サブスクリプションを導入を理解しECの売上安定を実現する方法

2020.10.06

ECに限らず、全てのジャンルのビジネスのトピックとしてサブスクリプションは今や一般的な方法になりました。それでも、ECの存在感や加速度的な普及がサブスクリプションの普及を後押ししてきたことと大きく関係していることは一つの側面として間違いないことです。

一見、サブスクリプションとは無関係と思えるような商品を扱っていても、実は幅広く導入する可能性があります。ここではよりECサイトの視点にたってサブスクリプションの有効性と可能性について解説します。

サブスクリプションはサービスから物品へも広がる

ここ数年で 一般化したサービス形態の一つがサブスクリプションです。今や多くの企業がなんらかの形でサブスクリプションを導入しています。

代表的な例としてはユーザーが月額で定額料金を事業者に払うことで音楽が聴き放題になるSpotifyやApple Musicなどがあります。こうした音楽の視聴サービスはサブスクリプションの代名詞的な存在になっています。

他にもデザイン関連の業務につく人にとっては切っても切れない存在になっているAdobe社のillastoratorやPhotoshopなどのソフトウエアなども現在ではサブスクリプションで提供されるようになっています。ソフトウエアのライセンスは以前であればシリアルキーなどを提供して付与されることが多かった印象ですが、ここのところ多くの企業がすっかりサブスクリプションへ移行しています。

またサービスやソフトウェアに止まらず、最近では洋服や車などでもサブスクリプションが登場しています。また飲食店で導入する店舗もあります。

ECとの組み合わせでは食品のサブスクリプションもより盛んになってきました。特に日本では四季それぞれで違う作物が収穫できたりする側面があります。サブスクリプションでは普段買わないようなものもお試しでその季節の旬のものが配送されてきたり、セレクトされた食品加工物が届くようなサービスも人気です。

こうしたサービスは新しい商品の紹介にもつながるため、インターネットが活用される前の通販でも非常に機能的なサービスでしたが、よりECがこうしたサービスとユーザーとの距離を縮めました。

インターネットを通したこうしたサブスクリプションの普及の結果、サブスクという略称も登場し、その略称で呼ばれることはもはや一般的です。

サブスクリプションを導入することは、事業者に大きなメリットがあります。それは定期的に収入につながることで、売り上げが安定するからです。

ECサイトと関係の深いASPカートもサービスの提供スタイルはサブスクです。感覚としてはレンタルやリースに近いものもありますが、サブスクリプションの方が言葉として内包するスタイルの適応範囲は広いです。

サブスクリプションは、英語の語源としては予約購入や定期購入といった意味合いがあります。

サブスク自体は昔からさるサービス

サブスクリプション自体は以前から世の中にあったサービスです。例えば新聞は古くからあるサブスクリプションです。つまり月額を支払うと毎日配達してくれるというものですが、これもサブスクの一形態です。

他にも共同農園や遊園地の年間パスポートなど、実は以前からサブスクは身近にあります。サブスクというと新しいもののように聞こえますが、こうして振り返ると実際には結構身近に発見できるでしょう。

ですが、こうしたサブスクの認知と概念を広げ、実際に普及を加速させているものがあります。サブスク躍進の背景にあるのはシェアリングエコノミーと呼ばれる考え方とインターネット、つまりECの存在です。

背景にあるシェアリングエコノミーとEC

シェアリングエコノミーとは所有せずに、必要な時に必要な人が使う「共有」をベースにした経済観念です。所有すること自体は実際には場所を取り、コストがかかります。また「現代はモノにあふれている」ということはよく言われています。

その結果、日本では生活に必要なものの多くはすでにほとんどの人が持っています。さらに消費者の心理としてはどこかに「もうこれ以上、物質的なものは必要ない」という思いも芽生えています。

こうした時代背景により、消費の傾向が「所有から体験に移ってきている」とも言われています。また、都会でのくらしは物理的に所有するスペースが無くなってきているのも問題です。

そこで車などはサブスクリプションを利用すれば、購入するよりも一時的には割安で済みます。メンテナンスなどの管理やモデルチェンジにも気を使わなくても済みます。「必要な時に必要な時間だけ使う」という考え方です。

しかし、実際に必要なタイミングにどこに使われていないものがあるのか、どのタイミングで借りられるのかを調整する手段はありませんでした。そこにはマッチングが必要だからです。

これをインターネットは可能にしました。サブスクの利便性を高め、実現させた背景には確実にインターネットがあります。インターネットの存在はサービスの提供者と利用者をつなげることを容易にしました。登録や決済、認証がオンラインで可能になり、ユーザーのデータベースも構築しやすいECサイトのシステムはサブスクリプションの発展に欠かせない存在だったのです。

