CMS選びは機能比較ではなく、社内の誰が何を更新するかで決める
2026.09.22
サイトを作り直すとき、社内で更新できるようにしたい、という話はほぼ必ず出ます。更新のたびに費用と時間がかかる状況を、内側に取り戻したいという要望です。
そこで管理画面の使いやすさや機能の一覧を並べて比べ始めます。ところが公開してしばらく経つと、更新は結局また制作会社への依頼に戻っている。こうしたサイトを何度も見てきました。
一般にCMSは機能と拡張性で比べるものとされています。かいなは、比べる前に決めるべきものがあると考えています。社内の誰が、どの頻度で、何を更新するのかです。この3つが決まっていれば構成はほぼ絞れますし、決まっていなければどのCMSを選んでも更新は止まります。
CONTENS
更新が止まるのは、管理画面が難しいからではありません
「誰でも更新できます」と言われたサイトが止まるまで
公開直後は担当者も張り切って更新します。お知らせを書き、写真を差し替え、社内でも歓迎されます。
やがて画像のサイズで迷い、レイアウトが崩れたときに自分では直せなくなります。次に「時間があるときにまとめてやります」という言い方が出てきます。
この流れで、CMSの操作性そのものが原因だったことはほとんどありません。止まる手前で起きているのは、判断に迷ったときに聞ける相手がいないことと、更新に使える時間がそもそも確保されていないことです。
更新が誰の仕事にもなっていないと、機能では止められません
多くの会社で、サイト更新は本業の合間に割り振られます。営業や広報、総務の担当者が、他の業務を終えた残り時間で触る形です。
この状態では、管理画面が簡単になったところで優先順位は上がりません。更新を続けられるかどうかは、操作の簡単さより、その作業がその人の業務時間の中に入っているかで決まります。
だからCMSを比べる前に、週にどれくらいの時間を、どの立場の人が使うのかを決めます。ここが空欄のまま進んだ案件は、公開後の更新が続きません。
かいなは自社のサイトを自分たちで更新しています
かいなは自社ECを4サイト、撮影スタジオとレンタルスペースを2拠点、自分たちで運営しています。商品ページも読みものも、更新しているのは自分たちです。
やってみて分かったのは、更新が止まる時期が決まっていることです。カニのギフトECの「かにと。」は年末に出荷と問い合わせが集中し、その時期に読みものは確実に後回しになります。
一方で日用品の「SOREDAKE」は、商品の入れ替えが更新のきっかけになります。更新の量が一定ではなく、波の形がサイトごとに違うのです。
ですから更新頻度を月あたりの平均で見ると判断を外します。見るべきは、忙しい時期に誰がどこを触るのかという一点です。
更新するものと担い手から、構成を見分ける
ここからは代表的な3つの構成を、機能ではなく「向く更新体制」で並べ直します。
WordPress中心が向く更新体制
更新の主軸が読みもの、実績、お知らせであるとき、WordPressが素直に効きます。文章とレイアウトを同時に調整したい部署があるなら特にそうです。
条件は、社内に一人でもページの構造を理解している人がいることです。その人が入稿のルールを決め、他のメンバーはその型の中で書く形にすると崩れません。
逆に、商品が増えて在庫と価格を扱い始めると話が変わります。受注側の情報をWordPressで持つと、二重入力が生まれます。
Shopify中心が向く更新体制
更新の主軸が商品情報のとき、つまり価格、在庫、バリエーション、販売期間が動くときは、カート側を中心に据えるほうが早いです。触るのは受注や商品担当で、日々の業務の延長で完結します。
制約は表現の自由度に出ます。テーマの型の中で作る限り運用は軽いのですが、読みものの見せ方や特集ページの構造で型を外れる要求が増えると詰まります。
判断の目安は、要望が「商品の見せ方」に集中しているか、「ブランドの語り方」に伸びていくかです。後者が増えるなら中心の置き方を考え直します。
ヘッドレス構成が向く更新体制
読みものと商品の両方が動き、しかも更新する人が別々にいるとき、ヘッドレス構成(表示側と購買機能を切り離す構成)が現実的な選択になります。
