セールでECサイトをアピールするメリットとデメリット
2020.11.02
セールはECサイトに限らず、何かを販売する時に注目を集めるためのスタンダードな手法です。しかし、ECサイトではイメージがつきやすく、セールの実施には一定の難しさがあります。この記事ではECサイトでのセールについて解説します。
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やり方次第で諸刃の剣になるECサイトのセール
ECでも実際のお店でも、商品の価格が通常よりも価格が安くなり、入手しやすくなる「セール」はユーザーにとって嬉しいイベントです。
ECサイトの運営側にとっては、告知の材料になり、確実に集客力をあげることができます。実際に売上も期待できる施策ではありますが、やり方次第では実は危険なことも少なくありません。
まず一つは価格設定の難しさです。競合するサイトとの価格の比較が簡単にできるのがよくも悪くもECサイトの特徴です。そのためECサイトでのセールでは、もし、同一の商品を扱う別のサイトがあれば、そのサイトでの販売価格を参考にしないといけません。その場合、仕入れ値によっては採算が取れないといった自体も起こりかねません。
ブランドとしてのアドバンテージがサイトについていない段階では価格勝負でのセールによるキャンペーンは場合によっては出血を覚悟しなければいけません。
また、こちらもブランドの確立に関わることですが、「セールの時だけ購入すればいいサイト」「安売りされる商品」といったイメージをつけてしまう可能性もあります。こうしたイメージはECにとってはマイナスでしかなく、一度こうしたイメージがついてしまうと通常時の売上が伸びず、収支が悪化してしまいます。
そのため、セールでは以下のようなことは大前提として注意すべきです。
- 他社サイトでも扱う商品を前面に出さない
- 頻繁に実施しない
つまりサイトのコンセプトと独自性をもってセールを実施すべきです。もちろん、在庫処分ということであれば状況は違います。在庫として消化できずにコストが発生している場合はしっかりとセールでの目玉として活用するべきでしょう。
ECサイトのセールに限らずECでのキャンペーンについては以下の記事も参考にしてください。
セールは認知度アップと利用障壁を下げるために活用すべし
必ずしもECサイトではセールという形でのキャンペーンにこだわる必要はないかもしれません。前述したようにリスクがあるからです。一方で、価格に手を入れなくてもアピールする方法がインターネットにはあります。
価格を下げる「最安」による耳目を集める効果は絶大ですが、反動も大きいのは事実です。もちろん、商品に対する認知度によっては価格での勝負をせざるを得ないケースもあります。そうでないのであれば、単純な「割引セール」はリスクがあります。
もし、そうした形でのセールを行うという場合は、しっかりとした意味をもった方が良いと考えます。例えば、その商品自体を体験してもらうことで良さを知ってもらいたいといったケースです。興味はあったとしても知らないものになかなか対価を払いづらいのが人間の心理です。そうした障壁を破るためにセールは活用できます。
また、常套手段ですが、セールと合わせてレヴューの掲載依頼をセットにすることで、口コミでの拡散力をあげるというのは理にかなっています。もちろん良いことを言ってもらえるとは限りませんが、せっかく実施するセールであれば認知度をあげる工夫はするべきです。
他にもSNSアカウントのフォローと投稿の拡散や、投稿そのものをセール価格の適用条件にするという方法もあります。この方法は最近では実施するメーカー系企業が増えてきました。ユーザーとサイト側両方にインセンティヴがあり、知名度アップには効果的な手法です。商品が変わることで意外に二番煎じ感が薄れるため、活用しやすいキャンペーンと言っていいでしょう。
いずれにしても
- サイトやサイトの認知度をあげる
- ECサイトの利用に対するハードルを下げる
という視点はセール実施時には、必ずそれをもって取組みたいところです。
価格ではなく、ポイント還元や送料無料なども有効
ユーザーの出費を減らすという意味ではポイント還元率を一時的に増やしたり、送料を無料にするといった方法も有効です。どちらも実際のところ、現れる効果は違いがあります。
初めから送料を無料にしているようなサイトではそもそも送料無料キャンペーンは成立しません。しかし、送料を設定しているサイトでは確実に効果があるはずです。購入障壁を下げたり、「またそろそろ買ってみようか」といったリピートの誘引になれば十分ですので、送料は必ずしも完全無料の必要はありません。確実に事業者側のコストになるので、「~円以上購入を無料」という縛りを設けたり、その縛りを通常より下げるだけでも効果はあるはずです。
ポイント還元は未来の売上から前借りしている状態です。また、リピートに結びつけることもポイントを付与する意味の一つですから、そうしたポイント自体の利用を体験してもらう意味もあります。そうしたサービスの存在を印象付けることも実はユーザビリティの向上につながります。「あそこのサイトはポイント付与があって、意外に使えるんだ」と思って貰えるだけで利用頻度は上昇します。
ただし、還元率の設定は未来の売上を圧迫するので、注意してください。
環境の準備も重要
セールを実施する場合、もう一つ注意しなければいけないことがあります。その一つはサーバーへの負荷です。
セール情報を解禁し、広告やSNSで拡散をした結果、もし実際に訴求力の高いセールとなると、セール期間中はアクセスが集中しやすくなる可能性があります。その場合、十分にその負荷にサーバーが耐えられるのかは事前に検討しておく必要があります。
アクセスしにくいだけならまだしも、サーバーがダウンしてしまうと大きな損失です。セールの告知に使ったコストや仕入れなどが無駄になる可能性があります。サイトのハード面を支える部分は確認をしておくことです。
また、コンバージョンに影響しそうなユーザビリティの悪い箇所はセール前に可能な限り改善しておくことです。特に決済に関連するページの不具合などには注意してください。集客してもカゴ落ちが続出しては目も当てられません。
実際にWEB広告やSNSでの告知に関しては、どの程度までリーチしているのかは実際に数字を確認して把握しておきましょう。知らなければサイトに集まれませんので、集客ユーザー数の予測もできるはずです。もしリーチした数が少なかったら、それはそれで別の問題があります。それについては別のトピックに譲り、そちらで解説しましょう。
もちろん、セールの対象商品の一覧ページなどを作り広告からの着地点なども用意しておくことが重要です。
サイト以外の準備も十分チェック
セールでの販売が順調であればあるほど、在庫確保と梱包発送業務の重要度と作業負荷は高くなります。前述のリーチ数も含め、在庫数は過不足ないか、また、もし不足した場合の処理については事前に考慮しておきましょう。
場合によっては即出荷できる在庫が無くなった際の対処について、あえて告知していくことも戦略の一つとして使えます。「チャンスを逃すとすぐに手に入らないかもしれない」という心理は最後の決断を購入者にさせる材料になります。
出荷の業務についても十分に体制を補強して臨めるようにしてください。
また割引セールという形ではなく、季節に合わせたプレゼンテーションを行うイベントとして販売を強化すると言った形でも、十分に集客要素を作ることができます。基本的にルーティンだけで運営を続けていくと、告知するようなこともあまりなく、SNSでも露出ができません。また日本では実生活の中で季節を感じやすいため、イベントをECサイトに盛り込むだけで距離感はグッと縮まることもあります。
いかに障壁を下げるかというテーマであればそうした部分も気にかけてECサイトの運営を進めるとよいでしょう。