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GA4の設定を見直す前に、EC担当者が決めておく計測の前提

自然光の差す木の机に置かれた手書きのノートと、少し横を向いたノートパソコン、冷めかけたコーヒーカップ

GA4の画面を開いて、購入数がカートの管理画面と合っていない。そんな朝を過ごしたことはありませんか。どちらが正しいのか分からないまま、とりあえず両方をメモして会議に持っていく。

移行のときに設定した内容を、その後きちんと見直した記憶がない。イベントは飛んでいるようだが、何がどう集計されているかまでは追えていない。EC担当者の多くが、この状態のまま日々の判断をしています。

一般にはGA4の設定手順を正しくなぞれば解決すると言われます。かいなはそう考えていません。問題は設定の巧拙ではなく、どの数字を意思決定に使い、どの数字は参考にとどめるかを決めていないことです。ズレは必ず残ります。決めるべきは、残るズレとどう付き合うかのほうです。

数字が合わないと感じたとき、かいなが最初に疑う場所

「GA4の数字が合わない」という相談を受けたとき、設定画面を先に見ることはあまりありません。どの数字とどの数字を比べて合わないと言っているのか、そこから確認します。

カートの受注数とGA4の購入数は、そもそも一致しない

カートの管理画面は受注が確定した瞬間を数えます。GA4はブラウザ上でサンクスページに到達したことを数えます。この時点で定義が違います。

決済途中で離脱してから戻ってきた注文、電話やメールでの受注、リダイレクト型決済で計測タグを通らなかった注文。どれもカートには載り、GA4には載りません。

だから一致させようとするのは筋が悪い選択です。売上の絶対値はカート、流入経路ごとの傾向はGA4と役割を分けたほうが、判断は早くなります。

移行時の「とりあえず全部オン」が効いてくる場所

GA4への移行は期限に追われた作業でした。拡張計測機能をすべて有効にし、コンバージョンになりそうなイベントに一通りチェックを入れたまま、という環境をよく見ます。

スクロールやファイルダウンロードまでキーイベントになっていると、コンバージョン数は大きく見えます。数が多いほど施策が効いているように錯覚しますが、そこに購入は含まれていません。

見直しの一歩目は、キーイベントの一覧を開いて「これが増えたら売上が増えると言い切れるか」を一つずつ問うことです。言い切れないものは外します。

自社決済の外部遷移が抜け落ちていないか

外部の決済画面に一度飛ぶ構成では、参照元が決済事業者のドメインに書き換わることがあります。自然検索から来た人が、決済サービス経由の流入として記録されます。

参照元除外リストに決済ドメインが入っているか。ここが抜けていると、広告の評価も検索の評価もまとめて狂います。

かいなが自社ECの計測で、何を信じて何を疑っているか

かいなは支援だけの会社ではありません。カニのギフトECの「かにと。」、猫家具の「猫のための木工所」、日用品の「SOREDAKE」など、自分たちの在庫とお金でECを運営しています。計測も自分たちで設定し、自分たちで見ています。

ズレたまま意思決定していた時期があります

正直に書くと、計測が整わないまま施策の良し悪しを語っていた時期がありました。ある流入が伸びたと判断して手を厚くし、後から集計の定義がずれていたと分かる。そういうことが起きます。

そのとき痛感したのは、数字が間違っていたこと自体より、間違いに気づける仕組みを持っていなかったことのほうが問題だったという点です。

いまは、GA4の購入数とカートの受注数の差分を定期的に目で見るようにしています。差が一定なら計測は安定しているとみなし、差の幅が急に変わった月だけ設定を疑います。

季節で山が動く商材だからこそ、比較の相手を固定する

「かにと。」は年末に需要が集中します。前月比を見ても意味がありません。前年同期と比べるしかない商材です。

一方で「SOREDAKE」のような日用品は、季節よりも企画や配信のタイミングで動きます。こちらは前月比や週次の動きが判断材料になります。

同じ会社が運営していても、見るべき比較の相手は商材ごとに違います。GA4の設定を揃えるより先に、この商材は何と比べるのかを決めておくほうが、実務では効きます。

広告費が効かなかった朝に、最初に開く画面

広告を出したのに動かない朝、多くの人は広告管理画面を開きます。かいなは先にGA4の経路を見ます。クリックは来ているのに商品ページで止まっているのか、カートまで進んで落ちているのかで、打ち手がまったく違うからです。

この見方ができるかどうかは、購入までの各段階がイベントとして取れているかにかかっています。設定を整える理由は、報告書のためではなく、この朝のためです。

放置されがちな5つの設定と、直す順番の決め方

見直すべき箇所は多くありますが、全部を一度に直そうとすると止まります。売上の判断に直結する順に並べます。

先に直す3つと、後回しでよい2つの分け方

  1. キーイベントの選別。購入と、購入の直前にあたる行動だけに絞る
  2. 参照元除外。決済ドメインと自社の関連ドメインを登録する
  3. 内部トラフィックの除外。自社IPと、運営メンバーの自宅回線をどう扱うか決める

