ECサイトを始めたら、まずは基本の3つの課題に注目してみよう
2020.08.24
ECサイトの運営の中でやらなければいけないことは少なくありません。
その中でも「集客の増加」「CV率のアップ」「リピート強化」は売上を増やしていくという点で必ず取組まなければいけない「ECサイトの課題」といえます。今回はこの3点について解説します。
CONTENS
ECサイトの3大課題といえば「集客」、「CV」、「リピート」
ECサイトが常に取組むべき代表的な課題があります。それぞれ、この数値をあげていけば売上が向上するというものです。
それが「集客」、「CV率」、「リピート率」です。
集客をふやすこととはECサイトの場合、どれだけのユーザーがそのサイトに来て、サイトを見るかということに対する取組みです。お客さんのこないお店は実店舗でも売上はあがっていきませんので、これについて理解することはとてもわかりやすいことだと思います。
CV率とは、CVに何を設定するかによって変わってきます。CVはコンバージョンの略称です。コンバージョンは「転換」を意味する言葉です。
ECの場合であれば多くの場合、単なるユーザーが購入者になることをメインのコンバージョンに持つことが一般的です。そのためCV率とは来訪者の何割が実際に購入に至ったかという割合を示すものです。CV率のことをCVR(Conversion rate)と記載することもよくあります。十分に多くの人に見られていても、この数値が低ければ売上は上がってきません。
リピート率は一度購入したユーザーが再び購入する割合です。実際の店舗でも購入したことのあるユーザーは購入に対しての壁が下がっています。これはECサイトにおいては同様、またはそれ以上です。
購入したことのあるユーザーを顧客としてサイトに引きつけてリピーターに、またゆくゆくは優良顧客にしていくことがECサイトの売上アップには欠かせません。
この3点の項目については基本的なECサイトの課題として常に、どれだけ大規模なサイトであろうと存在しつづけています。そして、それぞれについて対策をしていくことで売上を右肩上がりにしていくことができます。
もちろん他にもいろいろな課題がサイトや企業ごとに存在すると思います。そうした点についてはこちらの記事も参考にしてください。
【参考】ECサイトの売上アップに向けた改善は課題の分析から始めよう
それではこのすべてのECに共通する三つの基本的な課題についてそれぞれ見てみましょう。
集客への取組みには2つの方向性
多くの人をサイトに集めるためには、「目立つところで呼びかける」か「面白いと思われるように目立っていく」かのふたつが集客のための基本的な戦略です。
目立つところに出て行くのは要するに「広告」という手段です。インターネットでの集客にはインターネット上での広告が有効です。
もう一方の目立っていくための手段はサーチエンジンでの評価をあげて検索されやすいようにサイトを作りあげて運営していく方法です。これはいわゆるSEO(サーチエンジン最適化、検索最適化)と呼ばれるものです。
ECサイトのSEOではコンテンツマーケティングが主流の方法です。ですがサイト構造的にコンテンツマーケティングがそのままでは難しいケースもあります。
また、広告とSEO以外にはSNSでユーザーとつながりを持ちながらサイトの集客に繋げたり、実際の販売につなげるSNSマーケティングも注目を集めています。これも広義の意味ではSNSをコンテンツとして活用していくのでコンテンツマーケティングと言えるでしょう。ただし、いあわゆるブログでの集客と違い、即効性があるので少し趣はちがい、異なるノウハウが求められています。
集客にスピードを求めるなら広告を駆使しよう
広告での集客にはコストが発生しますが、うまく戦略がはまれば絶大な効果を生みます。インターネット広告はさまざまなデータを利用出来るので、広告の中でもとても効率の良い広告手段です。
またネットでの広告は効果が現れやすく予算に応じて表示数を制限することなどもできるためメリットも多くあります。そのため、ビジネスでの広告予算や対策の多くはマスメディアへの出稿から、ネット広告にそのシェアが大きく移行して来ています。
また、検索エンジン最大手のGoogleだけでなく、TwitterやFacebook、Lineなど各主要SNSでも広告での収益アップに力を入れ、いかに効果的な広告をサービスとして提供できるかを競い合っています。今、ネット広告内も強烈なシェア争いをしているといえます。
Googleでは検索結果の上位部分に広告として表示させるリスティング広告、関連するキーワードを持つサイト上の特定のスペースに表示させるディスプレイ広告、Youtubeに挟み込んでテレビCM感覚で見せる動画広告をメインに、最近では検索結果として商品の画像とともに価格も表示したECに特化しているともいえるショッピング広告も展開しています。そして、このショッピング広告についてもビジネス的に無視出来ない存在になってきました。
SNSでの広告もgoogleに対抗するべく盛んです。Googleのディスプレイ広告はターゲットを設定して出稿できますが、それ以上にSNSでのより詳細な個人情報と投稿内容などの傾向をベースにしたアルゴリズムによって、「より確度の高い広告でリーチ数だけでなく、CVしやすいユーザーが定められる」として注目を集めています。
こうした広告でのSNS対Googleの流れは今後も激化していきそうです。
