ECサイトのアクセス集中対策をシャープの事例から考える

アクセス障害は人気の証であると同時に、ECサイトにとっては販売機会の損失です。また、この販売機会の損失は痛手です。今回は2020年に起きたシャープのオンラインショップ事例から、ECサイトにおけるサーバーの機能やアクセスの集中について考えて見ましょう。

マスク販売でアクセスが集中したシャープのサイトの事例

2020年4月21日に株式会社シャープのオンラインショップや会員サイトにアクセス障害が発生しました。なぜ、そのようなことが起きたのか、原因はこの時期に品薄が続いていたマスクの販売をシャープが発表し、その販売日にアクセスが集中したことがきっかけでした。

背景には新型コロナウイルス感染症の拡大でマスク需要が逼迫したことにあります。2月頃から慢性的に品薄の状態が続いていたマスクの製造をシャープが発表して期待が高まっていました。

「Sharp」というブランド力と国内の工場のクリーンルームを使って製造した不織布マスクということが、期待に拍車をかけます。一箱50枚入り2980円という価格でしたが、需要と供給を考えて販売数にも制限をかけていました。これがさらにアクセス数を増やした原因ともいわれています。この当時はマスクの転売を一大ビジネスにしているような業者もいたため、状況は加熱する要素にあふれていたとも言えます。

シャープのサイトはサーバーにはAmazonの提供するAWSを使っています。実際のところ、サーバー自体が落ちたのではありませんでした。一気に集中した大量のアクセスを、不正アクセスを自動で検知する機能が感知して起動した結果、アクセスができなくなったことが原因でした。

シャープの今回のトラブルはシャープ製の家電をインターネット経由でスマホなどで操作できるIot家電にも影響を及ぼす自体になりました。結果的に5月12日には会員向けサイトである「cocoroストア」をリニューアルしています。

大手企業のアクセス集中による障害は、実際には頻繁に起こっています。2020年6月にはコロナによって営業自粛を行っていたディズニーランドの予約用サーバーにも障害が出ています。

実際のところ、サイトのアクセス集中に対して、もし想定を上回るアクセスがあれば、それに対する対策は非常に難しいのが現実です。今回はシャープのサーバーが脆弱だったというよりは、アクセス数の見込みが違った点が問題点として挙げられます。しかし、実際にはどれくらアクセスが集まるかを予測するのは難しいことです。

また、セキュリティ面を考えると、一定数のアクセスが急激に増えた場合に感知して、アクセス制限をかける機能自体は、妥当だったと言えます。もし問題があるとするならば、アクセス制限機能の発動を予測せず、安全にサーバーが稼働する最大値まで変更するなどの対処をしていなかったことにあるのかもしれません。しかし、もしその予想を超えるアクセスがあれば、結局はアクセス制限を行わざるを得なかったことが予想できます。

実際のところ、シャープが利用しているAWSのクラウドサーバーはオートスケーリング機能というものが搭載されています。これはアクセスが増えると、それに合わせて自動的に機能が追加されるというものです。この際のサーバー追加は5分で完了します。そう考えるとシャープ自体のサーバーよりも、どう動かすかというサーバー運用の部分に課題があると言えます。

また、構造としてIotの制御を行うサーバーと一部の利用情報が重複し、ログイン障害がおきましたが、こうした問題は、事前に予測しておくことはできたかもしれません。

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ECサイトのサーバーはどこでアップグレードを考慮するべきか

今回の騒動が、もし自分の運営するサイトで起きる可能性を考えることで、他山の石としないことが重要です。

まず、大前提として、機能を超えるアクセスが集中した場合、どんなサーバーも落ちてしまうことは認識しておくべきです。また、アクセス数に関わる機能をどう盛り込んでいるのかといったことは、イベントごとに合わせてしっかりと共有しておくことが重要です。混雑すればインターネットの世界でも現実と同じように混乱が生じる可能性があることを意識しておかなければいけません。

もしASPカートを利用している場合は、サーバー負荷について、念のため事前に確認しておくことも重要です。例えば、最近ではマスコミの力は弱くなったなどといわれますが、それでもテレビ番組で商品が紹介されたりするとアクセス数が急増します。真摯に商品を作って販売していると、そうしたメディアの目に止まることは珍しくありません。

そういった場面で貧弱なサーバーを使っていると販売機会を大きく失うことになります。また、ダウンし復旧に時間を要してしまうと、SEO的にも大きな影響を受けることになります。

そうならないため重要なのは以下のようなことを注意しておくことです。

  • サーバーのアクセス上限を把握しておくこと
  • 日々の平均アクセス数を把握しておくこと
  • 価格だけでサーバーを選択しないこと

一時的にセッションが伸びるタイミングは大きな販売チャンスでもあります。そうした場面でそのチャンスを逃さないようにしておくことが重要です。例えば何かの情報が公開される時間が把握できているのであれば、目標にするセッション数をクリアできるサーバーを選択するという視点は忘れずに持っておきましょう。

【参考】ECサイトのレンタルサーバー選びで失敗しないための注意点

また、他の機能を持ったサーバーや、システムとの連携には注意が必要です。今回のシャープの障害は、アクセス障害だけでなくIotのトラブルも問題になりました。常にトラブルへの予測を行って、トラブルシュートを想定しておくことはECサイトにとってもとても重要だということを示しています。その上で、どのように安全装置を働かせるかを検討してください。

たとえば、メールとWEBなどで利用するサーバーを分けるなどですべての機能が停止してしまったり、連鎖的に他のサービスが利用できなくなるといったことを避けるよう対策をしておくことも重要です。

サイト運営者はサーバー管理の技術者とも、事前に新商品販売やキャンペーンなどサイトのイベントスケジュールを共有することも忘れないでください。

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