海外でもECをやるなら越境EC向けモール出店から始めよう

越境ECへの期待とは、ECサイトの面白さそのものかもしれません。地域を超えて商品やブランドが広がることに期待する上で、海外への拡散は誰もが描くビジョンではないでしょうか。

一方で越境ECには難しさもありハードルの高い作業でもあります。ここではいかにリスクを少なくECで海外進出するかについて解説します。

越境ECの魅力と難しさ

越境ECは簡単ではないということについては、以下の記事で解説しています。

【参考】国際的なECサイトづくりには準備が必要〜越境ECのメリット・デメリット

それでも2020年の市場規模はコロナウイルスの影響によって若干不透明ではありますが、海外も含めて流通が完全に止まったというわけではありません。実際の店舗での売上が低下する中で、日本国内だけでなく、海外でのEC展開も注目されています。

BtoCやBtoBに限らず、商品によっては国内で限定された市場内だけを商圏にしていても、発展は頭打ちというケースもあります。日本製品に対して日本国内の動きは活発ではないケースも少なくありません。

それであれば、人口も多く、消費も活発な中国やインド、発展の著しいインドネシアやマレーシアなどの東南アジア、そして高単価でもプレゼンテーションがうまくいけばヒットの可能性もまだまだあるアメリカやヨーロッパといった国を市場にできれば、それぞれの商品の売上に関する状況は一変する可能性もあります。

また、実際に困難であるということは承知の上で、トライしなければいけない場面はビジネスにはつきものです。求めなければ得られないのは、どういったことでも共通しています。どんなことも成功するためには挑戦する姿勢が欠かせませんが、ビジネスに置いては、それは逃れられない黄金律といえます。

そうした中で越境ECにトライすることは絶対に無理なチャレンジというものではありません。むしろ商圏を広げることを考えているのであれば常に頭の片隅にいれておいてもいい課題でもあります。

ただし、夢と希望は理想通りには行かないことが多いということは十分意識しておくことです。越境ECでの展開についてはしっかりと時期を見据えて、タイミングまではあまり拡大を考えずに大勝負にはせず、リスクを意識して小さくという方法もあります。その代表的な方法が海外の事業者を受け入れるモールへの出品です。

また、海外とのつながりという点では、販売だけでなく仕入れなどに利用する方法もあります。

海外とのつながりは仕入れに利用する方法も

ECサイトでの利用価値という点で考えると「ECサイトの運営」という話とは少指向が変わってきますが、ECサイトの利用方法として海外のネットショップを利用してみると良いでしょう。

まず、個人的なものであれば、おどろくほど簡単に購入することが可能です。実際のところ、言葉の問題はありますし、信頼性の高いサイトを選ぶなど、闇雲にどこのサイトにでも注文できるものではありませんが、もし海外への販売について関心があるのであれば、実際に自分で購入者として経験してみることで理解できることはたくさんあります。

企業の状況によっては現地に赴いての市場調査が困難な場合もありますので、まずはどんな状況か知るために利用者になってみるのです。

それぞれの国でやり取りなどには差があります。また、国内から海外へ発送するのであれば、どの程度の期間がかかるのか、送料の相場など費用として発生する金額は早い段階で理解しておく必要があります。もちろんこの額は越境する対象国によってもまちまちです。

例えば、配送の精度については大抵の国が日本より高くありません。届く日にちにもばらつきがあり、紛失することさえも頻繁にあります。たとえば先進国であるアメリカでも、紛失は日本より起こりやすいです。また、配送業者もいくつかあり、そうした配送会社によっても、そうしたトラブルの頻度は変わってきます。

一方で、送料の相場はマチマチです。海外発送に関しては日本国内から発送した場合のほうが高い傾向にありますが、荷物のサイズにもかなり左右されます。

しかし、国によってはECでの購入が普及しているケースも少なくありません。実際に私自身も海外の企業と物品の仕入れについてECサイトを通して卸売り価格でのやり取りをしたことが何度かあります。

そうした状況は国や企業によってはもう15年ほど前から確立している状況もしばしばみられます。日本と比較して国や企業によっては洗練されてきていることも少なくありません。

海外でのECをサポートすることをメインにしている運営会社などもありますが、現在では、ECを通して世界中とつながりやすい環境ができあがっています。実際に業務に関わる商品などを視察のような感覚でインターネットでその国のオンラインショップをのぞいてみたり、似たような商品について調べてみることも重要です。

そうした中で、たとえば海外への出荷に競合もおり、価格も折り合わないということになれば、手法を変えなければいけないといったことも出てくるかも知れませんし、逆にニーズを感じることもあるでしょう。

「せどり」もECの発達が生んだビジネス手法

一部問題になることがある「せどり」というビジネス手法があります。違った言い方をすると転売目的で購入し、価格を付加して販売することです。こうした行為をせどりといいます。中古商品などに多くみられ、その後にYahooやメルカリなどのネットオークションなどCtoCで販売する行為のことです。

実際のところ、海外のECサイトで購入し転売すること自体は貿易であれば一般的に行われている行為です。もちろん、必要な資格や、専売する権利などがあるものであれば、問題になることもあります。そうしたビジネスを考えている場合は、事前にどういった資格や、許可が必要なのか確認しておきましょう。

食品などはかなりルールが厳しいです。特に生鮮食品などではハードルがあります。また、それに関連して直接食材に触れる機会のある調理器具は機械であっても、食品届けなどの書類を税関に提出する必要があります。どういった材質で作られたものかといったことを提出します。

また、木製の製品や皮革はワシントン条約で出荷制限されている場合も少なくありません。最近は家具や楽器などによく使われている加工ができる木材がどんどん輸出禁止の対象になっています。

