SDGsをマーケティングに取り入れるコツは未来志向にあり

SDGsに関するPRが加熱しています。また「ビジネスになる」と躍起になるコンサルも増えています。しかし、基本的にはビジネスに環境や人権などを付加して考えることがSDGsの取り組みとして求められています。マーケティング的な戦略展開を考える企業はそうしたことを意識しなければいけません。そしてもう一つ重要なのが、未来志向での取り組みです。豊かな社会を持続するために今ビジネスはどう役立てるのかが問われています。

マーケティングとSDGsの微妙な関係

マーケティングは商品やサービスをより広く、大きく売って利益をあげるために活用されるものです。その中では、多くたくさん、高く売れることがある意味では正義ということになります。そのため、マーケティングはビジネスを潤滑にし、利益を多くもたらすことを求められ、マーケティングを進める専門家であるマーケッターたちはそれを目指しています。

どのようにしていくとより売れるのか、どういったターゲットを狙うと売れるのか、といったことを考えていきます。市場を分析し、いかに商品を落とし込むかといったことがそこに連携し、PRやプロモーションが展開されていきます。そうした戦略の一つとしてブランディングもあるわけです。

一方、SDGsはどうでしょうか。「持続可能な開発目標」と和訳されるSDGsですが必ずしも大量販売や大量消費は推奨されません。国連の提唱により世界的な取り組みとなっているSDGsは場合によってはそれを否定することさえ少なくありません。例えばフードロスなどの問題を考えてみてください。ビジネス的には大量に仕入れて仕入れ値を下げ、利益を出すということは当たり前に行われてきました。

しかし、こうした商習慣が問題視されています。これは雇用の問題などでも同様です。SDGsのテーマはビジネスの向上ではなく、恒常的な生存環境の維持を実現するところにあります。そして、そうした世界を実現するためには生活者だけでなく企業家など経営に関わる人も含めて取り組まなければ絵に書いた餅になってしまいます。

実際、環境に関わる世界的な合意や宣言などは何度も行われてきましたが、うまく行った例はありません。地球の環境は20世紀以降、疲弊し続けてきたといっても過言ではないでしょう。その背景の一つに人間の消費行動があるのも事実です。そして、その商習慣や考え方を変えないことには、破壊の加速度を緩め、方向転換することは難しいといえます。

そこに対して歯止めをかけようというのがSDGsのポイントです。企業も巻き込んだ動きにすることでそこにアプローチしていこうというものです。

ビジネスの哲学とSDGs

ビジネスマナーに対してマーケティングは中立の立場にいると考えられますが、それでも、戦略として販売数が伸びるというのであれば、必ずしも環境などにやさしいものではなかったのが今までのマーケティングです。市場動向だけでなく、市場開拓なども含めて、「売れれば正義」という観点で展開する企業も少なからず存在するのが現状です。

それでも、イニシアチブを持つユーザー層の嗜好が変わっていけば、マーケティングも変化していく必要が出てきます。そして、そうした方向性にSDGsは影響を与えるようになってきました。

また、一方でSDGs自体が産業を形成する流れもあります。たとえばエコ関連事業などです。その伸び率は右肩あがりと言われています。他にもシェア型のサブスクリプションビジネスなどが伸びている背景にもSDGsが醸成してきたムードが確実に影響しています。

市場を維持するという考え方もビジネスには必要になってきました。従業員からの賃金を搾り続けると結果的に消費者の財布の紐が硬くなります。この状況についてはこの30年の日本の状況がよく体現しています。日本の多くの企業は労働力を人件費として単純にコストと考えてきました。そうした結果、さまざまな問題がおこっています。市場は硬直し、産業だけでなく人口分布なども破壊してしまいました。

結局貧困に対して対応していくということも市場の維持には一定の効果があるということになります。こうして考えるとビジネスに対する哲学が時代として変換の必要性に迫られているという言い方もできるかもしれません。

SDGsは企業にとって即効性はない

SDGsをビジネスチャンスと煽る向きもあります。しかし、実際にはビジネスチャンスというより、まずは「取り組むべき課題」と考えたほうがいいでしょう。

SDGsに取り組むことによるビジネスの向上効果という面で考えた場合、「取り組まないと選択されにくくなる」といったものです。

また、BtoBであっても取引先から敬遠されるといったことも起きてくる可能性があります。多くの企業がSDGsに向けて取り組んでいく流れの中で、もし取り組みをしないという場合は、そういったネガティブなことが発生する可能性については考えておくべきです。

一方でポジティブな面としてはブランド力の強化があります。環境の維持に対しては多くの人の関心が高まっているので、一方でそうしたことに積極的な企業やブランドがユーザーから指示を得られやすくなっています。

こうしたブランディングとしてのSDGsの効果は軽視できません。しかし、ブランディングの効果は即効性がありません。そのため、ビジネス効果の即効性を期待して実施すると変な方向へ転がっていってしまうこともあります。

たとえば名ばかりのSDGsと後指をさされる「SDGsウォッシュ」などになるのはこうしたことが背景にある可能性があります。急いで結果を求めてしまった結果、中身のないことをしてしまうのです。

一方で、いままでの環境運動と違い、しっかり取り組むことで露出するチャネルが多いのもSDGsの強みです。報告などを毎年行い、精査するというシステムがあるので成果があれば、それを世間に出していくことで、評価してもらえるからです。

即効性に期待しなくとも長期スパンで考えると取り組みの意義と意味、そして成果は確実に感じられるものとなるはずです。

New call-to-action

ユーザーの嗜好はSDGsへ傾きつつあることを意識しよう

一つ重要なことは世の中の動向が環境維持、保護の方向に傾いていることです。また、人権などについての関心も非常に高くなりました。こうした状況においてブランディングやビジネスのアップデート以前に、関心のない企業はどうなっていくかということも考えるべき状況になることが近づいています。そして、こうした取り組みは早い段階で参加したほうがより容易でアドバンテージも多いということは自明です。

いっぽうで、実際に会社の方針全体でSDGsに限らず、企業の理念を転換させる企業も増えてきました。また、こうした転換は大手でも顕著です。日本国内企業のSDGsを牽引するトヨタなどはもちろんですが、方向性をいかにかえるかを多くの企業が模索する時期に入ってきました。

また、こうした流れについて中小企業は「大手だからできる」と傍観を決め込んでいるケースもあります。しかし、実際には中小企業ほど未整備の部分が少なくないことを考えると、取り組みをすることで社内環境の転換が早く完了しSDGsに順応しやすいのは中小企業ということになります。

また、ベンチャーではSDGsを大いに意識した企業家たちの中では上昇気流にのるケースも増えてきました。つまり、傾きは今、SDGsへ向いているということはしっかり認識しなければいけません。

未来志向で考えると確実にマーケティングの潮流は単純な利益追求から持続可能な社会の構築へと切り替わっています。

New call-to-action

PAGE TOP
メールで
お問合せ
ZOOMで
無料相談
お役立ち
資料DL

ブランディング会社がつくった
共創ECプラットフォーム