ECサイトのクーポンは目的をもって慎重に配布すれば注文数もアップする
2020.08.21
ECサイトでの購入数・購入率アップを計る企画の代表がクーポンの配布です。クーポンの概念自体はECだけの専売特許ではありません。
それでもECサイトでは発行に関わる作業コストも少なく済む顧客獲得向上の施策です。そのためクーポンの活用は非常に相性のよいマーケティング施策といえます。その分、トラブルも多く、効果に疑問をもつ運営担当者も少なくありません。ここではクーポン施策が効果を生むための方針などを解説します。
CONTENS
キャンペーンでは定番のクーポン配布の目的
クーポン配布は多くのECサイトが行う、キャンペーンの定番です。利用者の立場ではネットショップを利用するきっかけになったり、購入を検討している商品に対する購入決定の意思を固めるきっかけになったりもします。
一方でECサイト側としてのクーポン配布の目的としてはサービスの一環としてだけでなく、以下のような機能を目指したものが考えられます。
- 新規顧客獲得のための商品やECサイト自体の宣伝
- 在庫処分
- リピーター施策
また同時購入時に利用出来るクーポンなどで客単価をあげるといったことも可能です。場合によっては、複数のことを目的に発行するクーポンもあります。
クーポンの発行はECサイト上で行うのであれば、ポイント還元と同じく、原資のいらない簡単に行えるキャンペーンです。
クーポンコードを発行して、決済時に入力するなどで処理出来る機能がECサイトにあればすぐに企画として実施できる手軽さと、クーポンにより受注量の増加が見えやすいため、実際にクーポンを発行するECサイト側でも定番としてよく行われるECサイトの代表的な手法といえるでしょう。
もちろん広告としての効果として集客も期待できるので一度実施してみると受注数のアップなどは確認しやすく、多くのサイトで行われていることもよく理解できます。
クーポンの内容は、全体の会計から割引したり特定の商品に対して割引を与えるなども可能です。また、クーポンを利用した購入に対して、次回のポイントの還元率をあげて付与するといったパターンも王道のクーポン配布のパターンです。
いずれのクーポンも基本的には購買意欲を高めて購入に至る後押しをするために、インセンティブを購入希望者にもたらす施策です。
発行しすぎはリスクにもなる
クーポン発行によるマーケティング施策はとても手軽です。しかし、ECのノウハウを伝える他のサイトでも問題にしているようにリスクのある方法でもあります。
一つ目はサイトのイメージについてです。大々的にクーポンを連発しすぎることで、クーポンの発行されない、あるいは使用期間外にはユーザーが極端に減ってしまうといったことを招くことがあります。これはクーポンの乱発によって「安売りするサイト」というイメージがついてしまった結果です。
こうなるとクーポンの発行を思い切って止めるか控えめにし、同時にイメージ転換を計らなければ適正の価格で販売することは難しくなってきます。
もう一つは利益の圧迫です。クーポンの設定に対してあまり考え無しに「500円オフ」「15%オフ」などとしてしまうことで、商品ごとの利幅分を破壊してしまい、注文はあっても利益のない状態を生んでしまうことがあります。こうした状態に一つ目の要因が結びつくと目も当てられません。そして、問題なのはこの2つの要因は簡単に結びつくということです。
その結果、クーポンの発行時期だけ注文が集中し、売上は出ても利益がないということになります。これはたとえばポイント還元率アップなどのキャンペーンでも同様のことが起こります。
こうした施策にはたしかに原資は必要ありません。しかし、実際には収益分の前借りに過ぎず、結果的に投資をしていることに変わりありません。そのため、乱発は禁物なのです。
一回のクーポンで大きなトラブルの原因になることもある
実際にクーポンの発行内容を十分に精査してから実施しないと大変なことになる例も少なくありません。
有名なところでは数年前に起きたおせち料理の受注に対するクーポンです。事業者が予想していた以上の受注が入り、キャパシティを超えてしまった結果、適切に商品を製造できなくなってしまったという事件がありました。
他にも、実質的に無料で購入できるようなシステムとして適応されたり、利益度外視の価格で販売されてしまうようなクーポンが配布され、急遽クーポンのレギュレーションを変更しなければいけないといった事態に陥る例が実際に何例も報告されています。
受注が増えることは非常に喜ばしいことですが、ECサイトでもし注文の約束を違えてしまうと、今まで培ってきた顧客へのロイヤリティはとてつもなく低下します。一度失ったユーザーからの信頼を回復することは困難を極めます。
今まで実施して来た施策のすべてが無駄になるだけでなく、マイナスの評価を生んでしまうことにもなりかねません。そのため、クーポンについては
- 利用できる商品の範囲
- 利用期間
- 金額
など、その実施の効果の全てについて十分に検討する必要があります。
効果測定を活用して慎重に
一方で、クーポンの利用効果を測定するのは難しさもあります。たとえば全ユーザーにクーポンを配布するような場合、実際にクーポンの効果で売上があがっているのか、それとも別の効果によるものなのか、また、クーポンの内容が適正なのかといったことが見えにくくなります。
もし可能なら、特定の集団にわけてクーポンを配布したり、クーポンコードによってグルーピングなどをして測定してみる必要があります。
会員向けのリピート施策としてのクーポンであれば、会員番号末尾を奇数と偶数で分けることで、均等にわけてABテストを行うことができます。他の方法ですと均一にわけにくくあるためABテストの結果に影響を与えてしまいます。もし意図した集団にわけて行う場合は、仮に番号を振り均等に分けるように工夫しましょう。
また、必ず、クーポンを配布した集団については利用しなかった場合の想定額も算出して比較してください。もし受注数が増えてクーポン利用のない集団よりも金額も上がっていたとしても、利用がない場合との差額によっては損失が上回っていないかを確認します。そうすることでクーポンの効果だけでなく、適正な内容であるかを十分に調査することができます。
掴んだ顧客を優良顧客に
全体的にはクーポンに否定的な論調も目立ちますが、効果は絶大です。そのため使い方を慎重に行えば強力な武器になることは間違いありません。
ECサイトでは新規の顧客を掴むことと同じように、既存顧客をいかに優良顧客としていくかということが重要です。最初に購入するという障壁を超えたユーザーはリピーターになりやすく、メーリングリストへの登録ユーザーでも購入履歴のないユーザーよりもメールの開封率は高くなります。
クーポンは購入履歴のある顧客に対してインセンティブを与える手段として非常に優れています。一度購入した経験のあるユーザーに対して、どのくらいのタイミングで、クーポンを配布するのが適切かは購入した商品によって変わってきます。
そのため、効果測定を行って十分に見極めながら、インセンティヴとしてクーポンを付与して、リピート率をあげるのに役立ててください。
ただし、理想としてはこうしたクーポンでの企画を行わずに集客を高め、コンバージョン率をあげることが重要です。また、実際にサイトの構築や、運営で十分にこの2点にアプローチできる方法はあります。
もしそうしたサイトづくりに興味がある場合は、弊社へご相談ください。