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オウンドメディアとは何か、トリプルメディアと比べて考え直す

2017.12.20 2026.09.02 更新

オウンドメディアをやったほうがいい。そう言われて記事を数本公開したまま、半年以上動いていない。そんなサイトをよく見かけます。

残っているのは「更新が止まっている」という社内の宿題だけで、何のために始めたのかは、もう誰も説明できなくなっている。珍しい話ではありません。

一般には「広告と違って低コストで、資産としてWeb上に残る」と説明されます。かいなはそう考えていません。オウンドメディアは三つのメディアの中でいちばん人の時間を使う手段で、資産になるのは更新が続いた分だけです。ここを取り違えると、着手そのものが損になります。

トリプルメディアという分け方が、いまも使える理由と古びた部分

オウンドメディアを理解するには、ペイドメディア、アーンドメディアと並べて見るのがいちばん早い道です。この3分類がトリプルメディアと呼ばれるものです。

ペイドメディア お金を払って枠を借りる。テレビCM、雑誌広告、リスティング広告、SNS広告
アーンドメディア 他人が語ってくれる。SNSの投稿、レビュー、メディア掲載、比較サイト
オウンドメディア 自社が所有する。自社サイト、ECの商品ページ、ブログ、メルマガ、カタログ

枠組み自体は今も有効です。ただし、それぞれの中身は当時とかなり変わりました。

アーンドメディアは、口コミから「他人のおすすめ」の市場に変わった

かつてアーンドメディアは「消費者の生の声」と説明されていました。いまは事情が違います。

レビュー、インフルエンサーの紹介、比較記事、生成AIの回答。そのどれもが購入の直前に読まれ、しかも一部は費用が発生しています。

つまりアーンドとペイドの境目が溶けました。企業がコントロールできない点だけは変わっていないので、扱いは慎重にする以外にありません。

ペイドメディアは、止めた瞬間に消える性質が強まった

広告は今も速い手段です。出せばその日に人が来ます。ただ、単価の上昇と競合の増加で、止めた翌日にアクセスがゼロに戻る感覚は年々はっきりしてきました。

かいなは自社ECを4サイト運営していますが、広告費が想定どおりに効かなかった朝の焦りは、支援会社としてではなく運営者として何度も味わっています。

この焦りがあるから、広告以外の入口を持っておく意味は分かります。ただしそれは「安いから」ではありません。

オウンドメディアだけが、置き場所を自分で持っている

3つの違いを一言にすると、掲載を止める権限が誰にあるかです。広告は出稿主が払うのをやめれば消え、SNSは運営側の仕様変更で見え方が変わります。

オウンドメディアは、サーバーとドメインを自分で持っている限り残ります。この一点だけが、他の2つにない性質です。

逆に言えば、残るのは掲載場所であって、成果ではありません。ここを混同した説明が、期待値をおかしくしています。

オウンドメディアが止まるとき、何が先に尽きるのか

かいなは支援会社であると同時に、自社ECと撮影スタジオを自分たちで回しています。続かない理由は、外から見ていたときの想像とは違いました。

ネタが尽きるのではなく、時間が尽きる

書くことがなくなって止まった例は、実はあまり見ません。止まるのは、受注処理と問い合わせ対応が積み上がった週です。

出荷は待ってくれません。記事は待ってくれます。だから記事のほうが後回しになる。これは意志の問題ではなく、優先順位の構造です。

更新頻度を決めるときは、忙しい週を基準にします。暇な週を基準にした計画は、必ず三か月目に崩れます。

自社スタジオを持っていても、撮り続けるのは別の話

かいなは名古屋と東京に撮影できる拠点を持っています。新商品でも季節替わりでも、思い立った日に撮れる環境です。

それでも、トーンを揃えたまま撮り続けるのは覚悟が要ります。撮影は機材があれば終わる作業ではなく、誰が並べて、誰が判断するかの仕事だからです。

外注前提でメディアを設計するなら、写真の発注が毎月発生することを最初に見込んでおくほうが安全です。文章より先に写真で止まります。

資産になるのは、商品と地続きの記事だけ

