デジタル人材の育成は社内業務の中で〜研修だけでは達成できない
2020.12.29
デジタル人材の育成はデジタルトランスフォーメーション(DX)推進にとっても非常に重要な部分です。
しかし、重要と理解されながら、実際にはより具体的な取組み方法についてはそれぞれの企業内で暗中模索といったケースが少なくありません。その結果、なかなかDX推進にも本格的に取り組めないといったパラドックスに陥る企業も少なくありません。
ここではそうはならないよう、デジタル人材のなかでも特にその育成をテーマに解説します。
CONTENS
それぞれの企業によってニーズが変わるデジタル人材
デジタルトランスフォーメーション(DX)の導入はまったなしの状況になってきました。時代の変化に合わせて、その推進に向けてデジタル人材の育成も急務の状況といえます。
デジタル人材の定義について、詳しくはこちらの記事でフォローしております。参考リンクにある記事も合わせてご確認ください。
しかし、デジタル人材とはいっても何も経済産業省の白書にあるようなDX推進のスーパーエキスパートを育てるということが全ての企業の内部で求められているわけではありません。
もちろんトップメーカーなどの大企業であればAIの開発や、ビッグデータの活用をエネルギッシュに進めるような人材に対するニーズは高くあります。また、積極的にデータを収集し、デジタル環境を導入し、そうした情報を積極的に活用する気概がある企業であれば、経済産業省が今後不足するとしているような高度なIT技術に関連したノウハウを持った人材の必要性は高くなります。
外部から採用してそうした人材を中心に自社内の業務に対してITをどんどん導入し、新たなビジネスモデルを確率して変革を求めるということもあります。0スタートであればそうしたシナリオになります。
しかし、そうした問題以上に多くの企業はそもそもの社内全体のデジタル化に対して反応が鈍い状況を憂いているのではないでしょうか。このままではDXの環境を導入した後も、せっかく導入したデジタルプラットフォームは対応が可能な人材が不足することで活用されず、取り残されていく可能性も少なくありません。
実施をしたけれども、経営も含めて組織が全体として対応できず、変われないままというのであれば、それは失敗です。
人員不足などに対する効率化もあってのDXではありますが、活用できなければ、使えないシステムを社内に入れたにすぎません。DXの失敗事例を解説するサイトではそうした事例を解説しているパターンが少なくありません。
そのため、草の根レベルで、業務ニーズに合わせたデジタル人材の育成を進めていく必要性こそが多くの企業にとってのデジタル人材の面での課題です。また、経営者レベルだけでなく、社員それぞれ個人としても業務に真摯に向き合う人の中にはより具体的にデータの活用が可能な新たな環境に適応していきたいと考え、自らの能力を伸ばしたいと思っている人も少なくありません。
システムの導入意図を理解できれば多くの人はそれによって効率化されることが理解できます。その結果、サービスや営業力、マーケティングなどの分野でもレベル向上を期待でき、効率よく事業も推進されビジネスもより発展します。
そうしたdx化は、より現状の業務と紐付きながら行われる必要があります。
つまり、既存のシステムから脱却していくためにも、それぞれの業務を基礎の部分からアップデートするような形でデジタル人材化していく必要があるのです。
必要なスキルは業務内に取り入れてこそ
そこで問題になるのはどのように育成が行われるのかということです。どうやって成長と学びの場を創出し、デジタル人材化していくのかは全ての企業にとっても課題です。
新入社員での研修で考えてもわかるように、人材育成には時間がかかります。つまりその分のコストが発生することになります。それがデジタル人材の育成となると多くのケースでそのノウハウもない状態になることが少なくありません。それぞれの分野で相談ができるリーダー的な存在が少ないということも問題になります。
どういった役割の人が講師として育成にメインで関わって担当するべきなのかは難しい問題です。
例えば人材育成に関わる第三セクターなどが雇用保険などを財源にセミナーなどを開催しています。そうしたところでの研修やコンサルタントによる講座の受講でスキルが身につくのかといったことも問題になります。
