ECサイトの売上分析は、どの層に効いたかを分けて見るところから
2020.07.27 2026.09.02 更新
広告の予算を足せばセッションは増えるのに、売上は思ったほど伸びない。月次のレポートを眺めても、来月何をするかが決まらない。ECを運営していると、こういう時期があります。
売上を訪問者数とコンバージョン率と客単価に分解して、それぞれに施策を並べる。定番の整理ですが、並べたあとで手が止まります。
一般には「3つの要素に分けて施策を打つ」と語られます。かいなはそこで止めません。掛け算の式は起きたことの説明であって、次の一手の設計図ではありません。分けるべきは指標ではなく、お客様の状態です。
CONTENS
売上を3つに分解しても、次の一手が決まらない理由
式が間違っているわけではありません。ただ、式のままでは動けないという話です。
掛け算の式は結果の説明で、施策の設計図ではない
売上は訪問者数とコンバージョン率と客単価の掛け算になります。この式自体に否定するところはありません。
ただし式が教えてくれるのは、先月の売上がどう構成されていたかまでです。どの要素を動かすと効率がいいかは、式の中に書かれていません。
3つ全部を上げようとすると、施策が同時に走ります。結果として、何が効いたのか分からない状態になります。
セッションを増やす方向にだけ答えが出てしまう
3つのうち、いちばん手を動かしやすいのはセッションです。広告費を足せばその日から数字が動きます。
だから会議は集客の話に寄ります。コンバージョン率と客単価は原因が売り場の中にあって、明日には変えられないからです。
そうして広告を止めると売上も止まる形になります。数字は伸びているのに、来年も同じ額を使い続ける前提だけが残ります。
分けるのは指標ではなく、お客様の状態
かいなが最初にやるのは、指標の分解ではなく購入者の分け直しです。初めて買った人、二度目の人、一年買っていない人では、必要なものがまるで違います。
相談の入口が「カートを替えたい」であっても、掘っていくとほぼここに行き着きます。データは溜まっているのに、お客様の顔が見えていない状態です。
顔が見えないまま施策を選ぶと、いちばん反応が出やすい層に何度も同じ配信を当てることになります。
自社ECを4サイト運営して分かった、売上の見え方の違い
かいなは支援会社であると同時に、自社ECを4サイトと撮影拠点を2つ運営しています。数字の読み方を間違えると痛いのは、自分たちの売り場でも同じです。
ギフトECでは、月を横に並べても何も見えない
かいなはカニと北海道海鮮のギフトEC「かにと。」を自分たちで運営しています。年末に売上が集中する商材です。
ここで前月比を追っても、季節の山を後から追いかけるだけになります。見るのは去年の同じ週との比較と、山に入る前の準備がどこまで進んでいるかです。
広告費が想定より効かなかった朝の焦りは、たいてい山の直前に来ます。そのときに月次の平均値を開いても、打つ手は出てきません。
セミオーダー商材では、検討期間が指標を狂わせる
壁面収納のセミオーダーECも自分たちで運営しています。こちらは注文までに時間がかかる商材です。
お客様は天井高を測り、家族と相談し、何度も戻ってきます。今月のコンバージョン率は、先月や先々月に来た人の判断で決まります。
この商材で施策の効果を月単位で判定すると、ほぼ読み間違えます。効果が出るまでの時間の長さを、指標と一緒に先に決めておく必要があります。
数字より先に届くのは、レビュー1件と問い合わせの一文
自分たちで運営していて意外だったのは、判断の材料がレポートより先に現場に届くことです。
レビューが1件ついた日の嬉しさや、問い合わせに書かれた言葉のほうが、次に直す場所を教えてくれます。「賃貸でも使えますか」が続くなら、それは商品ページの不足です。
数値は、その仮説が当たったかを後から確かめるために使います。順番を逆にすると、見る指標だけが増えていきます。
顧客の分け方と、かいながすすめない分析の進め方