「コンテンツは生涯の資産になる」という言い方があります。半分は本当です。

ただ、自社の商品と関係のない一般記事は、数年経つと情報が古くなり、直す手間だけが残ります。読まれても買われないので、直す動機も湧きません。

残って効き続けているのは、自社の商品を選ぶ人が読む記事です。素材の話、サイズの選び方、使いはじめの手順。この種の記事は3年前のものでも今日も読まれます。

かいながオウンドメディアをすすめない場合

やらないほうがいい、と申し上げることもあります。判断材料として3つ挙げます。

広告とLPだけで回っていて、検索の入口がない商材

単品を広告で獲得し、LPで完結させる形で成立している事業があります。ここに記事を足しても、導線が長くなるだけで噛み合いません。

かいながLP主体・広告主体の運営に対してオウンドメディアを積極的に提案しないのは、この構造のためです。

この場合に投資すべきなのは記事ではなく、同梱物や配信でのリピート設計のほうです。

更新の担当者が決まっていないまま立ち上げる場合

「誰が書くか」が決まっていない状態で構築だけ進めるご相談は、いったん止めます。作った時点でいちばんきれいで、あとは古くなる一方になるからです。

社内に書ける人がいないなら、外注費を毎月の固定費として持てるかを先に確認します。持てないなら、記事ではなく商品ページの改善に予算を回したほうが返ってきます。

月1本でも、続く体制のほうが勝ちます。本数は後から増やせます。

商品ページが未整備のまま、記事だけ増やそうとしている場合

見落とされがちですが、ECにとって最大のオウンドメディアは商品ページです。記事を読んで興味を持った人が最後に見るのもそこです。

その商品ページに写真が少なく、サイズも素材も分からない状態で記事を増やしても、流入が増えるだけで買われません。

商品点数が多くて目当てのものにたどり着けないなら、記事より先に選ぶ体験の設計を見直したほうが早いこともあります。

始める前に決めておきたい、判断の分かれ目

やると決めた場合、最初に決めておくと後がぶれない論点が3つあります。条件によって答えが変わるので、順に見ていきます。

検索から探される商材か、出会って好きになる商材か

お客様が困りごとを言葉にして検索する商材なら、記事は検索の入口として効きます。素材や工法、選び方に疑問が出る商材が該当します。

一方で、かいなが運営している猫用家具のように、探して比べるより「見た瞬間に好き」で決まる商材もあります。この場合、記事はSNSと写真の受け皿として設計します。

同じオウンドメディアでも、前者は検索キーワード起点、後者はビジュアル起点で組み立てます。中間はありません。

別ドメインで作るか、いまのサイトの中に置くか

メディアを独立させたいというご要望はよく出ます。ブランドの世界観を分けたい、という理由が多い印象です。

ただ、別ドメインにすると評価がゼロから積み上がり、購入までの距離も遠くなります。分けるべきなのは、対象読者が既存顧客とはっきり違うときだけです。

読みものから購買まで一続きにしたいなら、同じサイトの中に置きます。かいながブランドサイトとECの統合をすすめるのも、途中で人が離脱する構造をなくすためです。

見る数字は、PVではなく商品ページへの移動と指名検索

公開後、まずPVを追いたくなります。PVは増減の理由が分かりにくく、判断には使いづらい指標です。

見るべきは2つです。記事から商品ページに移った人がどれだけいるか、そしてブランド名や商品名での検索が増えているか。

どちらも動かないなら、記事のテーマが自社の商品と離れています。テーマは差し替えられるので、半年続けて反応がない軸は早めに捨てます。

オウンドメディアの立ち上げについて、お気軽にご相談ください

オウンドメディアのご相談は、掘っていくと「お客様がどこで迷って買わずに帰っているか、データで見えていない」という話に行き着くことがよくあります。

その場合に必要なのは記事の本数ではなく、どの疑問に答えると手が止まるのかを決め直す作業です。かいなはマーケティングの支援でも、そこから一緒に組み立てます。

かいなは自分たちでもECを運営し、自分たちで写真を撮り、自分たちで記事を書いています。続けることの重さを知っている相手として、30分の無料相談からお付き合いします。