編集担当は記事の管理画面で書き、商品担当はカートの管理画面で在庫と価格を扱う。表示側では記事の中に価格や在庫が呼び出され、読んだその場で買える状態になります。かいなのHAKOB(ブランドサイトとECを統合するヘッドレスEC構築)はこの形を想定しています。
分断したままだと何が起きるかは、ブランドサイトとECサイトが分離しているときの機会損失でも触れています。
ただし、更新の担い手が実質一人なら、管理画面が二つに分かれることは負担です。この場合は統合の効果より、日々の手間の増加が先に出ます。
CMSを選ぶ前に、いったん止めたほうがいい場合
更新する人が決まっていないまま選ぶとき
要望が「誰でも更新できるように」という言い方に丸まっているときは、担い手が決まっていないサインです。この状態でCMSを選ぶことは、かいなはすすめません。
担い手が未定のまま比較を始めると、判断の軸がないので機能の多いほうに流れます。結果として使わない機能の学習コストだけが残ります。
先にやるのは、これから数ヶ月のうちに公開したいものを具体的に書き出すことです。書き出せないなら、更新前提の設計はやめて、作り込んだページとして納める方が無駄がありません。
更新が年に数回なら、CMSを入れない判断もあります
更新が季節ごとの案内と年度の挨拶だけ、という会社は珍しくありません。その頻度のために管理画面の使い方を覚え直すのは、毎回ゼロからやり直すのと同じです。
この場合は依頼する前提を受け入れて、依頼の窓口、依頼から公開までの日数、費用の考え方を先に決めておくほうが早く回ります。社内で更新することが目的ではないからです。
外注前提の運用なら、比べるのは管理画面ではありません
更新を外に出すなら、比較対象は管理画面の操作性ではなく、依頼の通りやすさです。誰に連絡すれば何日で反映されるのか、原稿はどの形で渡すのか。
ここが曖昧なままだと、CMSが何であれ更新は滞ります。修正の往復が増えるのは、システムではなく手順の設計に原因があります。
判断の分かれ目は、増えるものと権限の置き方です
増えるのは読みものか、商品か
この先1年で増えるのが記事や事例なら、編集のしやすさを中心に置きます。増えるのが商品なら、商品情報の扱いやすさを中心に置きます。
両方が同じくらい増え、担当も分かれているなら統合型の構成に寄せます。どちらが増えるか答えられないときは、まだ選ぶ段階ではありません。
なお、商品が増えた結果として「探せないから買われない」が起きている場合は、CMSの話ではなく選ぶ体験の設計です。既存のECに手を入れずに拡張するERABのような方法もあります。
権限を一人に集めるか、部署に配るか
更新を一人に集めるなら、管理画面はひとつに寄せたほうが混乱しません。誰がいつ何を変えたかも追いやすくなります。
部署ごとに配るなら、編集できる範囲を分けられる構成が必要です。商品担当が読みもののレイアウトを触れる状態にしておくと、崩れの原因が特定できなくなります。
あわせて、公開前に誰が見るのかを決めます。承認者がいない運用は速いかわりに、表記のばらつきが後からまとめて返ってきます。
繁忙期に誰が触るかで、答えが変わります
忙しい時期に止まってはいけない更新は、価格、在庫、告知です。読みものが一ヶ月止まっても損害は限られますが、在庫の表示が止まると売り逃しと問い合わせが増えます。
だから繁忙期の更新を受注担当が担う会社は、カート側を中心に組むほうが安全です。繁忙期にも編集担当が動ける体制なら、統合型の構成が活きます。
自社の一年を思い返して、いちばん忙しい月に誰がサイトを触るのかを一人の名前で言えるかどうか。そこで構成の候補は二つくらいまで絞れます。
社内で更新できるサイトの設計、お気軽にご相談ください
CMS選びの相談は、機能の比較表ではなく、更新体制の整理から始めたほうが早く決まります。誰が、いつ、何を更新するのかが決まれば、候補は自然に絞れていきます。
かいなは自社でECとスタジオを運営し、サイトの更新も自分たちで続けています。だからこそ、続かない運用の形がだいたい分かります。
読みものと商品の両方を動かしたい場合は、ブランドサイトとECを統合するHAKOBもあわせてご案内できます。まずは30分の無料相談で、いまの更新体制の整理からお手伝いします。現状の診断だけ持ち帰っていただいても構いません。