WEB接客とは?実際の店舗とは違った視点でUI/UXを高める方法
2023.03.28
接客のよいお店はそれだけで、集客力が上がり、常連もつきやすいものです。
WEBでも最近は接客をすることでより客単価を向上させ、リピートを増やしたり、実際に購入する機会を高めることが可能であるということがわかっています。ここではWEB接客を中心にWEB接客ツールについて解説します。
CONTENS
WEBでもできる”接客”
接客といえば対面で行う実店舗のものを想像する人が大半です。来店したお客様に対して、声がけをし要望を引き出して行ったり、様子やアクションに合わせて対応していくというのが一般的な接客に対するイメージだと思います。
WEBサイトが登場し普及し始めたのが1990年代の半ばのことです。当時、WEBでの接客について語られることはあってもなかなかその普及やマインドセットが進んでこなかった実情があります。
その後、この15年で様々な進化を遂げてきたWEB技術がWEBでの接客を少しずつ実現してきています。
WEBでの接客を行うためのツールやサービスも増えてきました。ECサイトのようにWEBで直接販売する目的を持ったサイト以外でもこうしたツールを取り入れることで、サイトがその役割を果たすこと(コンバージョン)に貢献していくことが可能になっています。
またECでは客単価を向上させたり、購入顧客が再び購入するリピーター化なども狙うことができます。WEB接客を用いることはいわゆるロイヤルカスタマー化にも直結しています。
ロイヤルカスタマー化が重要視される中で、こうしたWEB接客ツールの戸運輸やWEB接客施策の重要性は今後さらに高くなっていくことが予測されます。
対面と同じこと、違うこと
とはいえ、WEB接客は対面での接客と同じものではありません。WEBという媒体の性質上、どんなユーザーがサイトに訪れているのかということを視覚的に捉えることは不可能ですし、その様子を見て何かを判断することはできません。
ですが、どういったページを閲覧しているのか、どのような時間帯にきているのかといった情報は取得することが可能です。つまり、WEBだからできないことがあり、また、それと同時にWEBだからできること、可能なこともあります。
WEB接客を考える上で必要なのは「接客」という言葉を考え直すことにあります。対面での接客について掘り下げて、技術的にトレースできること、あるいは近いこと、WEBだからできること、またWEBにはできないことなどを考えてみる必要があります。
WEBでの接客はリアルな対面との接客とは違うと認識することで施策や機能の使い方の概念は変わってくるはずです。
そのためにWEBとリアルでの違いを接客視点でまず洗い出してみましょう。
WEBと比較した場合のリアルタイムな現場での接客の特徴は
- 雰囲気を視覚的に察することができる
- タイムラグのないコミュニケーション
- 来店前の行動や相手のプロフィールは聞くまでわからない
- 行動の目的や真意は隠されている
などたくさんのことがあがってきます。こうしたことはメリットにもデメリットにもなります。例えば視覚的な部分で判断して対応する場合、接客する担当者によって捉え方がかわることは少なくありません。
また、対応に時間がとられてしまうことで取りこぼすことも少なくないのも事実です。
逆に当意即妙で対応できれば、より信頼感を高め、そのやりとりに面白みを感じてもらったりすることでロイヤルカスタマー化が急速に進んでいく場合も少なくありません。サービスに対するスピード感など、ユーザーが求める答えに近づくことは少なからずあります。
もちろん、こうしたことは属人性が高くなるケースはありますが、ユーザーに残すインパクトという面では非常に大きなものがあります。
ではWEBではこれがどうなるのかを考えてみるとどうでしょうか。
- いつ訪問するかはユーザー次第
- 気兼ねせず情報や商品のページに触れることができる
- そのページにある情報以上のものは受け取れない、あるいは時間がかかる
- 視覚的に対応することはできない
- サイト内の行動は記録される
こうした違いがあります。
人間は視覚から受ける情報による影響力が非常に大きく、接客に関してWEBがデメリットと思われていることの多くはこの接客相手がお互いに見えないという部分に関わるものが大半です。しかし、一方で視覚に囚われないことでユーザーはより大胆に行動することができます。
欲しいものを率直に手に入れようとします。逆に興味のないものにはアクセスしません。インターネットでの行動はより能動的なものです。ユーザーは欲しいと思うものに対してより積極的に行動を起こします。
実店舗の購入行動でも販売力のある営業マンや販売員は「欲しいと思ってお店に来ている」と口を揃えて言います。もちろんそのユーザーが買うか買わないかはその時のそれぞれの経済的な状況も影響していますが、誰もが商品やサービスを求めて来店しているというものです。
これはWEBでも共通しています。関心があるからそのWEBサイトに来訪します。WEBでの行動は基本的に能動的なものです。そしてその上で原則としてもっている心理は同じでも、行動は少し違うことを認識しておく必要があります。
WEBではユーザーを誘導することに対して、もっと行動学的な要素を取り入れる必要があり、また、一方で性急に答えを求めない姿勢も必要です。
その時、買う気がなくても気軽にページを見ることができるのもWEBのメリットであることを忘れないことです。また、表示が出てくることは、店員さんに声がけされるほどにはインパクトがないということも覚えておく必要があります。
フォローアップはWEBが得意な領域