その結果、シェアハウスやシェアカーなどが一般化していきます。今や衣料品にもサブスクリプションサービスが存在しています。

また、こうした所有しない生活感は「ミニマリスト」という社会現象を生むようにまでなりました。そうした所有しない生き方はサブスクリプションのサービスとしての発達を後押ししています。

サブスクは全てのビジネスに応用可能

サブスクリプションの考え方は「シェア」ということだけではなく、定期購入や期限つきの権利なども含めて幅広く応用できます。また実際に導入して成功している例もあります。

ECはリピーターをつかむことが重要です。また購入する側としても定期的に購入するものであれば、サブスクリプションを使うことは利便性につながる場合は少なくありません。ですんで活用を模索することはECにとってプラスになることがわかります。

ECサイトではAmazonなどが積極的に定期購入を取り入れるようになってから、かなりの時間が経ちました。定期購入をもし自社サイトのシステムとして導入したいというなら、それに対応するASPカートを選択するか、あるいはパッケージやクラウドECなどで対応する必要があります。最近では定期購入を導入しやすいことを売りにしているASPやパッケージもあります。

サービスの方法を決めたら、それに合わせてサイトを構築する必要もあります。ですので実際に導入するのにはいくつかのハードルがあります。しかし、サービスを提供する事業者、ユーザー双方にメリットがあることを考えると、この流れは拡大していく可能性の方が高くあります。ですので各業界では、いかにライバル企業より先乗りして、ユーザーに対してサブスクリプションでの利用をシステムとして普及させるかという点にも注目が集まっています。

いずれにしてもサブスクリプションを導入しやすいECプラットフォームを選んでおくことは最初の構築方法の選択時にも考慮すべきポイントになってきました。

事業者のメリット

もちろんサブスクリプションの対象になる商材によって事業者やユーザーのメリットは変わる部分はあります。しかし、概ね共通したものがあります。

事業者側のメリットとしては

  • 定期的な収入となり毎月の収入が安定する
  • 利用金額が明確なので新規顧客の利用へのハードルを下げることができる
  • 顧客の利用頻度が上がり、情報収集の上昇や結びつきの強化を期待できる
  • 新たな商品やサービスを実際に体験してもらうことができる

他にもネット上のサービスであればユーザーの行動記録などの情報を集めることができます。そのデータを活用して新たな商品開発に利用することも可能になります。こうした情報は根本的にはサイトの改変などにももちろん使うことができる情報となるでしょう。分析する材料を増やすことは施策の精度を高くします。

また会員が増えてサービスが普及していけばECサイトをプラットフォームとして開放することで、同業他社を巻き込んで利用料を徴収するなど、ただ販売するだけでない収益形態をもったビジネスモデルなども考えられます。

一方で、商品価値を著しく下げてしまうという可能性もあります。音楽CDなどがそれにあたります。ただし、この話題はそもそも若い世代ではすでにCDプレイヤーを持たない層が大半でしたので、微妙なところです。

必ずしも完全に固定した内容のものをパッケージにする必要はありません。届ける内容を毎月変更するようなサブスクリプションでは、普段は手に取らないような商品をユーザーに体験してもらうことでよいプレゼンテーションの場になることもあります。

ユーザーのメリット

ユーザーとしてもサブスクリプションにはメリットが少なくありません。サブスクリプションでおサービスを導入し成功させるにはこの「ユーザーのメリット」をいかに組み込み、お得感を打ち出せるかにかかっているといえます。

主なサブスクリプションのメリットは以下のようなものです。

  • 必要がなくなれば返却できる
  • 高額な商品や購入を迷う商品を一時的に使ってみることができる
  • 料金は定額でわかりやすい
  • いろんなものを定額の範囲で体験できる

ユーザーの立場としてはそれぞれの持つ価値観によってメリットを感じるケースが出てきます。例えば「所有はしたくない」という人がいます。そうした人にとって所有の必要がないサブスクリプションは大きなメリットです。ただし使用頻度の高いもので消費されないようなものの場合は購入したほうが経済的なケースもあり、そのあたりを慎重に考えるユーザーも少なくありません。

定期購入は生活必需品で消費の激しいものであればいちいち購入する手間が省けるということもメリットとなります。購入に割く手間を省きたいというニーズを満たすことができます。

デメリットとしては先述のとおり、長期間利用していると購入できる金額まで支払い金額が積み上がる可能性があることがまずあります。また、実際に使わなくても課金されるので使用頻度の低いものの場合は使っていないのに料金だけ支払っている状態になることもあります。

それぞれ、こうしたメリットとデメリットを考慮した上でさらに自分たちならどんなメリットを上乗せできるのか考えることに成功への道は隠されているわけです。

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サブスクリプションのビジネスモデルの実用例

ECへのサブスク導入を検討する前に、自社で扱う商品がどういった形でサブスクリプションで提供可能なのかを考える必要があります。すでに他企業で実践されているアイディアを知ることで、無理だと思っていたことであっても実現の可能性が大きいことに気づくことも少なくありません。