分け方そのものは難しくありません。むしろ、やらないほうがいい進め方を先に外すほうが早く進みます。
最初は5つに分ければ足りる
- 初めて訪れて、その回で購入した人
- 何度も訪れているのに、購入に至っていない人
- 一度購入して、また訪れている人
- 繰り返し購入している人
- 一度購入したあと、戻ってきていない人
この5つで、施策の宛先はほぼ決まります。訪れるだけで帰る人には決め手の情報が足りず、一度買って戻らない人には思い出す機会がありません。
細かい分類は、この5つで施策を一巡させてからです。最初から刻むと一つの群が小さくなりすぎて、効いたかどうかが読めなくなります。
すすめないのは、ダッシュボードを作り込んでから始めること
分析の基盤を整えてから施策を始めたい、というご相談はよくあります。順番を逆にしたほうがいいと申し上げることが多いです。
見たい指標は、施策を1回打つと必ず変わります。作り込んだ画面は、たいてい二度目の会議で開かれなくなります。
先に一つの群を決めて、一つの施策を打つ。そのとき確かめたい数字だけを取れるようにしておくほうが、手が動きます。
LPと広告で単品を売り切っている運営には、この分け方を持ち込まない
広告からLPに流入して、その1商品を買って離れる。定期購入の初回獲得もこの形です。
この構造では、購入者を5つに分けても打ち手が生まれません。見る対象は獲得単価とその後の継続に絞られます。
かいながLP主体・広告主体の運営に大きな分析設計を提案しないのは、構造として噛み合わないからです。その前に、育てる売り場を持つかどうかの判断が来ます。
新規とリピート、どちらに予算を寄せるかの分かれ目
ここは好みではなく条件で決まります。自分の店の数字で確かめられる分かれ目を3つ挙げます。
二度目の購入が起きているかどうかで、答えが変わる
まず見るのは、初回購入者のうち二度目に進んだ人がいるかどうかです。人数ではなく、起きているか起きていないかで判断します。
起きているなら、そこを太くしたほうが返りが早いです。商品と体験はすでに認められているので、思い出す機会をつくるだけで動きます。
ほとんど起きていないなら、リピート施策は空振りします。配信を増やす前に、商品か同梱物か出荷の体験のどこかを直す番です。
施策の問題なのか、サイトの構造の問題なのか
クーポンも配信も一通り試したのに動かない。このとき、施策を足すのをやめて構造を疑います。
読みものには共感してもらえているのに購入まで届いていないなら、ブランドサイトとECが分かれていることが原因のこともあります。かいながブランドサイトとECの統合を提案するのは、この形が見えたときです。
商品点数が多くて目当てにたどり着けていないなら、施策ではなく探し方の問題です。選ぶ体験の拡張なら、カート本体に手を入れずに足せます。
配信を一人ひとりに変えるのは、購買データとつながってから
友だちや会員は増えたのに売上が増えない、というご相談も多いです。原因は配信の頻度ではなく、全員に同じ内容を送っていることにあります。
誰が何をいつ買ったかとつながると、配信は一人ひとりに向けたものに変わります。かいなのLINE CRMはそのための仕組みです。
ただし、つなぐ前に確かめることがあります。送る中身を毎週決められる人が社内にいるかどうかです。ここが欠けていると、道具だけが残ります。
ECサイトの売上分析について、お気軽にご相談ください
売上分析をどう始めるかというご相談は、掘っていくと「お客様がどう買っているのか見えていない」という話に行き着くことがよくあります。
その場合に必要なのは、新しいレポート画面ではありません。どの群に何を届けるかを決めて、1回打って確かめる。この回転を一緒に回す相手です。
自社ECのスケールには、相当な伴走とお互いのパワーが要ります。広告やSNSを外に任せきりにして成果につながった例は、かいなが見てきた中ではほとんどありません。
かいなは自分たちでもECを運営しています。売る側の実感を持った相手として、30分の無料相談からお気軽にご相談ください。