ブランディングの意味の基本理解と用語を解説
2021.10.15

ブランディングという言葉の普及とともに実施について興味を持つ人が増えてきました。しかしながら、今一つ捉えきれず、うまく行かないというパターンは少なくありません。ここで一度基本に返ってその概念の背景などを解説します。
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ブランディングの言葉の意味
この15年、マーケティングをする上で重要視されている事柄の一つに「口コミ」があります。一人一人の口から広がっていくことは、以前であれば局所的な動きに過ぎませんでしたが今は違います。2010年代はブログ、その次にSNSを背景に個人がメディアとして機能するようになってきました。
そこでブランディングが改めて注目されるようになってきました。ブランディングは、特定の商品やサービス、企業、場合によっては個人などのネームバリューを高めると同時にその価値をユーザーの中で高いものにしていくための行為です。
単純に口コミで広がるだけでなく、それが「より良いもの」として広がっていくほうが口コミの効果が高くなります。
参考の記事も読んでいただき、まずは軽く理解してもらうことが重要かと思います。
【参考】「ブランディング」と「マーケティング」の違いを一から解説する
多くの場合、マーケティングは戦略的に市場を分析し、市場のニーズを広い集めるという視点で考えられます。ブランディングはむしろ、自発的に価値を高めて市場を作り出していく行為ということが言えます。
特定のブランドをわかりやすく、それが必要な人にプレゼンテーションしていくことがブランディングの一歩となります。また、販売しただけでは終わらず、そのブランドを使用している最中にも十分に価値を感じてもらう、終わった後もそのフィードバックの中で価値を感じてもらうことで、特別感を大きくしていく行為がブランディングといえます。
「ブランディングには終わりがない」とよくいわれます。それはこうした部分にあります。ユーザーの体験を考える場面では常にどうするとブランディングが進んでいくのかを考える必要があります。
もっと概念的な話でいえば、「よりよく仕組みをしってもらい、より理解してもらうこと」がブランディングであるという言い方もできます。
つまりブランドは仕組みのことであり、デザインとはその仕組みを作る行為ということがいえます。
ブランディングとラベリングはよく似ている
ブランディングはブランドをどういったものか知ってもらう行為の全般を指します。そのため、そのブランドがどういった特徴があり、どんな質感のものであるかを理解してもらう作業を行なっていきます。
ユーザー側の視点で立った場合、似たようなブランドが並んでいる場合、それを分類わけするラベリングという行為が行われることがあります。これは意識するか無意識かにかかわらず、並列に何かを選択する場合は必ず行われていると言ってもいいでしょう。
つまり「Aという商品にはこうしたデメリットがあり、こうしたメリットがある。Bには〜」という行為がラベリングです。
ラベリングはよい評価をしている場合もあれば悪い評価を与えている場合もあります。そして、このラベリング時にいかに良い評価をしてもらうかということがブランディングの一つとも言えます。
ただし、ブランディングは相対評価の中にいるものではありません。つまり、ブランディングとして、「〜〜よりも良い」ということは目指しません。もっと、絶対評価的なところを目指します。
本来、「〜が好き」という場合、「〜より好き」というものは比較された評価に感じます。しかし、実際にはこうしたものは絶対評価の中にある場合がほとんどです。
そのため、ブランディングとは良いものにラベリングされることに意義的には近いものではあります。しかし、実際にはその評価の枠組みからいかに抜け出して絶対的なものになるのかが重要です。一対他から、一対一を目指す行為ということなのです。
ブランディングで出てくる用語解説
前項で解説したのは「ブランディングは絶対評価を作る作業」という説明をしました。このブランディングのポイントは対象が全世界の誰に対してというものではないこともポイントです。
その最大公約数といえる対象は「そのブランドを必要とするすべての人」です。ブランディングで狙う最大値はこの対象ということになりますが、それはどういった人物なのか、しっかりと狙いを定めることで果実が実るということになります。
ブランディングで決定したターゲットを分析し、戦略的に広げていくことについてはマーケティングの領域へ話がつながっていきます。そこではマーケティングに関わる用語も登場してきます。
ブランディングの理解でマーケティングの話が出てくるのはそうした理由からです。ブランディングという作業を進行していくためにはマーケティングの要素を切り離すことが難しいのはこうした理由からです。
「ブランディングとは」の次は用語からブランディングの理解やプロセスを深めてもらえるように解説していきます。
ペルソナは人物像
マーケティングでの分析に関する話をすると必ず出てくる言葉の一つに「ペルソナ」という言葉があります。
ペルソナはもともと「仮面」を意味するラテン語です。ギリシャ劇などではマスクのような仮面をすっぽりとかぶって演じる劇があり、その激似使われた仮面が語源となっています。
そこから転じて、人物像全般を指す言葉として西洋圏で使われてきました。Parson(個人)を指す言葉の語源にもなっています。
ペルソナではターゲットとなる具体的な人物像を指す言葉です。実在するかしないかは実は関係がありません。そのため、このペルソナという言葉を当てられているとも言えます。
ブランディングではどういった人がユーザーとなるか、またはしたいのかをしっかりと分析し、それに合わせてデザインやストーリーを作り込んでいくことが重要です。作り込むためには標準をしっかりと絞る必要があるため、それに合わせてペルソナをしっかりと固定させて、さらにそのペルソナの背景や行動パターンを分析することで、しっかりとした戦略を落とし込めるようになってきます。
逆にこのペルソナを設定しない場合を想像してみてください。そのブランディングは一体どこに向けたものになるのかわかりません。ブランディングは「自分のアピールしたいものを理解してもらう行為」ともいえます。そのため独りよがりになってはうまくいかないのです。
対象の集団を意味するセグメント
ペルソナは一個人を掘り下げて考える方法です。演繹法的な考え方といえます。そしてそのペルソナが所属する集団がセグメントです。こういうった言い方をすると少しわかりずらくなります。同じような意味を持つ言葉がたくさんあり、グループでもクラスタでもよくなります。
むしろ考え方としてはセグメントの中にペルソナがいます。セグメントとは分類分けをしていった時のその分類の一塊りがセグメントということになります。
グループは何らかの意味を持ったひとつのまとまりを示す言葉です。また、クラスタは構造的な部分で連なる中の一つの集団を意味します。
セグメントはあくまで分類分けの中に同じ傾向をもった人たちということです。そのためセグメントの中にいる人物やものそれ同士につながりがあるかないかは不明であり、そこを問う必要はありません。一方でクラスタやグループはなんらかのつながりで括った集団ということになります。
かなり数学的な考え方ですが、理解するとブランディングの時にあえて他の言葉ではなく、セグメントという言葉を使う必要性がわかります。セグメントの中での指向性の共通項を探ってアプローチするとブランディング効果の高い施策を打つことができます。
タイプで分けるブランディング
ブランディングの対象によってブランディングの呼び方が変わることがあります。
- アウターブランディング
- インナーブランディング
- パーソナルブランディング
などです。数えていくとキリがありません。他にも要素ブランディング、パーパスブランディングなどがあります。
これはブランディングをどこにむけて行うか、または何をブランディングしていくのかということでこう呼ばれているわけです。
こうした言い方があるのは、それぞれの対象や目的によって手法が変わってくるからに他ありません。それだけブランディングも細分化されてきているということが言えます。
ブランディング自体はとても概念的な行為です。しかし、作業として実施していく場合、いかにロジカルに考えるかが重要です。