また、デジタル人材化したい人材にとっても、座学を中心としたそうした育成システムで実現できるのかは不安があるはずです。「3コマだけ座学を受けたので私はデジタル人材です」ということになりません。こうしたことは多くの人が理解していることでしょう。
まず業務とスキルセットの一致が必要です。いきなりデータサイエンスを駆使しようにも現状の数値で測定できたことだけでは机上の話になりますし、分析するにもデータを将来的にどう活かすかは現状の状況としての環境などの要素を把握してこそです。机上の話を持ち込まれてもうまく機能しないのはそうした知識と実際の業務でのすり合わせがうまく行かないことによるミスマッチが背景にあります。
つまり、そのデータ自体はどういった意味合いをもって出てきたデータであるのかという読み方を理解するには、現状の分析が欠かせないということになります。その場合に、まだ数値化されていない情報も少なくないため、そうしたミスマッチが起こることになるというわけです。
また、業務外の時間を活用して行うことにも限界があります。そうなると最終的には個人のモチベーションに依存することになり、システムとして機能しないのは明白です。
こうした場面で重要なのは業務の中で、いかにデジタルスキルを実務から置き換えながら身に付けていけるかということです。
「理解と実践」、そして「スピード化の繰り返し」こそ、物事を身に付けるための最大のノウハウといえます。そうしたルーティンをスキルとして業務の中にいかに取り込むかが学習の課題です。
スキルセットについては以下の記事も参考にしてください。
人材育成に魔法なし〜遂行こそ近道
とはいえ人材育成にはどうしても時間がかかります。業務として活用できるようになるための知識と技術を取得することは一朝一夕では実現することは多くの場合簡単ではありません。例えば魔法の言葉を唱えるようにして、瞬く間にスキルが身につくことはありません。
つまり、欲しいスキルを持つ人の話を聞いた翌日から完璧にこなせるようなことはないわけです。結局は身に付ける人自身が実践して獲得していくことが重要です。もちろん、すでに習得している人から聞くことがきっかけで効率があがる可能性はありますがそれはあくまで補助的なものです。
業務の中でデジタル人材のスキルセットにある内容を生かして、遂行していくことが、結局は近道といえます。
確実にその手段で実践できるようになれば、その次はスピード化を図るといった形で課題をクリアしながら、スキルセットを身につけていくことが重要です。
人材育成もPDCAサイクルを回して取り組む
デジタル人材育成は、必要なスキルセットの選択が終われば、そのスキルの獲得に向けて実行していくという流れになります。その場合、そのまま直線的に育成に向けたラインが引かれるのではなく、必ずそのスキル獲得度を振り返りながら取り組んでいくことが重要です。業務の遂行と同じく、PDCAサイクルを回しながら、進行していくことで確実なデジタル人材化がなされていきます。
OKRの有効性
人材育成に関してはOKRによる目標設定と達成度の分析が有効とされています。OKRとは「object & Key Result」の略称です。
OKRの特徴は主に3つあると言われています。まず一つ目はレヴューの頻度が高いという点です。サイクルが短いため、修正も早く、結果的に効率的です。もう一つはOKRによる達成率を人事評価に加えないことです。これを守らないとレヴューがうまくいかずプロジェクトが変な方向へ進んでいくという自体も発生します。そして最後は全体の目標にむかって、それぞれが複数の中長期的な目標を持って取り組むことです。
OKRは企業としての目標、つまりOの部分に対し、何を達成するか、つまりKRを決め、そこへ合わせてチーム、さらに個人がOKRを設定していくという手法です。それぞれのメンターにレヴューを受けながら、状況を確認し進捗を個々人が追いかけていきます。
株式会社かいなでは、このOKRを導入した人材育成を推奨し、サポートできるプログラムを提供しています。それぞれの企業の実情に合わせたデジタル人材育成プランをOKRを活用して組み立てるサポートによって、より具体性の高い人材育成の支援が可能です。
DX推進と合わせて、導入したデジタルプラットフォームのさらなる可能性を最大限に活用するためにも、デジタル人材育成プログラムのコンサルティングをぜひご利用ください。社内での環境をさらにDX推進へ向けたソリューションを提供します。