サービスをある一定の期間利用し続けるといった無形のもの以外のものを中心に分類してそのモデルごとに説明します。

定期購入スタイル

サブスクリプションの定番の一つといえます。洗剤や歯磨き粉、コスメなどは誰もが必ず生活の中で消費し、定期的に購入します。身の回りにはそういったものも少なくありません。定期購入を導入することで、ユーザーは在庫切れを心配せずに生活できます。

この定期購入型は生活に関わる消費材を販売しているECサイトに向いているスタイルです。ECサイト側も、現状の商品ページにプラスアルファのapiなどの導入をすることで実現できる場合も少なくありません。システム的にも状況によっては負荷が小さく、導入のハードルは低いのも特徴です。

シェアリングエコノミー型

共有が可能なタイプの商品を扱っている場合には一考の予知があります。共有できると考えるハードルを事業者とユーザーが両方ともいかに下げられるかもポイントですが、実際には多くのものがサブスクリプションの対象になっています。

このモデルでの商品は、多くの場合、すぐには壊れないけれど、一定期間で使わなくなったり、常に使用しないものが対象になることが多いです。

車やシェアハウスなどは代表例といえます。どちらも今やかなり一般的になってきましたが他にもいくつかあります。

シーズンごとに変わる衣服や、子供の成長に合わせて使わなくなるベビー用品などに需要があります。

実際にファッション系の業界では特に導入に対して検討が進んでいます。どういった商品であっても、顧客を囲い込み、販売ラインと合わせて事業として組み立てるということも考慮できます。

リテンションマーケティング型

扱っている商品を定期的に時期に合わせてセレクトして届ける方法です。実際にフラワーショップなどでは店舗の植栽を定期的に入れ替える業務を請け負っていたりしますが、それをイメージするとわかり安いかもしれません。

他にも酒店などで今月のオススメのお酒を定期的に届けるサービスやオーガニックの食料品店などで旬の野菜や魚を届けるサービスをしているなどの例もあります。

最も応用範囲の広いサブスクリプションといえます。ユーザーのシチュエーションをデータベースで把握し、適切なタイミングで届けることができれば強烈なイメージを与えることができます。また、あまり知られていない優良な商品を宣伝できる可能性もあります。

一方でセレクトして届ける商品にはセンスを問われます。そのセンス自体も一つのブランディングになる可能性も秘めています。そのため専門性を発揮しブランドのイメージを高めるチャンスとも考えられます。

アイディアとしては、毎月ではなく、年間契約で、イベントごとに合わせてパッケージした商品を送るといったものも考慮できます。商品だけでなく、配送時期のバリエーションもいろいろと考えることが可能です。

また、あまり普及していないものの場合は細やかなガイダンスを加えることで、ユーザーに新たな体験をしてもらうこともできます。しっかりとしたサポートを演出することもできるため、その効果は大きなものになるでしょう。

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サブスクを取り入れて新たなUXをユーザーに提供する

サブスクリプションには新たな販売者とユーザーの関係性が隠れています。今はどういったユーザーエクスペリエンス、つまり購入体験を与えるかが重要視されていますが、その一つの回答としてサブスクリプションが注目されています。どういったスタイルも、時間に追われているユーザーに利便性をもたらしたり、新たな商品との出会いを演出したりすることができます。

ECサイト運営者としては、どういったUXを演出できるのかサブスクを通して考えてみてもいいかもしれません。

【参考】ECサイトをよくしたいならUIについて考えよう

また、こうした仕組みを盛り込んだサイトにするには、それなりに変更が必要な場面もあります。流行云々ではなく、めざすべきイメージや仕組みがあるのであれば、そうしたブランドのフレームワークについても理解のあるサイト制作会社などにフォローしてもらうほうが、導入は効率的です。また、新たな提案が出てきて、より容易にゴールに近づける可能性があります。

もちろん、ECプラットフォームとしてサブスクリプションを柔軟に活かせる環境をもっていなければいけません。例えばかいなで提供しているECパッケージであるtri-coはこうしたUI/UXに関わることにもフォーカスしているので要望に柔軟に応える構築をすることが可能です。ぜひ検討してみてください。

【参考】共創型ECプラットフォーム『tri-co』

まとめ

サブスクリプションはブランドとユーザーを強固に結びつける存在です。定期的なつながりを示すことは定期的な収入以上に大きな力と言っていいでしょう。

また、ユーザーのメリットの項目でも解説していますが、自分たちが行っているビジネスの中でどういったことをサブスクリプションにするとユーザーの助けになるのかということを考えてみることで、自らの持つ価値を改めて知ることができます。そしてECサイトの存在は確実にその価値を広げ支えることに力を発揮する存在になります。

この記事をきっかけに自分たちができるサブスクリプションを考えてみてくれたら嬉しいです。

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