ネットの技術を使ったWEBでの広告は関心のある人に向けて展開されるので、クリックされて訪問される可能性は確実に高くなります。また、そもそも関心のある人を狙って表示するため、訪問者が実際に購入する可能性も高くなるため、広告としての費用対効果にすぐれています。
もう一つのポイントはスピード感です。広告自体がリンクとして機能するため、広告を配信したタイミングで流入は増えていきます。一方で広告の出稿をやめてしまうとまるで蛇口を閉じたように流入数が減って行くのも特徴です。
広告での集客は自社ECサイトの初期にどうしても集客できない時期に集客するにはうってつけの方法ともいえます。しかし、恒常的に広告からの流入だけをあてにしていると常に広告に対して予算を持たなければいけないので、そうした点では注意が必要です。もちろん、一定の予算を広告費として持つということもありです。それぞれ、利益率は違いがありますので一概にいうことはできません。しかし、そこに頼りきりになるという状況はあまり好ましくないかもしれません。
持続的な集客はコンテンツマーケティングで生み出す
広告のように即効性はありませんが、自社で扱う商品に関連した情報をECサイト内で展開してユーザーを集めつつ、検索結果の上位に表示させるようにサイトを作って行くのがコンテンツマーケティングです。このコンテンツマーケティングにはいくつかの狙いがあり、しかも、うまくいけば持続的に集客ができるようになっていきます。
コンテンツマーケティングとしての手法もいくつかの方向性があります。オウンドメディアとして情報を発信していく場を作っていくパターンや、社内報的なモデルで親近感や臨場感を持たせるなどが代表的です。
SEO的な効果だけでなく、扱う商品の周辺情報も展開することでブランドを印象付け、未来のファン層を作っていくことにもつながります。そのため、ブランドのイメージを形作り印象付けるブランディングにも繋がるという側面もあります。
また、サイト自体の更新性もコンテンツのアップロードを継続することで維持できるといった側面もあります。ユーザー心理的にもサイトを訪問する理由を作れるため、そうした効果も期待できます。
問題はコンテンツ自体を簡単に量産することができないことです。コンテンツを積み重ねていく作業は基本的には地道な作業であり、時間と根気が必要です。
しかし、蓄積されていく情報によって、サイト自体の価値を高めていくこともできるため、回転していくと非常に効果の高い集客力を発揮します。
手軽だけれど手がかかるSNSマーケティング
SNSはスマートフォンの発展とともに、その機器とSNSのスタイルとの相性の良さから多くの人が利用するウェブのサービスになりました。
1対1や1対多でコミュニケーションをとることが可能で、手軽でありながら、物理的あるいは環境的な距離感を超えて接触できます。ビジネス的な視点で見るなら口コミによる高い拡散力を期待できるツールといえます。
多くのユーザーが情報発信の場でありながら、情報取得の場としているのも特徴です。そのため、企業としてもSNSのアカウントを活用して効果的に発信ができれば、非常に費用対効果の高い宣伝ツールになります。
一方で、相互コミュニケーションが簡単にできる分、扱いにも気を使います。コミュニケーションにトラブルはつきものですが、SNSの拡散力が禍となることもあります。いわゆる炎上と呼ばれることが発生することもあります。炎上騒ぎになると逆にマイナスのイメージを拡散することにもなりかねないという点にも注意が必要です。
SNSマーケティングは無料でできるため、アカウントそのものが、他のアカウントの中に埋没しやすく、運営すること自体にテクニックが必要で難しさがあります。どういった情報を展開するのに利用するのかといったルールを設ける必要もありますし、逆に何も投稿できないでいると存在を忘れられてしまうため、距離感が難しいツールといえます。
それでも、ユーザーとのつながりを強く持つためには積極的に利用し、ECサイトの集客に利用したいところです。
CVをあげるにはページの課題を分析しよう
CV数を増やし、CV率を上げるためには「ページの分析」と「決済して購入にいたるまでのプロセスを分析すること」が重要です。そのためにはどこでユーザーの関心が他にうつるのかを分析しましょう。
ECサイトと実店舗を比較した場合、ユーザーの行動についてECサイトはデータがあるため分析しやすいというところがポイントの一つです。セッションを集めているのに他よりもCV率が悪い、逆にセッションはなくてもCVが高いなどの極端な分析結果が出てくるようなページがあれば、そうした部分に課題があるといえます。
セッションはあるけれどCVにつながらないページ
例えばセッションはあるけれどもCVにならないというページには、写真や文章などで情報が足りていない、またはなんらかの不安要素があるため、興味はあるけれど購入に至らない可能性があります。そのため、不安要素になりそうなものをしらみつぶしに探し出して改善する必要があります。
ただし、コンテンツマーケティング的に考える場合は少し冷静に観察してみる必要があります。すべての流入キーワードが購入とつながらないケースがあるからです。単純に興味を満足させるためのキーワードを設定している場合はそこからCVを狙っていくことは困難です。
つまり、そもそもその検索ワードで購入客を引っ張ることは難しいというケースがあるからです。しかし、そういったページは知名度の向上などではサイトにとって有用です。どういった貢献をそのページが果たしているのかもしっかり判定する必要があります。