現実として接客は来店したお客様へのその時の対応がすべてではありません。顧客予備軍や一度購入したお客様へのアプローチは、実はECが得意な領域です。
そしてここにアプローチしないことは非常にもったいないことです。
実際の店舗であれば購入顧客を会員化することはなかなか手間がかかります。会員カードを発行するにしても実際にコストはECより発生しますが、普及率はそれほど高くすることができないケースも少なくありません。
これに対してWEBであればこうしたことはスムーズに行えます。また購入履歴なども簡単に負うことができます。場合によってはデータを睨み合わせる必要もなく、関連のある商品を推薦したり、ライフイベントのシーズンに合わせてアプローチしていくといったことが可能です。
WEBではつながりを作ることでそれを時間をかけてより強固にしていくという観点からWEB接客を考えることで、来店してリアルタイムに対応していく方向とは異なる”接客”を展開していくことが重要です。
最近は即効性が求められる部分が強くなっています。ECはどこにいても、いつでもアクセスできる環境ですので、一見、即効性ん高いビジネススタイルに見えます。しかし、実際にはそうではないという認識に立ち、じっくりと生涯客単価をあげていくことに向いているのです。
テクノロジーがWEBでの接客を変えている
WEB接客で重要となるのはでーたの収集と活用です。そのため、その肝となるのがCRM(カスタマーリレーションマネージメント:顧客関係管理)です。
CRMのシステムはそれだけで独立したものも存在しますし、ECサイトの多くのプラットフォームが基本的なものを機能として持っている場合も少なくありません。実際にはECでは購入したり、メールマガジン購読など、WEB上でコンバージョンに達したユーザーの情報が集めやすい仕組みになっていますが、それ以外の方法で接触をもったユーザーもふくめて管理できるシステムが理想的です。
購入したタイミングや商品の傾向、問い合わせの内容などを傾向に合わせてユーザーを分類していくことで、効率のよいレコメンドや、アフターサービス、アプローチなどが可能になっていきます。
購入顧客に対するアフターアプローチ自体は対面型ビジネスでも有効です。ホテルや旅館などではこうしたサポートをすることで定期的な来訪を掴むビジネスアプローチが一般的だったりしますし、季節性の高い商材などでもDMで訴求するということは以前から行われてきました。
そうした作業はCRMを活用したメールマーケティングが得意な領域です。しかもあまりコストをかけずに実施できるというメリットもあります。
直接的なWEB接客
その時来訪したユーザーに対してアプローチをしていく方法もあります。代表的なものとしてはオートレコメンドです。レコメンド自体は皆さんみたことがあると思います。
関連商品を紹介したり、同時購入の多い商品を自動的に推薦するシステムです。仕組みとしては閲覧中、あるいは購入しようとしている商品に紐づいて推薦するパターンと、閲覧履歴から分析して推薦するタイプです。これらはどちらもデータの量がレコメンドの精度を上げるため、ECが大型化してくほど精度がよくなっていきます。
アイテム数の少ないECの場合はあまり効果的ではないケースも少なくありません。
また、カートに商品を入れて決済を忘れているユーザーに対してリマインドをする機能も最近は人気があります。この機能の導入で実際にカゴ落ちを減らしているECサイトも少なくありません。こうしたユーザーの利用を補助する機能の追加はお互いにメリットがあり、ユーザーへのアクションや精神的な負担も少ないものです。
リアルタイムな接客へ近づける機能
同時間的に対応するツールも普及してきています。チャット対応機能やリモートで相談できる機能です。特にECに関してはチャットの普及については目覚ましいものがあります。
おおくのECでは電話対応の窓口が用意されています。しかし、電話対応には一つの問い合わせに対して1人の対応者が必要になり、人員的には決して効率的なものではありませんでした。IVRなどで問い合わせを分類することも可能でしたが、どうしても効率的ではありません。またオペレータのための研修やマニュアル作成も課題になります。
大手企業であればそうしたサポートに予算を組み、顧客満足度を向上させることも可能ですが、多くの企業がそうではないのが実情です。
チャットではボットを活用することで初期の問い合わせの分類だけでなく顧客の特定までを行うことが可能です。もちろん途中で対人に変更することができるなど、フレキシブルな対応をすることもできるため、安心感を高めながら、案件の特定、効率化などを導入することが可能になっています。
カスタマイズして購入する商品であったり、BtoBではぜひ導入しておきたい機能です。
また、最近ではBtoC向けにLineの活用も盛んになってきています。Lineはチャットのようなユーザーサポートを行うだけでなく、積極的なプロモーションにも活用可能です。ただし、利用頻度の多いアプリなのであまり頻繁にこちらからアクションを起こすとユーザーから離脱されるというケースもあり、今は過渡期にあるマーケティング方法といえるでしょう。
まとめ
ここ数年で急速にWEB接客の精度や効果があがっているのは事実です。この20年はインターネットテクノロジーに多くの人が触れ合う出会いの期間から、使いこなし、生活に密着する期間へと変化しました。
その結果、接客へのスタンスや、そうしたマーケティングへのか関わり方が実施する側だけでなく、その施策を受けとるユーザーの側でも変化してきています。
WEBやECに対して、もっといえばそれぞれのブランドに対してユーザーが何を求めているのか、そこを掘り下げて接客のためのツールを導入することこそが重要になってきています。