ECサイトもセミナーやイベントの開催でファン度の強化を狙う
2020.11.09
セミナーはもし受講する側で考えれば、新たなノウハウを獲得する場です。それが、もし開催する側に回れば、その利用者がどういった疑問を持っているのかを発見し、新たな商品の魅力を伝える機会になるかもしれません。それだけでなく、実際にユーザーとの交流を持つことで結びつきを強めることにもつながります。ここではセミナーなどのイベントをECサイトを運営する企業が行うことについて解説します。
ファンづくりの基本は「見える」こと
ECサイトでブランディングを考えるのであれば特にユーザーとのコミュニケーションは欠かせません。そしてそのコミュニケーションの手法は実際のところ、新旧の手段を問いません。
それが必ずしもWEBで完結しなくても、ECサイトの存在をアピールできれば、そのプロモーションは成功に近づきます。そうした手段の一つとしてセミナーも戦略的に活用できるもの一つです。
こうした手段としては最近であれば、SNS、そしてコンテンツマーケティングがあります。また、メールマガジンはリピートを生むためのスタンダードなネットショップのアフターフォロー対策として未だに生き残っているコミュニケーション手法です。中にはダイレクトメールといった手法も用いられます。
コンテンツマーケティングやSNSでのトピックの発信はある意味では一方的なコミュニケーションです。これを続けていくことで少しずつ情報としてユーザーに刷り込まれていきます。もちろん、自然検索で多くのユーザーに認知してもらうことも重要ですが、コンテンツの一つ一つに何らかの引っ掛かりがあれば、その引っ掛かりを軸にユーザーとECサイトとの関係が構築されていきます。
SNSではユーザーは運営側に対してリアクションし、またそこから相互的なコミュニケーションを持つことも可能です。こうして存在を感じやすくなり、親近感を覚えたり、好感を抱くようになります(もちろん逆の場合もあります)。
もし専門性を発揮できるのであれば、リアル(あるいはZoomなどのオンラインでも構いません)でのセミナーを開催することで、その印象を強くすることも可能です。食品系の企業であれば、デパートの催事などもこれにあたります。こうした単発のイベントをしっかりとECへ誘導することは企業活動として、今後、非常に重要になってくるでしょう。
例えば、実際の事例として食品産業では以前はリアルタイムで獲得したファンはそのまま、翌年同じ催事、あるいは同じ都市の別のイベントに出店するまで待たせることになります。しかし、ECサイトがあれば、存在の認知後に必要になれば購入できます。自然とそうしたイベントやセミナーの位置付けは変わってくるはずです。
私個人の実体験としても、催事などで販売時にしっかりとECサイトと自社の商品の認知をユーザーに対し高める作業を行うことで、その後のECサイトの売上上昇に貢献することを数値としても何度も経験しています。
オムニチャネルとまでいうと少し大袈裟ですが、BtoCの販路を獲得するためにはこうした地上戦のインパクトは軽視できません。また、食品産業ではなくても、セミナーの開催などはその企業のスペシャルティをしっかりと伝える機会でもあります。
こうしたリアルタイムのイベントやセミナーの開催にはそれなりに労力が必要ですので、簡単に頻回に実施することは難しい場合もあります。しかし。手段としてネット内のバーチャルな関係に限らず幅広い視野で考えることも時には重要です。
また、相手が実際に見えることによる信頼性の向上は計りしれません。信頼性を高めることはECサイトを含む、通販に関わる事業の重要項目ですが「実際に運営している人に直接会った」という情報は、確かな存在であると認知させるためには高い効果があります。その結果、セミナーの参加者がインフルエンサーとなり、その口コミから別の新規の顧客獲得に繋がることも珍しくありません。
セミナーでより商品を知ってもらい距離を近づける
リアルタイムに実施され相互コミュニケーションが可能なイベントはソフトウェア販売などでもその利用法を解説するセミナーを開催したり、ゲームソフトであれば、その大会を実施するなど、販売自体はECサイトだけで完結できる商材であっても、その価値を高めたり、付加価値をつける目的で開催されることも少なくありません。
こうしたセミナーは、開催することでアフターフォローの場にもなり、かつ新たな販売機会の早出の場にもなります。
セミナーの実施で、実際に対面で利用方法の疑問点を解消したり、新たな利用方法を提示することで、元々興味を持っていたユーザーは購入に向けた多くの判断材料を得ます。確実に購入の理由を得て後押しされるでしょう。その場ですぐに購入に結びつかなくとも、その影響力は非常に高くなります。
また、実際にセミナーへ参加するユーザーの関心度は非常に高く、また疑問を持っているユーザーこそ、その疑問が解消された場合の企業に寄せる信頼はとても高くなるはずです。結果的に距離が近づき、優良顧客化に近づくはずです。
WEBマーケと体験の提供をいかに行うか
広告やSNSを含む多くのWEBマーケティングは、ユーザーの認知を得るために用いられます。認知が得られなければECサイトへの訪問自体が行われないので、ネットショッピングで売上をあげていくために必要なものです。
一方で動画を含むコンテンツマーケティングは、そのECサイトや商品の中身を見せる作業でもあります。
つまり、
「この商品はこんなことができますよ」とか「私たちはこんなサービスを提供しています」
といったことを伝えて購入へと結び付けていく行為でもあるのです。
コンテンツマーケティングは集客も同時に行いますが、「これは自分に必要なんだ」と思わせることも実はその役割に含まれています。
そうした意味では、セミナーも広義の意味では「コンテンツを見せる」ことです。実際に体験を共有することでコンバージョンにつなげていきます。
こうしたユーザーに与える体験(UX)は現在、多くの企業が注目しています。
どうしてもECサイトでUXを考える場合、WEB内で完結できることを中心で考えるコンサルが多くなります。
しかし、セミナーもECサイトにとって、そうした手段の一つであることは覚えておいて損はありません。これを発展させた先に、実店舗も含めたそれぞれの媒体を使って、ユーザーを囲み、繋がりを強め、ファン化を狙うオムニチャネルがあります。
実際のところ、オムニチャネルは、それぞれの機能を連携するシステムだけの話には落ちません。その目的こそが重要であり、いかにインターネットから飛び出せるかが、試されているといえます。
ECサイトユーザーのファン化を進める第一歩として、実際にどのような形でセミナーを開催することができるのか、検討してみることはわかりやすい入り口となるはずです。
また、この記事を読んで思うところのあるという人はぜひECとイベントというテーマで執筆しているこちらの記事も合わせて参照してください。