そのため、それぞれのページの役割もしっかりと考えておくことが重要といえます。もちろん、商品ページでCV率の低い現象が起きている場合は要改善のサインです。
どのポイントでセッションを集めているのか、どういったタイミングで離脱しているのかを観ていく必要があります。
セッション数は少なくてもCVの高いページは腕の見せ所
逆にセッションは少ないけれどCVの高いページなどは、もっと集客を改善すればCVRは維持したままで売上をあげることができるかも知れません。そうしたケースではページへ流入してきたルートや検索ワードを探ってみましょう。
その中でもし、検索ワード自体がページのタグ付けと違っているなどがあれば、それを改善するだけでさらに流入が増えるといった可能性があります。
CVRはおもてなしで上げる
またCVRを上げていくためには信頼性を高めることも重要です。FAQを用意して、先回りして疑問になりそうな点について解説したり、ネガティヴと思われるような情報もあえて掲載することで、信頼度は高くなります。
ECサイトではお互いに顔が見えませんので、適当にごまかそうとすると不信感は大きくなり挽回のチャンスはありません。
口コミなどの機能も信頼性を高くします。ただし、炎上騒ぎに発展する場合もあるので掲載ルールを作成して、誰でも確認できるようにしっかりと掲示してください。
商品ページでは魅力的に商品を提示しつつ、信頼性の高いサイトを作っていくというのがCVRを上げていくための基本的な方針になります。
決済方法に問題があることも
もう一つ、CVRのカギを握っているのはユーザービリティといえるでしょう。ユーザーの多くは使い勝手が悪く面倒になれば購入を取りやめます。
その多くはカートに商品を入れてから決済するまでの過程のなかでおこります。
- いつも利用している決済方法がない
- 情報入力が面倒、わかりにくい
- セキュリティ的に心配
- 買い忘れ
などの理由がカートに商品を入れて離脱する「カート落ち」の原因です。
無料、またはリーズナブルなASPを利用している場合、こうした状況に対応するのは難しい側面もあります。もし、それ以外の方法で構築しているのであれば、しっかりと状況を分析してカスタマイズを検討してください。
また、表示速度の遅いサイトなども著しくCVRが下がります。速度表示については今後、SEO的にもさらに評価基準として影響してくると言われています。そうした部分で、サイトの構築状況はCVRに影響しやすいことを覚えておきましょう。
【参考】ECサイトのコンバージョン率アップ対策〜チェックポイントと6つの施策
リピーター作りはコミュニケーション
一度購入してくれたお客様をどう扱うかがサイトの売上の安定度に影響してきます。リピーター施策を怠るのはECサイトの発展を拒否しているようなものです。
多くのASPでもメルマガ機能がそのシステムについているのはそれだけリピーター獲得へのニーズが高く重要視されていることを示しています。また、それだけ効果的なものであるということでもあります。
リピーター施策としてはメルマガなどで再購入へ誘導していくのが王道です。他にも来訪してもらうためのコンテンツを充実させるといった集客とも関わる施策を併用していくことも効果があります。情報が少なく、更新されないサイトには魅力がありません。
もう一つの王道はポイントの導入です。金額に応じたポイントを会員に付与することで、再度の購入を促します。わかりやすく効果的な方法ですが還元率を誤ると利益を圧迫するので、その点については十分に注意してください。
他にもリターゲティング広告の活用を考えてもいいかもしれません。一度来訪したユーザーを狙ってディスプレイ広告を活用する方法です。また、コミュニケーションの場としてイベントを行ったり、リピーター向けのクーポン配布などもよくあるリピート施策です。
それでももしリピート率が上昇しないというのであれば商品自体に何らかの問題がある可能性もあります。しかし、魅力的な商品を販売していると考えているのであれば、しっかりとユーザーの動向を注視してリピート施策に取組んでください。
リピーターを優良顧客にしていこう
2020年代に入っても、ECサイトで重要視されていることの一つは既存顧客の優良顧客化という状況は続いています。優良顧客になれば、客単価が高いだけでなく、新たなユーザーを呼ぶことにもつながります。ECサイトでのリピーター施策には、そうした重要なミッションがあるといえます。
3つの課題は運営の業務サイクルとも言える
これら3つの課題は常にあり続けるものです。そのため、運営の業務上で基本的に日々取組んでいくべき業務サイクルの基本といえます。この3つの課題に対して様々なアプローチがありますが、これに対応していくことでECサイトの売上も伸びていきます。
もしかしたら、次第に手を余すようになってくるかもしれません。売上が伸びてくると、対策の専門性も高くなり、工数も必要になります。そうした場面では運営会社など、専門の集団を利用するほうが効率的になってきます。
運営会社については下記の記事も参考にしてください。また、運営をサポートする業務もかいなではお引き受けしています。ブランディングを考えながらEC運営を一緒にしているパートナーをお探しの方はご相談ください。ただ請け負うだけでなく、一緒にお互いの専門性を生かしながらECサイトで唯一無二の新たな地平を目指しましょう。