【参考】東京税関 食品衛生法

モールで始める越境ECで手応えを確認すべし

各国により事情は少しずつ違いますが、共通して言えるのは実際に越境ECを始める場合、自社サイトでの集客にはそれなりの予算を投入する必要があることです。予算的にもその国の消費者の動向なども先の見えにくい状態で始めるような場合は自社サイトでの越境ECには向いていません。そのため、費用対効果を考えるのであれば最初の選択肢はモールへの出品ということになります。

世界の王者Amazonがどこでも最強ではない

実際のところ、Amazonでは、国内向けの出品も海外から購入できるように設定することができますので、もしすでに出品している場合は試験的に反応を見てもいいかもしれません。

問題は、Amazonの場合は越境ECとしてのオリジナリティや商品の独自性をアピールしにくいところかもしれません。それでも、Amazon自体は海外にいくつかの拠点があるため、そうした国へのチャネルを簡単に持つことができます。

もう一つの問題は、越境ECというよりは海外へ出荷できる卸売り業者とのやり取りのようになってしまう可能性です。Amazonを通すことで、それぞれの国に根を張ってビジネスしていく感覚は非常に薄くなるといえます。もちろんアメリカでの越境ECとして考えるのであればAmazonは選択肢としての基本といえます。それ以外の国では、状況により違ってきます。

Amazonの影響力は英語圏ほど強い傾向にあります。越境ECの場としてAmazonに注目したい地域はアメリカの他にインドがあります。インドは世界でも2番目に人口も多く、経済力を物凄い勢いでつけて急発展を遂げています。ただし、公用語も多くあるため、越境ECは簡単ではない国の一つです。独自で出品するのではなく、Amazon Indiaへの出品をサポートするIndie Cartを利用する方法が一般化しつつあります。

Amazonだけでなくebayも英語圏には強いECサービスです。アメリカやイギリスでは多くのユーザーがおり、その商圏はあなどれません。

中国ではアリババグループ「天猫国際」が強い

それぞれの国によっては越境ECを歓迎している、あるいは越境ECに積極的なモールもあります。その代表格は中国の「天猫国際(T-mall Global)」です。もともと天猫として、中国国内では巨大な市場を持つモールとして存在感を示しています。

天猫は世界的な大企業となったアリババが運営しており、開発やマーケティングにも積極的です。技術力としても先行するAmazonに追いつけ追い越せの勢いで発展し続けています。その越境ECを集めている中国国内向けの越境モールが天猫国際です。おそらく越境ECモールを紹介する記事では必ず名前の挙がるECサイトといっていいほどその存在感は大きなものがあります。

中国はキャッシュレス化が急激に進んだ国です。国土も広く、治安にも地域による差があるため、現金を持ち歩くリスクを考えると電子マネーの有用性が高いという背景もありますが、その結果としてネットショッピングも非常に盛んです。

人口が多いだけでなく、日本の年収にして1億ほど稼ぐ人が1億人近くいます。以前の貧富の差の多い国というイメージが覆されているわけではありませんが、この富裕層の人口ボリュームを考えると経済的な範囲でのマーケティングの対象も多い国になりました。

日本との距離という地理的な条件を考えても、モールで始めやすい条件が揃っているといえます。ただし天猫国際は、出店基準がしっかりと設けられており、手数料も安いわけではありません。その分、ブランドを厳選し、サイトが荒れないように管理されています。その結果、富裕層にアプローチするモールとなり、モールとしては成功しています。

また国内配送事業大手のヤマトホールディングスと提携し、日本からの越境EC出店に力をいれているのが京東(JIndon)です。京東は中国ではナンバー2のモール型ECサイトです。配送のサポートをヤマト運輸が行うため、そうした支援の部分での安心感もあります。

アリババグループの影響力は中国に留まりません。タイや、貿易立国のシンガポールではLazadaというモールが幅を利かせています。一方、アジア圏では、日本の食品がECでの人気が高いのも特徴です。日本製品での越境ECの売上全体のだいたい3割程度は食品が占めていると言われています。

また香港ではHKTVMallが、台湾ではPCHomeが強いです。この2つのエリアは中国語圏ではありますが、法律などは違いますので、別途で調査が必要なエリアです。

また、韓国ではアメリカのe-bayが運営に加わっているG-Marketでの越境ECが一般的です。G-Marketとは楽天も提携しており、お互いの強化を目的に事業が推進されています。

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やっぱり自社サイトはハードル高い

アジア圏の越境ECに対応できるモールの特徴などを紹介しました。それでもやはり本格的に自社サイトで越境ECに挑戦していきたいと考える場合は、法律的な部分をまずクリアしてください。

その上で、集客や配送システムについて、ローカライズを考える必要があります。基本的に国内の自社ECサイトと同様のプロセスが海外にドメインを置くサイトでも必要になります。言葉の問題や文化の問題は、旅行でいけばスリリングですが、生活へ入り込むとなると非常に困難です。

如何に日常に入り込むかを考慮しつつ、マーケティングなどに望む必要があると考えるとハードルは想像以上に高いと言えるでしょう。

例えば、現地法人を立ち上げるなどのプランがあり、それに合わせて自社のECサイトを構築するなど、モールから出てECをさらにもう一歩進めるにはそれなりに理由があったほうが現実的と言えるでしょう。

当然、現地ごとにそれぞれの状況に精通したパートナーが必要です。WEBの制作だけでなく、現地の文化や言語にも精通したスタッフが必要になってくることはいうまでもありません。日本にいながらにして、成果をあげようというのであれば、それなりに必要なものが出てくるということに他なりません。

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