのぶん一斉配信の摩耗が早い媒体です。購買データとつないで配信先を分けると、同じ本数でも解除の理由が減ります。かいながLINEのCRM活用を単体施策として扱わないのは、そのためです。

コンテンツと広告は、戻る場所があるかで役割が変わる

広告は狙いが定まっているときに強く働きます。誰に何を売るかが決まっていない状態で出すと、単価だけが上がります。

コンテンツは逆で、まだ買う気のない人に見つけてもらう手段です。成果が出るまで時間がかかる代わりに、積み上がった記事は次の記事を助けます。

どちらを選ぶかより先に、流入した人が戻ってくる場所があるかを確認します。商品が探せないサイトに人を送っても、費用が消えるだけです。サイト内で選ぶ体験が成立しているかを先に見ます。

かいながすすめないデジタルマーケティングの進め方

やらないほうがいい、と申し上げる場面もあります。判断の材料として3つ挙げます。

手法を先に決めて、目的を後から合わせる

「動画をやりたい」「MAを入れたい」から始まる相談は少なくありません。手段が先に決まっていること自体は問題ではありません。

危ないのは、その手段に合う目的を後から探し始めたときです。目的が後付けだと、成果の判定基準も後付けになり、続けるか止めるかを誰も決められなくなります。

この状態なら、まず今のお客様が何を見て買っているかを洗い出す作業に予算を回したほうが、結果的に早く進みます。

LPと広告だけで運営していて、そこを変えない前提のとき

広告からLPへ流し、1商品を売り切る形で回っている事業者からのご相談は、かいなでは受けにくい部類に入ります。

理由は単純で、LPだけでは伝えられる情報が限られ、かいなの強みが出せないからです。世界観や製法を語る場所がないと、接点を積み上げる設計が機能しません。

いまの広告運用で採算が合っているなら、無理に構造を変える必要はありません。合わなくなってきたときが、作り替えを考える時期です。

社内に語れる人がいないまま、丸ごと外に出す

「SNSは業者に任せる」「広告は代理店に任せる」と人任せにした案件が、成果につながった例をかいなは見ていません。

自社ECのスケールには、相当な伴走とお互いのパワーが要ります。商品の背景や、お客様から届いた声を出せるのは事業者側だけです。

社内から一次情報が出てこない状態で外注を増やすと、当たり障りのない発信が積み上がります。この場合は、発信量を減らしてでも中身を絞る判断をおすすめします。

着手順を分ける、3つの条件

何から手を付けるかは、業種ではなく次の条件で変わります。自社に当てはめて読んでみてください。

リピートが起きる商材か、一度で終わる商材か

年に何度も買われる商材なら、最初に整えるのは既存客への配信です。新規獲得より単価が低く、効果も早く出ます。

買い替えが数年に一度の商材なら、同じ人に何度も配信しても手応えは出ません。この場合は検索経由の新規流入と、比較検討中の人向けの情報量に投資します。

かいなは壁面収納のセミオーダーECも運営していますが、こちらは配信より一台を深く理解してもらう情報のほうが効きます。

お客様が自分で探すか、誰かに勧められて知るか

検索して自分で探す商材なら、SEOとコンテンツが土台になります。時間はかかりますが、積み上げたものが資産として残ります。

紹介や口コミで知られる商材なら、記事を増やすより、既存客が人に説明しやすい状態をつくるほうが速いです。ブランドサイトとECが分かれていると、この説明が途切れます。

説明の途中で離脱が起きているなら、ブランドサイトとECの統合のほうが、配信施策より先に来ます。

手を動かす人が社内にいるか、いないか

週に数時間でも自社で動かせる人がいるなら、配信やコンテンツから始められます。外注しても中身の判断ができるからです。

いないなら、人手を前提としない仕組みから入ります。サイトの構造改善や、購買データに応じた自動配信のように、一度作れば動き続けるものです。

ここを見誤って運用型の施策を選ぶと、三か月で止まります。止まった施策は、やらなかったよりも社内の空気を悪くします。

デジタルマーケティングの進め方について、お気軽にご相談ください

デジタルマーケティングで何ができるか、というご相談は、掘っていくと「データはあるのにお客様の顔が見えていない」という話に行き着くことがよくあります。

その場合に必要なのは、新しいツールではありません。いま買ってくれている人が誰で、次にいつ会えるのかを、自社の言葉で言えるようにする作業です。

かいなは決まった型に当てはめず、毎回の対話からその会社だけの課題を探します。自分たちの金と在庫でECを運営している立場から、売る側の実感を持ってお話しします。

まずは30分の無料相談から、現状を伺うところでかまいません。診断だけ持ち帰っていただいても構いませんので、お気軽にご相談ください。