この3つは、間違っていると判断そのものが反転します。広告が効いていないのに効いて見える、という事故が起きるのはここです。

残る2つは、データ保持期間の延長と、カスタムディメンションの追加です。商品カテゴリや会員種別で分けて見られるようにする設定が後者にあたります。

これらは判断を反転させるものではなく、判断を細かくするものです。先の3つが済んでいない段階で着手すると、細かく間違った分析ができあがります。

eコマースイベントは、どこまで入れるかを商材で決める

商品閲覧、カート追加、決済開始、購入。この4つは入れたいところです。ただし実装コストは構成によって大きく変わります。

商品点数が少なく購入までが短い商材なら、購入とカート追加の2つで十分に判断できます。点数が多く比較検討が長い商材では、商品閲覧まで取らないと離脱地点が見えません。迷う場面が多い商材ほど、手前のイベントに投資する価値があります。

計測を整えることをすすめない場合

ここが一番伝えたい部分です。GA4の見直しは、いつでも取り組むべき作業ではありません。

施策が動いていない段階で、計測だけ整えても意味がない

月に一度の新商品追加以外、サイトに何の変化も起きていない。広告も止まっている。メールもLINEも配信していない。この状態で計測設計を整える相談を受けたら、かいなは止めます。

計測は、打った手の良し悪しを判別するための道具です。手が打たれていなければ、判別するものがありません。きれいなデータが溜まるだけで、来月の行動は何も変わりません。

この段階でやるべきは、小さくても施策を一つ動かすことです。特集を組む、配信の切り口を変える、写真を撮り直す。動かしてから、その結果が見える最小限の計測を足します。

数字を見る人が社内にいないなら、投資の順番が違う

計測を整えても、週に一度も画面を開く人がいないなら意味がありません。レポートを自動送信しても、読む習慣がなければ同じです。

かいなが相談の中でよく行き着くのは、データを活用しきれずお客さんの顔が見えていない、という課題です。これはツールでは解決しません。誰が何を見て、何を決めるのかを先に決める話です。

担当が兼務で時間が取れないなら、見る指標を3つに絞り、月に一度だけ見る運用にします。完璧な計測より、続く運用のほうが結果に効きます。

サイトの構造そのものを変える予定があるとき

近くリニューアルやブランドサイトとECの統合を予定しているなら、いまの環境に作り込むのは避けます。URL構造が変われば、設定の多くは作り直しになります。

その場合は現状の計測を最低限で維持し、設計は新しいサイトの要件に含めて考えます。二度手間を避けるという、それだけの理由です。

明日から自分で判断するための、3つの分かれ目

最後に、読者が自分で決められる基準を整理します。

直すか、当面はズレたまま運用するか

判断の条件は「そのズレによって、来月の予算配分が変わるか」です。変わるなら直します。変わらないなら、ズレの幅を把握したうえで放置して構いません。

たとえば広告の流入が決済ドメイン経由として集計されているなら、予算配分に直結するので直します。スクロール率が正確でないことは、当面の予算を変えません。

自社でやるか、外部に頼むか

タグの管理画面を開いて、どのタグがどのページで発火しているかを自分で説明できるか。説明できるなら自社で進められます。

説明できない状態で触ると、動いていた計測まで壊れます。その場合は設定を外に出し、社内には見る役割だけを残す分け方が現実的です。かいなが月次で伴走する形をとっているのも、この役割分担を一緒に作るためです。

どこまで細かく取るかを決める条件

商材の検討期間が長く、比較や絞り込みを何度も行う商材なら、サイト内の行動を細かく取る価値があります。どこで迷っているかが施策に直結するからです。

逆に、指名検索で来て迷わず買う商材なら、流入経路と購入だけで判断できます。細かく取っても、そこから変える打ち手が存在しません。取るべき粒度は、変えられる打ち手の数で決まります。

計測の見直しとECの数字について、お気軽にご相談ください

GA4の設定は、正解を一つに決められる作業ではありません。商材によって、社内の体制によって、いま打っている手によって、整えるべき範囲が変わります。

かいなは自社でECを運営し、自分たちの数字を自分たちで見ています。だから、どの数字を疑い、どこまでで判断を下すかという現場の感覚を持っています。

数字が合わない理由が分からない、施策の効果が読めないという状態でしたら、まず30分の無料相談で現状を整理するところからご一緒できます。売り込みはしません。診断だけ持ち帰っていただいて構いません。