ECサイトと契約書〜ECサイトはしっかりと法律を知り、遵守して運営しよう

2020.11.06

ECサイトでの売買の多くは契約書を実際に作成せずに成立させることができます。

売買の契約は双方の合意があれば実際には口約束でも取引は成立するため、取引の内容によっては書面での契約書は必要ありません。

それでも保険や業務の契約については、契約書をウエブ上であってもしっかりと表示して同意を得るといった場面もあります。

ここではECサイトにおける契約書の扱いなどについて解説します。

ECサイト運営でもコンプライアンスは重要

自社ECサイトにとって信頼性は生命線です。そのサイトでいくら低価格で商品を販売していたとしても信頼性の低いサイトでは、多くのユーザーが購入を控えます。

ビジネスの世界では、信頼を担保するために契約書を交わします。しかし実際のところ、取引は口約束でも成立し、売買契約には必ずしも契約書は必要なものではありません。

書面がなくても信頼されるためにはコンプライアンス(法令遵守)がより重要です。ECサイトでは「特定商取引に関する表示」というページが必ず必要です。ここには責任者の氏名や連絡先、住所などが記載されています。このページの設置は法令により義務付けられています。この表示は特定商取引法で義務付けられています。

しかし、最近では、こうした情報を偽って掲載しているフィッシングサイトのようなECサイトが増殖しています。実際のところ、正当にECサイトに関わる事業者や、利用するユーザー、そして検索エンジンなどは協力してこうしたサイトを排除していく必要があります。しかし、実際のところ、限界があるのも事実です。

そうした状況下で、しっかりとサイト運営を行い、販売する商品を世に出して、売上をあげて行きたいと考えるのであれば、まずはその第一歩となるコンプライアンスをしっかりすることです。

また、実際のところ、もしかすると購入者としては契約書などがしっかりとあり、責任の所在がはっきりしている方が購入しやすくなるのかもしれません。実際にそうした信頼性を高めるテキストの存在の一つに「利用規約」があります。

契約書に替わるECサイトの利用規約

利用規約はいわばユーザーとサイトの運営者との約束事です。ECサイトは一つのお店のようなものでもあります。

「お客様は神様」とよくいいますが、多くのお店は実際のところ、店内のルールについてユーザーに決定権はありません。よくテレビ番組などで少し偏屈な店長などがクローズアップされることがありますが、あれはそのお店のルール決定を店長が握っていることによるものです。

また、実際に事業者側には「営業の妨げになる」という理由でお客さんの入店を断る権利が法律的に認められています。もちろん断るには正当な理由が必要ですので、闇雲にその権利を振りかざすことはできません。また、その判断によってお客さんがこなくなるかもしれないというリスクもあります。しっかりとケースごとに判断する必要はあります。

一方、ECサイトでは、どういったユーザーも第一段階では受け入れることになります。扱う商品がサービスであるといった無形の場合には、こうした利用規約を定めておくことがサイトの運営を守ることにもつながります。

また、逆に利用規約でガチガチにサイトを守っていくとユーザーは息苦しくなり、利用を拒否するかもしれません。しっかりとお互いの利便性を高め、他のユーザーとの軋轢も生まないような利用規約を作っておくことが重要です。

こうした約束事がしっかりと提示され、双方納得のいくものになっていれば、ユーザーは安心してそのECサイトを利用できます。利用規約はサイトの運営を守るるものですが、問題になりそうな点と向き合い、境界線を曖昧に濁さずにしっかりとしたルールを提示することが信頼のおけるサービス体制にとってはとても重要なことです。

そうした点では、「特定商取引に関する表示」のページも、行政で義務付けているから掲示するということではなく、しっかりとそのECサイトのガイドラインとなるようなコンテンツとして明示することが重要です。

特に商品の破損や配送時のトラブルについては不安に思うユーザーは少なくありません。また、個人情報の取り扱いについてもしっかりと法律に準拠しながら、明確にしておくことが重要です。

個人情報については「プライバシーポリシー(個人情報保護方針)」として明示してその取り扱いを事前に知らせることを義務付ける国も増えており、それに習って国内のサイトでも事前了承を得るためのスクリプトを表示するサイトが増えてきました。

利用規約については以下の記事も参考にしてください。

【参考】ECサイトの利用規約はユーザーと運営を守るための約束事

実は印鑑は必要ないことも多い

こうしたガイドライン的ページですが、実際にユーザーに見て読んでもらわなければ効果はありません。ECサイトでは覚書や契約書などを直接交わせませんので、それをどう処理するかということが課題になってきます。

実際のところ、世の中全体も実際の契約書や印鑑の捺印がなければ、同意事項などは成立しないというわけでは無くなってきています。

最近はプライバシーポリシーの表示をサイト訪問時に表示するスクリプトで同意を得るということは前述しています。これと同様に商品の購入時に、必ず利用規約に同意を得るためのチェックボックスをクリックしてからでなければ、先に進めないような仕様にするといったことも可能です。

また、この同意事項は最近ではかなり一般的になってきました。

これによってコンバージョン率は残念ながら落ちるかもしれません。しかし、これは双方の権利と安全を守るためにも必要なものです。

実際に契約が必要な保険商品などはECでも扱われますが、捺印はなくても契約を成立させることができます。

一方、法律的な登記簿登録などが必要な土地や自動車など特定の資産に関わる売買では印鑑が必ず必要です。こうした権利の登録があり、譲渡を証明しなければいけないものの場合は印鑑証明なども必要になることがあります。しかし商取引でそこまで必要なものは今や少なく、印鑑が必要なものも少なくなってきました。

そのため、実際の契約書や、印鑑の有無などが必須のものは少ないといえるでしょう。

そうした状況であっても、契約後に契約書をしっかりと送付する事業者もいます。そうしたあり方もブランドの見え方に関係している部分があるといえます。また、税金の還付などに必要な書類は送付が必要です。

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内容が法律違反をしていれば契約は無効になる

一方で、「契約書さえあれば、どういったこともまかり通る」と考えている人もいるかもしれません。しかし、法に反するようなことは契約書の記載事項であったとしても、守らなくても良いと判断されるケースがあります。これは利用規約も同様です。

何より、違法な契約は評判を著しく貶めることになります。また、あまりに管理にばかり目が向き、ユーザーの快適さを無根拠に損なうことはECサイトにとってもプラスには働きません。

後出しで契約書を盾にするようなことも勧められません。一部の悪意ある通販事業者では、いまだにそうしたことを行って、不誠実な定期購入の契約を行う事例が後を立ちません。しかし、結果的にこのような行為がECを含む通販事業全体の評判を落とし、事業を成立させにくくしています。

その結果、自社だけでなく、ECサイト全般のブランディングをマイナスな方向に引っ張っていることも少なくありません。

こうした行為に対しては業界全体で考えていく必要があります。

契約書面と同様に利用規約は法律事務所などへ相談も

「餅は餅屋」という言葉があります。例えばECサイトの制作については弊社は専門ですが、法律は専門ではありません。

そのため、契約書や利用規約について扱う商品によっては法律の専門家に依頼して制作してもらった方がいい場合もあります。

ECやITに関わる法律の専門家はまだまだ少ないといわれていますが、そうしたことを優先して委託を受ける事務所もでてきました。

特にソフトウェアや無形のコンテンツ、サービスなどを販売する場合は、そうした約束事のルール化は重要です。著作権や、どういった権利を譲渡するのかを明確にする必要があるからです。そうでなければデジタルコンテンツは全般的にコピーし放題になり、ビジネスにならなくなってしまいます。

そうした書類の作成の雛形作成も必要経費と考えておいた方が良いでしょう。とはいえ、それも最初に作成し、定期的に見直す形で構いません。

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